HOT LIMIT
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
第四話【風の誘惑】
そして、バカンス当日──
一足早くプライベートビーチへとやってきたのは元暗殺者チーム。
白い砂浜──その海岸線の先には、コントラストが美しいコバルトブルーの海が広がっている。今、そのすべてが貸し切り状態なのだから、皆のテンションが上がらないわけがない。
真っ先に海だ──と、荷物をその辺に置き去りにして、一目散に海へと向かったのは、メローネとギアッチョ、ペッシの三人。その後ろに続くのは、すでに日に焼けた肌がビーチによく似合うホルマジオと、普段の移動が鏡の中だからか、炎天下を闊歩する姿が珍しく映るイルーゾォだ。そして──
「すごくきれいな海だね〜! ねぇ、早く行こうよ!」
キアラもまた、目の前に広がる風景に目を輝かせながら、リゾットとプロシュートを先へと 急 かす。
「おい! そんなに急ぐと転けるぞ! ──何はしゃいてんだよ、アイツ…… ったく、ガキじゃあねーんだからよォ……」
「本当だな……まぁ、キアラだけじゃあない……皆が浮かれてるな……だが、たまにはいいだろう。プロシュート、お前もそうなんじゃあないのか?」
「あ? どういう意味だ?」
「……まぁ、いい」
そう言って、リゾットは遠く水平線に目を細めた。
一方で、ジョルノら元護衛チームはというと──
「なぁなぁ、今日はキアラもくるんだろ? 俺、久しぶりに会えるの、すっげー楽しみにしてんだけど!」
ナランチャが 意気盛 んに話し始める。その話に便乗してきたのはミスタだ。
「そうだなァ、俺もキアラに会えるのが楽しみだぜ! どんな水着を着てくるのか……とかよォ」
「えっ……水着!?」
「俺は断然ビキニだと思うぜ! なんせ、あのスタイルだからよォ……なぁフーゴ、お前もそう思うだろ?」
「ちょっ、おい、ミスタ! そんな話題を僕に振るんじゃあない! それに──彼女、そんなに胸ありましたっけ?」
「フーゴくん……これが君、実はあるんだよ……アイツ」
ミスタが得意そうに口角を片側だけ吊り上げる。そして、フーゴの肩を組みながら、小声で話を続ける。
「前によォ、チラッと胸元が見えたことあったんだけど、結構なボリュームの谷間だったわけよ。あんなのを“着痩せするタイプ”とかって言うんだろうなァ」
妙に納得した様子で、深々とうなずくミスタ。それを横目に、開いた口が塞がらなくなっていたフーゴが、急に動きを止める。
「ミスタ、お前……誰の胸を見たって?」
「だからよォ、キアラの──」
背後から急に声をかけられ振り返ったミスタも、思わず動きを止めてしまう。そこに立っていたのは、ブチャラティ。アバッキオと共に、車への荷物の積み込みを一通り終えて、いざ現地に向かおうと、皆を呼びにきたようだ。
「ブ、ブチャラティ!? いや、これはよォ、たまたま見えたっつーか──」
ブチャラティの表情は穏やかに見えるが、どうにも目は笑って見えなかった。ミスタはとっさに話題を変えようと、不意に問いかける。
「そ、そういやよォ、キアラは一緒に行かねーのか?」
「あぁ──彼女ならすでに現地に着いているはずだ。だから、その必要はない。代わりと言ってはなんだが、ミスタ、お前はトリッシュのことを迎えにいってくれないか?」
「えっ、トリッシュも誘ったのかよ!? でも、何で俺なんだよ?」
「ダメか……?」
「……わかりました。じゃあ、あんたの車を借りていきゃあいいんだな?」
「あぁ、よろしく頼んだぞ」
ブチャラティにそう言われ、すぐさま駐車場へと向かったミスタは、背を向けたままで手を振る。その後ろ姿は言葉とは裏腹に、足取りは思いの外、すごく軽やかだった。その頃、元暗殺者チームの方は──
「ちょっと、二人とも早く来てよ!」
再び催促するキアラが指さすその先には、チームメンバーしかいないことをいいことに、全裸になろうとしているメローネの姿があった。
「ちょっとプロシュート、あれ、何とかしてきてよ! 今日ここに来るのはさ、私たちのチームだけじゃあないんだからね……」
呆れた表情を浮かべる彼女の 側 らで、プロシュートが眉間にシワを寄せる。
「おい、オメー、今なんて──」
「でもまぁ、いっか! 私もちょっと海に入ってこようかな? 実はもう下に着てきたんだよね」
羽織っているフードの下にチラリと見えるのは、いつもより大胆に開いた胸元。この前買ってきた水着のようだ。
「それ、あの時買ったやつか?」
「そうそう!」
「結局、その色にしたのか……ん、なんだオメー、思ったより胸、あるじゃあねーかよ」
茶化して言うプロシュートに、鋭い視線を投げつけて、キアラが胸元を隠すように上着のジッパーを閉める。
「ちょっと、どこ見てんのよ!?」
「おいおい、隠してどうすんだよ? 今から海で泳ぐんだろ? つまりは、誰だってオメーをそう言う目で見るってこった。リゾットだってそうだろうよォ」
「俺を引き合いに出すな」
「ねぇ、リゾットも行こうよ?」
「俺は、昼食の準備を先にしておく。だから、お前らは先に行っていろ」
「おいおい、こんなところまできて何言ってんだよ、ったくよォ……んなもん後でやりゃあいいだろ?」
「……てか、プロシュートはその格好でいいの? 水着、持ってきてる?」
キアラが怪訝そうな表情を浮かべるのも無理はない。プロシュートは、サングラスをかけ、薄めのデニムパンツにシャツを合わせて、足元はレザーシューズを素足で履きこなしている──泳ぐ気なんて全くない装いだ。
「いいんだよ、これで。俺は焼けたら赤くなって、後が大変だから焼きたくねーんだよ」
「あっそ……じゃあ、このパラソル立てて荷物番してて。リゾット行こう!」
その時だ。後方から声が聞こえてきた。
「誰だ、あの全裸のやつは……? まさかアレが元暗殺者チームかなのか!?」
「えっ!? まさかだろ……? ただの変態じゃあねーの? てか、ビーチはお前らだけのもんじゃあねーのによォ」
聞き覚えのある声に、キアラが振り返り声をかける。そう──この日、プライベートビーチにやってきたのは他でもない、元護衛チームの面々だ。これでようやく、参加メンバーがほぼ全員出揃った。
この状況下で、嬉しそうに話しかけているのは、キアラただ一人。
「ナランチャ、久しぶり! フーゴも元気にしてた?」
「おう! 俺は、めちゃくちゃ元気だぜ!」
「あなたも元気そうですね」
「まぁね! ──あ!」
そして、その後方からブチャラティとアバッキオ、ジョルノもやってきたので、キアラが手を振りながら応える。
「おい、ここに来るのは、俺たちだけじゃあなかったのかよ!? つーか、オメーは端からこの事、知ってたんだな?」
「実は──ごめんね、プロシュート」
そう言って、キアラは罰が悪そうに苦笑いを浮かべた。
「気を悪くしないでください。これは僕の提案なんです」
平謝りをするキアラの前へとやってきたジョルノが、話を続ける。
「一度、皆さんとこんなふうに交流できたらいいなと、思っていたんです。そして、これをきっかけに、互いにもっと協力できたらなという思惑もありまして──元々彼女には、その架け橋になってもらいたくて、あなた方チームに受け渡したんですからね。だから、ここは穏便に──」
ジョルノが笑顔で圧をかけていく。そこにリゾットも割って入ってきた。
「ボス──すまないな、こんなやつらだが、まぁ、多めに見てもらいたい」
「えぇ、僕はかまいませんよ。むしろ面白いことが起こりそうで、ワクワクしていますね」
「おいおい、ワクワクって……ジョルノお前、まだ何か企んでいるわけじゃあないだろうな? すまないな、リゾット……こっちの連絡ミスだ」
ブチャラティがすかさず、フォローを入れる。さすがはボスの右腕──といったところだ。
「いや、問題ない……それより──初めて顔を合わせるやつらもいるから、後でちゃんと挨拶させよう」
「……っ、チッ」
なんとなくリゾットが 下手 に出ているのも、急に現れた元護衛チームの面々のことも気に食わないと言ったようすで、プロシュートは顔を背け、煙草に火をつけ始める。
その一方で、ブチャラティもキアラの口から出た名前に、思わず反応してしまう。
“プロシュート”──どうやら、このブロンド髪の男がそうらしい。初めて直接顔を合わせるからか、思わずジッと伺うように視線をむけてしまう。
同じように、“ブチャラティ”と呼ばれて慕われている、この男が噂のキアラの元上司だな……と、プロシュートも鋭い視線を差し向けた。
二人の間ですでに火花が散っているとは露ほども思わないのは、ただ無邪気に振る舞うキアラだけだった。
そして、バカンス当日──
一足早くプライベートビーチへとやってきたのは元暗殺者チーム。
白い砂浜──その海岸線の先には、コントラストが美しいコバルトブルーの海が広がっている。今、そのすべてが貸し切り状態なのだから、皆のテンションが上がらないわけがない。
真っ先に海だ──と、荷物をその辺に置き去りにして、一目散に海へと向かったのは、メローネとギアッチョ、ペッシの三人。その後ろに続くのは、すでに日に焼けた肌がビーチによく似合うホルマジオと、普段の移動が鏡の中だからか、炎天下を闊歩する姿が珍しく映るイルーゾォだ。そして──
「すごくきれいな海だね〜! ねぇ、早く行こうよ!」
キアラもまた、目の前に広がる風景に目を輝かせながら、リゾットとプロシュートを先へと
「おい! そんなに急ぐと転けるぞ! ──何はしゃいてんだよ、アイツ…… ったく、ガキじゃあねーんだからよォ……」
「本当だな……まぁ、キアラだけじゃあない……皆が浮かれてるな……だが、たまにはいいだろう。プロシュート、お前もそうなんじゃあないのか?」
「あ? どういう意味だ?」
「……まぁ、いい」
そう言って、リゾットは遠く水平線に目を細めた。
一方で、ジョルノら元護衛チームはというと──
「なぁなぁ、今日はキアラもくるんだろ? 俺、久しぶりに会えるの、すっげー楽しみにしてんだけど!」
ナランチャが
「そうだなァ、俺もキアラに会えるのが楽しみだぜ! どんな水着を着てくるのか……とかよォ」
「えっ……水着!?」
「俺は断然ビキニだと思うぜ! なんせ、あのスタイルだからよォ……なぁフーゴ、お前もそう思うだろ?」
「ちょっ、おい、ミスタ! そんな話題を僕に振るんじゃあない! それに──彼女、そんなに胸ありましたっけ?」
「フーゴくん……これが君、実はあるんだよ……アイツ」
ミスタが得意そうに口角を片側だけ吊り上げる。そして、フーゴの肩を組みながら、小声で話を続ける。
「前によォ、チラッと胸元が見えたことあったんだけど、結構なボリュームの谷間だったわけよ。あんなのを“着痩せするタイプ”とかって言うんだろうなァ」
妙に納得した様子で、深々とうなずくミスタ。それを横目に、開いた口が塞がらなくなっていたフーゴが、急に動きを止める。
「ミスタ、お前……誰の胸を見たって?」
「だからよォ、キアラの──」
背後から急に声をかけられ振り返ったミスタも、思わず動きを止めてしまう。そこに立っていたのは、ブチャラティ。アバッキオと共に、車への荷物の積み込みを一通り終えて、いざ現地に向かおうと、皆を呼びにきたようだ。
「ブ、ブチャラティ!? いや、これはよォ、たまたま見えたっつーか──」
ブチャラティの表情は穏やかに見えるが、どうにも目は笑って見えなかった。ミスタはとっさに話題を変えようと、不意に問いかける。
「そ、そういやよォ、キアラは一緒に行かねーのか?」
「あぁ──彼女ならすでに現地に着いているはずだ。だから、その必要はない。代わりと言ってはなんだが、ミスタ、お前はトリッシュのことを迎えにいってくれないか?」
「えっ、トリッシュも誘ったのかよ!? でも、何で俺なんだよ?」
「ダメか……?」
「……わかりました。じゃあ、あんたの車を借りていきゃあいいんだな?」
「あぁ、よろしく頼んだぞ」
ブチャラティにそう言われ、すぐさま駐車場へと向かったミスタは、背を向けたままで手を振る。その後ろ姿は言葉とは裏腹に、足取りは思いの外、すごく軽やかだった。その頃、元暗殺者チームの方は──
「ちょっと、二人とも早く来てよ!」
再び催促するキアラが指さすその先には、チームメンバーしかいないことをいいことに、全裸になろうとしているメローネの姿があった。
「ちょっとプロシュート、あれ、何とかしてきてよ! 今日ここに来るのはさ、私たちのチームだけじゃあないんだからね……」
呆れた表情を浮かべる彼女の
「おい、オメー、今なんて──」
「でもまぁ、いっか! 私もちょっと海に入ってこようかな? 実はもう下に着てきたんだよね」
羽織っているフードの下にチラリと見えるのは、いつもより大胆に開いた胸元。この前買ってきた水着のようだ。
「それ、あの時買ったやつか?」
「そうそう!」
「結局、その色にしたのか……ん、なんだオメー、思ったより胸、あるじゃあねーかよ」
茶化して言うプロシュートに、鋭い視線を投げつけて、キアラが胸元を隠すように上着のジッパーを閉める。
「ちょっと、どこ見てんのよ!?」
「おいおい、隠してどうすんだよ? 今から海で泳ぐんだろ? つまりは、誰だってオメーをそう言う目で見るってこった。リゾットだってそうだろうよォ」
「俺を引き合いに出すな」
「ねぇ、リゾットも行こうよ?」
「俺は、昼食の準備を先にしておく。だから、お前らは先に行っていろ」
「おいおい、こんなところまできて何言ってんだよ、ったくよォ……んなもん後でやりゃあいいだろ?」
「……てか、プロシュートはその格好でいいの? 水着、持ってきてる?」
キアラが怪訝そうな表情を浮かべるのも無理はない。プロシュートは、サングラスをかけ、薄めのデニムパンツにシャツを合わせて、足元はレザーシューズを素足で履きこなしている──泳ぐ気なんて全くない装いだ。
「いいんだよ、これで。俺は焼けたら赤くなって、後が大変だから焼きたくねーんだよ」
「あっそ……じゃあ、このパラソル立てて荷物番してて。リゾット行こう!」
その時だ。後方から声が聞こえてきた。
「誰だ、あの全裸のやつは……? まさかアレが元暗殺者チームかなのか!?」
「えっ!? まさかだろ……? ただの変態じゃあねーの? てか、ビーチはお前らだけのもんじゃあねーのによォ」
聞き覚えのある声に、キアラが振り返り声をかける。そう──この日、プライベートビーチにやってきたのは他でもない、元護衛チームの面々だ。これでようやく、参加メンバーがほぼ全員出揃った。
この状況下で、嬉しそうに話しかけているのは、キアラただ一人。
「ナランチャ、久しぶり! フーゴも元気にしてた?」
「おう! 俺は、めちゃくちゃ元気だぜ!」
「あなたも元気そうですね」
「まぁね! ──あ!」
そして、その後方からブチャラティとアバッキオ、ジョルノもやってきたので、キアラが手を振りながら応える。
「おい、ここに来るのは、俺たちだけじゃあなかったのかよ!? つーか、オメーは端からこの事、知ってたんだな?」
「実は──ごめんね、プロシュート」
そう言って、キアラは罰が悪そうに苦笑いを浮かべた。
「気を悪くしないでください。これは僕の提案なんです」
平謝りをするキアラの前へとやってきたジョルノが、話を続ける。
「一度、皆さんとこんなふうに交流できたらいいなと、思っていたんです。そして、これをきっかけに、互いにもっと協力できたらなという思惑もありまして──元々彼女には、その架け橋になってもらいたくて、あなた方チームに受け渡したんですからね。だから、ここは穏便に──」
ジョルノが笑顔で圧をかけていく。そこにリゾットも割って入ってきた。
「ボス──すまないな、こんなやつらだが、まぁ、多めに見てもらいたい」
「えぇ、僕はかまいませんよ。むしろ面白いことが起こりそうで、ワクワクしていますね」
「おいおい、ワクワクって……ジョルノお前、まだ何か企んでいるわけじゃあないだろうな? すまないな、リゾット……こっちの連絡ミスだ」
ブチャラティがすかさず、フォローを入れる。さすがはボスの右腕──といったところだ。
「いや、問題ない……それより──初めて顔を合わせるやつらもいるから、後でちゃんと挨拶させよう」
「……っ、チッ」
なんとなくリゾットが
その一方で、ブチャラティもキアラの口から出た名前に、思わず反応してしまう。
“プロシュート”──どうやら、このブロンド髪の男がそうらしい。初めて直接顔を合わせるからか、思わずジッと伺うように視線をむけてしまう。
同じように、“ブチャラティ”と呼ばれて慕われている、この男が噂のキアラの元上司だな……と、プロシュートも鋭い視線を差し向けた。
二人の間ですでに火花が散っているとは露ほども思わないのは、ただ無邪気に振る舞うキアラだけだった。
To Be Continued