1年目
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いつもはこの暑い中の外回り(補償交渉)は嫌々だったが、今日はすぐに同心に連絡して落ち合う時間を決め、隊服に着替えて出発した。
花街は少し遠いが、車より自転車で行きたかった。
花街に着くと、同心のハジと小銭方が花街に働く従業員の事情聴取をしていた。
「おはようございます、ハジさん、小銭方さん!」
「おはようございます、知里さん!」
ハジは朝から元気だ。
小銭方は知里が来たことは気づいておらず、何故か鼻血を出していた。ハジから、実は小銭方も昨日花街のbarらしきところに来ており、ちょうど乱闘を見ていたそうだ。
同心が実際に見ていたとなれば、そこまで調査は長くならないだろうと予想できた。
乱闘は土方と沖田、あと応援の隊士で合計4人に対して、攘夷志士10人だった。土方と沖田が花街のパトロール中に中堅の攘夷志士を確認し、小規模ながら摘発するというお手柄だった。
攘夷志士が逃げ回ったようで、店は1軒がかなり荒れており、両隣の店舗もバズーカによる攻撃なのか壁が1面だけ無い。
今回も補償交渉を店とやり取りし、そこそこスムーズに対応ができた。
「そこのあんさん。ちょいとよろしいか?」
突然話しかけられて振り向くと、身長がすらっと高く、顔が人形のように小さくて、目が大きく、とんでもなく美人の遊女が立っていた。
「はい、なんでしょうか?」
事情聴取は終わったはずだ。小銭方が鼻血を出してまで頑張っていた。
「そなたは誰ぞ、その服はもしや真選組ではなかろうな。」
「ご紹介が遅れまして、申し訳ありません。真選組、勘定方の土方知里と申します。」
「土方ですって?」「えー、どういうこと?」「あれ女でしょ、なんで真選組にいるのよ!」
口々に周りの遊女が騒ぎ出す。
「わしは梅香楼の遊女の小紫じゃ。土方十四郎殿にはよくお世話になっておるでありんす。」
小紫は自己紹介をしてくれた。
「そうですか、小紫さん。花街に足を踏み入れるのも、はたまた遊女さまに会うのも私は初めてなもので、なにぶん失礼がありましたら、申し訳ございません。」
「遊女さまとは馬鹿にしておるのか?自分はこのような街に入る必要がない人間だとでも?」
小紫や他の遊女もかなり攻撃的な発言をしてくる。
「いえ、そのようには思っておりません。ただ、私は遊郭も一つの立派な仕事と思っております。ですので、遊女さまとお呼びしました。花街に関しましては、私のような醜女では私の少ないプライドが崩れるほど皆さまが美しいのです。ですので、足が遠のいていますことご理解いただきたいと思います。」
どこまで通じるのか不安ではあったが、攻撃に報復してはなにも治らないのだ。ひたすらに低姿勢の知里に遊女たちの口撃がおさまりだす。
「そなたも仕事でここに来たのだ。我々は邪魔をするつもりはないでありんす。ただ、ここにおるものはみな真選組に関係があるのじゃ、好いておるものも多くおるじゃろう。そなたは女で真選組ときた。皆の嫉妬の的なのじゃ。許してくれんかの。」
小紫は潔く謝った。
「そうでしたか。では私からも朗報がございます。私の姓は土方ではありますが、真選組副長の土方とはなんの関係もございません。また、私は既婚者でございます。夫は真選組外の人間です。皆様の嫉妬を受ける者としては大分小物と考えます。そこで、私はこれから真選組に帰る準備をいたしますが、この袋は置いておきます。もしどなたかへ言伝などございましたら、名刺に言伝を書いて入れていただければ、確実にお渡しします。」
遊女たち全員に聞こえるように、大きな声で話すと、すぐにきゃーきゃーと各々店にもどり、早い者勝ちがごとく、袋に次々と名刺が入った。おそらく営業の子もいれば、はたまた本気の子もいるのであろう。
「小紫さんはよろしいのですか?」
知里は尋ねると
「あっしは待つのが得意でありんす。もう半年も待っておる。あの人のマヨネーズがそろそろ賞味期限が切れるほどじゃ。」
小紫はすこし目を細めて言った。
「忙しい人です。」
知里は端的に答え、
「わかっておる。伝えなくともよい。」
小紫は答えた。
名刺を入れた遊女たちが、面白半分か知里に話しかける。主に隊士たちの日常を聞きたがったが、知里も入隊して半年たたないほどであるので、ほぼ役には立てなかった。逆に、隊士たちのお抱え遊女たちが、いついつ来たとか、どんなプレイが好きだとか、たくさんの情報を教えてくれた。
真選組に帰る頃には、袋はパンパンになり、追加の袋にまで用意されてあった。
また来ますと小紫たちに手を振って、自転車に乗って屯所に帰った。
屯所に帰ると、まだ隊士たちがコソコソしていたので、ここの状況は全く変わっていなかった。
隊服を着替え、仕事部屋に戻った。
しなくてもいいのかもしれないが、約束した以上はやるしかない。
名刺の仕分けをすると、どうしても隊士たちの性癖なるものが見え隠れする。はじめの100枚で心が折れそうになった。
土方は人気があり、ほぼ全ての店からオファーがあった。営業系のメッセージは読めてしまうが、本気のメッセージは出来るだけ目にしないように素早く仕分けした。
沖田は想像通り、土方に次いで人気だったが、店の系統に偏りがある。想像通り、ドSやらドMやら調教やらの文字がよく見えた。よく知らないのだが、年齢制限などは関係ないのだろうか?
山崎は意外や意外、沖田よろしくドSやドMなどの店が多く、原田はナース、CA、などお仕事系、斉藤は営業のみだった。
他の隊士も全員振り分けると、もうすでに14時半を回っていた。
知里はお昼ごはんを見事に逃した。
花街は少し遠いが、車より自転車で行きたかった。
花街に着くと、同心のハジと小銭方が花街に働く従業員の事情聴取をしていた。
「おはようございます、ハジさん、小銭方さん!」
「おはようございます、知里さん!」
ハジは朝から元気だ。
小銭方は知里が来たことは気づいておらず、何故か鼻血を出していた。ハジから、実は小銭方も昨日花街のbarらしきところに来ており、ちょうど乱闘を見ていたそうだ。
同心が実際に見ていたとなれば、そこまで調査は長くならないだろうと予想できた。
乱闘は土方と沖田、あと応援の隊士で合計4人に対して、攘夷志士10人だった。土方と沖田が花街のパトロール中に中堅の攘夷志士を確認し、小規模ながら摘発するというお手柄だった。
攘夷志士が逃げ回ったようで、店は1軒がかなり荒れており、両隣の店舗もバズーカによる攻撃なのか壁が1面だけ無い。
今回も補償交渉を店とやり取りし、そこそこスムーズに対応ができた。
「そこのあんさん。ちょいとよろしいか?」
突然話しかけられて振り向くと、身長がすらっと高く、顔が人形のように小さくて、目が大きく、とんでもなく美人の遊女が立っていた。
「はい、なんでしょうか?」
事情聴取は終わったはずだ。小銭方が鼻血を出してまで頑張っていた。
「そなたは誰ぞ、その服はもしや真選組ではなかろうな。」
「ご紹介が遅れまして、申し訳ありません。真選組、勘定方の土方知里と申します。」
「土方ですって?」「えー、どういうこと?」「あれ女でしょ、なんで真選組にいるのよ!」
口々に周りの遊女が騒ぎ出す。
「わしは梅香楼の遊女の小紫じゃ。土方十四郎殿にはよくお世話になっておるでありんす。」
小紫は自己紹介をしてくれた。
「そうですか、小紫さん。花街に足を踏み入れるのも、はたまた遊女さまに会うのも私は初めてなもので、なにぶん失礼がありましたら、申し訳ございません。」
「遊女さまとは馬鹿にしておるのか?自分はこのような街に入る必要がない人間だとでも?」
小紫や他の遊女もかなり攻撃的な発言をしてくる。
「いえ、そのようには思っておりません。ただ、私は遊郭も一つの立派な仕事と思っております。ですので、遊女さまとお呼びしました。花街に関しましては、私のような醜女では私の少ないプライドが崩れるほど皆さまが美しいのです。ですので、足が遠のいていますことご理解いただきたいと思います。」
どこまで通じるのか不安ではあったが、攻撃に報復してはなにも治らないのだ。ひたすらに低姿勢の知里に遊女たちの口撃がおさまりだす。
「そなたも仕事でここに来たのだ。我々は邪魔をするつもりはないでありんす。ただ、ここにおるものはみな真選組に関係があるのじゃ、好いておるものも多くおるじゃろう。そなたは女で真選組ときた。皆の嫉妬の的なのじゃ。許してくれんかの。」
小紫は潔く謝った。
「そうでしたか。では私からも朗報がございます。私の姓は土方ではありますが、真選組副長の土方とはなんの関係もございません。また、私は既婚者でございます。夫は真選組外の人間です。皆様の嫉妬を受ける者としては大分小物と考えます。そこで、私はこれから真選組に帰る準備をいたしますが、この袋は置いておきます。もしどなたかへ言伝などございましたら、名刺に言伝を書いて入れていただければ、確実にお渡しします。」
遊女たち全員に聞こえるように、大きな声で話すと、すぐにきゃーきゃーと各々店にもどり、早い者勝ちがごとく、袋に次々と名刺が入った。おそらく営業の子もいれば、はたまた本気の子もいるのであろう。
「小紫さんはよろしいのですか?」
知里は尋ねると
「あっしは待つのが得意でありんす。もう半年も待っておる。あの人のマヨネーズがそろそろ賞味期限が切れるほどじゃ。」
小紫はすこし目を細めて言った。
「忙しい人です。」
知里は端的に答え、
「わかっておる。伝えなくともよい。」
小紫は答えた。
名刺を入れた遊女たちが、面白半分か知里に話しかける。主に隊士たちの日常を聞きたがったが、知里も入隊して半年たたないほどであるので、ほぼ役には立てなかった。逆に、隊士たちのお抱え遊女たちが、いついつ来たとか、どんなプレイが好きだとか、たくさんの情報を教えてくれた。
真選組に帰る頃には、袋はパンパンになり、追加の袋にまで用意されてあった。
また来ますと小紫たちに手を振って、自転車に乗って屯所に帰った。
屯所に帰ると、まだ隊士たちがコソコソしていたので、ここの状況は全く変わっていなかった。
隊服を着替え、仕事部屋に戻った。
しなくてもいいのかもしれないが、約束した以上はやるしかない。
名刺の仕分けをすると、どうしても隊士たちの性癖なるものが見え隠れする。はじめの100枚で心が折れそうになった。
土方は人気があり、ほぼ全ての店からオファーがあった。営業系のメッセージは読めてしまうが、本気のメッセージは出来るだけ目にしないように素早く仕分けした。
沖田は想像通り、土方に次いで人気だったが、店の系統に偏りがある。想像通り、ドSやらドMやら調教やらの文字がよく見えた。よく知らないのだが、年齢制限などは関係ないのだろうか?
山崎は意外や意外、沖田よろしくドSやドMなどの店が多く、原田はナース、CA、などお仕事系、斉藤は営業のみだった。
他の隊士も全員振り分けると、もうすでに14時半を回っていた。
知里はお昼ごはんを見事に逃した。