手を繋ぐ理由
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それはある夏の日の出来事──
窓外からは、痛いくらい強い日差しが室内に降り注ぎ、五月蝿 いくらいにセミの鳴き声も聞こえてくる──
今日の気温は30度以上……真夏日だ。
そんな日に、アジトのリビングでぐったりとへたり込んでいるメンバーが……
「ねぇ、ギアッチョ〜〜」
「あぁ!? なんだよッ、うるせーなァ〜! 俺に気安く話しかけてんじゃあねーぞ、ボケが──ッ!」
ギアッチョの口調がいつも以上にキツい。
普段もイライラしている事の多い彼だが、この暑さが更に拍車をかけている様だ。
しかし、もう慣れっこなのだろうか……そんな態度にひる怯むことなく、悠長に話しかけている── 彼女の名前はキアラ。同じく暗殺チームのメンバーだ。
「ねぇ、ホワイト・アルバム発動してよ〜」
「あぁ!? 死してぇのか、オメーはよォ〜!?」
「違うよ、暑いの! 暑くて死にそうなの、分かるッ!?」
「んなことは、分かってるぜッ! だから、わざと言わねーようにしてたんだろォがよォ〜。イライラするとよォ〜〜、よけー体温が上がんだろうが、クソが──ッ!」
「分かってるなら、怒らないでよ! もう暑くて限界なんだから!」
「オメーが言わせたんだろうがよ!? 舐めてんのか、このギアッチョをよォ──!?」
ギアッチョとキアラの言い争いが徐々にヒートアップしていく。それもそのはず……現在アジトのエアコンは故障中。室内は尋常じゃないくらい暑いのだ。
そんな2人を見兼ねたプロシュートが、仲裁に入る。
「うるせーぞ、オメーら! そう思うならよォ、少し静かにしてろよなァ」
「だったらよォ〜、てめーばっかり扇風機の前を陣取っんじゃあねーよ、そこどけよッ!」
「あ? 年功序列だろ?」
「あぁ!? んなもん関係ねーだろ!?」
ギアッチョの怒りが頂点に達した時、キアラが何か閃 いたのか…… 徐 に、ギアッチョに話しかける。
「そうだ! ジェラート買いに行こう! ねぇ、ギアッチョ……?」
「──あ!? な、なんで、俺なんだよッ!?」
「いいじゃ〜ん。あっ、やっぱりグラニータがいいな! うん、そうしよー!」
グラニータ……簡単に言うならイタリア風カキ氷。シチリア生まれの冷菓だ。
「グラニータならよォ、リゾットに作ってもらえばいいだろうがよォ〜?」
「え〜、だって今すぐ食べたいんだもん! ねぇ、一緒に行こうよ〜?」
自分の服の袖を引っ張りながら、ねだるようなキアラの言い草に、ギアッチョの反応はあからさまだ。
『何で俺に言うんだよ!?』と、言いながらも、内心嬉しく思っているのが、その表情からひしひしと伝わる。そして、頭を掻きながら、少しぶっきら棒に言い放つ。
「仕方ねーなァ……じゃあ、とっとと行くぞ!」
「俺はコーヒー味な」
「あ? なんでプロシュートの分も買って来なきゃあならねーだよッ!?」
「別にいいだろ? そんくらい……キアラと2人で出かけんだからよォ……」
「ぜってぇー嫌だね! テメーで買えよ!」
「じ、じゃあ、プロシュート留守よろしくね? いってきまーす!」
バタバタと出かけて行った2人を、プロシュートが横目で見送る。そして窓外の景色に目を向けながら、小声でポツリと呟く。
「ほんっと、あっちいなァ、おい……」
***
一方、ギアッチョとキアラはと言うと──
「作戦成功! これで2人きり……デートだね!」
「は、はァ!? オメー、何言って──」
「ギアッチョ〜、お店はあっちあっち!」
そう言いながら、キアラがギアッチョの手をとる。急に2人の距離がグッと近づく。
「お、おい!?」
「あっ、やっぱり……ギアッチョの手、ひんやり冷たいや──」
「──そうか?」
「手の冷たい人ってね、心の暖かい人なんだって」
「あ、何だそりゃ? んなもんは元々の体質だろ?」
「体質ねぇ……そうかな〜? 私はあながち間違ってないと思うけどな〜、だってギアッチョ、優しいじゃん?」
そう言って、キアラが微笑みかける。内心、その笑顔にドキリとしながらも、ギアッチョは素知らぬ顔で答える。
「何言ってんだ、オメーはよォ……?」
「だってさ、なんだかんだ言っても、こうして付き合ってくれてるじゃん?」
「……違うし」
「え……?」
「優しいとかじゃあねーよ……俺は、好きだから付き合ってんだ」
「えっ、グラニータが?」
「そうじゃあねーよッ!」
「じゃあ、何……?」
惚 けているのか……キアラが首を傾げながら、キョトンとした表情を浮かべる。それを横目に、ため息混じりにギアッチョが小声で呟く。
「“お前の事が”だよ、バーカ……分かってるくせによォ、いちいち言わせんじゃあねーよ、クソがッ……」
言った当人は、耳まで真っ赤にして顔を逸らす。それに対し、ニヒルな笑みを浮かべながら、キアラが言い放つ。
「──うん、知ってる。やっぱり優しいね、ギアッチョは──」
「う、うるせーよ! ほら、行くぞ!」
満足げに微笑むキアラを前にして、ギアッチョも自然と頬が緩む。そして、しっかり手と手を繋ぎ合わせながら、2人並んで歩いて行く──
「あ……プロシュートの分は、どうする?」
「買うわけねーだろ? 買っちまったら、このままデートできねーだろうがよ!」
「そうだよね〜、じゃあ、行こうか!」
「あぁ──」
ここでも五月蝿いくらいセミの鳴き声が響きわたり、日差しがジリジリと照りつける──
グラニータだって、すぐに溶けちゃいそうな、こちらも熱い2人なのでした。
窓外からは、痛いくらい強い日差しが室内に降り注ぎ、
今日の気温は30度以上……真夏日だ。
そんな日に、アジトのリビングでぐったりとへたり込んでいるメンバーが……
「ねぇ、ギアッチョ〜〜」
「あぁ!? なんだよッ、うるせーなァ〜! 俺に気安く話しかけてんじゃあねーぞ、ボケが──ッ!」
ギアッチョの口調がいつも以上にキツい。
普段もイライラしている事の多い彼だが、この暑さが更に拍車をかけている様だ。
しかし、もう慣れっこなのだろうか……そんな態度にひる怯むことなく、悠長に話しかけている── 彼女の名前はキアラ。同じく暗殺チームのメンバーだ。
「ねぇ、ホワイト・アルバム発動してよ〜」
「あぁ!? 死してぇのか、オメーはよォ〜!?」
「違うよ、暑いの! 暑くて死にそうなの、分かるッ!?」
「んなことは、分かってるぜッ! だから、わざと言わねーようにしてたんだろォがよォ〜。イライラするとよォ〜〜、よけー体温が上がんだろうが、クソが──ッ!」
「分かってるなら、怒らないでよ! もう暑くて限界なんだから!」
「オメーが言わせたんだろうがよ!? 舐めてんのか、このギアッチョをよォ──!?」
ギアッチョとキアラの言い争いが徐々にヒートアップしていく。それもそのはず……現在アジトのエアコンは故障中。室内は尋常じゃないくらい暑いのだ。
そんな2人を見兼ねたプロシュートが、仲裁に入る。
「うるせーぞ、オメーら! そう思うならよォ、少し静かにしてろよなァ」
「だったらよォ〜、てめーばっかり扇風機の前を陣取っんじゃあねーよ、そこどけよッ!」
「あ? 年功序列だろ?」
「あぁ!? んなもん関係ねーだろ!?」
ギアッチョの怒りが頂点に達した時、キアラが何か
「そうだ! ジェラート買いに行こう! ねぇ、ギアッチョ……?」
「──あ!? な、なんで、俺なんだよッ!?」
「いいじゃ〜ん。あっ、やっぱりグラニータがいいな! うん、そうしよー!」
グラニータ……簡単に言うならイタリア風カキ氷。シチリア生まれの冷菓だ。
「グラニータならよォ、リゾットに作ってもらえばいいだろうがよォ〜?」
「え〜、だって今すぐ食べたいんだもん! ねぇ、一緒に行こうよ〜?」
自分の服の袖を引っ張りながら、ねだるようなキアラの言い草に、ギアッチョの反応はあからさまだ。
『何で俺に言うんだよ!?』と、言いながらも、内心嬉しく思っているのが、その表情からひしひしと伝わる。そして、頭を掻きながら、少しぶっきら棒に言い放つ。
「仕方ねーなァ……じゃあ、とっとと行くぞ!」
「俺はコーヒー味な」
「あ? なんでプロシュートの分も買って来なきゃあならねーだよッ!?」
「別にいいだろ? そんくらい……キアラと2人で出かけんだからよォ……」
「ぜってぇー嫌だね! テメーで買えよ!」
「じ、じゃあ、プロシュート留守よろしくね? いってきまーす!」
バタバタと出かけて行った2人を、プロシュートが横目で見送る。そして窓外の景色に目を向けながら、小声でポツリと呟く。
「ほんっと、あっちいなァ、おい……」
***
一方、ギアッチョとキアラはと言うと──
「作戦成功! これで2人きり……デートだね!」
「は、はァ!? オメー、何言って──」
「ギアッチョ〜、お店はあっちあっち!」
そう言いながら、キアラがギアッチョの手をとる。急に2人の距離がグッと近づく。
「お、おい!?」
「あっ、やっぱり……ギアッチョの手、ひんやり冷たいや──」
「──そうか?」
「手の冷たい人ってね、心の暖かい人なんだって」
「あ、何だそりゃ? んなもんは元々の体質だろ?」
「体質ねぇ……そうかな〜? 私はあながち間違ってないと思うけどな〜、だってギアッチョ、優しいじゃん?」
そう言って、キアラが微笑みかける。内心、その笑顔にドキリとしながらも、ギアッチョは素知らぬ顔で答える。
「何言ってんだ、オメーはよォ……?」
「だってさ、なんだかんだ言っても、こうして付き合ってくれてるじゃん?」
「……違うし」
「え……?」
「優しいとかじゃあねーよ……俺は、好きだから付き合ってんだ」
「えっ、グラニータが?」
「そうじゃあねーよッ!」
「じゃあ、何……?」
「“お前の事が”だよ、バーカ……分かってるくせによォ、いちいち言わせんじゃあねーよ、クソがッ……」
言った当人は、耳まで真っ赤にして顔を逸らす。それに対し、ニヒルな笑みを浮かべながら、キアラが言い放つ。
「──うん、知ってる。やっぱり優しいね、ギアッチョは──」
「う、うるせーよ! ほら、行くぞ!」
満足げに微笑むキアラを前にして、ギアッチョも自然と頬が緩む。そして、しっかり手と手を繋ぎ合わせながら、2人並んで歩いて行く──
「あ……プロシュートの分は、どうする?」
「買うわけねーだろ? 買っちまったら、このままデートできねーだろうがよ!」
「そうだよね〜、じゃあ、行こうか!」
「あぁ──」
ここでも五月蝿いくらいセミの鳴き声が響きわたり、日差しがジリジリと照りつける──
グラニータだって、すぐに溶けちゃいそうな、こちらも熱い2人なのでした。
the END