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その言葉に私は耳を疑った。
彼はきっと酔っている──私はそう思った。しらふでそんなことを口走るわけがない。そう、彼は酔っているのだと。でも──
***
その日は、アジトでみんなと飲んでいた。今日に限って珍しく、リゾットもその飲み会に参加していた。彼は私の隣で、ずっとウイスキーを飲んでいるようだった。
しばらくして、ふと気付く。さっきからどうにも見られていることに。
私は、視線の感じる方へと目を向ける──それは真横に座っているリゾット。
見つめられることなんて、今までなかったから、なにかしでかしてしまったのかと、少しばかり気にかかる。
「リゾット……どうかした? 私の顔になにかついてる……?」
チラリと視線を向けてみると、今度は思わぬ笑顔を差し向けられる。
「お前は、やっぱり可愛いな……」
言われた私は思わず、動きを止めてしまう。
「え……? リ、リゾット……今なんて──」
目を丸くする私の言葉は、たぶん届いてはいないようで──次に彼は、スルリと頬に手を添える。
「前からずっと思っていた。お前のすべてが愛おしい……だからもっと、その表情を、俺にだけ見せてほしい──」
リゾットが、ゆっくりと距離を縮める。私は反射的に目をつぶってしまった。しかし、次の瞬間に聞こえてきたのは、ドスの利いた低い声。
「……おい、リゾット! こいつ相手に何いってんだよ? オメーは少し飲み過ぎだ!」
パッと目を見開き、声の方へと向き直る──声の主は、プロシュートだ。
「……チッ、黙って見てりゃあよォ……とにかく、今日はもうおひらきだ!」
ペッシを呼びつけ、私と引き剥がすかのようにリゾットを担ぎ上げて、奥の仮眠室へと運んでいった。
一人残された私は、高鳴る心臓に戸惑いを覚える。これはお酒のせいなのか、それとも──
***
翌日──
昨日の余韻もまだ覚め止まぬまま、一足早くアジトへと来てしまった。
リビングを通ると、そこにいたのはもちろんリゾット。私は平然を装って、いつもどおり声をかける。
「お、おはよ……」
新聞を読んでいたリゾットは、私の言葉にチラッと目を向けて“あぁ”とだけ呟く。
私以外、まだアジトには誰も来ていない──昨日のことを聞くなら、今しかないと、そう思った。
私は気持ちを落ち着かせるようにして、深く息を吸い込み、一気に吐き出した。
「あ、あのさ……」
「なんだ?」
「昨日のアレは、なに? いったいどういうこと……?」
「ん……?」
「なにも覚えていないの? 昨日、私に言ったこと──」
「……!」
ようやく思い出したようで、リゾットが大きく目を見開く。しかし、照れているのか……顔がみるみる内に赤く染まっていく。顔を赤らめるリゾットなんて、目にするのは初めてのこと──思わず“可愛い”なんて思ってしまった。
「昨夜のことは……忘れろ」
「忘れろって……ねぇ、リゾット……もしかして、私のこと──」
「いいから忘れろと言っている! さもなくば、その口……強引にでも塞ぐぞ……?」
強い口調と鋭い視線が突き刺さる。でも、私は臆することなく、一歩距離を詰める。
「ねぇ……やってみせてよ? 昨日の続きを──」
「おい、冗談はやめろ」
制止する彼に、私は足を止めて、スッと視線を合わせる。
「冗談なんかじゃあないわ……だって、私は嬉しかったから……だから──」
「……いいのか?」
コクリと頷く私の頬に、リゾットが手を添える。
「俺はお前に、そんな顔をさせたかったわけじゃあない……俺はただ、酔いに任せた自分の行動を恥じただけだ……でも、想いはなんら変わらない──」
瞳を閉じると、自然と唇が重なる──アジトの片隅で静かに響くのは、互いのリップ音だけ。
しばらくして唇を離すと、囁かれるのは愛の言葉──そして再び唇を重ねる。
そんな私が身を委ねているのは、酔いに任せた真実の胸の内だ。
彼はきっと酔っている──私はそう思った。しらふでそんなことを口走るわけがない。そう、彼は酔っているのだと。でも──
***
その日は、アジトでみんなと飲んでいた。今日に限って珍しく、リゾットもその飲み会に参加していた。彼は私の隣で、ずっとウイスキーを飲んでいるようだった。
しばらくして、ふと気付く。さっきからどうにも見られていることに。
私は、視線の感じる方へと目を向ける──それは真横に座っているリゾット。
見つめられることなんて、今までなかったから、なにかしでかしてしまったのかと、少しばかり気にかかる。
「リゾット……どうかした? 私の顔になにかついてる……?」
チラリと視線を向けてみると、今度は思わぬ笑顔を差し向けられる。
「お前は、やっぱり可愛いな……」
言われた私は思わず、動きを止めてしまう。
「え……? リ、リゾット……今なんて──」
目を丸くする私の言葉は、たぶん届いてはいないようで──次に彼は、スルリと頬に手を添える。
「前からずっと思っていた。お前のすべてが愛おしい……だからもっと、その表情を、俺にだけ見せてほしい──」
リゾットが、ゆっくりと距離を縮める。私は反射的に目をつぶってしまった。しかし、次の瞬間に聞こえてきたのは、ドスの利いた低い声。
「……おい、リゾット! こいつ相手に何いってんだよ? オメーは少し飲み過ぎだ!」
パッと目を見開き、声の方へと向き直る──声の主は、プロシュートだ。
「……チッ、黙って見てりゃあよォ……とにかく、今日はもうおひらきだ!」
ペッシを呼びつけ、私と引き剥がすかのようにリゾットを担ぎ上げて、奥の仮眠室へと運んでいった。
一人残された私は、高鳴る心臓に戸惑いを覚える。これはお酒のせいなのか、それとも──
***
翌日──
昨日の余韻もまだ覚め止まぬまま、一足早くアジトへと来てしまった。
リビングを通ると、そこにいたのはもちろんリゾット。私は平然を装って、いつもどおり声をかける。
「お、おはよ……」
新聞を読んでいたリゾットは、私の言葉にチラッと目を向けて“あぁ”とだけ呟く。
私以外、まだアジトには誰も来ていない──昨日のことを聞くなら、今しかないと、そう思った。
私は気持ちを落ち着かせるようにして、深く息を吸い込み、一気に吐き出した。
「あ、あのさ……」
「なんだ?」
「昨日のアレは、なに? いったいどういうこと……?」
「ん……?」
「なにも覚えていないの? 昨日、私に言ったこと──」
「……!」
ようやく思い出したようで、リゾットが大きく目を見開く。しかし、照れているのか……顔がみるみる内に赤く染まっていく。顔を赤らめるリゾットなんて、目にするのは初めてのこと──思わず“可愛い”なんて思ってしまった。
「昨夜のことは……忘れろ」
「忘れろって……ねぇ、リゾット……もしかして、私のこと──」
「いいから忘れろと言っている! さもなくば、その口……強引にでも塞ぐぞ……?」
強い口調と鋭い視線が突き刺さる。でも、私は臆することなく、一歩距離を詰める。
「ねぇ……やってみせてよ? 昨日の続きを──」
「おい、冗談はやめろ」
制止する彼に、私は足を止めて、スッと視線を合わせる。
「冗談なんかじゃあないわ……だって、私は嬉しかったから……だから──」
「……いいのか?」
コクリと頷く私の頬に、リゾットが手を添える。
「俺はお前に、そんな顔をさせたかったわけじゃあない……俺はただ、酔いに任せた自分の行動を恥じただけだ……でも、想いはなんら変わらない──」
瞳を閉じると、自然と唇が重なる──アジトの片隅で静かに響くのは、互いのリップ音だけ。
しばらくして唇を離すと、囁かれるのは愛の言葉──そして再び唇を重ねる。
そんな私が身を委ねているのは、酔いに任せた真実の胸の内だ。
the END