その頃リビングでは──

「さっき、リゾットの部屋の前を通りかかったらよォ、何かキアラの事話してたみたいだったぜ？」

　そう話しながらやってきたのはホルマジオだ。そしてドカッとソファーに腰掛ける。
　

「あ"ぁ！？　キアラって、あのキアラかよッ！？」
「他に以外誰がいんだよ？」
「ディ・モールトいい予感がするぞッ！」

　いつものようにイライラした口調のギアッチョの傍で、メローネが歓喜に満ちた声を上げる。

「つーかホルマジオ、お前盗み聞きかよ？」

　イルーゾォが冷たい視線を注ぐ。

「ちげーよ！　珍しくプロシュートが声張って話してたからちょっと気になってよォ、詳しい事はよく聞こえなかったが……まぁ、何かある事は確かだな……」
「でも、キアラの名前はプロシュートの前では出すんじゃあねーぞ？ 禁句だからな！」

　イルーゾォが慌てて皆に口止めする。

「ってか、そのキアラって人、一体誰なんすか？」

　ペッシが問いかける。

「あ〜キアラがいたのは、ペッシが入団する前の事だから、知らなくて当然だな」
「キアラは……まぁ、一言で言えば、プロシュートの──」
「おい、ホルマジオ……俺の何だって……？」
「だからよォ〜……え……今俺のって……まさかッ！？」

　ホルマジオが振り返ると、そこにいたのはプロシュートだ。
物凄い形相でホルマジオを睨みつけている。

「あ……いや、その……」

　しどろもどろするホルマジオを後目に、次は他のメンバーに目を向ける。

「オメーら、こんなところで駄弁ってる暇があるならよォ……さっさと任務こなしてこいッ！」

　一喝で皆を蹴散らす。

「ペッシ、お前もそんな暇があるなら、今日の反省点を振り返ってろ！」
「ハ、ハイ！　……あ、あの〜兄貴ィ──」
「何だ？」
「行き過ぎた質問なのは、承知で聞きやすけど……キアラって……一体誰なんですかィ？　兄貴とはどーゆー関係で──」
「ペッシ……アイツらに乗せられて、野暮な事聞くんじゃあねーよ？」

　ギロリと睨まれたペッシが一瞬固まる。

「そ、そうっすよね……す、すみません──ッ！」

　そう言いながら、ペッシも部屋を出て行った。
プロシュートは、誰も居なくなったリビングのソファーにドカリと腰を下ろす。そして柄にもなくため息をついた。



スタンド使いは引かれ合う……この事が後の出来事をも左右するのだった。