To the outside of the Jail-檻の外へ-
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私は見た。
雲一つない昼寝をするのにすごくいい天気だった。いつもご主人様といる場所とは違って大きな木だったり青々とした草が生えていた。
ー-どこなんだろうか。
私はしばらく歩いてみると開けた場所に出た。
ー-うわー、大きい。
ご主人様よりも同じぐらい、いや多分ご主人様よりも大きい木がそこには立っていた。その木にはたくさんの花をつけて咲き誇っていた。きれい、もっと近くで見たい、そう思った私はその気に近づいて行った。少し近づいて人に気づいた私は姿勢を低くしてじっと待った。
そこにいたのは女の人と男の人が一緒に大きな木を見ていた。男の人は黒髪に赤い目をしていた。
ー-あれ、どこかで見たことがあるような…。
女の人はというと靄がかかっているようで顔の部分を確認することは出来なかった。しばらくその気に咲いている花を眺めた後、女の人が話し出した。
「……この桜もこれで見納めね…」
「…そうだな」
この大きな木は桜というらしくきれいな花をつけていた。二人の話が気になった私は桜の木に近寄った。しばらく二人は静かにを眺めていた。二人とも無言だったがそこに嫌な雰囲気はなかった。そして、女の人が言った。
「.......必ず、帰って来てくれる?」
「あぁ、必ず帰ってくる...だから待っていてくれ、ーーー」
「わかったわ、待ってる.......貴方が帰って来るのを」
男の人が女の人の名前を言ったがうまく聞き取れなかった。もっと近づこうしたとき、後ろ方声をかけられた。
”それ以上、近づいてはダメ”
ー-え?
振り向こうとしたとき桜の花びらがまるで私を引き留めるかのように私の周りで渦を巻くように花びらが舞う。視界のほとんどを遮る桜の花びらの隙間から辛うじて二人の姿が見えた時、男の人は女の人を抱きしめ合っていた。
「.......帰って来たら、泣き顔じゃなくて笑って迎えてくれ...な?」
「えぇ...ちゃんと、笑って、貴方を迎える」
きっと二人はお互いに綺麗な笑顔を浮かべているだろう。顔は見えないけどそんな気がする。けど何故だろう、どうしてこんなににも胸が苦しいのだろうか。どうして涙が溢れて止まらないのだろうか。
二人が桜の木の下で抱きしめ合う姿は私の脳裏に強く残った。お互いの温もりを確かめ合うその姿はもう見たくないと思った。その瞬間、視界が桜の花びら色に染まり意識は途切れた。
・
・
・
・
・
・
・
………ウェイ…ラ……ラナウェイ
ご主人様に呼ばれて目を開ければ、そこはいつもと変わらない場所だった。あれは何だったのだろう?
「ラナウェイ、どうしたんだ?大丈夫か?」
心配そうにこちらを見てくるご主人様。大丈夫だと思ってもらうために元気良く声を上げた。
『ナウ!』
「そうか、あまり心配させるなよ」
そう言ってご主人様はいつものように頭を撫でてくれた。あぁ、やっぱりご主人様のこの大きな手はすごく落ち着く。包み込んでくれるような感じがして気持ちがいい。私はさっきの夢と言われるものことなんかすっかり忘れてしまっていた。私はすっかり気分を良くしてご主人球に抱っこをねだる。
「仕方ないな」
嬉しそうに微笑みながら私のことを抱き上げてくれた。私は胸元に頭を擦りつけてグルグル喉を鳴らしながら甘えた。
「ラナウェイ、今日はお前にプレゼントがある」
ぷれぜんと?何それ美味しいお肉?
ヨダレを垂らした私を見ると、決して肉ではないからな…と困ったように言った。お肉じゃないのか…。
「プレゼントって言うのはこれだ」
ご主人様の手元から出てきたのは丸い輪っかみたいなものだった。それを見て毛が逆立つのわかった。首につける検査機だと思った。人間共が私の体の変化かわかるようにつけられたものにそっくりだった。
私が唸っている理由がわかったのかこれは思えの苦しめるものでは無いとそう言った。
「お前にとっては便利になるし俺とも過ごしやすくなる」
ゆっくり近づいていく。私の頭を優しく撫でて優しく首輪を付けた。カチッて言う音がした。
『ナ!?ナ?〈うわ!ってアレ?〉』
「その首輪は“音声変換機”だ。お前の声を言語化したものだ。だいぶ時間がかかったがやっと作れた。俺からお前へのプレゼントだ」
嬉しい…単純にそう思った。私と喋りたいから彼はこれを作ってくれた。
『〈私と…話したいから…?〉』
「そう、だな。何かと不便だったろ?」
そう聞けば、少し恥ずかしいそうな顔をして首辺りを掻きながら、違うとこを見ているご主人様が明らかに照れてることがわかった。ふふ、ちょっと可愛いかも…何か、ご主人様の意外な一面が見れて嬉しいな…そんなご主人様を見て、ふとどこかで見たことがあるように感じた。さっきの変なあれだ。確か、出てきた男の人も赤い目だった。もしかしてあれって、ご主人様?そこからは芋づる式に見た内容を思い出していった。ご主人様はいつかその人の所に行くのかな?
「どうした?食べないのか?」
暗くなっていた私にいつも通りの口調で話しかけてくれた。たけど、私は小さな声で答えることしか出来なかった。ご主人様は、そんな私の頭を優しく撫でてくれた。
「大丈夫だ...俺はここにいる、何も怖いことなんてない」
…やっぱり、ご主人様はすごいな。私のこと何でもわかってくれてる。私は頭をこすりつけて甘えた。いつかご主人様とは離れ離れになる時が来る。だけどご主人様があの人のところに行くまでずっと一緒にいたい私はそう思った。
私は見た。
雲一つない昼寝をするのにすごくいい天気だった。いつもご主人様といる場所とは違って大きな木だったり青々とした草が生えていた。
ー-どこなんだろうか。
私はしばらく歩いてみると開けた場所に出た。
ー-うわー、大きい。
ご主人様よりも同じぐらい、いや多分ご主人様よりも大きい木がそこには立っていた。その木にはたくさんの花をつけて咲き誇っていた。きれい、もっと近くで見たい、そう思った私はその気に近づいて行った。少し近づいて人に気づいた私は姿勢を低くしてじっと待った。
そこにいたのは女の人と男の人が一緒に大きな木を見ていた。男の人は黒髪に赤い目をしていた。
ー-あれ、どこかで見たことがあるような…。
女の人はというと靄がかかっているようで顔の部分を確認することは出来なかった。しばらくその気に咲いている花を眺めた後、女の人が話し出した。
「……この桜もこれで見納めね…」
「…そうだな」
この大きな木は桜というらしくきれいな花をつけていた。二人の話が気になった私は桜の木に近寄った。しばらく二人は静かにを眺めていた。二人とも無言だったがそこに嫌な雰囲気はなかった。そして、女の人が言った。
「.......必ず、帰って来てくれる?」
「あぁ、必ず帰ってくる...だから待っていてくれ、ーーー」
「わかったわ、待ってる.......貴方が帰って来るのを」
男の人が女の人の名前を言ったがうまく聞き取れなかった。もっと近づこうしたとき、後ろ方声をかけられた。
”それ以上、近づいてはダメ”
ー-え?
振り向こうとしたとき桜の花びらがまるで私を引き留めるかのように私の周りで渦を巻くように花びらが舞う。視界のほとんどを遮る桜の花びらの隙間から辛うじて二人の姿が見えた時、男の人は女の人を抱きしめ合っていた。
「.......帰って来たら、泣き顔じゃなくて笑って迎えてくれ...な?」
「えぇ...ちゃんと、笑って、貴方を迎える」
きっと二人はお互いに綺麗な笑顔を浮かべているだろう。顔は見えないけどそんな気がする。けど何故だろう、どうしてこんなににも胸が苦しいのだろうか。どうして涙が溢れて止まらないのだろうか。
二人が桜の木の下で抱きしめ合う姿は私の脳裏に強く残った。お互いの温もりを確かめ合うその姿はもう見たくないと思った。その瞬間、視界が桜の花びら色に染まり意識は途切れた。
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………ウェイ…ラ……ラナウェイ
ご主人様に呼ばれて目を開ければ、そこはいつもと変わらない場所だった。あれは何だったのだろう?
「ラナウェイ、どうしたんだ?大丈夫か?」
心配そうにこちらを見てくるご主人様。大丈夫だと思ってもらうために元気良く声を上げた。
『ナウ!』
「そうか、あまり心配させるなよ」
そう言ってご主人様はいつものように頭を撫でてくれた。あぁ、やっぱりご主人様のこの大きな手はすごく落ち着く。包み込んでくれるような感じがして気持ちがいい。私はさっきの夢と言われるものことなんかすっかり忘れてしまっていた。私はすっかり気分を良くしてご主人球に抱っこをねだる。
「仕方ないな」
嬉しそうに微笑みながら私のことを抱き上げてくれた。私は胸元に頭を擦りつけてグルグル喉を鳴らしながら甘えた。
「ラナウェイ、今日はお前にプレゼントがある」
ぷれぜんと?何それ美味しいお肉?
ヨダレを垂らした私を見ると、決して肉ではないからな…と困ったように言った。お肉じゃないのか…。
「プレゼントって言うのはこれだ」
ご主人様の手元から出てきたのは丸い輪っかみたいなものだった。それを見て毛が逆立つのわかった。首につける検査機だと思った。人間共が私の体の変化かわかるようにつけられたものにそっくりだった。
私が唸っている理由がわかったのかこれは思えの苦しめるものでは無いとそう言った。
「お前にとっては便利になるし俺とも過ごしやすくなる」
ゆっくり近づいていく。私の頭を優しく撫でて優しく首輪を付けた。カチッて言う音がした。
『ナ!?ナ?〈うわ!ってアレ?〉』
「その首輪は“音声変換機”だ。お前の声を言語化したものだ。だいぶ時間がかかったがやっと作れた。俺からお前へのプレゼントだ」
嬉しい…単純にそう思った。私と喋りたいから彼はこれを作ってくれた。
『〈私と…話したいから…?〉』
「そう、だな。何かと不便だったろ?」
そう聞けば、少し恥ずかしいそうな顔をして首辺りを掻きながら、違うとこを見ているご主人様が明らかに照れてることがわかった。ふふ、ちょっと可愛いかも…何か、ご主人様の意外な一面が見れて嬉しいな…そんなご主人様を見て、ふとどこかで見たことがあるように感じた。さっきの変なあれだ。確か、出てきた男の人も赤い目だった。もしかしてあれって、ご主人様?そこからは芋づる式に見た内容を思い出していった。ご主人様はいつかその人の所に行くのかな?
「どうした?食べないのか?」
暗くなっていた私にいつも通りの口調で話しかけてくれた。たけど、私は小さな声で答えることしか出来なかった。ご主人様は、そんな私の頭を優しく撫でてくれた。
「大丈夫だ...俺はここにいる、何も怖いことなんてない」
…やっぱり、ご主人様はすごいな。私のこと何でもわかってくれてる。私は頭をこすりつけて甘えた。いつかご主人様とは離れ離れになる時が来る。だけどご主人様があの人のところに行くまでずっと一緒にいたい私はそう思った。
-Master-
(私はずっと貴方の傍に)
(.....隣に居たい)
(私はずっと貴方の傍に)
(.....隣に居たい)