第6章 Perfect Days
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一方──
任務が長引き帰りの遅くなったキアラは、ポケットに入れっぱなしだったチョコを取り出す。
そして、それを眺めながらため息をつく。
(これ、どうするかな……?)
そして、不意に昨日の事を思い出した。
それはアジトのキッチンでの出来事──
「トリッシュ、何してるの?」
「キアラ──」
「あっ、明日サン・バレンティーノだから、もしかして……チョコ作り?」
「そうよ……私……明日、ブチャラティに気持ちを打ち明けるわ……」
「──ッ!?」
「覚悟はできている……」
そう言ってトリッシュは前を見据える。
「キアラは……どうするの?」
「私は──」
***
そこでふと我に返り時計に目をやる。時刻は既に午前0時を回っていた。
疲労感と共にまたため息をついてしまう。
(バレンティーノ、もう終わっちゃってるし……そう言えば……トリッシュは気持ちを打ち明けたのかな……?)
ブチャラティとトリッシュならきっと上手くいくはず……それにブチャラティも少なからずトリッシュを気にかけてくれているから、無碍に扱ったりはしないだろう……キアラはそう思っていた。
そしてキアラがアジトに戻ったのは、夜更け近く。
ふと見ると、まだ部屋の明かりがついている。
(まだ誰か起きてるのかな……?)
そっと中に入るが、リビングには無論誰もいない。
単なる消し忘れか……と思った矢先、背後に気配を感じた。
「遅かったな……」
「えっ!?」
振り返るとそこにいたのはブチャラティだ。
「ブ、ブチャラティ!? まだ起きてたのッ!?」
「あぁ、ちょっと仕事が終わらなくてな」
「そ、そう……お疲れ様……」
「キアラも今まで任務だったのか?」
「ま、まぁね……」
「お前こそ、早く休めよ」
「あ、ありがとう……」
ふと周りを見渡すと、テーブルの端にあるチョコレートの山に目が止まる。
「あれってもしかして、ブチャラティが貰ったチョコレートだったりして?」
「あぁ、あれか? そうだ……サン・バレンティーノのな……」
「マ、マジでッ!? 冗談のつもりで言ったのに……うちのチームリーダーは、随分モテモテなのね」
「……ありゃー全部義理だ。本命なんざ入ってねぇよ」
「そうなの? でも……1つくらいは本命チョコ、貰ったんじゃあないの?」
キアラが推し測るように問いかける。
その問いかけが示唆しているのはトリッシュの事だ。
「さぁな……」
「あっそ……」
「キアラはジョルノやミスタ達にチョコ、あげたんだろ?」
「あ〜、うん、あげたけど──?」
心なしかブチャラティの表情が冴えない様に見受けられる。そしてさらに質問が続く。
「その中に本命はあるのか……?」
「えっ、まさか〜全部義理チョコに決まってるでしょう? まぁ、日頃の感謝を込めたサンクスチョコってやつ?」
「そうか……」
キアラの言葉にブチャラティがにわかに安堵の表情を浮かべる。
「ブ、ブチャラティの分も用意してあるけど……いる? でも、もうバレンティーノは終わっちゃってるし、あんなに沢山貰ったからいらないか……」
キアラの言い草に若干の皮肉が混ざる
だが、ブチャラティからは意外な答えが返ってきた。
「貰っておく。俺だけ貰えなかったと言うのも癪だからな」
「そ、そう? じゃあ、はい──」
差し出された手のひらに、キアラがチョコレートの入った小箱をのせる。
「ちなみにこれも義理か?」
「えっ!? そ、そうだよ! みんなと同じサンクスチョコに決まってるじゃん! だから〜お返しは10倍……ね?」
「返しか……確か3月14日だったな……覚えておこう」
「えっ、ちょっと、ブチャラティ、冗談だよ、冗談! いつものお礼だから気にしないで!」
「いや、きっちり10倍にして返してやるから……覚悟しておくんだな……?」
「え…」
「それと──」
そう言って、ブチャラティが自分の胸をジッパーで開けて中から何かを取り出した。
「本場イタリアじゃあ、男性からプレゼントするもんらしいからな……」
そう言うブチャラティが手にしているのは1本の赤いバラ。それをキアラに差し出す。
1本のバラ……その花言葉は“私にはあなただけ”
無論、この花言葉をブチャラティが知っているかは定かではない。
「まあ、俺からも日頃の感謝の気持ちだ……」
「ってか、いつから温めてたのよッ!?」
そう言いながら、バラを受け取ったキアラがフッと笑みをこぼす。
そしておもむろにバラに鼻に近づけ、瞳を閉じる。
「良い香り……ありがとう……」
「──ッ!」
そう言うキアラの笑顔を目の当たりにしたブチャラティは、心臓がドキンと跳ね上がるのを感じた。
そんな感覚を今まで味わった事が無かったブチャラティは、思わず動揺する。
「……ん、どうかした?」
「あ、いや、何でもない……」
「あっ、折角だし、このバラ窓際に飾ろーっと。ってか、ここって、花瓶あるのかな?」
戸棚に花瓶を探すキアラの傍らで、背を向けたブチャラティは、赤面する顔を必死で隠していた。
(今のはヤバイな……)
以前ジョルノに言われた“違和感の正体”とは、この事だったのかと痛感したブチャラティは、この時自身の気持ちを確信したのだった。
任務が長引き帰りの遅くなったキアラは、ポケットに入れっぱなしだったチョコを取り出す。
そして、それを眺めながらため息をつく。
(これ、どうするかな……?)
そして、不意に昨日の事を思い出した。
それはアジトのキッチンでの出来事──
「トリッシュ、何してるの?」
「キアラ──」
「あっ、明日サン・バレンティーノだから、もしかして……チョコ作り?」
「そうよ……私……明日、ブチャラティに気持ちを打ち明けるわ……」
「──ッ!?」
「覚悟はできている……」
そう言ってトリッシュは前を見据える。
「キアラは……どうするの?」
「私は──」
***
そこでふと我に返り時計に目をやる。時刻は既に午前0時を回っていた。
疲労感と共にまたため息をついてしまう。
(バレンティーノ、もう終わっちゃってるし……そう言えば……トリッシュは気持ちを打ち明けたのかな……?)
ブチャラティとトリッシュならきっと上手くいくはず……それにブチャラティも少なからずトリッシュを気にかけてくれているから、無碍に扱ったりはしないだろう……キアラはそう思っていた。
そしてキアラがアジトに戻ったのは、夜更け近く。
ふと見ると、まだ部屋の明かりがついている。
(まだ誰か起きてるのかな……?)
そっと中に入るが、リビングには無論誰もいない。
単なる消し忘れか……と思った矢先、背後に気配を感じた。
「遅かったな……」
「えっ!?」
振り返るとそこにいたのはブチャラティだ。
「ブ、ブチャラティ!? まだ起きてたのッ!?」
「あぁ、ちょっと仕事が終わらなくてな」
「そ、そう……お疲れ様……」
「キアラも今まで任務だったのか?」
「ま、まぁね……」
「お前こそ、早く休めよ」
「あ、ありがとう……」
ふと周りを見渡すと、テーブルの端にあるチョコレートの山に目が止まる。
「あれってもしかして、ブチャラティが貰ったチョコレートだったりして?」
「あぁ、あれか? そうだ……サン・バレンティーノのな……」
「マ、マジでッ!? 冗談のつもりで言ったのに……うちのチームリーダーは、随分モテモテなのね」
「……ありゃー全部義理だ。本命なんざ入ってねぇよ」
「そうなの? でも……1つくらいは本命チョコ、貰ったんじゃあないの?」
キアラが推し測るように問いかける。
その問いかけが示唆しているのはトリッシュの事だ。
「さぁな……」
「あっそ……」
「キアラはジョルノやミスタ達にチョコ、あげたんだろ?」
「あ〜、うん、あげたけど──?」
心なしかブチャラティの表情が冴えない様に見受けられる。そしてさらに質問が続く。
「その中に本命はあるのか……?」
「えっ、まさか〜全部義理チョコに決まってるでしょう? まぁ、日頃の感謝を込めたサンクスチョコってやつ?」
「そうか……」
キアラの言葉にブチャラティがにわかに安堵の表情を浮かべる。
「ブ、ブチャラティの分も用意してあるけど……いる? でも、もうバレンティーノは終わっちゃってるし、あんなに沢山貰ったからいらないか……」
キアラの言い草に若干の皮肉が混ざる
だが、ブチャラティからは意外な答えが返ってきた。
「貰っておく。俺だけ貰えなかったと言うのも癪だからな」
「そ、そう? じゃあ、はい──」
差し出された手のひらに、キアラがチョコレートの入った小箱をのせる。
「ちなみにこれも義理か?」
「えっ!? そ、そうだよ! みんなと同じサンクスチョコに決まってるじゃん! だから〜お返しは10倍……ね?」
「返しか……確か3月14日だったな……覚えておこう」
「えっ、ちょっと、ブチャラティ、冗談だよ、冗談! いつものお礼だから気にしないで!」
「いや、きっちり10倍にして返してやるから……覚悟しておくんだな……?」
「え…」
「それと──」
そう言って、ブチャラティが自分の胸をジッパーで開けて中から何かを取り出した。
「本場イタリアじゃあ、男性からプレゼントするもんらしいからな……」
そう言うブチャラティが手にしているのは1本の赤いバラ。それをキアラに差し出す。
1本のバラ……その花言葉は“私にはあなただけ”
無論、この花言葉をブチャラティが知っているかは定かではない。
「まあ、俺からも日頃の感謝の気持ちだ……」
「ってか、いつから温めてたのよッ!?」
そう言いながら、バラを受け取ったキアラがフッと笑みをこぼす。
そしておもむろにバラに鼻に近づけ、瞳を閉じる。
「良い香り……ありがとう……」
「──ッ!」
そう言うキアラの笑顔を目の当たりにしたブチャラティは、心臓がドキンと跳ね上がるのを感じた。
そんな感覚を今まで味わった事が無かったブチャラティは、思わず動揺する。
「……ん、どうかした?」
「あ、いや、何でもない……」
「あっ、折角だし、このバラ窓際に飾ろーっと。ってか、ここって、花瓶あるのかな?」
戸棚に花瓶を探すキアラの傍らで、背を向けたブチャラティは、赤面する顔を必死で隠していた。
(今のはヤバイな……)
以前ジョルノに言われた“違和感の正体”とは、この事だったのかと痛感したブチャラティは、この時自身の気持ちを確信したのだった。
←To Be Continued…|/