To the outside of the Jail-檻の外へ-


___○○研究所


「おい!実験台が逃げ出したぞ!」

警報が鳴り響く中、武装をした男が大声でそう言った。それを聞きつけた者たちは手に銃を持って実験台が逃げた先へと向かった。


『ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ』

彼女は森の中に入り、上がった息を整えていた。そして自分が逃げ出した研究所に向かって吠えた。


『ガォォォォオオオ!!!!』

そしてまた走り出す。久しぶりの土の感触に彼女は高ぶっていた。彼女の頭を支配していたのは"喜び"だった。

そう、彼女は『自由』を手に入れた。

だがその喜びに長くひたっていることはできなかった。研究所の者たちが彼女を追いかけて来ていたのだ。彼女は考えた。自分は子供の体。普通に走っていたら捕まってしまう。地面を走って追いつかれるのなら、木に登って枝の上を走ればいい。彼女はすぐさま木の上に登った。

バンッ!バンッ!

自分に向かって飛んでくる銃弾をギリギリで避けながら走る。だが、運悪く目の前に来た銃弾が目を掠った。

その反動で彼女は木から落ちる。高さも大分あり痛みで体をすぐ起こすことが出来なかった。人間たちの足音がだんだんと近づいてくるのがわかった。何とか起き上がったが、走り出すことは出来なかった。どうやら、木から落ちた時に足を捻挫してしまったようだ。

だが、それは彼女が諦める理由にはならかった。

彼女は研究所の者たちの背後へと周り一人ずつ着実に仕留めて行った。全員を殺した時には体中ボロボロだった。ふらつく足で彼女はその場を立ち去った。


彼女が疲れて着いた場所は廃墟だった。やっぱりな、と心の何処かで納得している自分がいたのだ。廃墟と言うものに運命的なことが感じられた。

今までの疲れが出てきて段々と体が動かなくなっていった。このまま自分は死ぬんだと彼女は悟った。そんな彼女の視界にとてつもなく大きい何かが入ってきた。


<________________?>

何かを言っているのだが、何を言っているのかわからない…だけど、雰囲気的に自分に何かを問いかけているのはわかった。

<______________________________?>

とまた何かを聞いてきた。彼女は適当に頷いた。

<_________________runawey. >

最後の"ラナウェイ"というのだけ聞き取ることが出来た。ラナウェイ、それが何を意味するのかは彼女には分からなかったが、何故かとても気持ちが安らいだ。彼女…ラナウェイは新たな喜びを胸にゆっくりと目を閉じた。

これが彼と彼女の運命の歯車が動き出した合図だった。


-The gears of fate-

(歯車は回りだした)

(もう誰にも止められない)



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