場所は暗殺チームのアジト──

　
　リビングにあるモスグリーンのソファに座っているのは、プロシュートと連れの女──
　連れと言っても、彼女もまた暗殺チームのメンバーだ。
　辺りに殺伐とした空気が漂う。というのも、2人は同じ空間にいながらも、互いに一切顔を合わせようとはせず無言のまま──プロシュートは紫煙を吹かし、彼女は口をへの字に曲げている。
　そんな部屋の片隅で、ペッシは早く誰かが戻ってくる事を刹那に祈っていた。
　そこに、任務を終えたメローネがタイミングよく戻って来たはいいものの……リビングの様子を目の当たりにしてに、こっそりペッシに問いかける。

「あの2人……何？　ディモールト 嫌な感じなんだけど……また喧嘩でもしてんの？」
「うん……まぁ、喧嘩はいつもの事なんだけどよォ、でも、今回は何か違うんだよ〜、2人して一言も口、聞かなくなっちまって……」

　困り果てた様子のペッシの代わりに、メローネが2人に問いかける。

「あのさァ、一緒にいるのが嫌なら、どっちかが部屋から出たらいいんじゃあないのかよ？」
「そうね！　じゃあ、早く出て行って！」
「あぁ！？　出てくのはオメーの方だろ？」
「何で私なのよ！？」
「オメーが先に言い出した事だろうがよォ！？」
「何よ……！」
「何だよ……？」

　一瞬目を合わせるも、すぐさま顔を逸らし、再び沈黙となる。また振り出しに戻ってしまった……そんな2人の様子を横目に、ペッシが大きくため息付く。
唯一この状況を打開できるのはきっと、我らがチームリーダー リゾットくらいだろう……しかし、その頼みの綱は、本日任務でまだまだ戻りそうにもない……
　そんな状況に、ペッシが頭を抱える……


　互いに一歩も引かない2人の攻防戦は、どうやらこのまま長期化しそうだ。