1999.07.11〜2004.05
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日の当たらない病室の真白いリノリウムの床に、整然と配置された医療機器。
規則的に響く電子音は、それ が生きていることを三輪一言に伝えた。
治療ではなく観察のため、保護ではなく保管のため。
目の前にいるそれが、「患者」ではなく「実験動物 」として生かされていることも、無色の王三輪一言は同時に理解してしまった。
それは寝台に横たえられ、無数のコードやチューブで標本のように拘束された少女だった。
彼女は先日センターに「保護」された、ベータクラスのストレインだ。
三輪一言は、つい先日自身の予言で目にした少女の悲惨な有様を実際に目の当たりにし、その時に見た未来を再び脳裏に浮かび上がらせる。
「可哀想に」と言う資格は一言にはない。彼女の現状を作り出したのは紛れもなく己にも一因があるからだ。
今から自分が選ぶことは、ただ目の前の理不尽な目にあう子供を助けたいという聖人君子めいた願いではない。贖罪とも言えるだろうが救うことで償い切れるものでもない。
彼女の未来をこの目で見たい。
ただそれだけの、エゴに過ぎないのだから。
能力を抑制するために鎮静剤を投与されているのだろう、眠ることも意識を覚醒することも許されず、微睡みの中にい続けたせいか力なく伸ばされた小さな手を、一言はそっと握り返し彼女に微笑んだ。
「私と共に来るかい?」
規則的に響く電子音は、
治療ではなく観察のため、保護ではなく保管のため。
目の前にいるそれが、「患者」ではなく「
それは寝台に横たえられ、無数のコードやチューブで標本のように拘束された少女だった。
彼女は先日センターに「保護」された、ベータクラスのストレインだ。
三輪一言は、つい先日自身の予言で目にした少女の悲惨な有様を実際に目の当たりにし、その時に見た未来を再び脳裏に浮かび上がらせる。
「可哀想に」と言う資格は一言にはない。彼女の現状を作り出したのは紛れもなく己にも一因があるからだ。
今から自分が選ぶことは、ただ目の前の理不尽な目にあう子供を助けたいという聖人君子めいた願いではない。贖罪とも言えるだろうが救うことで償い切れるものでもない。
彼女の未来をこの目で見たい。
ただそれだけの、エゴに過ぎないのだから。
能力を抑制するために鎮静剤を投与されているのだろう、眠ることも意識を覚醒することも許されず、微睡みの中にい続けたせいか力なく伸ばされた小さな手を、一言はそっと握り返し彼女に微笑んだ。
「私と共に来るかい?」