1年目
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次の日の朝、今度は家で隊服に初めて袖を通した。
やはりと言うか、ズボンの丈は長く、肩幅は少し大きいため、着せられている感が凄まじかった。真選組隊服ならではなのだろうか、生地が硬く頑丈に思えた。もちろん刀や銃から守れると代物でもないが。
急ごしらえでズボンの丈は適当に手縫いで詰めた。
「いってきます。」
写真の旦那にいつもの挨拶をして家を出る。
隊服を着て出勤すると、玄関口で土方がタバコ休憩をしていた。
「おはようございます、土方さん。」
「おう、おはよう。隊服着れたんだな、やっぱ隊服でかいな。」
「そうですよね、ズボンはまだマシですが、上着は調整できませんからね。」
「隊服作り直してもらうか?」
「いえ、私は内勤がメインですし家の往復だけかと。来客対応と幕府への来庁時だけ上着は着たいかなと思ってます。」
「そうか、まぁいいんじゃないか。近藤さんにも伝えておくよ。そういえば、今日は疲れは取れたか?」
土方は昨日の沖田による監禁事件をまだ近藤に伝えていないことも教えてくれた。近藤はどうやらどこかに行っていたらしい。どこかは教えてくれなかった、いずれわかると意味深な発言を残した。
「連絡先を教えておいてくれ、昨日みたいなことがあっては困るが、何かあったら連絡してくれ。」
土方は昨日のことを少し気に病んでいるようで、なんだかかわいそうだった。
「昨日のことは気になさらないでください。でも何かあったら連絡させていただきます。」
ぺこりと挨拶して、自室へ向かった。
今日こそは仕事をしようとPCを開いた。
ドタドタドタドタ
「知里さん!昨日は総悟が大変なことをしでかしたんだって!本当にすまなかった、怪我はなかった?今日は大丈夫なの?」
勢いよく、近藤がノックもせず入ってきた。
どうやら土方から昨日のことを聞いたようだ。
「総悟には本当にきつく叱っておく。許せないと思う気持ちもわかるんだが、申し訳ない、最後の過ちとして総悟を許してやってくれないか。この部屋も変えてもらって構わないから。」
「近藤さん、大丈夫ですよ。なんなら昨日私は沖田さんをパイプ椅子で殴打してますから。おあいこということで、私の暴力事件についても目をつぶっていただけませんか。」
「知里さん、本当ありがとう。もちろんパイプ椅子(どゆこと?聞いてないぞ。)の件はびっくりしたけど、大丈夫だ!あと、隊服についてだな、俺は知里さんが仕事のしやすい服でしてもらったらいいと思う。見廻りの担当はない予定だから、知里さんは隊服は対外的に必要な時だけにしよう。」
無事に隊服問題は解決し、気を利かせて女中さんの更衣室のロッカー1つをくれた。更衣室あるやないかぁぁぁ。
さらに午後は近藤が見廻りをするので、特別に一緒に同行することになった。真選組の守る街を見てほしいようだ。
「よかったですねぃ、万事解決じゃないですか。オバさん」
これまたノックもせずに入ってくる沖田。
頭には大きなコブができている、近藤に叱られたのだろう。
「おはようございます、沖田さん。できれば次はノックをお願いします、着替えていたらどうするんですか。」
「どうもしないですぜ、街中の猫の性行為と一緒でさぁ。」
「下品な例えをどうもありがとうございます。ご用件はなんですか?あとオバさんはやめてください。」
「オバさんにオバさんと言って何がいけないんでぃ。特に用件はないですぜ。」
と何をしにきたのかわからなかったが、もしかすると大きなコブを見せて反省の意思を見せてくれたのかと解釈した。まぁそんなことは無いだろうが。
そうこうしているうちに、お昼になり食堂でご飯を食べた。
そこで見たカツ丼マヨ土方スペシャルに胃もたれを感じ、何かが戻ってきそうな勢いだ。
午後1時、屯所前に見廻り担当の隊士が集合している。
「知里さん、こっちだ。今日は歌舞伎町方面を廻る。車に乗ってくれ。」
後部座席に近藤と一緒に乗った。運転席には土方が乗っていた。
「さて、じゃあトシ運転よろしくな。」
歌舞伎町までは車で15分程度だ。
「知里さんは歌舞伎町には来ていたのかい?」
近藤が尋ねてきた。
「はい、幕府で勤務していた時に会合などは歌舞伎町もありました。でも昼間に来ることは初めてですね。」
歌舞伎町はチェーン店ややたら安い飲み屋、高級店、キャバクラ、ホストクラブ何でもありの夜の街で有名だ。
歌舞伎町に到着して、車を降り、街の見廻りをする。
昼の歌舞伎町も意外に人がごった返していた。コンビニ、カラオケ、遊興施設など、夜のお店以外の店もたくさんあるのだ。
「結構お昼の歌舞伎町にも人はたくさんいるんですね。」
「そうなんだ、こういう人の多い街は悪い奴も往々にして蔓延っているから、こうして見廻りをしているだけでも抑止力になると思うんだ。」
近藤は局長にも関わらず、真選組の見廻り役まで自ら率先して行っている。近藤や土方のように顔と名前が知られているような人間が見廻りをしていたら、悪人も大手を振っては歩けないだろう。
特に土方はすでに瞳孔が開いているので、同僚としても恐ろしい。
「私はね、知里さん。この歌舞伎町が特に好きでして、問題も多いんですが人間味のある情に厚い街なんですよ。」
「そんないいもんじゃねぇよ。汚え街だぜ、ここはよ。」
土方はタバコをふかしながら、近藤と私の後ろから付いてきている。タバコの煙が私の方にこないようにしているようだ。
「そうなんですね、色々な見方があるもので楽しい街なんでしょうね。私も歌舞伎町の方々とお知り合いに…
「お妙さぁぁぁぁぁん」
ビュン
何が起こったかわからなかったが、近藤が桃色の着物を着た女性に飛んで行った。50メートルは離れていようか、親しげに話して、見間違いだと思うが今殴られたように見えた。
「気にするな。」
土方はその一言で、私が問いかけても答えないという強い意志を感じ取られた。
「はぁ…近藤さんのとこに行くぞ。」
少し早足で、近藤の元へ行くと、やはり女性が馬乗りになって殴られている近藤がいた。かなり珍しい光景で目が点になる。
「オイ、それは腐っても俺たち真選組の局長だ。公然で辱しめるのはやめろ。」
「あら、鬼の副長さん。貴方という飼い主がいながら、ゴリラの放し飼いはいただけないわ。リードを離さないでいただけますか?」
かなり勝気な女性である。近藤が反撃しないにしても、こんなに見事なパンチはなかなか見た事がない。
「近藤さん大丈夫ですか?姉上、流石に道のど真ん中ではやり過ぎです。」
「新八くん大丈夫だ。トシ、お妙さんにそんなふうに責めないでくれ。これはお妙さんの愛の裏返しなのだから。」
ドカッ
近藤の鳩尾に正確にパンチがミートする。
メガネの少年はこの女性を姉上と呼ぶからには、姉弟なのだろう。
「あら?こちらの隊士さんは新しい方?女性ですよね?」
「はい、私は今週からお世話になっている、土方知里と申します。どうぞお見知りおきください。」
「土方〜⁉︎あのー、土方って、土方さんの親族の方なんですか?もしかしてお嫁さんですか???」
メガネの少年は土方を知っているようで、かなり興奮していたが、
「関係ねーよ。」
土方の一言で終わらせた。
「そうですよ、こんな礼儀正しい人が、こんなゴリラの飼い主と関係あるわけないじゃない。私は志村妙、どうぞ宜しくお願いしますね。」
「僕は弟の新八です。女性の隊士さんって珍しいですね。」
ゴリラ、ゴリラの飼い主と散々な言われようだが、これは彼らなりのコミュニケーションなのだと理解した。
「私は基本的に内勤ですので、武道なども全くの素人なんです。今日は特別に見廻りの見学をさせてもらっていました。」
「あらそう、あなたみたいな女性が見廻りしてくれると街も明るくなるのに。ほらこんなゴリラと目付きの悪い人たちばかりで、歌舞伎町に怖いイメージがついてしまうの。」
「お妙さん、お妙さんが恐ろしいと思うものから、この近藤勲、命をかけてお守りしまーす!」
ドカッ
お妙と新八は買い物の続きがあると言って帰り、土方と知里は地面にめり込んだ近藤を引き上げて、見廻りを続けた。2時間ほど街を見廻ったのち、真選組の屯所へ帰った。
なかなか貴重な体験をしてしまった。歌舞伎町からの帰宅途中に車内で、お妙は近藤の思い人で、近藤は愛の伝道師をしていることを聞いた。ゴリラの由来関しては聞けなかったが、あだ名で呼び合う仲なのだろう。土方は運転中も相変わらずため息とタバコを切らすことがなかった。
やはりと言うか、ズボンの丈は長く、肩幅は少し大きいため、着せられている感が凄まじかった。真選組隊服ならではなのだろうか、生地が硬く頑丈に思えた。もちろん刀や銃から守れると代物でもないが。
急ごしらえでズボンの丈は適当に手縫いで詰めた。
「いってきます。」
写真の旦那にいつもの挨拶をして家を出る。
隊服を着て出勤すると、玄関口で土方がタバコ休憩をしていた。
「おはようございます、土方さん。」
「おう、おはよう。隊服着れたんだな、やっぱ隊服でかいな。」
「そうですよね、ズボンはまだマシですが、上着は調整できませんからね。」
「隊服作り直してもらうか?」
「いえ、私は内勤がメインですし家の往復だけかと。来客対応と幕府への来庁時だけ上着は着たいかなと思ってます。」
「そうか、まぁいいんじゃないか。近藤さんにも伝えておくよ。そういえば、今日は疲れは取れたか?」
土方は昨日の沖田による監禁事件をまだ近藤に伝えていないことも教えてくれた。近藤はどうやらどこかに行っていたらしい。どこかは教えてくれなかった、いずれわかると意味深な発言を残した。
「連絡先を教えておいてくれ、昨日みたいなことがあっては困るが、何かあったら連絡してくれ。」
土方は昨日のことを少し気に病んでいるようで、なんだかかわいそうだった。
「昨日のことは気になさらないでください。でも何かあったら連絡させていただきます。」
ぺこりと挨拶して、自室へ向かった。
今日こそは仕事をしようとPCを開いた。
ドタドタドタドタ
「知里さん!昨日は総悟が大変なことをしでかしたんだって!本当にすまなかった、怪我はなかった?今日は大丈夫なの?」
勢いよく、近藤がノックもせず入ってきた。
どうやら土方から昨日のことを聞いたようだ。
「総悟には本当にきつく叱っておく。許せないと思う気持ちもわかるんだが、申し訳ない、最後の過ちとして総悟を許してやってくれないか。この部屋も変えてもらって構わないから。」
「近藤さん、大丈夫ですよ。なんなら昨日私は沖田さんをパイプ椅子で殴打してますから。おあいこということで、私の暴力事件についても目をつぶっていただけませんか。」
「知里さん、本当ありがとう。もちろんパイプ椅子(どゆこと?聞いてないぞ。)の件はびっくりしたけど、大丈夫だ!あと、隊服についてだな、俺は知里さんが仕事のしやすい服でしてもらったらいいと思う。見廻りの担当はない予定だから、知里さんは隊服は対外的に必要な時だけにしよう。」
無事に隊服問題は解決し、気を利かせて女中さんの更衣室のロッカー1つをくれた。更衣室あるやないかぁぁぁ。
さらに午後は近藤が見廻りをするので、特別に一緒に同行することになった。真選組の守る街を見てほしいようだ。
「よかったですねぃ、万事解決じゃないですか。オバさん」
これまたノックもせずに入ってくる沖田。
頭には大きなコブができている、近藤に叱られたのだろう。
「おはようございます、沖田さん。できれば次はノックをお願いします、着替えていたらどうするんですか。」
「どうもしないですぜ、街中の猫の性行為と一緒でさぁ。」
「下品な例えをどうもありがとうございます。ご用件はなんですか?あとオバさんはやめてください。」
「オバさんにオバさんと言って何がいけないんでぃ。特に用件はないですぜ。」
と何をしにきたのかわからなかったが、もしかすると大きなコブを見せて反省の意思を見せてくれたのかと解釈した。まぁそんなことは無いだろうが。
そうこうしているうちに、お昼になり食堂でご飯を食べた。
そこで見たカツ丼マヨ土方スペシャルに胃もたれを感じ、何かが戻ってきそうな勢いだ。
午後1時、屯所前に見廻り担当の隊士が集合している。
「知里さん、こっちだ。今日は歌舞伎町方面を廻る。車に乗ってくれ。」
後部座席に近藤と一緒に乗った。運転席には土方が乗っていた。
「さて、じゃあトシ運転よろしくな。」
歌舞伎町までは車で15分程度だ。
「知里さんは歌舞伎町には来ていたのかい?」
近藤が尋ねてきた。
「はい、幕府で勤務していた時に会合などは歌舞伎町もありました。でも昼間に来ることは初めてですね。」
歌舞伎町はチェーン店ややたら安い飲み屋、高級店、キャバクラ、ホストクラブ何でもありの夜の街で有名だ。
歌舞伎町に到着して、車を降り、街の見廻りをする。
昼の歌舞伎町も意外に人がごった返していた。コンビニ、カラオケ、遊興施設など、夜のお店以外の店もたくさんあるのだ。
「結構お昼の歌舞伎町にも人はたくさんいるんですね。」
「そうなんだ、こういう人の多い街は悪い奴も往々にして蔓延っているから、こうして見廻りをしているだけでも抑止力になると思うんだ。」
近藤は局長にも関わらず、真選組の見廻り役まで自ら率先して行っている。近藤や土方のように顔と名前が知られているような人間が見廻りをしていたら、悪人も大手を振っては歩けないだろう。
特に土方はすでに瞳孔が開いているので、同僚としても恐ろしい。
「私はね、知里さん。この歌舞伎町が特に好きでして、問題も多いんですが人間味のある情に厚い街なんですよ。」
「そんないいもんじゃねぇよ。汚え街だぜ、ここはよ。」
土方はタバコをふかしながら、近藤と私の後ろから付いてきている。タバコの煙が私の方にこないようにしているようだ。
「そうなんですね、色々な見方があるもので楽しい街なんでしょうね。私も歌舞伎町の方々とお知り合いに…
「お妙さぁぁぁぁぁん」
ビュン
何が起こったかわからなかったが、近藤が桃色の着物を着た女性に飛んで行った。50メートルは離れていようか、親しげに話して、見間違いだと思うが今殴られたように見えた。
「気にするな。」
土方はその一言で、私が問いかけても答えないという強い意志を感じ取られた。
「はぁ…近藤さんのとこに行くぞ。」
少し早足で、近藤の元へ行くと、やはり女性が馬乗りになって殴られている近藤がいた。かなり珍しい光景で目が点になる。
「オイ、それは腐っても俺たち真選組の局長だ。公然で辱しめるのはやめろ。」
「あら、鬼の副長さん。貴方という飼い主がいながら、ゴリラの放し飼いはいただけないわ。リードを離さないでいただけますか?」
かなり勝気な女性である。近藤が反撃しないにしても、こんなに見事なパンチはなかなか見た事がない。
「近藤さん大丈夫ですか?姉上、流石に道のど真ん中ではやり過ぎです。」
「新八くん大丈夫だ。トシ、お妙さんにそんなふうに責めないでくれ。これはお妙さんの愛の裏返しなのだから。」
ドカッ
近藤の鳩尾に正確にパンチがミートする。
メガネの少年はこの女性を姉上と呼ぶからには、姉弟なのだろう。
「あら?こちらの隊士さんは新しい方?女性ですよね?」
「はい、私は今週からお世話になっている、土方知里と申します。どうぞお見知りおきください。」
「土方〜⁉︎あのー、土方って、土方さんの親族の方なんですか?もしかしてお嫁さんですか???」
メガネの少年は土方を知っているようで、かなり興奮していたが、
「関係ねーよ。」
土方の一言で終わらせた。
「そうですよ、こんな礼儀正しい人が、こんなゴリラの飼い主と関係あるわけないじゃない。私は志村妙、どうぞ宜しくお願いしますね。」
「僕は弟の新八です。女性の隊士さんって珍しいですね。」
ゴリラ、ゴリラの飼い主と散々な言われようだが、これは彼らなりのコミュニケーションなのだと理解した。
「私は基本的に内勤ですので、武道なども全くの素人なんです。今日は特別に見廻りの見学をさせてもらっていました。」
「あらそう、あなたみたいな女性が見廻りしてくれると街も明るくなるのに。ほらこんなゴリラと目付きの悪い人たちばかりで、歌舞伎町に怖いイメージがついてしまうの。」
「お妙さん、お妙さんが恐ろしいと思うものから、この近藤勲、命をかけてお守りしまーす!」
ドカッ
お妙と新八は買い物の続きがあると言って帰り、土方と知里は地面にめり込んだ近藤を引き上げて、見廻りを続けた。2時間ほど街を見廻ったのち、真選組の屯所へ帰った。
なかなか貴重な体験をしてしまった。歌舞伎町からの帰宅途中に車内で、お妙は近藤の思い人で、近藤は愛の伝道師をしていることを聞いた。ゴリラの由来関しては聞けなかったが、あだ名で呼び合う仲なのだろう。土方は運転中も相変わらずため息とタバコを切らすことがなかった。