MAKE ME DEAD!
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今日はハロウィン──だが、俺たちにとって、そんなもんはあってないようなもの。例年なら、ただ与えられた任務をこなすだけ……ただそれだけの日常だったのに──
今年からは何がどうなってしまったのか……いや、明らかにボスが アイツ に鞍替えされてから、この組織も変わりつつある。だが、 些 か変わりすぎなのではないかと、時に不安にもなるが──
***
夜になり、揃いも揃ってゾロゾロと、仮装した面々がアジトに戻る。
「ったくよォ、ギャングが慈善事業だとか……まったく新しいボスは何考えてんだかなァ」
「ハンッ、そう言いながらもよォ、随分と楽しそうにしてたように見えたがな」
「そう言うオメーもなァ」
ミイラ男とバンパイアの仮装をしたホルマジオとプロシュートが、話しながらソファーにドカリと腰掛けた。「それにしても──」タバコに火をつけて、紫煙を吐き出したプロシュートが、チラリと垣間見るのは、オオカミ男の仮装をしたリゾットだ。
「オメーのその仮装も、なかなか 様 になってるぜ」
「……そうか?」
ポツリと呟くと、同じくソファーへと腰を下ろす。
「なぁなぁ、せっかく仮装してんだしよォ、このままどっか行くか? どうせ街には浮かれた連中が 蔓延 ってんだろ? それに便乗してよォ、いい女にいたずらでもしに行こうぜ?」
「そうだなァ……」
嘲笑 を浮かべたホルマジオの誘いに、プロシュートは、口元からタバコを離して、あしらうように紫煙を吐きだした。
「いたずらもいいがよォ、いい女は、甘いドルチェとしていただいちまうのもいいからなァ……今夜、俺はそうするぜ」
そう言うと、おもむろに立ち上がり、仮装を解いていく。
「あ? オメーどっか行く宛てでもあんのかよ?」
「まぁな……おい、リゾット! オメーもそうしてみたらどうだ……?」
そう言って、ニヒルに笑みを向けながら、プロシュートはアジトを後にする。言われたリゾットは、顔色一つ変えずとも、ただ、舌打ちを一つこぼした。
その意味深なやりとりに、すかさずホルマジオが問いかける。
「おいおい、オメーら、なんだよ……俺の知らねーうちに女作ってたのかよ?」
「別に……そんな相手はいない」
「本当かァ? まぁ、なんでもいいけどよォ……リゾット、オメーも今日はその相手に、いたずらしてみるのもいいかもなァ……ほら、今宵は満月だ……オメーは今日、オオカミ男、なんだろ……?」
「まぁ、頑張れよ」と、ホルマジオに肩を二回ほど軽く叩かれて、リゾットは内心考えていた。プロシュートには、なぜだかバレているようだが……実は気になっている女がいる。これは、もしかしたら恋なのかもしれないと、淡い想いを抱いている相手だ。ちょうど今日も、会う約束をしているが……ハロウィンにかこつけて、そんなマネをするのは、些か体裁が悪い気もするが──などと、顎に手を添えながら、しばらく思いを馳せた後、リゾットはスーッと姿を消した。
しばらくしてやったきた彼女の家の前で、少しだけ呼吸を落ち着かせるように息を落とす。そして、やってきたことを知らせれば、入口扉が開いて、彼女が姿を現した。仮装をしたままでやってきたもんだから、彼女が一瞬目を見開いた後、「似合ってる」と、にこやかに笑顔を向けられる。
「遅くなってしまったか?」と聞くと、「そんなことはない」と言って、中へといざなわれるから、入ると同時に、おもむろに引き寄せてみた。
「Dolcetti o scherzetti……?」
ちょっとだけ驚いているようすの彼女に問いかけると、「そうくるかなと思って」と言って、ポケットからキャンディを一つ取り出して、「気が利いてるでしょう?」なんて、おどけてみせるから、ちょっと視線に力を込めてみた。
「聞いてはみたが……あいにくだが、その選択肢はない」
いつになく低めの声色だからか──彼女がピクリと肩を震わせる。俺に怯えているのかと少し思うだけ、悪い虫が疼き出した。
「おまえ……俺の事を紳士的だとか、何か勘違いしているようだが……俺はおまえが思い描いているような、そんな男ではないぞ? いつでも、おまえの事を手篭めにしたいと思っている……それに今宵は満月だ……とんだオオカミを部屋に招きいれちまったみたいだな……」
そう言いながら、ジリジリと彼女を壁際へと追い詰めていく。静かな室内──彼女の白い首筋に噛み付くのを想像して、喉がごくりと鳴る思いがした。しかし、いきなりこんなことをしてしまったなと、急に我に返り、距離をとって「冗談だ」と告げようとすると、彼女の方から距離を詰めてきた。
「お、おい……」
「私は構わない……むしろ、あなたからのいたずらを、少しばかり期待してしまっているだなんて──そんなのおかしいでしょう?」
顔を赤らめて視線を逸らす彼女に、もう抑えが効かなくなっていた。
「それなら今宵はおまえの上で、思う存分暴れるとするかな……」
ニヒルな笑みを浮かべて、互いに初めて唇を合わせる。しかし、ニヒルな笑みを浮かべていたのは、果たしてどちら、だったのだろうか──
Dolcetti o scherzetti……
それは彼女のいたずらだったのかもしれない。
今年からは何がどうなってしまったのか……いや、明らかにボスが
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夜になり、揃いも揃ってゾロゾロと、仮装した面々がアジトに戻る。
「ったくよォ、ギャングが慈善事業だとか……まったく新しいボスは何考えてんだかなァ」
「ハンッ、そう言いながらもよォ、随分と楽しそうにしてたように見えたがな」
「そう言うオメーもなァ」
ミイラ男とバンパイアの仮装をしたホルマジオとプロシュートが、話しながらソファーにドカリと腰掛けた。「それにしても──」タバコに火をつけて、紫煙を吐き出したプロシュートが、チラリと垣間見るのは、オオカミ男の仮装をしたリゾットだ。
「オメーのその仮装も、なかなか
「……そうか?」
ポツリと呟くと、同じくソファーへと腰を下ろす。
「なぁなぁ、せっかく仮装してんだしよォ、このままどっか行くか? どうせ街には浮かれた連中が
「そうだなァ……」
「いたずらもいいがよォ、いい女は、甘いドルチェとしていただいちまうのもいいからなァ……今夜、俺はそうするぜ」
そう言うと、おもむろに立ち上がり、仮装を解いていく。
「あ? オメーどっか行く宛てでもあんのかよ?」
「まぁな……おい、リゾット! オメーもそうしてみたらどうだ……?」
そう言って、ニヒルに笑みを向けながら、プロシュートはアジトを後にする。言われたリゾットは、顔色一つ変えずとも、ただ、舌打ちを一つこぼした。
その意味深なやりとりに、すかさずホルマジオが問いかける。
「おいおい、オメーら、なんだよ……俺の知らねーうちに女作ってたのかよ?」
「別に……そんな相手はいない」
「本当かァ? まぁ、なんでもいいけどよォ……リゾット、オメーも今日はその相手に、いたずらしてみるのもいいかもなァ……ほら、今宵は満月だ……オメーは今日、オオカミ男、なんだろ……?」
「まぁ、頑張れよ」と、ホルマジオに肩を二回ほど軽く叩かれて、リゾットは内心考えていた。プロシュートには、なぜだかバレているようだが……実は気になっている女がいる。これは、もしかしたら恋なのかもしれないと、淡い想いを抱いている相手だ。ちょうど今日も、会う約束をしているが……ハロウィンにかこつけて、そんなマネをするのは、些か体裁が悪い気もするが──などと、顎に手を添えながら、しばらく思いを馳せた後、リゾットはスーッと姿を消した。
しばらくしてやったきた彼女の家の前で、少しだけ呼吸を落ち着かせるように息を落とす。そして、やってきたことを知らせれば、入口扉が開いて、彼女が姿を現した。仮装をしたままでやってきたもんだから、彼女が一瞬目を見開いた後、「似合ってる」と、にこやかに笑顔を向けられる。
「遅くなってしまったか?」と聞くと、「そんなことはない」と言って、中へといざなわれるから、入ると同時に、おもむろに引き寄せてみた。
「Dolcetti o scherzetti……?」
ちょっとだけ驚いているようすの彼女に問いかけると、「そうくるかなと思って」と言って、ポケットからキャンディを一つ取り出して、「気が利いてるでしょう?」なんて、おどけてみせるから、ちょっと視線に力を込めてみた。
「聞いてはみたが……あいにくだが、その選択肢はない」
いつになく低めの声色だからか──彼女がピクリと肩を震わせる。俺に怯えているのかと少し思うだけ、悪い虫が疼き出した。
「おまえ……俺の事を紳士的だとか、何か勘違いしているようだが……俺はおまえが思い描いているような、そんな男ではないぞ? いつでも、おまえの事を手篭めにしたいと思っている……それに今宵は満月だ……とんだオオカミを部屋に招きいれちまったみたいだな……」
そう言いながら、ジリジリと彼女を壁際へと追い詰めていく。静かな室内──彼女の白い首筋に噛み付くのを想像して、喉がごくりと鳴る思いがした。しかし、いきなりこんなことをしてしまったなと、急に我に返り、距離をとって「冗談だ」と告げようとすると、彼女の方から距離を詰めてきた。
「お、おい……」
「私は構わない……むしろ、あなたからのいたずらを、少しばかり期待してしまっているだなんて──そんなのおかしいでしょう?」
顔を赤らめて視線を逸らす彼女に、もう抑えが効かなくなっていた。
「それなら今宵はおまえの上で、思う存分暴れるとするかな……」
ニヒルな笑みを浮かべて、互いに初めて唇を合わせる。しかし、ニヒルな笑みを浮かべていたのは、果たしてどちら、だったのだろうか──
Dolcetti o scherzetti……
それは彼女のいたずらだったのかもしれない。
the END