第7章 Space Sonic 【前編】
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「お前、今……好きな奴いる……?」
“好きな奴”というフレーズに無意識にも”ブチャラティ“を思い浮かべてしまったキアラが、思わず飲み物にむせる。
咳き込む様子を横目に、ミスタがニヤリと口角を上げる。
そう……この反応を待っていた。
「おいおい、大丈夫かよォ?」
「は、はぁ!? 急に何言い出すのッ!? ビックリして、飲み物変な所に入ったじゃないのよッ!」
「ビックリ……? えっ、何に?」
「な、何って……そ、それより好きな人なんていなから! なんでそう思ったのかは知らないけど、残念ながら全部ミスタの思い違いね」
キアラは自身を落ち着かせるかの如く水を飲み直す。
そんな様子を見ながら、ミスタの中でさっきの質問が確信に変わる。
「そーかいそーかい。まぁ、俺にはよォ〜差し詰め、恋の病にかかってる様に見えたんだがよォ〜」
「えっ、恋って……まさかでしょ?」
ミスタの話を軽く受け流しながらも、にわかにキアラの表情に陰りがさす。
そして、静かに話し始める。
「もしさ、もし……仮に私が誰かを好きになったとしても……いや、それ自体許されない事かもしれない……私は組織の人間……かたぎじゃあない……その意味、あなたなら分かるでしょう、ミスタ……?」
そう問いかけられたミスタは、自分がパッショーネに入団した時の事を思い出した。
そして少なからず、キアラも人を殺めた事があるのかもれない──という事が頭を過ぎった。
「だから、恋とかなんてありえないよ……」
「そーかよ?」
「えっ……」
「別にそんなもん気にする必要はねーだろ?つーか、恋なんてもんはよォ〜理屈じゃあなくて、気付いた時にゃ、もう好きになっちまってる……そんなもんじゃあねーの?」
ミスタのあまりにシンプルな思考にキアラはハッとさせられる思いがした。
「じゃあよォ、この際俺にしとけば?」
ミスタがニカっと笑みを浮かべながら、いつもの軽口を叩く。
「俺ならよォ、例えキアラにどんな過去があったとしても、別に気にならねーぜ? だって、今見えているもんが全てだろ?それに“4”って数字にさえ関わんなきゃ人生は大抵上手く行くってもんよ?」
キアラは話を聞きながら、全くミスタらしい考え方だと思う反面──自分もこんなふうに思えたらいいのにと、少し羨ましくも思う。
「そうね〜」
「おぉっ、案外脈ありとかッ!?」
「もし、この世に男がミスタしかいなかったとしてもそれはあり得ないかなぁ〜」
「またかよッ!? なんでいつもそうなんだよォ!?」
「また……? ねぇミスタはさ〜誰にでもそんな風に言ってるの? 中には本気にしちゃう子もいるんじゃないの? 程々にしないと──」
「あ〜最近はそんなに言ってねぇよ?」
ミスタの口ぶりから何かを感じ取ったキアラが、今度は逆に質問を投げかける。
「ふ〜ん……ってかさ〜ミスタこそ、誰が好きな子いるんじゃないの……?」
「えッ!?」
ミスタがしまったと言わんばかりに、口をつむぐ。何か余計な事を口走ってしまったか? はたまた見透かされるような態度をとってしまったか?
次第に焦りの色が濃くなり始める。
「私じゃないのは確かだから、だとすると──」
「あ、いや、い、いねーよ、んなもん! まぁ、強いて言うなら、この世の全ての ベッラ は俺の彼女みてーなもんだからよォ〜」
「ミスタさ……誤魔化し方が下手過ぎだよ…」
「あ? べ、別に誤魔化してなんてねぇよ!?」
「はいはいそーですか」
「な、なんだよォ?」
「別に〜」
キアラがどことなく、含みを持たせる様な笑みを浮かべる。それは妙に納得した面持ちにさえ感じとれ、本能的にこれ以上の長いは禁物だとミスタは思った。
「あ、あ〜俺そろそろ任務だから、行くわ! 約束通り俺の奢りな! キアラはよォ、ゆっくりしていけよ! じゃあ、また後とでな!」
「うん、Grazie!」
ヒラヒラと伝票を持った手を振りながら、その場を後にするミスタの少し猫背な後ろ姿を見送る。
そして、キアラはふと物思いにふける。
好きな人……か……
視線の先にある綺麗な景色だけが、ただキラキラと輝いて見えた。
“好きな奴”というフレーズに無意識にも”ブチャラティ“を思い浮かべてしまったキアラが、思わず飲み物にむせる。
咳き込む様子を横目に、ミスタがニヤリと口角を上げる。
そう……この反応を待っていた。
「おいおい、大丈夫かよォ?」
「は、はぁ!? 急に何言い出すのッ!? ビックリして、飲み物変な所に入ったじゃないのよッ!」
「ビックリ……? えっ、何に?」
「な、何って……そ、それより好きな人なんていなから! なんでそう思ったのかは知らないけど、残念ながら全部ミスタの思い違いね」
キアラは自身を落ち着かせるかの如く水を飲み直す。
そんな様子を見ながら、ミスタの中でさっきの質問が確信に変わる。
「そーかいそーかい。まぁ、俺にはよォ〜差し詰め、恋の病にかかってる様に見えたんだがよォ〜」
「えっ、恋って……まさかでしょ?」
ミスタの話を軽く受け流しながらも、にわかにキアラの表情に陰りがさす。
そして、静かに話し始める。
「もしさ、もし……仮に私が誰かを好きになったとしても……いや、それ自体許されない事かもしれない……私は組織の人間……かたぎじゃあない……その意味、あなたなら分かるでしょう、ミスタ……?」
そう問いかけられたミスタは、自分がパッショーネに入団した時の事を思い出した。
そして少なからず、キアラも人を殺めた事があるのかもれない──という事が頭を過ぎった。
「だから、恋とかなんてありえないよ……」
「そーかよ?」
「えっ……」
「別にそんなもん気にする必要はねーだろ?つーか、恋なんてもんはよォ〜理屈じゃあなくて、気付いた時にゃ、もう好きになっちまってる……そんなもんじゃあねーの?」
ミスタのあまりにシンプルな思考にキアラはハッとさせられる思いがした。
「じゃあよォ、この際俺にしとけば?」
ミスタがニカっと笑みを浮かべながら、いつもの軽口を叩く。
「俺ならよォ、例えキアラにどんな過去があったとしても、別に気にならねーぜ? だって、今見えているもんが全てだろ?それに“4”って数字にさえ関わんなきゃ人生は大抵上手く行くってもんよ?」
キアラは話を聞きながら、全くミスタらしい考え方だと思う反面──自分もこんなふうに思えたらいいのにと、少し羨ましくも思う。
「そうね〜」
「おぉっ、案外脈ありとかッ!?」
「もし、この世に男がミスタしかいなかったとしてもそれはあり得ないかなぁ〜」
「またかよッ!? なんでいつもそうなんだよォ!?」
「また……? ねぇミスタはさ〜誰にでもそんな風に言ってるの? 中には本気にしちゃう子もいるんじゃないの? 程々にしないと──」
「あ〜最近はそんなに言ってねぇよ?」
ミスタの口ぶりから何かを感じ取ったキアラが、今度は逆に質問を投げかける。
「ふ〜ん……ってかさ〜ミスタこそ、誰が好きな子いるんじゃないの……?」
「えッ!?」
ミスタがしまったと言わんばかりに、口をつむぐ。何か余計な事を口走ってしまったか? はたまた見透かされるような態度をとってしまったか?
次第に焦りの色が濃くなり始める。
「私じゃないのは確かだから、だとすると──」
「あ、いや、い、いねーよ、んなもん! まぁ、強いて言うなら、この世の全ての
「ミスタさ……誤魔化し方が下手過ぎだよ…」
「あ? べ、別に誤魔化してなんてねぇよ!?」
「はいはいそーですか」
「な、なんだよォ?」
「別に〜」
キアラがどことなく、含みを持たせる様な笑みを浮かべる。それは妙に納得した面持ちにさえ感じとれ、本能的にこれ以上の長いは禁物だとミスタは思った。
「あ、あ〜俺そろそろ任務だから、行くわ! 約束通り俺の奢りな! キアラはよォ、ゆっくりしていけよ! じゃあ、また後とでな!」
「うん、Grazie!」
ヒラヒラと伝票を持った手を振りながら、その場を後にするミスタの少し猫背な後ろ姿を見送る。
そして、キアラはふと物思いにふける。
好きな人……か……
視線の先にある綺麗な景色だけが、ただキラキラと輝いて見えた。
←To Be Continued…|/