第7章 Space Sonic 【後編】
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数日後──
トリッシュが学校に行く準備が整った。
朝になり、キアラが細かな説明をしている。
「カバンはこれで、靴はこれね。後制服は──」
「調達して来たぜ、ほれ」
ミスタがジャーンと言わんばかりに手渡す。
「じゃあ、着替え終わったら出発ね」
「分かったわ」
しばらくしてトリッシュの着替え終わったようだ。トリッシュはちょっとうつむき加減にこちらにやって来た。
「どうかしたら……?」
「トリッシュ、可愛いよ! 短いスカートも似合ってるぜ!」
ナランチャの感想は、実にシンプルかつストレートだ。
女性にしたら素直に言われると嬉しいものだ。
「いいんじゃあねーの? たまにはこうゆーのもありだな」
「うんうん! スタイルもいいから、やっぱり何着ても似合うわね〜、ねぇ、ブチャラティもそう思うでしょ?」
珍しくアバッキオまでが褒めている中、キアラが不意にブチャラティに問いかける。
「あぁ、そうだな。似合っているぞ」
「そ、そうかしら?」
ブチャラティに褒められて、トリッシュが少しはにかみながら微笑む。そんな姿をブチャラティも優しい眼差で見つめる。
それを横目にミスタも話す。
「その制服なら、お前の寄せてあげてしてる胸も少しは隠れるしな──ッ!?」
そう言いかけたところで、トリッシュが肘鉄を喰らわす。
そして無言のまま、フンッと顔を背ける。
「痛ってーじゃあねーかよっ!? 何すんだよッ!?」
「今のはミスタが悪いぜ」
「そうですよ、例えそうだとしても口に出さなきゃいいのに……」
「……ん? 今のはお前も酷くないか、フーゴ?」
ナランチャとフーゴが話す中、ブチャラティが車のキーを持って来る。
「そろそろ時間だ、俺が送ろう」
「それなら俺が行きますよ」
「いや、俺が行こう。初日な事もあるし、ちょっと様子も見ておきたいからな」
フーゴの申し出を断り、ブチャラティがトリッシュを学校へと送る事となった。
その車内──
ブチャラティと密室で2人きりのシチュエーションに、トリッシュは少なからず緊張していた。フラれたとは言え、そう簡単に気持ちをゼロにすることはなかなかできない。
そんな中、先に話しかけたのはブチャラティだ。
「ジョルノには、校門まで来てくれるよう伝えてある」
「……えぇ、分かったわ……」
「トリッシュ……」
「な、何?」
「緊張……しているのか?」
「えっ!?」
「いや、いつもより口数が少ないようだが……?」
「そうね……私……ちゃんと 馴染 めるかしら……?」
その時、ブチャラティがトリッシュの手を握る。
「──ッ!?」
「こうすれば、少しは緊張が和らげばいいのだが…俺はよく母親にそうしてもらっていたからな……」
「……」
トリッシュは、黙ったままブチャラティの手を握り返した。
ブチャラティは優しい……今の行動も、ただ私を安心させようとしてくれているだけ……
でもその優しさは罪だ……彼は本当に酷い人……
そしてブチャラティは学校の正門近くで車を止める。そこには既にジョルノの姿があった。
「じゃあジョルノ、後は頼んだぞ」
「もちろんです……あっ、ブチャラティ──」
「何だ?」
「帰りの迎えは必要ないです。トリッシュは、僕が送ります」
「そうか……じゃあ、気をつけな」
「い、行ってきます」
ブチャラティが優しい眼差しでトリッシュを見送る。トリッシュは少し顔を赤らめながらこちら側に来た。
トリッシュにあんな表情をさせるなんて……ブチャラティのそういう所はずるいとジョルノは思う──それと同時に負けてたまるかと言うライバル心も芽生える。
そして2人は並んで校内へと入って行った。
トリッシュの隣を歩きながらジョルノはふと思う。
最近のトリッシュは様子が変わった……どこと無く吹っ切れたような面持ちだ。
「何かありました? 急に学校に行くとか、どういう心境の変化です?」
「別に何もないわ。ただ、学校に興味が湧いただけ…あなたが通うこの学校に──」
「そう……ですか……」
不意にトリッシュの髪に目が止まる。
「あっ、それ……僕がプレゼントした髪飾り……付けてくれてたんですね」
「そう……私これ気に入っているのよ。てんとう虫は、お守りなんでしょ?」
「ええ、まぁ」
学校と言う慣れない場所だ──彼女なりに不安なのだろうとジョルノは思う。
僕らに初めて会った時もそうだった。
高慢な態度をとっていたのも彼女なりの自己防衛だったのかもしれない。気の強い印象を持たれがちだが、内面は繊細なただの女の子なのだ。
そこに、クラスの女子がやって来た。
「ジョルノ〜、今日のランチは私と一緒に食べて〜」
「いや、私と〜」
「私が先に言ったのよ!」
「うるさいな〜、今日は先約があるから、あっちに行けよ!」
うんざりとした表情を浮かべながら、ジョルノがクラスの女子をあしらう。
いつもなら、ここであっさり引き下がる彼女達だが、今日はそうはいかなかった。
いつも1人でいるジョルノが女連れだからだ。
彼女達の視線が一斉にトリッシュに向けられる。
「先約……? もしかして、その女の事?」
「何、この女? 見かけない顔ね? 一体誰なの?」
「君たちには関係ないだろ? トリッシュ、行こう」
ジョルノがトリッシュの手を取り、早足にその場を立ち去る。
「ジョルノ?」
「……」
「ジョルノ!」
トリッシュに引き止められて、ようやく足を止める。ジョルノが 苛 立っているのは、誰の目にも明らかだ。
「あっ、トリッシュ、すみません……何です?」
「いいの? 彼女達からの誘いを断って」
「えぇ、別にそんなの構いませんよ。それより、トリッシュには嫌な思いをさせてしまいましたね……」
ジョルノが珍しく気落ちした面持ちで話す。
「別に気にしてないわ。それより、ジョルノはすごくモテるのね」
「モテる……ねぇ……単にモテるだけじゃ僕にとっては無駄なだけですよ……彼女達にモテても時間の無駄無駄……」
そう呟いたジョルノがスッとトリッシュを見据える。
「僕は、トリッシュ……貴女さえ居てくれればそれでいいんですよ?」
「えっ……」
「この意味、分かります?」
トリッシュはただ、その言葉が 示唆 している事を思いながらジョルノを見つめた。
トリッシュが学校に行く準備が整った。
朝になり、キアラが細かな説明をしている。
「カバンはこれで、靴はこれね。後制服は──」
「調達して来たぜ、ほれ」
ミスタがジャーンと言わんばかりに手渡す。
「じゃあ、着替え終わったら出発ね」
「分かったわ」
しばらくしてトリッシュの着替え終わったようだ。トリッシュはちょっとうつむき加減にこちらにやって来た。
「どうかしたら……?」
「トリッシュ、可愛いよ! 短いスカートも似合ってるぜ!」
ナランチャの感想は、実にシンプルかつストレートだ。
女性にしたら素直に言われると嬉しいものだ。
「いいんじゃあねーの? たまにはこうゆーのもありだな」
「うんうん! スタイルもいいから、やっぱり何着ても似合うわね〜、ねぇ、ブチャラティもそう思うでしょ?」
珍しくアバッキオまでが褒めている中、キアラが不意にブチャラティに問いかける。
「あぁ、そうだな。似合っているぞ」
「そ、そうかしら?」
ブチャラティに褒められて、トリッシュが少しはにかみながら微笑む。そんな姿をブチャラティも優しい眼差で見つめる。
それを横目にミスタも話す。
「その制服なら、お前の寄せてあげてしてる胸も少しは隠れるしな──ッ!?」
そう言いかけたところで、トリッシュが肘鉄を喰らわす。
そして無言のまま、フンッと顔を背ける。
「痛ってーじゃあねーかよっ!? 何すんだよッ!?」
「今のはミスタが悪いぜ」
「そうですよ、例えそうだとしても口に出さなきゃいいのに……」
「……ん? 今のはお前も酷くないか、フーゴ?」
ナランチャとフーゴが話す中、ブチャラティが車のキーを持って来る。
「そろそろ時間だ、俺が送ろう」
「それなら俺が行きますよ」
「いや、俺が行こう。初日な事もあるし、ちょっと様子も見ておきたいからな」
フーゴの申し出を断り、ブチャラティがトリッシュを学校へと送る事となった。
その車内──
ブチャラティと密室で2人きりのシチュエーションに、トリッシュは少なからず緊張していた。フラれたとは言え、そう簡単に気持ちをゼロにすることはなかなかできない。
そんな中、先に話しかけたのはブチャラティだ。
「ジョルノには、校門まで来てくれるよう伝えてある」
「……えぇ、分かったわ……」
「トリッシュ……」
「な、何?」
「緊張……しているのか?」
「えっ!?」
「いや、いつもより口数が少ないようだが……?」
「そうね……私……ちゃんと
その時、ブチャラティがトリッシュの手を握る。
「──ッ!?」
「こうすれば、少しは緊張が和らげばいいのだが…俺はよく母親にそうしてもらっていたからな……」
「……」
トリッシュは、黙ったままブチャラティの手を握り返した。
ブチャラティは優しい……今の行動も、ただ私を安心させようとしてくれているだけ……
でもその優しさは罪だ……彼は本当に酷い人……
そしてブチャラティは学校の正門近くで車を止める。そこには既にジョルノの姿があった。
「じゃあジョルノ、後は頼んだぞ」
「もちろんです……あっ、ブチャラティ──」
「何だ?」
「帰りの迎えは必要ないです。トリッシュは、僕が送ります」
「そうか……じゃあ、気をつけな」
「い、行ってきます」
ブチャラティが優しい眼差しでトリッシュを見送る。トリッシュは少し顔を赤らめながらこちら側に来た。
トリッシュにあんな表情をさせるなんて……ブチャラティのそういう所はずるいとジョルノは思う──それと同時に負けてたまるかと言うライバル心も芽生える。
そして2人は並んで校内へと入って行った。
トリッシュの隣を歩きながらジョルノはふと思う。
最近のトリッシュは様子が変わった……どこと無く吹っ切れたような面持ちだ。
「何かありました? 急に学校に行くとか、どういう心境の変化です?」
「別に何もないわ。ただ、学校に興味が湧いただけ…あなたが通うこの学校に──」
「そう……ですか……」
不意にトリッシュの髪に目が止まる。
「あっ、それ……僕がプレゼントした髪飾り……付けてくれてたんですね」
「そう……私これ気に入っているのよ。てんとう虫は、お守りなんでしょ?」
「ええ、まぁ」
学校と言う慣れない場所だ──彼女なりに不安なのだろうとジョルノは思う。
僕らに初めて会った時もそうだった。
高慢な態度をとっていたのも彼女なりの自己防衛だったのかもしれない。気の強い印象を持たれがちだが、内面は繊細なただの女の子なのだ。
そこに、クラスの女子がやって来た。
「ジョルノ〜、今日のランチは私と一緒に食べて〜」
「いや、私と〜」
「私が先に言ったのよ!」
「うるさいな〜、今日は先約があるから、あっちに行けよ!」
うんざりとした表情を浮かべながら、ジョルノがクラスの女子をあしらう。
いつもなら、ここであっさり引き下がる彼女達だが、今日はそうはいかなかった。
いつも1人でいるジョルノが女連れだからだ。
彼女達の視線が一斉にトリッシュに向けられる。
「先約……? もしかして、その女の事?」
「何、この女? 見かけない顔ね? 一体誰なの?」
「君たちには関係ないだろ? トリッシュ、行こう」
ジョルノがトリッシュの手を取り、早足にその場を立ち去る。
「ジョルノ?」
「……」
「ジョルノ!」
トリッシュに引き止められて、ようやく足を止める。ジョルノが
「あっ、トリッシュ、すみません……何です?」
「いいの? 彼女達からの誘いを断って」
「えぇ、別にそんなの構いませんよ。それより、トリッシュには嫌な思いをさせてしまいましたね……」
ジョルノが珍しく気落ちした面持ちで話す。
「別に気にしてないわ。それより、ジョルノはすごくモテるのね」
「モテる……ねぇ……単にモテるだけじゃ僕にとっては無駄なだけですよ……彼女達にモテても時間の無駄無駄……」
そう呟いたジョルノがスッとトリッシュを見据える。
「僕は、トリッシュ……貴女さえ居てくれればそれでいいんですよ?」
「えっ……」
「この意味、分かります?」
トリッシュはただ、その言葉が