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アイツは誰に対しても、いつもにこやかで愛想がいい──だから、誰の懐にでもするりと入り込んで、皆を虜にしてしまう──
あの行動は計算なのか……? まぁ、ウブなペッシが惚れてしまうのはわからんでもないが……女からは引く手あまたな伊達男のプロシュート、天性の遊び人気質なホルマジオに傲慢でプライドの高いイルーゾォ、根っからの変わり者なメローネや狂犬と言わんばかりのギアッチョでさえ、いともたやすく手懐けてしまうのだから、よほどの小悪魔か……はたまた天性のタラシなのかもしれない。
……いや、言い方が悪かったな……アイツはただ、天真爛漫に振る舞っているだけ。どこか隙のある振る舞いに、どの男も皆、虜になってしまうのだ。
だが、俺はそうは思わない……アイツにだって、きっと裏の顔があるはずだ。
***
「飲み会……?」
「そうそう、たまにはよォ、外に飲みに出かけるのもいいんじゃあねーかと思ってよォ」
任務から戻ってきたアイツに、意気揚々と誘いをもちかけているのは、ホルマジオだ。アイツは、若干様子を伺うようにして、首を傾げながらホルマジオを見上げる。
「おいおい、みんなで飲みに行こうとかよォ、俺たちは仲良しクラブじゃあねーんだぜ?」
呆れた物言いをしながら現れたプロシュートは、気だるそうにしながら、大股開きでソファーに腰を下ろす。もちろん少し後ろからついてきたのはペッシだ。
「そう硬いこというなよなァ。どうせオメーも今日はこの後予定ねーんだろ? だったらいいじゃあねーかよ? で、オメーはどうするよ?」
ホルマジオが、再びアイツに問いかける。
「ん〜……、そうだね! 最近飲むとしたらアジトばっかりだし……たまには外に出るのもいいかもね!」
「じゃあ、決まりだな! 早速メローネとギアッチョにも連絡しとくぜ! イルーゾォは……まぁ、聞こえてんだろ」
「なんだ、アイツらも呼ぶのかよ……」
メローネに連絡を入れるホルマジオを横目に、プロシュートは、胸ポケットから煙草を取り出し火をつけると、天井に向かって一気に紫煙を吐き出した。
「場所は、どこにすんだ?」
「そうだなァ……あ、俺の行きつけのバールにしようぜ!」
「ホルマジオの行きつけって、前に一度連れてってくれたところ?」
「お〜、そうそう、その店だ」
「あのお店──ジャズとか流れててさ、店内のインテリアもオーナーのがこだわりがあって、素敵なお店だったよね」
「そうなんだよなァ、俺もあの店は、雰囲気が好きでよォ──」
二人が互いに微笑み合って談笑する姿に、プロシュートが怪訝そうに眉を潜め、舌打ちを一つこぼす。
「おいおい、オメーらよォ、いつの間に二人でしけ込んでやがったんだ……?」
「二人……? 違うよ〜、あの日はオフだったイルーゾォも一緒に、三人で行ったんだよ!」
「マジかよ? 出不精のアイツがねェ……」
「そういえば、兄貴だって、この前二人きりでデートしたって言ってたじゃあないですか! どうだったんですかィ?」
ペッシの唐突な質問に、プロシュートが一瞬目を見開く。その一方で、今度は彼女が首を傾げながら、眉を潜めている。
「デート……? あ! もしかして、この前の任務の下見のこと? 確かにちょっと小腹が空いたから、カフェには立ち寄ったけど──その後、メローネとすぐ合流したし……」
ホルマジオから冷たい視線が向けられるその前に、プロシュートはスッとソファーから立ち上がり、向かったのはもちろんペッシの目の前。そして、いつものごとく詰め寄る。
「ペッシ、ペッシ、ペッシよォ〜……余計なことを口走ってんじゃあねーよ! 俺がいつ、そんなこと言った!? えぇ!?」
「い、言ってません……兄貴は何も言ってませんですぜィ……」
「なんだァ? 百戦錬磨のプロシュートでさえも玉砕かァ?」
アヒャヒャハハハ──ッと、ホルマジオの高笑いがこだまする。そんな茶番を気にする様子もなく、アイツが次に視線を向けたのは俺だ。
「ところでさ……今日はリーダーも来るの?」
突然質問をふられた俺は、思いがけず言葉に詰まってしまった。
「──わかっていると思うが……俺は行かない。仕事も残っているしな……」
「えぇ〜、また〜? たまにはいいじゃん! 行こうよ〜」
そういうアイツが、俺の上着の裾を引っ張る。しかし俺は、腕に触れたアイツの手を反射的に振りはらってしまった。
「俺に構うな!……いや、悪い……少し疲れている。しばらく向こうで休んでくる──」
「……そっか。ゆっくり休んでね……」
立ち去る俺の背後から聞こえたアイツの低い声音に、少しだけ胸の奥がチクリと痛んだ。
「相当疲れてんだろ? まぁ、いつものことだ。んなもん、いちいち気にすんな」
「う、うん……」
そういったアイツが、ずっと俺の背中に視線を向けていたことには、到底気づくよしもなかった。
しばらくすると、バタバタと皆がアジトから出ていったのがわかった。俺は部屋に入るなり、ベッドに横になる。それから頭巾をとり去り、それで顔を覆った。ベッドがギシッと音を立て深く沈み込む。まるで今の心境と重なるように──
アイツに向けたあの態度──本当にただの醜い嫉妬。自分の思い通りに事が運ばず、拗ねている子供のようだったなと、思わず頭を抱える。
こんなことをしていては、また距離をとられてしまうだけなのに──
身体を横に寝返りを打つと、ずれ落ちた頭巾の隙間から、打ちっぱなしの壁をただ見つめる。今頃アイツは──そう思った時だった。
トントントン──と、三回ドアをノックする音が聴こえる。誰か戻ってきたのか……? まぁ、ペッシあたりが戻ってきたのだろうと、即座には返答しなかった。すると、“リーダー、入るよ──”と、呼びかけられ、ドアがガチャリと開く。そこに現れたのはアイツだ。俺は即座に状態を起こして、アイツに向き直った。
「お前……どうしてここにいる……? 飲み会はどうした?」
「どうしたって……断った」
「断る……? なぜだ?」
「なぜって……だって、今ならリーダーを……あなたを独り占めできるって思ったから──」
アイツが真っ直ぐ俺を見据える。でも俺は、アイツの言ってる言葉の意味が、理解できなかった。そんな俺をよそに、アイツはベッドのふちに腰掛けて、淡々と話を続ける。
「いつだってそう──どこにいてもみんなが口にするのはあなたのことばかり。みんながあなたを慕っている。そんなあなたは、私のことも気にかけてはくれるけど──それは単なる仲間としてだけ。私はいつだってあなたに触れたいと、そう思っているのに……さっきみたいにすぐに突き放すでしょう?」
そういって、アイツはさっき俺が払い除けた手を見つめた。でも、すぐさま視線を正面に向けると、再び話し始める。
「でも、今はあなたと二人きり──ようやく独り占めできる」
「お前、やっぱり──」
「驚いた? これが私の本性であって、本心……」
徐々にアイツが俺との距離を縮める。やっぱりそうかと、思う反面──それを俺だけに見せていると思うと、他にはない優越感に浸る自分がいた。
「羨ましい……その目に映し出すのが、今後私だけだったらいいのに──」
そういって重ねた唇は、次第に深く交わっていく。そして、馬乗りになったアイツが、俺を見下ろしながらいつもとは違う、艶っぽい表情を浮かべる。
「ねぇ……私だけのものになって……」
言われた俺は、顔色一つ変えずに視線だけ外す。しばらくの沈黙の後、アイツを一旦抱き寄せて、素早くマウントを取り返し、組み敷いた首筋に噛みつく。
「ンッ…──」
「自分の物になれとは……随分と大層な物言いだな……だが、そうはいかない……まずはお前が誰の物なのか……ハッキリさせてやる──」
嫉妬から始まる行為に、俺の物だと言わんばかりの赤が、アイツの身体に深く刻まれていくことだろう。
あの行動は計算なのか……? まぁ、ウブなペッシが惚れてしまうのはわからんでもないが……女からは引く手あまたな伊達男のプロシュート、天性の遊び人気質なホルマジオに傲慢でプライドの高いイルーゾォ、根っからの変わり者なメローネや狂犬と言わんばかりのギアッチョでさえ、いともたやすく手懐けてしまうのだから、よほどの小悪魔か……はたまた天性のタラシなのかもしれない。
……いや、言い方が悪かったな……アイツはただ、天真爛漫に振る舞っているだけ。どこか隙のある振る舞いに、どの男も皆、虜になってしまうのだ。
だが、俺はそうは思わない……アイツにだって、きっと裏の顔があるはずだ。
***
「飲み会……?」
「そうそう、たまにはよォ、外に飲みに出かけるのもいいんじゃあねーかと思ってよォ」
任務から戻ってきたアイツに、意気揚々と誘いをもちかけているのは、ホルマジオだ。アイツは、若干様子を伺うようにして、首を傾げながらホルマジオを見上げる。
「おいおい、みんなで飲みに行こうとかよォ、俺たちは仲良しクラブじゃあねーんだぜ?」
呆れた物言いをしながら現れたプロシュートは、気だるそうにしながら、大股開きでソファーに腰を下ろす。もちろん少し後ろからついてきたのはペッシだ。
「そう硬いこというなよなァ。どうせオメーも今日はこの後予定ねーんだろ? だったらいいじゃあねーかよ? で、オメーはどうするよ?」
ホルマジオが、再びアイツに問いかける。
「ん〜……、そうだね! 最近飲むとしたらアジトばっかりだし……たまには外に出るのもいいかもね!」
「じゃあ、決まりだな! 早速メローネとギアッチョにも連絡しとくぜ! イルーゾォは……まぁ、聞こえてんだろ」
「なんだ、アイツらも呼ぶのかよ……」
メローネに連絡を入れるホルマジオを横目に、プロシュートは、胸ポケットから煙草を取り出し火をつけると、天井に向かって一気に紫煙を吐き出した。
「場所は、どこにすんだ?」
「そうだなァ……あ、俺の行きつけのバールにしようぜ!」
「ホルマジオの行きつけって、前に一度連れてってくれたところ?」
「お〜、そうそう、その店だ」
「あのお店──ジャズとか流れててさ、店内のインテリアもオーナーのがこだわりがあって、素敵なお店だったよね」
「そうなんだよなァ、俺もあの店は、雰囲気が好きでよォ──」
二人が互いに微笑み合って談笑する姿に、プロシュートが怪訝そうに眉を潜め、舌打ちを一つこぼす。
「おいおい、オメーらよォ、いつの間に二人でしけ込んでやがったんだ……?」
「二人……? 違うよ〜、あの日はオフだったイルーゾォも一緒に、三人で行ったんだよ!」
「マジかよ? 出不精のアイツがねェ……」
「そういえば、兄貴だって、この前二人きりでデートしたって言ってたじゃあないですか! どうだったんですかィ?」
ペッシの唐突な質問に、プロシュートが一瞬目を見開く。その一方で、今度は彼女が首を傾げながら、眉を潜めている。
「デート……? あ! もしかして、この前の任務の下見のこと? 確かにちょっと小腹が空いたから、カフェには立ち寄ったけど──その後、メローネとすぐ合流したし……」
ホルマジオから冷たい視線が向けられるその前に、プロシュートはスッとソファーから立ち上がり、向かったのはもちろんペッシの目の前。そして、いつものごとく詰め寄る。
「ペッシ、ペッシ、ペッシよォ〜……余計なことを口走ってんじゃあねーよ! 俺がいつ、そんなこと言った!? えぇ!?」
「い、言ってません……兄貴は何も言ってませんですぜィ……」
「なんだァ? 百戦錬磨のプロシュートでさえも玉砕かァ?」
アヒャヒャハハハ──ッと、ホルマジオの高笑いがこだまする。そんな茶番を気にする様子もなく、アイツが次に視線を向けたのは俺だ。
「ところでさ……今日はリーダーも来るの?」
突然質問をふられた俺は、思いがけず言葉に詰まってしまった。
「──わかっていると思うが……俺は行かない。仕事も残っているしな……」
「えぇ〜、また〜? たまにはいいじゃん! 行こうよ〜」
そういうアイツが、俺の上着の裾を引っ張る。しかし俺は、腕に触れたアイツの手を反射的に振りはらってしまった。
「俺に構うな!……いや、悪い……少し疲れている。しばらく向こうで休んでくる──」
「……そっか。ゆっくり休んでね……」
立ち去る俺の背後から聞こえたアイツの低い声音に、少しだけ胸の奥がチクリと痛んだ。
「相当疲れてんだろ? まぁ、いつものことだ。んなもん、いちいち気にすんな」
「う、うん……」
そういったアイツが、ずっと俺の背中に視線を向けていたことには、到底気づくよしもなかった。
しばらくすると、バタバタと皆がアジトから出ていったのがわかった。俺は部屋に入るなり、ベッドに横になる。それから頭巾をとり去り、それで顔を覆った。ベッドがギシッと音を立て深く沈み込む。まるで今の心境と重なるように──
アイツに向けたあの態度──本当にただの醜い嫉妬。自分の思い通りに事が運ばず、拗ねている子供のようだったなと、思わず頭を抱える。
こんなことをしていては、また距離をとられてしまうだけなのに──
身体を横に寝返りを打つと、ずれ落ちた頭巾の隙間から、打ちっぱなしの壁をただ見つめる。今頃アイツは──そう思った時だった。
トントントン──と、三回ドアをノックする音が聴こえる。誰か戻ってきたのか……? まぁ、ペッシあたりが戻ってきたのだろうと、即座には返答しなかった。すると、“リーダー、入るよ──”と、呼びかけられ、ドアがガチャリと開く。そこに現れたのはアイツだ。俺は即座に状態を起こして、アイツに向き直った。
「お前……どうしてここにいる……? 飲み会はどうした?」
「どうしたって……断った」
「断る……? なぜだ?」
「なぜって……だって、今ならリーダーを……あなたを独り占めできるって思ったから──」
アイツが真っ直ぐ俺を見据える。でも俺は、アイツの言ってる言葉の意味が、理解できなかった。そんな俺をよそに、アイツはベッドのふちに腰掛けて、淡々と話を続ける。
「いつだってそう──どこにいてもみんなが口にするのはあなたのことばかり。みんながあなたを慕っている。そんなあなたは、私のことも気にかけてはくれるけど──それは単なる仲間としてだけ。私はいつだってあなたに触れたいと、そう思っているのに……さっきみたいにすぐに突き放すでしょう?」
そういって、アイツはさっき俺が払い除けた手を見つめた。でも、すぐさま視線を正面に向けると、再び話し始める。
「でも、今はあなたと二人きり──ようやく独り占めできる」
「お前、やっぱり──」
「驚いた? これが私の本性であって、本心……」
徐々にアイツが俺との距離を縮める。やっぱりそうかと、思う反面──それを俺だけに見せていると思うと、他にはない優越感に浸る自分がいた。
「羨ましい……その目に映し出すのが、今後私だけだったらいいのに──」
そういって重ねた唇は、次第に深く交わっていく。そして、馬乗りになったアイツが、俺を見下ろしながらいつもとは違う、艶っぽい表情を浮かべる。
「ねぇ……私だけのものになって……」
言われた俺は、顔色一つ変えずに視線だけ外す。しばらくの沈黙の後、アイツを一旦抱き寄せて、素早くマウントを取り返し、組み敷いた首筋に噛みつく。
「ンッ…──」
「自分の物になれとは……随分と大層な物言いだな……だが、そうはいかない……まずはお前が誰の物なのか……ハッキリさせてやる──」
嫉妬から始まる行為に、俺の物だと言わんばかりの赤が、アイツの身体に深く刻まれていくことだろう。
the END