Free Throw
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リゾット・ネエロ──彼は、言わずと知れた暗殺者チームのリーダーだ。
彼のチームは、良く言えば個性的……悪く言えば癖のある奴らばかりが揃っている。
そんな彼らをまとめ上げる事の大変さは、数々の目に余る行動から、容易に判断できるであろう。
***
今日も俺は、アジトで1人、事務処理に追われていた。
もう何日目だろうか……曜日感覚さえなくなってしまうくらいに徹夜での仕事が続いている。流石に限界を迎えつつあるからか、思わず目頭を押さえながら眉間にシワをよせてしまう。
その時、目の前に気配を感じ、不意に面を上げると、そこにいたのは1人の女──
俺に近付き、様子を伺うように話しかけてきた。
「リゾット、大丈夫? かなりお疲れみたいだけど……少し休憩したら?」
低めの声色から、心配してくれているのであろう事が分かる。
『コーヒーでも入れようか?』と尋ねられ、いつもなら“大丈夫だ”と答えるところだが、今日は思わぬ本音がこぼれ落ちる。
「あぁ、たまには貰おう……いや、やっぱり少し横になりたい……悪いが膝を貸してくれないか?」
「えっ──」
彼女が一瞬目を丸くする。それもそのはず……自分でも驚くほどに素直な言葉──
それは、普段胸の内に仕舞い込んでいる本心。
つい口に出してしまったのは、きっと疲れていたからだと自分に言い聞かせる。
そして次の瞬間、彼女が俺に柔らかな微笑みを向けつつ頷く。
「えぇ……もちろん、いいわよ」
彼女の返事に一番驚いたのは俺自身だった。
それはまさかの展開──
「……いいのか?」
「もう……いいって言ってるでしょう? リゾット……早く、こっちに来て──」
そう言いながら、彼女はソファーに座り、自分の膝上をポンポンと叩く。
それに応えるかのように、俺はゆっくりと立ち上がり、ソファーへと向かう。そして彼女の膝に頭を置き、膝を曲げてソファーに寝転ぶ。足を堂々と伸ばしたいところだが、こうしなければソファーからはみ出してしまうのだ。
思わずハァ……とため息が溢れる。
「お前の足は柔らかくて落ち着くな……」
そう言って、俺はゆっくりと瞳を閉じる。
***
今、私の膝枕で暫しの休息をとっているのは、暗殺者チームのリーダーだ。
長身のリゾットを見下ろすなんて、滅多にない光景。しかも目を瞑りながら、無防備にゆっくりとした呼吸を繰り返す。
そんな彼を横目に私はふと思う──
普段の家業を思えば、心安らぐことなんて絶対にありはしないだろう……それは決してリゾットだけに限った事ではなく、彼ら暗殺者チーム全員に当てはまる事。いつ命が失われてしまってもおかしくない──それが彼らの日常だ。
でも……今が彼にとって、ほんの一瞬だけでも心安らげるひと時であってほしい──と私は刹那に願う。
そして思わずリゾットの頭に手が伸びる。それはまるで子供を寝かしつけるかのように、ゆっくりと優しく、愛しさで溢れるように、私は彼の頭を撫でる。
こんな子供じみた扱いをして、彼は機嫌を損ねたりしないだろうか……と少しだけ頭よぎったが、一瞬穏やかな表情を浮かべたのを横目に、その手をやめることはしなかった。
しばらくして、リゾットがゆっくり目を覚ます。
「どう? 少しは休めた?」
そう声をかけ、にこりと微笑みを向ける。
「キアラ──」
不意に名前を呼ばれたかと思うと、リゾットが急に私を引き寄せ──それと同時に口付けられる。
「────!?」
「お前がいてくれて良かった……お前がいてくれなかったら、俺は──」
「分かってるよ……だから、今はゆっくり休んで──」
そう語りかけると、リゾットは再び瞳を閉じる。
こんな風に私がリゾットに触れる事は、ごく自然な行為──
彼もまた、私から安らぎを得る事に、徐々に心が慣れていった……そう呼ぶにふさわしいひと時──
そんな束の間の休息──
彼のチームは、良く言えば個性的……悪く言えば癖のある奴らばかりが揃っている。
そんな彼らをまとめ上げる事の大変さは、数々の目に余る行動から、容易に判断できるであろう。
***
今日も俺は、アジトで1人、事務処理に追われていた。
もう何日目だろうか……曜日感覚さえなくなってしまうくらいに徹夜での仕事が続いている。流石に限界を迎えつつあるからか、思わず目頭を押さえながら眉間にシワをよせてしまう。
その時、目の前に気配を感じ、不意に面を上げると、そこにいたのは1人の女──
俺に近付き、様子を伺うように話しかけてきた。
「リゾット、大丈夫? かなりお疲れみたいだけど……少し休憩したら?」
低めの声色から、心配してくれているのであろう事が分かる。
『コーヒーでも入れようか?』と尋ねられ、いつもなら“大丈夫だ”と答えるところだが、今日は思わぬ本音がこぼれ落ちる。
「あぁ、たまには貰おう……いや、やっぱり少し横になりたい……悪いが膝を貸してくれないか?」
「えっ──」
彼女が一瞬目を丸くする。それもそのはず……自分でも驚くほどに素直な言葉──
それは、普段胸の内に仕舞い込んでいる本心。
つい口に出してしまったのは、きっと疲れていたからだと自分に言い聞かせる。
そして次の瞬間、彼女が俺に柔らかな微笑みを向けつつ頷く。
「えぇ……もちろん、いいわよ」
彼女の返事に一番驚いたのは俺自身だった。
それはまさかの展開──
「……いいのか?」
「もう……いいって言ってるでしょう? リゾット……早く、こっちに来て──」
そう言いながら、彼女はソファーに座り、自分の膝上をポンポンと叩く。
それに応えるかのように、俺はゆっくりと立ち上がり、ソファーへと向かう。そして彼女の膝に頭を置き、膝を曲げてソファーに寝転ぶ。足を堂々と伸ばしたいところだが、こうしなければソファーからはみ出してしまうのだ。
思わずハァ……とため息が溢れる。
「お前の足は柔らかくて落ち着くな……」
そう言って、俺はゆっくりと瞳を閉じる。
***
今、私の膝枕で暫しの休息をとっているのは、暗殺者チームのリーダーだ。
長身のリゾットを見下ろすなんて、滅多にない光景。しかも目を瞑りながら、無防備にゆっくりとした呼吸を繰り返す。
そんな彼を横目に私はふと思う──
普段の家業を思えば、心安らぐことなんて絶対にありはしないだろう……それは決してリゾットだけに限った事ではなく、彼ら暗殺者チーム全員に当てはまる事。いつ命が失われてしまってもおかしくない──それが彼らの日常だ。
でも……今が彼にとって、ほんの一瞬だけでも心安らげるひと時であってほしい──と私は刹那に願う。
そして思わずリゾットの頭に手が伸びる。それはまるで子供を寝かしつけるかのように、ゆっくりと優しく、愛しさで溢れるように、私は彼の頭を撫でる。
こんな子供じみた扱いをして、彼は機嫌を損ねたりしないだろうか……と少しだけ頭よぎったが、一瞬穏やかな表情を浮かべたのを横目に、その手をやめることはしなかった。
しばらくして、リゾットがゆっくり目を覚ます。
「どう? 少しは休めた?」
そう声をかけ、にこりと微笑みを向ける。
「キアラ──」
不意に名前を呼ばれたかと思うと、リゾットが急に私を引き寄せ──それと同時に口付けられる。
「────!?」
「お前がいてくれて良かった……お前がいてくれなかったら、俺は──」
「分かってるよ……だから、今はゆっくり休んで──」
そう語りかけると、リゾットは再び瞳を閉じる。
こんな風に私がリゾットに触れる事は、ごく自然な行為──
彼もまた、私から安らぎを得る事に、徐々に心が慣れていった……そう呼ぶにふさわしいひと時──
そんな束の間の休息──
the END