お気に召すまま
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今日は朝から雨降りだ──
季節は梅雨に入ったものの、最近は晴れの日が続いていた。もうすぐ梅雨も明けるだろうと、そう思っていたのに──
「暇だね……」
「そうだな……」
私はジメジメとした蒸し暑さを和らげる為、冷たいアイスカフェオレを飲みながら呟く。
私の問いかけに答えてくれたのは、この日同じくアジトに居合わせたギアッチョだ。冷たい物を飲みながら、暑さをしのいでいる。ギアッチョは、炭酸水の氷ごと、ガリガリ食べているようだ。
「昨日は晴れてたのにな〜、なんで今日は雨なんだろう……」
「…………」
ひたすら雑誌を読んでいるギアッチョに、私は暇つぶしにと、ある提案を持ちかける。
「ねぇ、しりとりしない?」
「あ? しりとりだァ?」
「だって暇じゃん、やろうよ! じゃあ、私からね! 雨の“め”」
「“め”? ん〜……メガネ」
いきなり始まったしりとり──
いつものように怒号を言い放ち、無視されるかと思いきや……案外乗ってきたようだ。
「ね〜……ねこ!」
「……コルク」
「く? ……栗」
「リス」
「ス……」
“ス”から始まる言葉……私は思わず考え込んだ。
そして、言ってしまった。いつもギアッチョに対して思っている事を──
「ス……好き! 私……ギアッチョの事が好き!」
「……あぁ⁉︎ お、お前、今何っつたァ⁉︎」
「だから、好きだって言ったの!」
「おまっ……ふ、ふざけてんじゃあねーぞ、キアラよォ〜?」
「ふざけてなんかない! はい、次は“き”!」
告げてしまった気持ちを紛らわすように、次の言葉をギアッチョに急かす。彼自身も驚いているのか……いつもの怒号の調子もイマイチに聞こえる。
「き……き……──」
その時だ。不意にギアッチョの気配が近くなった……と思った次の瞬間──
ちゅっ……と、リップ音を立てて唇が離れた。ギアッチョにキスされたのだ。
その事実を目の当たりにして、私は頭が真っ白になる。
「……えっ⁉︎ い、今、私にキ、キ──」
「キス……次はまた“ス”だぜ……?」
そう言ったギアッチョが、私から顔を背ける。見ると、若干耳まで赤くなっているようにも見えた。しかしそれ以上に、自分の方がきっと赤面しているはずだ。私はこの流れに乗って、問いかけてみる。
「す……好きなの、私の事……?」
「と……“ 当然 ”──だろ? 何とも思ってねー奴になんて、するわけねーだろ、ボケ……」
「あっ、今“ん”が付いた……ギアッチョの負けだね」
私がクスッと小さく微笑むと、ギアッチョは照れ臭そうに頭をかきながら、ゆっくりとこちらに向き直り、真っ直ぐ視線を合わせる。
「さっき、お前が言った事──マジに受け取っていいんだな?」
「えっ?」
「え、じゃねーよ⁉︎ 俺は、お前も同じ気持ちだと思ったから……だから、キスしたんだぜ?」
「そ、そうだよ! 私はギアッチョが好き……」
「俺もだ……キアラ──」
再びギアッチョとの距離が近くなる──
あと少しで唇が重なりそうな……まさにその時──リビングのドアが開き、誰かが入ってきた。
「ギアッチョ〜、ちょっと聞いてくれよ! 今日のベィビィは、最高の出来でさァ……んんッ⁉︎」
やって来たのは、メローネだ。
ギアッチョがアジトにいるのを知ってて、報告しに立ち寄ったようだ。しかし、かなり距離の近い私達2人を目の当たりにして、一瞬動きを止めたみたいだ。
「お、お前ら……ディモールト 近くないか? もしかして、ついに付き合った……とか?」
「“か”……関係ねーだろ? お前にはよォ?」
「“お”……大人しく、帰って下さい! 次は“い”だよ。メローネ?」
「“い”……? なんだ、しりとりか?」
「そう、“い”の付く言葉!」
「い、い、い、……イカ?」
「“か”……帰れ! さっさと帰れ、おめーはよォ〜」
「“お”……お気をつけて!」
「“て”……て……てか……何これ⁉︎ 一見しりとりと見せかけて、なんか追い出されそうなんだけど……」
メローネがオロオロし始める。それに構う事なく、追い討ちをかけるようにギアッチョが言い放つ。
「“ど”……どーでもいいから、早く出て行け!」
「“け”……結構傷ついたんだけど……」
メローネが、若干半ベソでアジトから出て行く。こんなことをして、後でリゾットに怒られ必須だ、と私は悟った。しかし、どうしても今は2人きりでいたい……そんな気持ちを抑えきれなかった。それに、そう思っていたのは、私だけじゃなかったみたいで──
「“ど”……どうするの、私達……付き合うの?」
「“の”…… No とは言わせねーぜ……?」
「“ぜ”……是非、よろしくお願いします!」
「“す”……好きだから、もう一度──」
そう言うギアッチョに再び口付けられる。そして、照れ臭そうに互いに笑い合う──
「“ど”……どうぞ、これからよろしくね!」
しりとりで繋いだ、この気持ち──
当分“ん”なんてつきそうもない。
季節は梅雨に入ったものの、最近は晴れの日が続いていた。もうすぐ梅雨も明けるだろうと、そう思っていたのに──
「暇だね……」
「そうだな……」
私はジメジメとした蒸し暑さを和らげる為、冷たいアイスカフェオレを飲みながら呟く。
私の問いかけに答えてくれたのは、この日同じくアジトに居合わせたギアッチョだ。冷たい物を飲みながら、暑さをしのいでいる。ギアッチョは、炭酸水の氷ごと、ガリガリ食べているようだ。
「昨日は晴れてたのにな〜、なんで今日は雨なんだろう……」
「…………」
ひたすら雑誌を読んでいるギアッチョに、私は暇つぶしにと、ある提案を持ちかける。
「ねぇ、しりとりしない?」
「あ? しりとりだァ?」
「だって暇じゃん、やろうよ! じゃあ、私からね! 雨の“め”」
「“め”? ん〜……メガネ」
いきなり始まったしりとり──
いつものように怒号を言い放ち、無視されるかと思いきや……案外乗ってきたようだ。
「ね〜……ねこ!」
「……コルク」
「く? ……栗」
「リス」
「ス……」
“ス”から始まる言葉……私は思わず考え込んだ。
そして、言ってしまった。いつもギアッチョに対して思っている事を──
「ス……好き! 私……ギアッチョの事が好き!」
「……あぁ⁉︎ お、お前、今何っつたァ⁉︎」
「だから、好きだって言ったの!」
「おまっ……ふ、ふざけてんじゃあねーぞ、キアラよォ〜?」
「ふざけてなんかない! はい、次は“き”!」
告げてしまった気持ちを紛らわすように、次の言葉をギアッチョに急かす。彼自身も驚いているのか……いつもの怒号の調子もイマイチに聞こえる。
「き……き……──」
その時だ。不意にギアッチョの気配が近くなった……と思った次の瞬間──
ちゅっ……と、リップ音を立てて唇が離れた。ギアッチョにキスされたのだ。
その事実を目の当たりにして、私は頭が真っ白になる。
「……えっ⁉︎ い、今、私にキ、キ──」
「キス……次はまた“ス”だぜ……?」
そう言ったギアッチョが、私から顔を背ける。見ると、若干耳まで赤くなっているようにも見えた。しかしそれ以上に、自分の方がきっと赤面しているはずだ。私はこの流れに乗って、問いかけてみる。
「す……好きなの、私の事……?」
「と……“
「あっ、今“ん”が付いた……ギアッチョの負けだね」
私がクスッと小さく微笑むと、ギアッチョは照れ臭そうに頭をかきながら、ゆっくりとこちらに向き直り、真っ直ぐ視線を合わせる。
「さっき、お前が言った事──マジに受け取っていいんだな?」
「えっ?」
「え、じゃねーよ⁉︎ 俺は、お前も同じ気持ちだと思ったから……だから、キスしたんだぜ?」
「そ、そうだよ! 私はギアッチョが好き……」
「俺もだ……キアラ──」
再びギアッチョとの距離が近くなる──
あと少しで唇が重なりそうな……まさにその時──リビングのドアが開き、誰かが入ってきた。
「ギアッチョ〜、ちょっと聞いてくれよ! 今日のベィビィは、最高の出来でさァ……んんッ⁉︎」
やって来たのは、メローネだ。
ギアッチョがアジトにいるのを知ってて、報告しに立ち寄ったようだ。しかし、かなり距離の近い私達2人を目の当たりにして、一瞬動きを止めたみたいだ。
「お、お前ら……ディモールト 近くないか? もしかして、ついに付き合った……とか?」
「“か”……関係ねーだろ? お前にはよォ?」
「“お”……大人しく、帰って下さい! 次は“い”だよ。メローネ?」
「“い”……? なんだ、しりとりか?」
「そう、“い”の付く言葉!」
「い、い、い、……イカ?」
「“か”……帰れ! さっさと帰れ、おめーはよォ〜」
「“お”……お気をつけて!」
「“て”……て……てか……何これ⁉︎ 一見しりとりと見せかけて、なんか追い出されそうなんだけど……」
メローネがオロオロし始める。それに構う事なく、追い討ちをかけるようにギアッチョが言い放つ。
「“ど”……どーでもいいから、早く出て行け!」
「“け”……結構傷ついたんだけど……」
メローネが、若干半ベソでアジトから出て行く。こんなことをして、後でリゾットに怒られ必須だ、と私は悟った。しかし、どうしても今は2人きりでいたい……そんな気持ちを抑えきれなかった。それに、そう思っていたのは、私だけじゃなかったみたいで──
「“ど”……どうするの、私達……付き合うの?」
「“の”……
「“ぜ”……是非、よろしくお願いします!」
「“す”……好きだから、もう一度──」
そう言うギアッチョに再び口付けられる。そして、照れ臭そうに互いに笑い合う──
「“ど”……どうぞ、これからよろしくね!」
しりとりで繋いだ、この気持ち──
当分“ん”なんてつきそうもない。
the END
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