HOT LIMIT
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
最終話【宝物《ホンモノ》の恋】
「花火……?」
皆がラウンジで休んでいるところに、ホルマジオが話を持ちかける。
日中はなんやかんやあったものの──両チームともに集まって、浜辺でバーベキューなどを楽しんだ後の事だ。
「あぁ、さっきナランチャに会ってよォ、そろそろ日も落ちてきたからやろうぜって誘われてよォ〜、俺らは仲良しクラブかってんだよなァ」
“しよーがねぇ〜なぁ”と、言いながらも、自らもやろうと思って持ってきていた花火を片手に、浮き立つホルマジオ。
一方、その様子を横目で見ていたプロシュートは、紫煙を吹かしながら、関係ないと言わんばかりにそっぽを向いている。口元にタバコを運び、煙を吐き捨てながら組み足を変えたその時──プロシュートの元にやってきたのはキアラだ。
「ねぇ、プロシュートも花火するでしょう?」
首を傾げながら問いかけるキアラに、一瞬顔を上向きにして視線合わせるも、“別に、俺は……”と、すぐさま元へと向き直る。そして、気だるそうにしながら、再び紫煙を吐き出した。
素知らぬ顔をしつつも、プロシュートの内心は複雑だった。
偶然だったとはいえ、ついさっき自分を抱きしめた相手に対して、こうもあっけらかんとした物言いができるのは、きっとまったく相手にしていないという証拠。その態度からは、すでに結果が見えていることが 窺 い知れる。
次の言葉がないことに痺れを切らしたのか──プロシュートが口を開くよりも先に、彼女が再び話しかける。
「そんなこと言わずに行こうよ〜? 一夏 の思い出作り……ねっ?」
そう言って、無邪気にほほ笑みかけるキアラに、プロシュートは少しだけ間を空けて“そうだな”と、一言告げる。
ついさっきまで彼女の姿が見えなかった。いったいどこに行っていたのだろうか。おそらくは──
そのことを考えると、柄にもなく重く甘いため息が口からこぼれ落ちた。
「おい、ペッシ……アイツら、何かあったのか?」
その様子を遠目に見ていたホルマジオが、近くのペッシを捕まえて問いかける。
「えっ!? 何かって……何だよ?」
「アイツの様子がよォ、何だかいつもと違うっつーか……オメー、何か知ってんじゃあねーのか?」
「べ、別に、オイラは何も……?」
目を泳がせながら答えるペッシに、ホルマジオは意味深な含み笑いを浮かべる。
「まぁ、いいかァ……本命には奥手だからな、アイツはよォ……とりあえず、花火しに行こうぜ!」
***
浜辺に向かうと、そこにはすでに元護衛チームの面々が顔を揃えていた。すっかり陽が落ちた海岸線では、ぼんやりと互いの顔が認識できるくらいに目が慣れてきた。今宵は満月だ。その月明かりは波間に反射して、光がゆらゆらと幻想的に映って見える。
手始めに、皆で手持ち花火に火をつける。しっとりとした雰囲気で、パチパチ放たれる火花を静かに見ながら、綺麗だ……と、目を細めているのは、彼女とトリッシュ。その側らで、花火を両手に持ちながら、振り回してはしゃぐのはナランチャ。ミスタとギアッチョもドンドン花火に火をつけていく──
いくつになっても火遊びに心を躍らせるのは、幼稚な“男心”というものなのだろうか。
一方で、大人の面子は、彼らを見守る保護者のような構図と化していた。中でも時計を気にしつつ、明らかに気乗りしていない様子のプロシュートは、いつものように紫煙を吹かし始める。そこへ──
「ねぇ、線香花火しない……?」
プロシュートにそう問いかけてきたのはキアラだ。プロシュートは、一瞬でも淡い期待を持ってしまいそうになる自分を押し殺すかのように、一呼吸置いて返事をした。
「……いいぜ」
「ここは少し風が吹いているから──あっちの陰でしよう」
場所をさっきのベンチへと移すと、おもむろにキアラが話を持ちかける。
「ねぇ、せっかくだし、どっちが先に火種を落とすか……勝負しない?」
「勝負か……あぁ、いいぜ。勝負っていうからにはよォ、何か賭けるか?」
面白半分に話を持ちかけると、その言葉を待っていたかのように、キアラは淡々と話を進める。
「じゃあさ、ありきたりだけど──負けた方が勝った方の言うことを聞く……ってのは、どう?」
「……あぁ、構わねーよ。望むところだ──」
そして、キアラとプロシュートの線香花火対決が始まった。
プロシュートのライターから火をもらい、勢いよく火花がパチパチと散り始める。真っ赤な火玉の周りにオレンジの光がいくつも咲き始める。勢いを増した火花はやがてシュルシュルと細くなっていく。そして──
どちらか一方の火玉が、ジュッと地面に落ちてしまった。
「……私の勝ちだね」
ニヒルな笑みを浮かべたキアラが、プロシュートに視線を送る。
「あぁ、俺の負けだ……で、オメーの望みは、何だ?」
少しだけやるせない表情で問いかけるプロシュートに、キアラは明後日の方向をみるような質問を繰り出す。
「ねぇ……今、何時?」
「あ? ……さっき、オメーと約束した待ち合わせ時刻の三分前だ」
「あ〜、そっか……! ねぇ、さっき聞いたんだけど……今日、今から三分後に花火が上がるんだって。打ち上げ花火! ジョルノの計らいだよ〜!」
「おい、マジかよ!? すげーなァ……」
「ねぇ……その花火が上がったら──キスして……?」
キアラが、憂いを帯びた艶っぽい視線を向けて告げる。その言葉に、プロシュートは思わずむ目を見開く。
「おい……オメー、それは──」
その一方で──
「あれ……? ブチャラティ……どうかしましたか?」
皆から少し離れたところで、一人たたずむブチャラティに、ジョルノが問いかける。
「いや、別に……」
「そう言えば……彼女はどこです? もうじき打ち上げ花火が上がると思いますけど……一緒に花火、見ないんですか?」
ジョルノの問いかけに対し、ブチャラティが、ため息を一つこぼしたように聞こえた。その時、後方の夜空が一瞬明るくなり……またすぐ暗闇に戻る。そして、後には、煙の残像と爆発音──打ち上げ花火が始まったようだ。その時、ブチャラティがゆっくりと口を開く。
「あぁ……キアラならもうここにはこないぜ? 今頃花火も、他のやつと見てるんじゃあないか?」
「そうなんですか? いや……あなたはそれでいいんですか、ブチャラティ……?」
「お前にはもう、すでにバレてるようだから話してしまうが……彼女には、あっさりフラれたよ」
「どういう事です?」
真相を知りたいジョルノは、探るように問いかける。
「実は今日、気持ちを打ち明けるつもりでキアラを誘った……だが、さっき彼女にその待ち合わせには行けない、他に行くところがあると、そう告げられたよ。気持ちを伝える前に、フラれちまったってわけだな……」
ブチャラティは、言葉に似合わない笑顔を小さく作ってみせた。
「そういえば……プロシュートの姿も見えないですね」
「アイツが選んだのはきっと──」
頭上の散りゆく花火に、自らの想いがリンクする──ブチャラティは、真っ暗な夜空のその向こう側へと視線を送った。
その頃──
色とりどりの花火が、次々に打ち上がる──その花火には目もくれず、プロシュートがキアラに口付ける。初めは軽く 啄 むように……そして、キアラの方からも舌を絡ませるようにしながら、それは徐々に深くなっていく──
リップ音を残して、唇を一旦離した二人は、目と目を合わせて小さくほほ笑む。
「キスしろとかよォ……いったいどういうつもりだ……?」
「どうって、言われても……」
「オメー、俺の気持ちには気付いてんだろ?」
「違うよ……私が自分の気持ちに気付いたの……私は──」
キアラが言いかけた時、それを遮るかのように、プロシュートが再び口付ける。
「んっ……ちょっと、まだ話の途中──」
「あ? もう待てねぇよ……俺は、オメーのことが好きだ……」
「……うん」
「オメーも、俺と同じ気持ちだと──そう思っていいんだな? いや、例え違うと言おうがよォ、今さらもう遅いぜ……?」
そう言ったプロシュートが、キアラの顎を持ち上げて、口を開けろと言わんばかりに舌を絡めながら、深く深く口付けていく。それに合わせて、キアラもプロシュートの背中に腕を回していく──
プロシュートも彼女の背中に手を回し、薄着な服の下からするりとブラのホックを外しにかかる。
「ん……あっ…っ……、ち、ちょっと待って! ここで!?」
「あ……? 俺ァ別にここでも構わねーが……まぁ、続きはゆっくり部屋でやるか……まぁ、渇く暇なんてなくしてやるからよォ……?」
ニヤリと口角の端を吊り上げて、ニヒルな笑みを向けてくるプロシュートに、“バカじゃないの?”と、呟くキアラも、満更じゃあない表情を浮かべる。
それは、バカンスの浮かれた雰囲気のせいなのだろうか……
とりあえず、皆のところに戻る二人は、硬く手を繋いだ。
「ねぇ……プロシュート──」
「……あ? 何だよ?」
「好き……私、あなたのことが好き……」
「あぁ、俺もだ──」
月明かりに照らされた、二人の影が再び一つに重なった。
「花火……?」
皆がラウンジで休んでいるところに、ホルマジオが話を持ちかける。
日中はなんやかんやあったものの──両チームともに集まって、浜辺でバーベキューなどを楽しんだ後の事だ。
「あぁ、さっきナランチャに会ってよォ、そろそろ日も落ちてきたからやろうぜって誘われてよォ〜、俺らは仲良しクラブかってんだよなァ」
“しよーがねぇ〜なぁ”と、言いながらも、自らもやろうと思って持ってきていた花火を片手に、浮き立つホルマジオ。
一方、その様子を横目で見ていたプロシュートは、紫煙を吹かしながら、関係ないと言わんばかりにそっぽを向いている。口元にタバコを運び、煙を吐き捨てながら組み足を変えたその時──プロシュートの元にやってきたのはキアラだ。
「ねぇ、プロシュートも花火するでしょう?」
首を傾げながら問いかけるキアラに、一瞬顔を上向きにして視線合わせるも、“別に、俺は……”と、すぐさま元へと向き直る。そして、気だるそうにしながら、再び紫煙を吐き出した。
素知らぬ顔をしつつも、プロシュートの内心は複雑だった。
偶然だったとはいえ、ついさっき自分を抱きしめた相手に対して、こうもあっけらかんとした物言いができるのは、きっとまったく相手にしていないという証拠。その態度からは、すでに結果が見えていることが
次の言葉がないことに痺れを切らしたのか──プロシュートが口を開くよりも先に、彼女が再び話しかける。
「そんなこと言わずに行こうよ〜?
そう言って、無邪気にほほ笑みかけるキアラに、プロシュートは少しだけ間を空けて“そうだな”と、一言告げる。
ついさっきまで彼女の姿が見えなかった。いったいどこに行っていたのだろうか。おそらくは──
そのことを考えると、柄にもなく重く甘いため息が口からこぼれ落ちた。
「おい、ペッシ……アイツら、何かあったのか?」
その様子を遠目に見ていたホルマジオが、近くのペッシを捕まえて問いかける。
「えっ!? 何かって……何だよ?」
「アイツの様子がよォ、何だかいつもと違うっつーか……オメー、何か知ってんじゃあねーのか?」
「べ、別に、オイラは何も……?」
目を泳がせながら答えるペッシに、ホルマジオは意味深な含み笑いを浮かべる。
「まぁ、いいかァ……本命には奥手だからな、アイツはよォ……とりあえず、花火しに行こうぜ!」
***
浜辺に向かうと、そこにはすでに元護衛チームの面々が顔を揃えていた。すっかり陽が落ちた海岸線では、ぼんやりと互いの顔が認識できるくらいに目が慣れてきた。今宵は満月だ。その月明かりは波間に反射して、光がゆらゆらと幻想的に映って見える。
手始めに、皆で手持ち花火に火をつける。しっとりとした雰囲気で、パチパチ放たれる火花を静かに見ながら、綺麗だ……と、目を細めているのは、彼女とトリッシュ。その側らで、花火を両手に持ちながら、振り回してはしゃぐのはナランチャ。ミスタとギアッチョもドンドン花火に火をつけていく──
いくつになっても火遊びに心を躍らせるのは、幼稚な“男心”というものなのだろうか。
一方で、大人の面子は、彼らを見守る保護者のような構図と化していた。中でも時計を気にしつつ、明らかに気乗りしていない様子のプロシュートは、いつものように紫煙を吹かし始める。そこへ──
「ねぇ、線香花火しない……?」
プロシュートにそう問いかけてきたのはキアラだ。プロシュートは、一瞬でも淡い期待を持ってしまいそうになる自分を押し殺すかのように、一呼吸置いて返事をした。
「……いいぜ」
「ここは少し風が吹いているから──あっちの陰でしよう」
場所をさっきのベンチへと移すと、おもむろにキアラが話を持ちかける。
「ねぇ、せっかくだし、どっちが先に火種を落とすか……勝負しない?」
「勝負か……あぁ、いいぜ。勝負っていうからにはよォ、何か賭けるか?」
面白半分に話を持ちかけると、その言葉を待っていたかのように、キアラは淡々と話を進める。
「じゃあさ、ありきたりだけど──負けた方が勝った方の言うことを聞く……ってのは、どう?」
「……あぁ、構わねーよ。望むところだ──」
そして、キアラとプロシュートの線香花火対決が始まった。
プロシュートのライターから火をもらい、勢いよく火花がパチパチと散り始める。真っ赤な火玉の周りにオレンジの光がいくつも咲き始める。勢いを増した火花はやがてシュルシュルと細くなっていく。そして──
どちらか一方の火玉が、ジュッと地面に落ちてしまった。
「……私の勝ちだね」
ニヒルな笑みを浮かべたキアラが、プロシュートに視線を送る。
「あぁ、俺の負けだ……で、オメーの望みは、何だ?」
少しだけやるせない表情で問いかけるプロシュートに、キアラは明後日の方向をみるような質問を繰り出す。
「ねぇ……今、何時?」
「あ? ……さっき、オメーと約束した待ち合わせ時刻の三分前だ」
「あ〜、そっか……! ねぇ、さっき聞いたんだけど……今日、今から三分後に花火が上がるんだって。打ち上げ花火! ジョルノの計らいだよ〜!」
「おい、マジかよ!? すげーなァ……」
「ねぇ……その花火が上がったら──キスして……?」
キアラが、憂いを帯びた艶っぽい視線を向けて告げる。その言葉に、プロシュートは思わずむ目を見開く。
「おい……オメー、それは──」
その一方で──
「あれ……? ブチャラティ……どうかしましたか?」
皆から少し離れたところで、一人たたずむブチャラティに、ジョルノが問いかける。
「いや、別に……」
「そう言えば……彼女はどこです? もうじき打ち上げ花火が上がると思いますけど……一緒に花火、見ないんですか?」
ジョルノの問いかけに対し、ブチャラティが、ため息を一つこぼしたように聞こえた。その時、後方の夜空が一瞬明るくなり……またすぐ暗闇に戻る。そして、後には、煙の残像と爆発音──打ち上げ花火が始まったようだ。その時、ブチャラティがゆっくりと口を開く。
「あぁ……キアラならもうここにはこないぜ? 今頃花火も、他のやつと見てるんじゃあないか?」
「そうなんですか? いや……あなたはそれでいいんですか、ブチャラティ……?」
「お前にはもう、すでにバレてるようだから話してしまうが……彼女には、あっさりフラれたよ」
「どういう事です?」
真相を知りたいジョルノは、探るように問いかける。
「実は今日、気持ちを打ち明けるつもりでキアラを誘った……だが、さっき彼女にその待ち合わせには行けない、他に行くところがあると、そう告げられたよ。気持ちを伝える前に、フラれちまったってわけだな……」
ブチャラティは、言葉に似合わない笑顔を小さく作ってみせた。
「そういえば……プロシュートの姿も見えないですね」
「アイツが選んだのはきっと──」
頭上の散りゆく花火に、自らの想いがリンクする──ブチャラティは、真っ暗な夜空のその向こう側へと視線を送った。
その頃──
色とりどりの花火が、次々に打ち上がる──その花火には目もくれず、プロシュートがキアラに口付ける。初めは軽く
リップ音を残して、唇を一旦離した二人は、目と目を合わせて小さくほほ笑む。
「キスしろとかよォ……いったいどういうつもりだ……?」
「どうって、言われても……」
「オメー、俺の気持ちには気付いてんだろ?」
「違うよ……私が自分の気持ちに気付いたの……私は──」
キアラが言いかけた時、それを遮るかのように、プロシュートが再び口付ける。
「んっ……ちょっと、まだ話の途中──」
「あ? もう待てねぇよ……俺は、オメーのことが好きだ……」
「……うん」
「オメーも、俺と同じ気持ちだと──そう思っていいんだな? いや、例え違うと言おうがよォ、今さらもう遅いぜ……?」
そう言ったプロシュートが、キアラの顎を持ち上げて、口を開けろと言わんばかりに舌を絡めながら、深く深く口付けていく。それに合わせて、キアラもプロシュートの背中に腕を回していく──
プロシュートも彼女の背中に手を回し、薄着な服の下からするりとブラのホックを外しにかかる。
「ん……あっ…っ……、ち、ちょっと待って! ここで!?」
「あ……? 俺ァ別にここでも構わねーが……まぁ、続きはゆっくり部屋でやるか……まぁ、渇く暇なんてなくしてやるからよォ……?」
ニヤリと口角の端を吊り上げて、ニヒルな笑みを向けてくるプロシュートに、“バカじゃないの?”と、呟くキアラも、満更じゃあない表情を浮かべる。
それは、バカンスの浮かれた雰囲気のせいなのだろうか……
とりあえず、皆のところに戻る二人は、硬く手を繋いだ。
「ねぇ……プロシュート──」
「……あ? 何だよ?」
「好き……私、あなたのことが好き……」
「あぁ、俺もだ──」
月明かりに照らされた、二人の影が再び一つに重なった。
the END