ブリュレ/ミスタ、プロシュート
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「ドルチェが食べたい……」
テーブルに頬杖をつきながら、遠くを見据えて、ポツリと呟く──
こいつの名前はキアラ。そして、ここは俺達がアジトにしているリストランテ。無論、キアラは俺達の仲間……ギャングじゃあない──堅気の女だ。
まぁ、なんやかんやあって……こうしてアジトに入り浸っている。
ふと時計に目を向ける──針は丁度午前11時を指していた。
「Spuntino か……つーかキアラよォ〜、この前俺がカフェに誘った時……断ったよな? 何かダイエット中だとかなんとか言ってよォ〜」
「えっ、そうだっけ……?」
首を傾げながらすっとぼけるキアラに、若干肩を竦 めた俺は、ため息混じりに向かい側の席に腰掛ける。
今日は非番だった。ふらふらと街を出歩いていると、偶然キアラに出会 した。これからアジトに行くと言うので、こうして一緒にやって来て、何をするわけでもなくダラダラと過ごしていた──と言うわけだ。
***
「そんなに食いたきゃよォ、何か頼むか?」
俺の問いかけに、キアラは渋い顔をして首を横に振る。
「ううん、やっぱりやめとく……」
「あ、何で?」
「だって──」
「ヤッパリダイエットシテタ事、急ニ思イ出シタンジャアネェノカ?」
「ソーダ、ソーダ。ダカラ急ニヤメタンダナ」
突如現れたのは、ミスタのスタンド〈セックス・ピストルズ〉だ。
キアラの周囲を飛びまわりながら会話を続ける。
「大体ヨォ〜、ダイエットスルトカ言イ出ス時ニハヨォ〜、絶対何カキッカケガアルハズダゼ?」
「キアラ、好キナ奴デモイルンジャアネーノカ?」
「ち、違うよ! そんなんじゃないって!」
ピストルズが騒ぎ立てる一方で、キアラも急に慌てた様子で弁解し始める。
そう……キアラにはピストルズが見えている。つまりこいつはスタンド使い──生まれもっての能力者らしい。
それより、ちょっと待て! さっきの会話……聞き捨てならねーなぁ……
つーか、何顔赤らめてんだよ⁉︎ ……おいおい、マジかよ……マジで好きな奴いんのかよォ〜⁉︎
キアラを横目で見ながら、俺は内心焦る──そして、性懲りもなくまた誘ってしまう……いや、これはある種の口実……か?
「ま、まぁ、俺も腹減ってきたしよォ、この近くに美味いって評判のカフェがあるみてーなんだがよォ……何なら今からそこに食べに行くか?」
キアラの表情がパッと明るくなる。そして『やっぱり食べに行く!』と、コロッと手のひらを返し、一緒に街へと繰り出した。
とは言え……さっきのピストルズとの会話には、若干のわだかまりは残りつつある……しかし、“2人きりで一緒に出かける”と言う事実に、それとなくデートっぽさを意識してしまう。
俺は、この“いい感じ”の流れに乗るべく──
「えっ、な、何っ⁉︎」
「いや、だってよォ〜、休日に2人きりで出かけるって事はよォ、これって……一応デートになるんじゃあねーの? それなら、これぐらいしてもいいだろ?」
俺が笑みを浮かべて同意を求める。それに対し、『そうだね』と、微笑みながら掴んだ手を握り返してくれた。
おいおい、これって、もしかして脈ありなんじゃあねーの……⁉︎
キアラの反応に淡い期待を持ちつつ、手を繋ぎながら目的地へと向かった。
***
一方、時を同じくして──ここは、暗殺チームのアジト。
リビングのソファーにドカリと座っているのは、プロシュート。近くには、ペッシの姿がある。2人は、次なるターゲットの下調べをしていた。
その時不意に、プロシュートが問いかける。
「おい、ペッシ!」
「なんです? 兄貴ィ……?」
「この近くに美味いドルチェの店があるらしいんだが……お前知ってるか?」
「えっ、急にどうしたんです、兄貴ィ?」
「いや……」
唐突な質問に、ペッシが首を傾げつつ訝 しげな表情を浮かべる。その傍らで、尋ねたプロシュート自身も一瞬口ごもる。
その時、後方から声が──
「その店ならこの前行ってきたぜ? 表通りの突き当たりを左に曲がったところだ。フルーツのドルチェが結構美味くてよォ……でもかなりの行列だから、行くなら午前中だな」
話に割り込んできたのはホルマジオだ。
『この前女にせがまれてよォ』と言いながら、ソファーに腰を下ろす。そしてニヤリと笑みを浮かべながら、プロシュートに視線を向けた。
「なんだよ。お前も女か……? にしては、ドルチェの店って……珍しいんじゃねぇか? お前のテリトリーは、リストランテとかバールだろ?……もしかして女の趣味変えた?」
「ハンッ、ベラベラうるせーよ!」
ホルマジオから顔を背けて、プロシュートが足を組み直す。
「何だよ、折角教えてやったのによォ〜、ったくしょうがねぇなぁ〜。あっ、ただで情報教えてやったんだ。今度俺にも紹介しろよな、そのCarino をよォ」
言われたプロシュートはホルマジオを横目に、チッ……と舌打ちをして『別に頼んでねーよ』と、吐き捨てる。そして少しバツが悪そうに頭を掻きながら、スッと立ち上がる。
「おい、ペッシ行くぞ」
「へ、ヘイ!……でも、行くってどこへです?」
「いいから黙ってついて来い!」
「道間違えんなよ〜」
いってらっしゃいと言わんばかりにホルマジオが手を振り見送る。それを後目に、プロシュートとペッシはアジトを後にした。
***
プロシュートがこれからどこに向かおうとしているのか……そして、何故あんな質問をしてきたのか……
さっきのホルマジオの会話から、ペッシには大方見当がついていた。
それを確信に変えるべく──しばらくして、ペッシが問いかける。
「あ、兄貴ィ……もしかしてキアラちゃんの為ですかィ? そのォ……前に甘い物が好きだって言ってたからさァ、連れてってあげようと思ってるとか……?」
「…………!」
図星を突かれたのか……プロシュートは黙ったままだ。それを知ってか知らでか、ペッシが話を続ける。
「なんか、兄貴にしては珍しいというか……でも、可愛らしい人でしたよね〜……」
思い出し笑いをしているペッシを横目に、プロシュートはふと思う──
キアラ……そいつとの出会いは偶然だった。初めて会った時から、俺に向かって『笑うと結構可愛い』とか、平気で言ってきた女。
何だか一味違う“気になる奴”とは思っていたが……これは果たして“恋”なのか……?と──
「あ? 何言ってんだ、おめーはよォ?根詰 てたから休憩だ、休憩……とっとと行くぞ」
それだけ答えると、プロシュートは目的のカフェへと向かう。
テーブルに頬杖をつきながら、遠くを見据えて、ポツリと呟く──
こいつの名前はキアラ。そして、ここは俺達がアジトにしているリストランテ。無論、キアラは俺達の仲間……ギャングじゃあない──堅気の女だ。
まぁ、なんやかんやあって……こうしてアジトに入り浸っている。
ふと時計に目を向ける──針は丁度午前11時を指していた。
「
「えっ、そうだっけ……?」
首を傾げながらすっとぼけるキアラに、若干肩を
今日は非番だった。ふらふらと街を出歩いていると、偶然キアラに
***
「そんなに食いたきゃよォ、何か頼むか?」
俺の問いかけに、キアラは渋い顔をして首を横に振る。
「ううん、やっぱりやめとく……」
「あ、何で?」
「だって──」
「ヤッパリダイエットシテタ事、急ニ思イ出シタンジャアネェノカ?」
「ソーダ、ソーダ。ダカラ急ニヤメタンダナ」
突如現れたのは、ミスタのスタンド〈セックス・ピストルズ〉だ。
キアラの周囲を飛びまわりながら会話を続ける。
「大体ヨォ〜、ダイエットスルトカ言イ出ス時ニハヨォ〜、絶対何カキッカケガアルハズダゼ?」
「キアラ、好キナ奴デモイルンジャアネーノカ?」
「ち、違うよ! そんなんじゃないって!」
ピストルズが騒ぎ立てる一方で、キアラも急に慌てた様子で弁解し始める。
そう……キアラにはピストルズが見えている。つまりこいつはスタンド使い──生まれもっての能力者らしい。
それより、ちょっと待て! さっきの会話……聞き捨てならねーなぁ……
つーか、何顔赤らめてんだよ⁉︎ ……おいおい、マジかよ……マジで好きな奴いんのかよォ〜⁉︎
キアラを横目で見ながら、俺は内心焦る──そして、性懲りもなくまた誘ってしまう……いや、これはある種の口実……か?
「ま、まぁ、俺も腹減ってきたしよォ、この近くに美味いって評判のカフェがあるみてーなんだがよォ……何なら今からそこに食べに行くか?」
キアラの表情がパッと明るくなる。そして『やっぱり食べに行く!』と、コロッと手のひらを返し、一緒に街へと繰り出した。
とは言え……さっきのピストルズとの会話には、若干のわだかまりは残りつつある……しかし、“2人きりで一緒に出かける”と言う事実に、それとなくデートっぽさを意識してしまう。
俺は、この“いい感じ”の流れに乗るべく──
「えっ、な、何っ⁉︎」
「いや、だってよォ〜、休日に2人きりで出かけるって事はよォ、これって……一応デートになるんじゃあねーの? それなら、これぐらいしてもいいだろ?」
俺が笑みを浮かべて同意を求める。それに対し、『そうだね』と、微笑みながら掴んだ手を握り返してくれた。
おいおい、これって、もしかして脈ありなんじゃあねーの……⁉︎
キアラの反応に淡い期待を持ちつつ、手を繋ぎながら目的地へと向かった。
***
一方、時を同じくして──ここは、暗殺チームのアジト。
リビングのソファーにドカリと座っているのは、プロシュート。近くには、ペッシの姿がある。2人は、次なるターゲットの下調べをしていた。
その時不意に、プロシュートが問いかける。
「おい、ペッシ!」
「なんです? 兄貴ィ……?」
「この近くに美味いドルチェの店があるらしいんだが……お前知ってるか?」
「えっ、急にどうしたんです、兄貴ィ?」
「いや……」
唐突な質問に、ペッシが首を傾げつつ
その時、後方から声が──
「その店ならこの前行ってきたぜ? 表通りの突き当たりを左に曲がったところだ。フルーツのドルチェが結構美味くてよォ……でもかなりの行列だから、行くなら午前中だな」
話に割り込んできたのはホルマジオだ。
『この前女にせがまれてよォ』と言いながら、ソファーに腰を下ろす。そしてニヤリと笑みを浮かべながら、プロシュートに視線を向けた。
「なんだよ。お前も女か……? にしては、ドルチェの店って……珍しいんじゃねぇか? お前のテリトリーは、リストランテとかバールだろ?……もしかして女の趣味変えた?」
「ハンッ、ベラベラうるせーよ!」
ホルマジオから顔を背けて、プロシュートが足を組み直す。
「何だよ、折角教えてやったのによォ〜、ったくしょうがねぇなぁ〜。あっ、ただで情報教えてやったんだ。今度俺にも紹介しろよな、その
言われたプロシュートはホルマジオを横目に、チッ……と舌打ちをして『別に頼んでねーよ』と、吐き捨てる。そして少しバツが悪そうに頭を掻きながら、スッと立ち上がる。
「おい、ペッシ行くぞ」
「へ、ヘイ!……でも、行くってどこへです?」
「いいから黙ってついて来い!」
「道間違えんなよ〜」
いってらっしゃいと言わんばかりにホルマジオが手を振り見送る。それを後目に、プロシュートとペッシはアジトを後にした。
***
プロシュートがこれからどこに向かおうとしているのか……そして、何故あんな質問をしてきたのか……
さっきのホルマジオの会話から、ペッシには大方見当がついていた。
それを確信に変えるべく──しばらくして、ペッシが問いかける。
「あ、兄貴ィ……もしかしてキアラちゃんの為ですかィ? そのォ……前に甘い物が好きだって言ってたからさァ、連れてってあげようと思ってるとか……?」
「…………!」
図星を突かれたのか……プロシュートは黙ったままだ。それを知ってか知らでか、ペッシが話を続ける。
「なんか、兄貴にしては珍しいというか……でも、可愛らしい人でしたよね〜……」
思い出し笑いをしているペッシを横目に、プロシュートはふと思う──
キアラ……そいつとの出会いは偶然だった。初めて会った時から、俺に向かって『笑うと結構可愛い』とか、平気で言ってきた女。
何だか一味違う“気になる奴”とは思っていたが……これは果たして“恋”なのか……?と──
「あ? 何言ってんだ、おめーはよォ?
それだけ答えると、プロシュートは目的のカフェへと向かう。
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