2年目
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また今年も梅雨だ。洗濯が乾かないのが苦痛だ。傘のさし方が下手すぎて、何故か服、鞄はほぼ濡れる。とにかく雨が嫌いだ。
朝の屯所玄関先。
「お前なんでいつもそんな濡れんの?」
土方が玄関でタバコ中だ。
「傘の立体構造をまだ理解できてないようです。」
知里は頭、服、鞄をタオルで拭く。
「難しく言っただけで、傘させてないだけだろ。」
「これ、地味に辛い不得意な事の1つなんですよ。傘の進化を誰よりも待ってるんですけどね。」
知里はタオルを絞る。今日は服を着替えないといけないかもしれない。
「ついでに隊服にしとけ。んで吉原行っとけ。」
「えー、隊服だと百華に睨まれます!」
「指名手配書とこの前の報告書渡しに行ってこい。俺ら男が行く方が殺される。ついでに近藤さんを連れて帰って来い。」
土方は近藤のGPS検知先を見る。最近土方も近藤に勝手にGPSを付けた。
「いや、近藤さんがメインやん。ゴリラ保護者じゃないんですけど。なんで吉原なんかに…。もしも、もしもですよ、あー、まだそういう状況だったら?終わるの待つ??」
知里は身振り手振りで言いたい事を土方に伝える。
「大丈夫だ。もう朝だし、近藤さんは吉原中移動してるから、そういうことはないだろうさ。午前中に帰って来い。」
土方の知里への扱いがだんだんと雑になっている。
仕方なくそのまま隊服に着替えて、車に乗り込む。ちなみに車に乗り込むタイミングでめちゃくちゃ雨に濡れる。傘の閉じるタイミングがわからないためだ。
「もうどうしたらイイの、傘わからん!」
知里は車内で愚痴りながら吉原へ向かう。
吉原に到着後、日輪が経営する茶屋へ向かう。
「あら、珍しい人がおいでになって。こんにちは。それにしてもずぶ濡れじゃない。」
日輪が知里に挨拶して、タオルを貸してくれた。
「こんにちは、日輪さん。月詠さんはいますか?」
知里は日輪にお茶を頼む。前に吉原で討ち入りがあった際に日輪、百華とは顔を合わせた事がある。その討ち入りで建物を必要以上に壊したため、真選組は疎まれている。
「真選組がなんのようじゃ。」
月詠がすでに目つきが、怖い。
「月詠さん、こんにちは。これこの前の報告書と今指名手配されている攘夷志士のリストです。こちらにも出入りするものがいると思うので、是非ご協力頂きたいのですが。」
知里は月詠に報告書と手配書を渡す。
「吉原は独立自治区じゃ。幕府の命は受けん。リストはもろうておく。吉原の平穏を乱す輩は百華が許さぬ。」
月詠はリストをパラパラめくり、確認する。日輪にとりあえず報告書を渡す。
「はぁ、まぁイイんですけど。百華さん強いから、成敗たくさんされちゃうと思うんですけど、せめて成敗したら処理しちゃう前にこっちにも教えて欲しいんですよね。」
知里はゴマをすりすりする。
「吉原のやり方に口をだすな。」
月詠はキセルをふかす。
「ですよね〜。まぁ、気が向いたらでイイです。」
知里はお茶をいただいた。
「おーう!茶くれよ!」
遠くから銀時がやって来た。
「あら、銀さんいらっしゃい。」
日輪はすぐにお茶を出した。
「あれ、珍しい面子が揃ってんじゃね?」
月詠、知里、日輪を眺めて銀時は言う。
「そうね、知里さんが指名手配書持ってきてくれたんだけど、月詠ったら対応がちょっと冷たいのよ。」
日輪は銀時に相談する。
「ワワワワッチは冷たくなどしておらん。ただ真選組が余り好かんだけじゃ。別に知里が嫌いな訳ではない。」
月詠はカミカミで何かを言い訳した。
「いやーわかる、わかるよ。俺も真選組は嫌いだからね。ロクな奴いねーもん。」
銀時は団子を注文する。
「まぁロクな奴居ませんよね…。今からゴリラ探さないと鬼に怒られるんで。あれ、真選組に人間いねーや。」
知里は遠い目をして雨雲を見る。近藤のGPSはココから一筋向こう側で点滅している。
「じゃあ、そろそろ捕獲してきます。日輪さん、月詠さん、ありがとうございました。」
知里は深々と頭を下げて店を出た。
知里は店を出て直ぐ、傘を深く差していたため、前への注意を怠り人にぶつかった。
「すみません。」
知里は直ぐ謝った。ぶつかった相手は赤毛の髪を三つ編みにした青年だった。
「いいよー。あれ、その制服って幕府の犬だよね?」
青年は笑顔で服についた水滴を払いながら尋ねる。
「はい。真選組の土方知里です。」
知里はとりあえず自己紹介しておく。
「そうなんだ。俺は春雨海賊第七師団団長の神威。隣のは阿武兎。お姉さん、ココは俺が経営者だって知ってる?」
神威は知里に尋ねる。
「申し訳ありません、存じておりませんでした。この度は重ね重ね失礼しております。」
知里はかしこまり神威に謝罪する。
「ねぇ、ココって幕府とは独立自治区だよね。君が来ていい場所なの?お仕置きって必要?」
突然神威は番傘を閉じて石突きを知里へ向ける。
バンッ
知里の傘が吹っ飛ばされた。
「えっ?」
知里は呆然と傘の残った手元だけを握りしめる。
音を聞きつけ、銀魂と月詠が知里の元へ駆け寄る。
「オイオイ、こんな武装もない事務員相手に発泡たぁ、どんなけ犬にヒビってんですか、コラァ。」
銀魂が神威に木刀を向ける。
「あれ、お兄さん久しぶり。ココは俺の街だから、ただの見廻りだよ。」
神威は番傘を下に下ろす。
「ここはワッチらの街じゃ。そなたらは形式上の経営者、自治は実質は我らじゃ。吉原の自治を脅かす者は誰であってもワッチが許さぬぞ。」
月詠は知里の腕を引っ張り後ろへ下げる。
「うーん、別に散歩だよ散歩。でもちょっと楽しいランニングになりそう。ね、一緒に走らない?お兄さん。」
笑顔の神威が番傘で銀時の右腰を殴り店へ吹っ飛ばす。
キャーーー
店の遊女、客が次々と逃げる。
「こわっ、笑顔で人殴る人こっっわ!」
「そんな事言っている場合ではない、逃げるぞ!」
月詠と知里は逃げる。
「はーい、そこまで。一応団長は真選組のアンタに意見あるみたいだから、残ってくれる?」
阿武兎が立ち塞がり、月詠が投げた苦無は全て番傘に弾かれた。
「月詠さん、ありがとう。大丈夫、ゴメンね。」
知里は月詠の前に出る。
「真選組は吉原への介入を求めているわけではない。現に私が今ここにいる理由は人探しである。団長神威殿はどうやら私の意見は聞き入れてくれなさそうだ。阿武兎殿がどうかおさめてはくれぬか。」
知里は阿武兎に懇請した。
「知里とか言ったな。ちょっと来い。」
阿武兎はそう言うと、知里を片手で抱え、屋根へ飛んだ。銀時と神威が戦っている街は雨の中土煙が舞っている。
「団長ー!コイツら別にココに用事無いんだってよ!人探しらしい!」
屋根の上から阿武兎は神威に叫ぶ。
一向に土煙はおさまらない。
「あの、阿武兎さん。止めてきてもらえませんか?」
知里は屋根に下ろしてもらった。
「バカいうな。この前喧嘩止めて左腕無くしてんだ。もう無くせねぇんだよ。」
阿武兎は傘を差して、知里にも入るよう促す。
「えーっと。じゃあこれどうなるんですか?」
知里はありがたく傘に入る。
「飽きるまで終わらないだろうな。」
「後始末大変じゃ無いですか?」
「大変だよ。中間管理職は辛いんだ。」
「どこの世界もそうなんですね。私、今日鬼上司から吉原に隊服来て行けって言われて。真選組って吉原では嫌われてるのわかってるのに。それでこの状況ですよ。どうしよう、この街の修理。」
知里は頭を抱える。
「お前も気苦労が絶えねぇな。」
「あのー、街の修理、春雨持ちじゃダメですか?あなたの団長が壊しまくってます。」
知里は阿武兎の顔を見上げる。
「俺はお前を直ぐ殺せる状況なんだけど、わかっていってんのか?」
阿武兎は知里を見下す。
「あー。確かに。でも生き残る可能性もあるんで、交渉しとこうかなって。このままだと生き残っても、首飛ぶんで。」
知里は自分の首を指で横一文字に引く。
「お前もおもしろい奴だな。考えといてやる。このスットコどっい、さっさと終わりやがれ。」
土煙が止んだのはそれから5分ほど経っていた。
「あー楽しかった!いい運動が出来たよ。阿武兎、視察は終わり!帰ろう!」
神威が屋根へ飛んでくる。
「お姉さんもじゃあね!探し人見つかるといいね。」
神威は最後まで笑顔で去っていった。
「じゃあな。誰かに屋根から下ろしてもらえ。」
阿武兎もそう言って去っていく。
土煙が雨でおさまると全壊している建物が多数見えた。
知里はクビを覚悟した。
月詠が屋根から降ろしてくれ、日輪の茶屋に戻った。とりあえず隊服が下着まで雨に濡れていたので、着物を借りた。
銀時もトボトボと茶屋へ帰ってきた。
「もう無理、神楽の兄ちゃん頭いってるよ。ずっと笑顔だった。」
銀時は茶屋で伸びた。
「えー、お兄ちゃんなんだ。似てるとは思ったけど。」
銀時には特に大きな怪我もなかった。
「ねぇねぇ、どうしたの、すごい建物壊れてるけど!!攘夷志士??」
近藤ゴリラが茶屋に走ってきた。
月詠がゴリラに苦無で攻撃する。
ゴリラも伸びた。
結局、日輪に着物、傘、予備の車椅子を借りてゴリラを連れて帰った。
「オイ、遅かったな。もう昼だぞ。また着替えたのか?」
車から知里が出るやいなやグチグチいう土方。
知里は着物の袖に入っていた苦無を土方に投げ付けた。
「もう隊服で吉原には行かん!ゴリラはあんたが車からおろせ!」
知里は土方に命令した。土方の額には苦無が刺さっている。
そこから数日後、借りた着物と傘、車椅子を返しに再び吉原へ今度は着物で行った。
「もう返しにきてくれたの?知里さん。」
日輪は笑顔で迎えてくれた。
「この街の修理、春雨がするって言ってるわ。」
阿武兎が交渉してくれたのだろう、この破壊された街は全て春雨持ちだ。知里の首は繋がった。
「あと、コレ。」
日輪は新しい傘を知里に渡す。
「傘壊れちゃったからって言ってたわよ。」
知里は新しい傘を開く。
薄緑の生地に藤の花が描かれた番傘のようだ。
次会ったら傘のさしかた教えてもらおう。
知里はそう思いながら久しぶりに雨を望んだ。
朝の屯所玄関先。
「お前なんでいつもそんな濡れんの?」
土方が玄関でタバコ中だ。
「傘の立体構造をまだ理解できてないようです。」
知里は頭、服、鞄をタオルで拭く。
「難しく言っただけで、傘させてないだけだろ。」
「これ、地味に辛い不得意な事の1つなんですよ。傘の進化を誰よりも待ってるんですけどね。」
知里はタオルを絞る。今日は服を着替えないといけないかもしれない。
「ついでに隊服にしとけ。んで吉原行っとけ。」
「えー、隊服だと百華に睨まれます!」
「指名手配書とこの前の報告書渡しに行ってこい。俺ら男が行く方が殺される。ついでに近藤さんを連れて帰って来い。」
土方は近藤のGPS検知先を見る。最近土方も近藤に勝手にGPSを付けた。
「いや、近藤さんがメインやん。ゴリラ保護者じゃないんですけど。なんで吉原なんかに…。もしも、もしもですよ、あー、まだそういう状況だったら?終わるの待つ??」
知里は身振り手振りで言いたい事を土方に伝える。
「大丈夫だ。もう朝だし、近藤さんは吉原中移動してるから、そういうことはないだろうさ。午前中に帰って来い。」
土方の知里への扱いがだんだんと雑になっている。
仕方なくそのまま隊服に着替えて、車に乗り込む。ちなみに車に乗り込むタイミングでめちゃくちゃ雨に濡れる。傘の閉じるタイミングがわからないためだ。
「もうどうしたらイイの、傘わからん!」
知里は車内で愚痴りながら吉原へ向かう。
吉原に到着後、日輪が経営する茶屋へ向かう。
「あら、珍しい人がおいでになって。こんにちは。それにしてもずぶ濡れじゃない。」
日輪が知里に挨拶して、タオルを貸してくれた。
「こんにちは、日輪さん。月詠さんはいますか?」
知里は日輪にお茶を頼む。前に吉原で討ち入りがあった際に日輪、百華とは顔を合わせた事がある。その討ち入りで建物を必要以上に壊したため、真選組は疎まれている。
「真選組がなんのようじゃ。」
月詠がすでに目つきが、怖い。
「月詠さん、こんにちは。これこの前の報告書と今指名手配されている攘夷志士のリストです。こちらにも出入りするものがいると思うので、是非ご協力頂きたいのですが。」
知里は月詠に報告書と手配書を渡す。
「吉原は独立自治区じゃ。幕府の命は受けん。リストはもろうておく。吉原の平穏を乱す輩は百華が許さぬ。」
月詠はリストをパラパラめくり、確認する。日輪にとりあえず報告書を渡す。
「はぁ、まぁイイんですけど。百華さん強いから、成敗たくさんされちゃうと思うんですけど、せめて成敗したら処理しちゃう前にこっちにも教えて欲しいんですよね。」
知里はゴマをすりすりする。
「吉原のやり方に口をだすな。」
月詠はキセルをふかす。
「ですよね〜。まぁ、気が向いたらでイイです。」
知里はお茶をいただいた。
「おーう!茶くれよ!」
遠くから銀時がやって来た。
「あら、銀さんいらっしゃい。」
日輪はすぐにお茶を出した。
「あれ、珍しい面子が揃ってんじゃね?」
月詠、知里、日輪を眺めて銀時は言う。
「そうね、知里さんが指名手配書持ってきてくれたんだけど、月詠ったら対応がちょっと冷たいのよ。」
日輪は銀時に相談する。
「ワワワワッチは冷たくなどしておらん。ただ真選組が余り好かんだけじゃ。別に知里が嫌いな訳ではない。」
月詠はカミカミで何かを言い訳した。
「いやーわかる、わかるよ。俺も真選組は嫌いだからね。ロクな奴いねーもん。」
銀時は団子を注文する。
「まぁロクな奴居ませんよね…。今からゴリラ探さないと鬼に怒られるんで。あれ、真選組に人間いねーや。」
知里は遠い目をして雨雲を見る。近藤のGPSはココから一筋向こう側で点滅している。
「じゃあ、そろそろ捕獲してきます。日輪さん、月詠さん、ありがとうございました。」
知里は深々と頭を下げて店を出た。
知里は店を出て直ぐ、傘を深く差していたため、前への注意を怠り人にぶつかった。
「すみません。」
知里は直ぐ謝った。ぶつかった相手は赤毛の髪を三つ編みにした青年だった。
「いいよー。あれ、その制服って幕府の犬だよね?」
青年は笑顔で服についた水滴を払いながら尋ねる。
「はい。真選組の土方知里です。」
知里はとりあえず自己紹介しておく。
「そうなんだ。俺は春雨海賊第七師団団長の神威。隣のは阿武兎。お姉さん、ココは俺が経営者だって知ってる?」
神威は知里に尋ねる。
「申し訳ありません、存じておりませんでした。この度は重ね重ね失礼しております。」
知里はかしこまり神威に謝罪する。
「ねぇ、ココって幕府とは独立自治区だよね。君が来ていい場所なの?お仕置きって必要?」
突然神威は番傘を閉じて石突きを知里へ向ける。
バンッ
知里の傘が吹っ飛ばされた。
「えっ?」
知里は呆然と傘の残った手元だけを握りしめる。
音を聞きつけ、銀魂と月詠が知里の元へ駆け寄る。
「オイオイ、こんな武装もない事務員相手に発泡たぁ、どんなけ犬にヒビってんですか、コラァ。」
銀魂が神威に木刀を向ける。
「あれ、お兄さん久しぶり。ココは俺の街だから、ただの見廻りだよ。」
神威は番傘を下に下ろす。
「ここはワッチらの街じゃ。そなたらは形式上の経営者、自治は実質は我らじゃ。吉原の自治を脅かす者は誰であってもワッチが許さぬぞ。」
月詠は知里の腕を引っ張り後ろへ下げる。
「うーん、別に散歩だよ散歩。でもちょっと楽しいランニングになりそう。ね、一緒に走らない?お兄さん。」
笑顔の神威が番傘で銀時の右腰を殴り店へ吹っ飛ばす。
キャーーー
店の遊女、客が次々と逃げる。
「こわっ、笑顔で人殴る人こっっわ!」
「そんな事言っている場合ではない、逃げるぞ!」
月詠と知里は逃げる。
「はーい、そこまで。一応団長は真選組のアンタに意見あるみたいだから、残ってくれる?」
阿武兎が立ち塞がり、月詠が投げた苦無は全て番傘に弾かれた。
「月詠さん、ありがとう。大丈夫、ゴメンね。」
知里は月詠の前に出る。
「真選組は吉原への介入を求めているわけではない。現に私が今ここにいる理由は人探しである。団長神威殿はどうやら私の意見は聞き入れてくれなさそうだ。阿武兎殿がどうかおさめてはくれぬか。」
知里は阿武兎に懇請した。
「知里とか言ったな。ちょっと来い。」
阿武兎はそう言うと、知里を片手で抱え、屋根へ飛んだ。銀時と神威が戦っている街は雨の中土煙が舞っている。
「団長ー!コイツら別にココに用事無いんだってよ!人探しらしい!」
屋根の上から阿武兎は神威に叫ぶ。
一向に土煙はおさまらない。
「あの、阿武兎さん。止めてきてもらえませんか?」
知里は屋根に下ろしてもらった。
「バカいうな。この前喧嘩止めて左腕無くしてんだ。もう無くせねぇんだよ。」
阿武兎は傘を差して、知里にも入るよう促す。
「えーっと。じゃあこれどうなるんですか?」
知里はありがたく傘に入る。
「飽きるまで終わらないだろうな。」
「後始末大変じゃ無いですか?」
「大変だよ。中間管理職は辛いんだ。」
「どこの世界もそうなんですね。私、今日鬼上司から吉原に隊服来て行けって言われて。真選組って吉原では嫌われてるのわかってるのに。それでこの状況ですよ。どうしよう、この街の修理。」
知里は頭を抱える。
「お前も気苦労が絶えねぇな。」
「あのー、街の修理、春雨持ちじゃダメですか?あなたの団長が壊しまくってます。」
知里は阿武兎の顔を見上げる。
「俺はお前を直ぐ殺せる状況なんだけど、わかっていってんのか?」
阿武兎は知里を見下す。
「あー。確かに。でも生き残る可能性もあるんで、交渉しとこうかなって。このままだと生き残っても、首飛ぶんで。」
知里は自分の首を指で横一文字に引く。
「お前もおもしろい奴だな。考えといてやる。このスットコどっい、さっさと終わりやがれ。」
土煙が止んだのはそれから5分ほど経っていた。
「あー楽しかった!いい運動が出来たよ。阿武兎、視察は終わり!帰ろう!」
神威が屋根へ飛んでくる。
「お姉さんもじゃあね!探し人見つかるといいね。」
神威は最後まで笑顔で去っていった。
「じゃあな。誰かに屋根から下ろしてもらえ。」
阿武兎もそう言って去っていく。
土煙が雨でおさまると全壊している建物が多数見えた。
知里はクビを覚悟した。
月詠が屋根から降ろしてくれ、日輪の茶屋に戻った。とりあえず隊服が下着まで雨に濡れていたので、着物を借りた。
銀時もトボトボと茶屋へ帰ってきた。
「もう無理、神楽の兄ちゃん頭いってるよ。ずっと笑顔だった。」
銀時は茶屋で伸びた。
「えー、お兄ちゃんなんだ。似てるとは思ったけど。」
銀時には特に大きな怪我もなかった。
「ねぇねぇ、どうしたの、すごい建物壊れてるけど!!攘夷志士??」
近藤ゴリラが茶屋に走ってきた。
月詠がゴリラに苦無で攻撃する。
ゴリラも伸びた。
結局、日輪に着物、傘、予備の車椅子を借りてゴリラを連れて帰った。
「オイ、遅かったな。もう昼だぞ。また着替えたのか?」
車から知里が出るやいなやグチグチいう土方。
知里は着物の袖に入っていた苦無を土方に投げ付けた。
「もう隊服で吉原には行かん!ゴリラはあんたが車からおろせ!」
知里は土方に命令した。土方の額には苦無が刺さっている。
そこから数日後、借りた着物と傘、車椅子を返しに再び吉原へ今度は着物で行った。
「もう返しにきてくれたの?知里さん。」
日輪は笑顔で迎えてくれた。
「この街の修理、春雨がするって言ってるわ。」
阿武兎が交渉してくれたのだろう、この破壊された街は全て春雨持ちだ。知里の首は繋がった。
「あと、コレ。」
日輪は新しい傘を知里に渡す。
「傘壊れちゃったからって言ってたわよ。」
知里は新しい傘を開く。
薄緑の生地に藤の花が描かれた番傘のようだ。
次会ったら傘のさしかた教えてもらおう。
知里はそう思いながら久しぶりに雨を望んだ。