第7章 Space Sonic 【後編】

name change

あなたの名前は?
ヒロインの名前になります。(未入力の場合は、キアラになります)

 一方、ブチャラティチームのアジトでは──

「さてと、私もちょっとトリッシュの様子、見に行ってこよっかな〜?」
キアラも意外過保護だなァ、おい」

 近くにいたアバッキオが茶々を入れる。

「そう言うアバッキオだって、後から見に行くつもりでしょ?」
「あ? んなことすっかよ」
「そうだよね〜、アバッキオは威圧感あるから目立つしねェ〜、それにジョルノが露骨に嫌がりそうだし」
キアラ、お前なァ……」
「もう、冗談だよ、冗談! なんなら、一緒に行く?」
「行かねーよ! 行くならテメー1人で行けや」
「もう、連れないなぁ〜」

 しばらくして、キアラはトリッシュの様子を見る為、ジョルノの学校へと出かけて行った。

「トリッシュ〜」
キアラ──」

 ジョルノと一緒にトリッシュがやって来た。

「初日はどうだった?」
「そうね、まぁまぁかしら? ジョルノも一緒だからその分は安心かな」
「トリッシュは賢明ですから、勉学の方は直ぐにでも周りに追いつきますよ」
「そっか〜。まぁ、まずは慣れる所からだね! じゃあ、午後からもよろしくね、ジョルノ!」

 そう言ってキアラは帰って行く。
 その頃とある場所では──

(さて、ペッシとはいつものリストランテで落ち合う……と──時間は……まだあるな……)

 腕時計を見ながら雑踏に紛れているのはプロシュートだ。普段なら弟分のペッシと行動を共にすることが多いが、この日は野暮用で1人街に来ていた。
 行き交う人々を横目にふと思う──自分がこれから暗殺をしようとは、ここにいる誰1人露程も思わないだろう……
 “ Beata ignoranza 知らぬが仏”とはよく言ったものだ──
 その時だ──

(──ッ!?)

 人混みに見覚えのある姿が目に飛び込んできた
 プロシュートは、思わず名前を口にしていた。

キアラ──?」

 微かに呟く程度の声だ──聞こえるはずがない。だが、足を止めて振り返る人物と目線がぶつかる。
 それは紛れもなくキアラだ。
 そしてキアラもまた、プロシュートの顔を目の当たりにして思わず目を見開く。そして名前を口にしていた。

「プ、プロシュート……?」

 その瞬間、キアラの鼓動がドキン──ッと大きく跳ね上がる。
 そして、徐々に呼吸が苦しくなってきた。

「うっ……っ……」

 キアラが胸元を掴み、その場でうずくまる。

(ヤ、ヤバイ……息が──ッ)
「おいッ、どうしたッ!? キアラッ!? おい──ッ!」

 慌ててプロシュートが駆け寄る。
 いきなりの事に周りがざわつきはじめる。

「だ、大丈夫だから──本当に……」

 そう言って、キアラ自身は立ち上がろうとするも、やはりそう出来る状況ではないようでよろけてしまう。
 それを支えるように、プロシュートがキアラを抱き抱える。

「ご、ごめん……」
「お前はこんな時によォ、何言ってやがる……つーか、そこのカフェで少し休め」
「……う、うん」

 そして、2人は近くのカフェへと入った。
 席につくも、しばらく沈黙が続く中、先に話しかけてきたのはプロシュートだ。

「大丈夫か?」
「う、うん……大丈夫……今はもう何ともないから……」
「そうか……それなら、良かった……」

 プロシュートが小さく安堵の表情を浮かべる。その面持ちからは、切に心配していた事が伺える。

「えっと、その〜……さっきはありがと…… 」
「別に……礼を言われる様なことはしてねーよ。つーかよォ……俺を見るなり倒れそうになるなんざ……俺はよっぽどお前に嫌われてんだな……」
「ち、違う! そんな事は──」

 思わずキアラが声を荒げる。
 一方のプロシュートはらフッと笑みを浮かべる。

「まぁ、そんだけでっけー声出せりゃー大丈夫か……」
「あ……う、うん……」
「あーゆー事はよくあるのか?」
「ううん……これが初めて。何故かよく分からないけど、急に苦しくなっちゃって……息が出来なくなった」
「そうか……疲れでも溜まってんじゃあねーのかよ? お前、そーゆータイプだからな……」

 そう言われて、キアラが苦笑いを浮かべる。
 そして、また2人の間に沈黙が流れる。
 不意にプロシュートが腕時計に目を向ける──ペッシとの約束の時間が迫っていた。

「じゃあ、俺はそろそろ行く……」
「う、うん……」
「お前はもう少し休んでろ……カプチーノ……好きだったろ? 頼んておいた……じゃあな……」

 そう言い残し、プロシュートは店を出て行く。
残されたキアラは、運ばれて来たカプチーノを飲みながらため息をついた。
 出来れば会いたくなかった……あの声、あの瞳に見つめられると、否が応でも昔を思い出してしまうから──
 でも、リゾットに会った時から、どことなく予感はしていた。

“スタンド使い同士は引かれ合う”

 それに──
 キアラは一口飲んだカプチーノに目を向ける。
覚えてくれてたんだ……私の好きな物……
 やっぱり私、今でも──……?

 キアラは、カプチーノをもう一口飲みながら、再びため息をついた。
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