「暑ィな……」
昼下がり──
俺は、カフェのオープンテラスで冷たい飲み物を流し込む。
「おい、オメー、気づいてんのか? さっきからよォ、あそこのベッラがずっとこっち見てるぜ? スタイルも結構よさそうだしよォ……どうする?」
隣のホルマジオが口角の端を吊り上げながら、話しかけてきた。
俺はチラリとサングラスをずらして見る。
「ハンッ、大したことねーよ。あれぐらいの女、どこにでもいんだろ?」
「……そうだよなァ。今のオメーはよォ、アイツしか見えてねーもんなァ」
「あぁ? 誰のこと言ってんだ、オメーはよォ?」
「お待たせ! ごめん、待ったせちゃったよね……?」
そこにやって来たのは一人の女。息を切らしながら、両手を合わせて謝る。
「気にすんな、今来たところだ」
「そう? それならよかった」
ニコリと微笑むアイツを横目に、他の女が目に入らなくなっているのは、あながち間違っちゃあいない。“恋は盲目” ……そんなふうに思わされた夏空の恋。
the END