デフォルト名は「桜井 和美」になります。
第一話 戦車道、始めます!
名前は?
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ピピピピッ!ピピピピッ!
爽やかなお日様の光と共にやかましい目覚ましの音が部屋に響きわたる。こんもりと盛り上がった布団から目覚ましを押そうとする手が出てくる。
「うー…うるさい…」
バシッ!
目覚ましを押した手は再び布団の中に潜る。だが、目覚ましはまだ止まらない。
「和美、朝よ!起きなさい!」
「……起きてる…」
「早く起きなさい!!」
「…起きてるって!…」
布団にこもっていた彼女は、バサッと音を立てながら起きる。寝起きの全く開かない目で時計を見る。
「…六時半…起きるか…」
完全には開かない目で一階に降りる。どこかに寝れる場所があれば二度寝をしそうな感じである。
「おはよー」
「おはよう、まったく目覚ましで起きなさいよ」
「はーい」
彼女の名前は桜井 和美。今年大洗女子学園に入学した一年生である。どこにでもいる普通のJKだ。
「和美~、早くご飯食べなさい!あかりちゃんが来ちゃうよ!」
「はいよ~」
顔を洗って、歯を磨いて、髪を整える。パジャマ姿のままご飯を食べる。
「はい、ヤクルトも飲んでね」
「ありがと」
ピンポーン
「はーい!あら、あかりちゃんじゃない!おはよう」
「おはようございます、和美のお母さん!」
「ごめんね、あの子まだご飯食べてるのよ、ちょっと待っててね。和美!あかりちゃん来たよ、まだ食べてるの?」
「今、食べ終わった!」
「早くしなさい!」
「せかさないでよ!」
いつも通りの朝。なんてことない一日。親の怒鳴り声で始まり、家を出るまでそれは続く。桜井家にとってはいたって普通の光景。
「「いってきまーす」」
「いってらっしゃい」
学校に向かって歩き出す二人。
「もう少し、遅く来てもいいじゃん」
「何言ってんの?毎朝アイジーンの所に行ってから学校に行くって言ったのあんたじゃない」
「まぁ、そんなんだけどさ」
なんやかんや言いながら、彼女たちがアイジーンと呼んでいるものの所に来た。
「おはよう、アイジーン」
彼女たちがそう呼ぶものは戦車であった。その戦車は第二次世界大戦期に開発されたKV-1の軽量化されKV-1S。だが、軽量化の結果装甲は薄くなり砲塔は75mmと重戦車なのに重戦車と呼べない戦車となってしまった。
アイヂジーンの由来はKV-1Sの「1」からとられている。ロシア語で1の発音は「アヂーン」というのだが、和美は「アイジーン」と覚え違いをしていた。あかりに「アヂーン」と教えられたが彼女的に音の響きがよかったためこの呼び名になった。
「よく飽きないね、毎朝ここに来て」
「それはあかりだって同じじゃない?いつもうちのわがままに付き合ってわざわざここに一緒に来てくれるじゃん?」
「まぁ、中々いいフォルムしているんじゃない?」
「あかりも気にいってんじゃん♪」
二人はしばらくそこで過ごし学校へと向かった。
「今日学校終わったらさ、アイジーン綺麗にしない?」
「別にいいけどさ、今日ってロングホームルームだったよね?」
「あ、そうだった。いつもより帰るの遅くなるね…じゃあ明日にする?」
「その方がいいよ、明日だったらアイジーン綺麗に洗えるよ」
「OK!じゃあ明日やろ!」
「はいよって、8時15分じゃん!?遅刻になる!!あのうるさい風紀委員に捕まったらまたお小言いわれる!」
「そど子先輩の小言長いんだよな。よし、学校まで競争!!負けたら昼ごはん奢り!」
「あ、ズルい!待って!!」
二人は学校に向かって走り出した。そして、遅刻は何とか免れました、チャンチャン♪…となるはずもなく。
「チャイムが鳴り終わる前に校内に入りましたよ、先輩」
「鳴り終わりじゃなくて鳴り始まる前に入らないといけないの!」
「30秒ぐらいいいじゃないですか!」
「ダメなものはダメなの!規則だからね!」
「そど子先輩のケチ」
「ケチ」
ボソッと小さな声で言ったが風紀委員にはしっかり聞こえていたようで目を細めて言い返す。
「なんか言った?」
「そど子」こと本名、園 緑子。アイジーンのもとに毎朝通う二人はいつもギリギリに校門を通るため、その存在は既に風紀委員に認知されていた。
「「いえ、何にも」」
「よろしい、早く校舎に入りなさい」
「「はーい」」
そう返事をしてトボトボと校舎に入っていく。
「そういえば、今日のロングホームルームって何すんだっけ?」
「確か選択必修科目のオリエンテーションだった気がする」
「選択必修科目って何があったっけ?」
「わかんない、まだ何の奴があるか出てなかった気がするよ」
「あとのお楽しみか…何があるかな?」
「やっぱり華道とか茶道とか」
「えー、もっとアグレッシブなのやりたい」
「なんだかんだめんどくさって言いながら運動は好きだよね」
「だって体動かすの楽しいじゃん!」
「はいはい、そろそろ教室だから授業がんばろうね」
「絶対寝るわ授業」
苦笑いしながら寝ないでねとあかりは言うが、和美は寝るなと言われたら寝たくなると言い、二人はいつも通り笑いながら教室に入っていく。朝から遅刻をする二人だが、それなりにしっかりと授業を受けて最後のロングホームルームの時間になった。