#jo夢版ワンドロワンライ
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それは、ほんの些細なきっかけ──
「あっ──」
ハラハラと書類が手元から滑り落ちる。それは、先日遂行した任務の報告書。まとめて提出しようと思っていたのに……またドジを踏んでしまったなと思いながら、舞い散る紙切れを拾い集めようと、少し腰を 屈 めた。
その時、伸ばした手の先で、ちょうどあなたの手とぶつかる。なんてことない出来事なのに、心臓がドキリと高鳴る。それはきっと、距離が近かったから。
不意に、目の前の真紅の瞳と視線が合わさる。その瞬間に、時が止まってしまったように感じた。
「ん……? どうかしたか?」
いつもの彼の声色が、どことなく心地よい。
「え、いや、何でもないよ? 拾ってくれてありがと。順番がバラバラになっちゃったから……あっちで並べてくるね」
少し言葉に詰まってしまったことを、変に思われていないだろうか──それにしても、手が触れたところから熱を帯びる感覚が残る。その手を一瞬、ギュッと握りしめてから、彼に背を向け書類を束ねた。
これは、偶然なんかじゃあない。私は薄々気づき始めていた……あなたへの恋心に──
もう一度、少し無骨なその手に触れてみたい──いつからか、そんな想いは強くなっていくばかり。
触れてみたいと思っていたその手で、今度は私に触れてほしい──あなたの真紅の瞳に、ただ私だけを映してほしいだなんて、徐々に欲張りになってしまう。
季節が暖かくなるにつれて、枝の隙間から新芽が出てくるかの如く、私の心があなたへの想いで満たされてしまう頃には、もっと沢山の感情があなたに向けられることだろう。そして、いつか、あの大きな腕で私を包み込むように抱きしめてほしい。そして──
「どうした? やはりぼーっとしているな。どこか具合でも悪いのか……?」
その手で頬に触れられる──
そんな夢と現実の幅まで揺れ動くのは、若草色の淡い恋心だ。
「あっ──」
ハラハラと書類が手元から滑り落ちる。それは、先日遂行した任務の報告書。まとめて提出しようと思っていたのに……またドジを踏んでしまったなと思いながら、舞い散る紙切れを拾い集めようと、少し腰を
その時、伸ばした手の先で、ちょうどあなたの手とぶつかる。なんてことない出来事なのに、心臓がドキリと高鳴る。それはきっと、距離が近かったから。
不意に、目の前の真紅の瞳と視線が合わさる。その瞬間に、時が止まってしまったように感じた。
「ん……? どうかしたか?」
いつもの彼の声色が、どことなく心地よい。
「え、いや、何でもないよ? 拾ってくれてありがと。順番がバラバラになっちゃったから……あっちで並べてくるね」
少し言葉に詰まってしまったことを、変に思われていないだろうか──それにしても、手が触れたところから熱を帯びる感覚が残る。その手を一瞬、ギュッと握りしめてから、彼に背を向け書類を束ねた。
これは、偶然なんかじゃあない。私は薄々気づき始めていた……あなたへの恋心に──
もう一度、少し無骨なその手に触れてみたい──いつからか、そんな想いは強くなっていくばかり。
触れてみたいと思っていたその手で、今度は私に触れてほしい──あなたの真紅の瞳に、ただ私だけを映してほしいだなんて、徐々に欲張りになってしまう。
季節が暖かくなるにつれて、枝の隙間から新芽が出てくるかの如く、私の心があなたへの想いで満たされてしまう頃には、もっと沢山の感情があなたに向けられることだろう。そして、いつか、あの大きな腕で私を包み込むように抱きしめてほしい。そして──
「どうした? やはりぼーっとしているな。どこか具合でも悪いのか……?」
その手で頬に触れられる──
そんな夢と現実の幅まで揺れ動くのは、若草色の淡い恋心だ。
the END