あなたが、私のところに転がり込むようにして始まった同棲生活──それも最近は、なんとなく馴染んできたように思える。
　パジャマに歯ブラシ、マグマカップ──
　揃いの物が増えていくたびに、あなたと共に過ごす幸せも、徐々に増えていく──
　それは、バルコニーに出て、洗濯物を干している私のかたわらで、あなたが呑気にエスプレッソを口にするような──
　そんな何気ない日常だ。
　不意に聞こえてきたのは、近くで遊ぶ子供の声。それに呼びこたえるようにして、あなたが立ち上がり手を振っている。
　その光景が、あまりにも素敵に思えたから、思わず顔も 綻（ ほころ）んでしまう。
　その様子に気付いた彼が話しかけてきた。

「……なんだ？」
「別に〜……ただ、リゾットって、案外子供好きなんだなぁって思っただけ」
「別にそうでもない……」
「きっとさ、私たちの子供も可愛いと思うけど……？」

　わざとらしく口走る。あなたは少し間を空けて、『あぁ、そうかもな……』と言いながら、顔を赤らめたりするから、ちょっとばかり期待してしまう。
　それは、私とあなたとで 紡（ つむ）ぐ、近からずもそう遠くない未来の景色となるように……