Beast
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とあるホテルの一室。ここは最上階のスイートルーム。大きな窓ガラス越しに外を眺めれば、そこには煌めくネアポリスの夜景が広がっている。女を落とすには最高の場所だといえるであろう。
そんな素敵な雰囲気とは裏腹に──ここは今、地獄絵図と化している。辺りには血生臭い異臭が漂い──大理石の床には、複数の死体が転がっている。そして、目の前には最後の1人がガタガタと震え、腰を抜かした様にへたり込む。
「か、金ならいくらでもやる! 狙いはそれだろう……? だ、だから、頼む……命だけは……た、助けてくれ……!」
最後の悪あがきだろうか──男は
俺の足にすがりながら土下座をしている。その姿を表情1つ変えずに見下す。俺はただ、任務を遂行するだけ──
「命乞いか……無駄な足掻きだな……お前は既に出来上がっている……メタリカ……ッ──」
次の瞬間──ターゲットの首元から刃物が現れる。バッサリと切り落とされた箇所から、とめどなく血が流れ──辺り一面が血の海と化す。
今日の任務はこれで終了──その時、コツコツとヒールが地面を叩く音が響く。誰が来たのか──次の瞬間、背後から話しかけられる。
「今日は派手に殺ったのね〜、この様子だと……返り血でも浴びたんじゃあないの?」
淡々とした口調で話すのは1人の女。俺はゆっくりと声のする方へと振り返る。俺を見た女が、クスッと薄ら笑いを浮かべる。
「ほら……返り血──」
そう言って女が手を伸ばし、頬に触れようとしたのを『やめろ』と言って払い除け、ゴシゴシと自らの手で擦り落とす。
そして、怪訝そうな表情を浮かべながら鋭い視線を差し向ける。それに対し女は、鼻で笑いながら流し目で話を続ける。まるで挑発しているかの様に──
「どうしたの〜? なんだか今日は殺気立ってるみたい──そう、まるで獣のよう……」
そう言って、女は窓際へと歩み寄り、窓外から月を仰ぎ見る。
「あっ、今日は満月──」
月に見惚れるその横顔に、柄にもなく綺麗だと見惚れてしまいそうになる。すると、女がこっちに振り向き、再び口角の端を吊り上げる。
「それにしてもその真っ赤な瞳……いつ見てもゾクゾクするわ……ねぇ、キスしてよ?」
そう言って女が詰め寄る。正気じゃあないな……ふと周りを見れば、さっきまで転がっていた死体が跡形もなく消え去っている。
それはこの女の成せる技──
〈シャン・ペイン 〉物質を原子レベルまで細かくし、無害のものに変えてしまう能力。実はこの女、パッショーネの死体処理班、言わずと知れたスタンド使いだ。
能力自体がどことなくメローネに近いものを感じるからか──彼女自体も異質な雰囲気を醸し出す。たった今、人が殺された……いや、俺が殺したと言う状況の中、キスをせがむなんて……全くいかれてやがる。
そう思った次の瞬間──バンッ、と壁に手を突き、再びスッと女を見据える。
「今はそんな気分じゃあない……」
「嘘……だって、貴方から匂いがするもの……そう、獣匂いが──今すぐにでも私を貪りたいって……そう顔に描いてある──」
そう言って、女はまた笑みを浮かべ、潤った唇が誘うように動く。“私を食べて”と、そう言っているかの様に艶を増して見える。
あぁ、そうか……と、妙に納得してしまう。この女の持つ魔力に魅了されているのは、俺の方。つまりは──
そして俺は、女が求める様に荒々しく口付けながら、ベッドへと押し倒す。
「やっぱり本能に正直ね……リゾット……私、貴方のそういうところ好きよ──」
今宵は満月……
そんな月を目の当たりにして野獣と化したのは、果たしてどちらと言えるのだろうか。
そんな素敵な雰囲気とは裏腹に──ここは今、地獄絵図と化している。辺りには血生臭い異臭が漂い──大理石の床には、複数の死体が転がっている。そして、目の前には最後の1人がガタガタと震え、腰を抜かした様にへたり込む。
「か、金ならいくらでもやる! 狙いはそれだろう……? だ、だから、頼む……命だけは……た、助けてくれ……!」
最後の悪あがきだろうか──男は
俺の足にすがりながら土下座をしている。その姿を表情1つ変えずに見下す。俺はただ、任務を遂行するだけ──
「命乞いか……無駄な足掻きだな……お前は既に出来上がっている……メタリカ……ッ──」
次の瞬間──ターゲットの首元から刃物が現れる。バッサリと切り落とされた箇所から、とめどなく血が流れ──辺り一面が血の海と化す。
今日の任務はこれで終了──その時、コツコツとヒールが地面を叩く音が響く。誰が来たのか──次の瞬間、背後から話しかけられる。
「今日は派手に殺ったのね〜、この様子だと……返り血でも浴びたんじゃあないの?」
淡々とした口調で話すのは1人の女。俺はゆっくりと声のする方へと振り返る。俺を見た女が、クスッと薄ら笑いを浮かべる。
「ほら……返り血──」
そう言って女が手を伸ばし、頬に触れようとしたのを『やめろ』と言って払い除け、ゴシゴシと自らの手で擦り落とす。
そして、怪訝そうな表情を浮かべながら鋭い視線を差し向ける。それに対し女は、鼻で笑いながら流し目で話を続ける。まるで挑発しているかの様に──
「どうしたの〜? なんだか今日は殺気立ってるみたい──そう、まるで獣のよう……」
そう言って、女は窓際へと歩み寄り、窓外から月を仰ぎ見る。
「あっ、今日は満月──」
月に見惚れるその横顔に、柄にもなく綺麗だと見惚れてしまいそうになる。すると、女がこっちに振り向き、再び口角の端を吊り上げる。
「それにしてもその真っ赤な瞳……いつ見てもゾクゾクするわ……ねぇ、キスしてよ?」
そう言って女が詰め寄る。正気じゃあないな……ふと周りを見れば、さっきまで転がっていた死体が跡形もなく消え去っている。
それはこの女の成せる技──
〈シャン・ペイン 〉物質を原子レベルまで細かくし、無害のものに変えてしまう能力。実はこの女、パッショーネの死体処理班、言わずと知れたスタンド使いだ。
能力自体がどことなくメローネに近いものを感じるからか──彼女自体も異質な雰囲気を醸し出す。たった今、人が殺された……いや、俺が殺したと言う状況の中、キスをせがむなんて……全くいかれてやがる。
そう思った次の瞬間──バンッ、と壁に手を突き、再びスッと女を見据える。
「今はそんな気分じゃあない……」
「嘘……だって、貴方から匂いがするもの……そう、獣匂いが──今すぐにでも私を貪りたいって……そう顔に描いてある──」
そう言って、女はまた笑みを浮かべ、潤った唇が誘うように動く。“私を食べて”と、そう言っているかの様に艶を増して見える。
あぁ、そうか……と、妙に納得してしまう。この女の持つ魔力に魅了されているのは、俺の方。つまりは──
そして俺は、女が求める様に荒々しく口付けながら、ベッドへと押し倒す。
「やっぱり本能に正直ね……リゾット……私、貴方のそういうところ好きよ──」
今宵は満月……
そんな月を目の当たりにして野獣と化したのは、果たしてどちらと言えるのだろうか。
the END