アジトのリビング──
なにやら真剣に作業をしているメローネを見つけ、声をかけてみる。
すると、あからさまに肩をビクつかせ、なにかを隠す素振りをされる。
「な、なに?」
「いや〜、別に? 何してるのかなって思って──」
その問いかけを軽く受け流し、そそくさとその場を離れてしまう。
その行動は、今に限ったことじゃあなかった。なんとなくコソコソとしていて、避けられているような気にさえなっていた。正直……ちょっと寂しかった。
そう思っていたときだ──
「これ──」
そういって、差し出されたのは一通の手紙──
中には“Ti amo”とだけ書かれていた。
突然の出来事に目を丸くする。すると、メローネがポツリと呟く。
「気持ちを伝えるには文章にするのもいいって、どこかで聞いたから──」
メローネが顔を赤らめながら言うもんだから、“ありがとう”と言った私まで、なんだか恥ずかしくなってしまうような──そんなある日の出来事だ。
the END