イニシャルはQ【爆上・大也】
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※バクアゲ9時空
戦いは痛み分けとなった。マッドレックスは満身創痍、レッドもかなりのダメージを負っている。
私は少し離れたビルの屋上で日傘を差しながら、優雅にブンブンジャーとマッドレックスの戦いを眺めていた。レッドのいないブンブンジャーは苛立ちを募らせたマッドレックスに蹂躙され、今にも壊滅寸前だった。
「……何が、あそこまで」
──何が彼らを動かしているのだろう。名誉か、賞賛か、それとも報酬か。いや、そんなくだらない物に左右される程彼らも愚かではない筈だ。
同時攻撃を仕掛けるが、それすらも返り討ちにされてしまう。今マッドレックスを倒せるのはレッドか、レッドが揃ったブンブンジャーだけだろう。
変身が解除され、絶対絶命というところで真っ赤な車が到着した。車からは傷だらけの大也が降りてくる。包帯を巻かれ、痛々しい姿をしていた。
「来たか、ブーンレッド」
「マッドレックス…決着をつけようか」
二人だけの空間が形成されようとした瞬間、「勝手に決着つけないでくれる!?」とピンクの大声がその場に響いた。
「あたし…あんたにハンドル預けてないよ。あたしは自分の意志でここにいる。ブンちゃんの夢を届けるのが大也の夢なら、その夢を届けるのがあたしの夢!」
ブン、というのは恐らくいつもブンブンジャーが乗っているロボのことだろう。確かあれも意思を持つ生命体だった筈だ。大也は、そのロボの夢を手助けしているようだ。
「俺は何も分かっていなかった!…夢は生きる力ですもんね。それなら…夢を守るのが俺の、ブンブンジャーの使命です!」
「特等席は降りない。お前さんが嫌だと言ってもね」
「…という訳だ。今度は、置いていくなよ」
「みんな…」
「自分のハンドルを握るって、こういうことでしょ?」
ピンクが得意げに笑う。そういえば、彼らはやたらと「ハンドル」という単語を繰り返している気がする。正直、どういう意味なのかは分からない。少なくとも今の私には、ノリで言っているようにしか聞こえなかった。
「最高の…」
「「バクアゲ/だろ/だね/でしょ/ですね!」」
嬉しそうに微笑み、レッドはマッドレックスへと向き直った。とても幸せそうだ。その笑顔を見た瞬間ズキン、と頭が痛む。
頭痛にふらつき、思わず立っていられなくなった私はヨロヨロと尻餅をついた。──この感覚は、何?何が私を刺激しているの?
答えは得られない。誰も答えてはくれなかった。ただ痛みだけが、私の何かを抉ろうとする。
「みんなで走るぞ!」
「オーライ!」
*
巨大化したマッドレックスとの戦闘。ブンブンジャーロボナイトがマッドレックスの胴体を高速で斬り付ける。
「いいぞ…もっと俺のエンジンを熱くさせろ!」
向かってくるマッドレックスに正確な斬撃を打ち込み、翻弄する。終いには他のブンブンカー達が集まり、マッドレックスに総攻撃まで仕掛けた。
「見たか!これがナイトとブンブンカーのパワーだ!」
「うおおッ…!怒りのデスロッド!」
マッドレックスが炎をチャージする。それに呼応するように、ブンブンジャーロボナイトも文字通り火を点けた。剣を回して構え、攻撃態勢に移る。
「バクアゲソード!ブンブンフィニッシュ!」
「くらええぇぇぇーッ!!」
一瞬だが、剣がマッドレックスの体を裂いたのが見えた。どうやら、勝負はついたらしい。彼のレース人生もここまでのようだ。
「ブーンレッドよ…まだまだその腕じゃあ、ボスには勝てねえぜ…!うっ…」
派手な爆発音と炎を上げ、マッドレックスは散っていった。まさしくデスレースだった。マッドレックスもブンブンジャーも、それに挑む覚悟を見せた。
「よっしゃあ!ありがとな、ブンブンカー!!」
勝者の声が響き渡る。どうやら、今日も地球の平和は保たれたらしい。
”俺様の走りを見てろ。その壊れたエンジン、俺様が熱くしてやるよ”。彼の言葉が蘇る。意味は何となく分かったような気がする。
ただ、私の中にある「エンジン」が熱くなったのかどうかは分からなかった。結局私は、命令に従うだけの存在だ。自動運転の車と変わらない。
だが、私のエンジンがかかることへの興味は湧いた。果たして私はどうなってしまうのだろう。もしかしたら、記憶を取り戻すことができるかもしれない。そうすれば、きっと何か見えて来る筈だ。
マッドレックスがやられたというのに少し浮足立った私を律するかのように、持っていた端末に通信がかけられてきた。1コールでそれに応じ、「はい、こちら地球侵略隊前線構成員、クイーン」と名乗る。
「調子はどうですか、クイーン」
「マッドレックスがやられたわ。地球は、私達が思っている以上に脆い存在ではないみたい」
「…そうですか、アイツが。……クイーン、戦闘の情報共有、お願いしますよ」
「ええ。そっちはどうするの?」
「そろそろ着く頃です。私自ら赴くことになるとは思っていませんでしたが、まあ良いでしょう。それよりも、久しぶりの地球はどうですか?」
「久しぶり?私、地球に来たことあるの?」
「ああ、覚えていませんでしたか。なら結構です。また現地で落ち合いましょう」
「分かったわ。そろそろ馬鹿共の相手も疲れてきたから出来るだけ早く来て頂戴、キャノンボーグ」
戦いは痛み分けとなった。マッドレックスは満身創痍、レッドもかなりのダメージを負っている。
私は少し離れたビルの屋上で日傘を差しながら、優雅にブンブンジャーとマッドレックスの戦いを眺めていた。レッドのいないブンブンジャーは苛立ちを募らせたマッドレックスに蹂躙され、今にも壊滅寸前だった。
「……何が、あそこまで」
──何が彼らを動かしているのだろう。名誉か、賞賛か、それとも報酬か。いや、そんなくだらない物に左右される程彼らも愚かではない筈だ。
同時攻撃を仕掛けるが、それすらも返り討ちにされてしまう。今マッドレックスを倒せるのはレッドか、レッドが揃ったブンブンジャーだけだろう。
変身が解除され、絶対絶命というところで真っ赤な車が到着した。車からは傷だらけの大也が降りてくる。包帯を巻かれ、痛々しい姿をしていた。
「来たか、ブーンレッド」
「マッドレックス…決着をつけようか」
二人だけの空間が形成されようとした瞬間、「勝手に決着つけないでくれる!?」とピンクの大声がその場に響いた。
「あたし…あんたにハンドル預けてないよ。あたしは自分の意志でここにいる。ブンちゃんの夢を届けるのが大也の夢なら、その夢を届けるのがあたしの夢!」
ブン、というのは恐らくいつもブンブンジャーが乗っているロボのことだろう。確かあれも意思を持つ生命体だった筈だ。大也は、そのロボの夢を手助けしているようだ。
「俺は何も分かっていなかった!…夢は生きる力ですもんね。それなら…夢を守るのが俺の、ブンブンジャーの使命です!」
「特等席は降りない。お前さんが嫌だと言ってもね」
「…という訳だ。今度は、置いていくなよ」
「みんな…」
「自分のハンドルを握るって、こういうことでしょ?」
ピンクが得意げに笑う。そういえば、彼らはやたらと「ハンドル」という単語を繰り返している気がする。正直、どういう意味なのかは分からない。少なくとも今の私には、ノリで言っているようにしか聞こえなかった。
「最高の…」
「「バクアゲ/だろ/だね/でしょ/ですね!」」
嬉しそうに微笑み、レッドはマッドレックスへと向き直った。とても幸せそうだ。その笑顔を見た瞬間ズキン、と頭が痛む。
頭痛にふらつき、思わず立っていられなくなった私はヨロヨロと尻餅をついた。──この感覚は、何?何が私を刺激しているの?
答えは得られない。誰も答えてはくれなかった。ただ痛みだけが、私の何かを抉ろうとする。
「みんなで走るぞ!」
「オーライ!」
*
巨大化したマッドレックスとの戦闘。ブンブンジャーロボナイトがマッドレックスの胴体を高速で斬り付ける。
「いいぞ…もっと俺のエンジンを熱くさせろ!」
向かってくるマッドレックスに正確な斬撃を打ち込み、翻弄する。終いには他のブンブンカー達が集まり、マッドレックスに総攻撃まで仕掛けた。
「見たか!これがナイトとブンブンカーのパワーだ!」
「うおおッ…!怒りのデスロッド!」
マッドレックスが炎をチャージする。それに呼応するように、ブンブンジャーロボナイトも文字通り火を点けた。剣を回して構え、攻撃態勢に移る。
「バクアゲソード!ブンブンフィニッシュ!」
「くらええぇぇぇーッ!!」
一瞬だが、剣がマッドレックスの体を裂いたのが見えた。どうやら、勝負はついたらしい。彼のレース人生もここまでのようだ。
「ブーンレッドよ…まだまだその腕じゃあ、ボスには勝てねえぜ…!うっ…」
派手な爆発音と炎を上げ、マッドレックスは散っていった。まさしくデスレースだった。マッドレックスもブンブンジャーも、それに挑む覚悟を見せた。
「よっしゃあ!ありがとな、ブンブンカー!!」
勝者の声が響き渡る。どうやら、今日も地球の平和は保たれたらしい。
”俺様の走りを見てろ。その壊れたエンジン、俺様が熱くしてやるよ”。彼の言葉が蘇る。意味は何となく分かったような気がする。
ただ、私の中にある「エンジン」が熱くなったのかどうかは分からなかった。結局私は、命令に従うだけの存在だ。自動運転の車と変わらない。
だが、私のエンジンがかかることへの興味は湧いた。果たして私はどうなってしまうのだろう。もしかしたら、記憶を取り戻すことができるかもしれない。そうすれば、きっと何か見えて来る筈だ。
マッドレックスがやられたというのに少し浮足立った私を律するかのように、持っていた端末に通信がかけられてきた。1コールでそれに応じ、「はい、こちら地球侵略隊前線構成員、クイーン」と名乗る。
「調子はどうですか、クイーン」
「マッドレックスがやられたわ。地球は、私達が思っている以上に脆い存在ではないみたい」
「…そうですか、アイツが。……クイーン、戦闘の情報共有、お願いしますよ」
「ええ。そっちはどうするの?」
「そろそろ着く頃です。私自ら赴くことになるとは思っていませんでしたが、まあ良いでしょう。それよりも、久しぶりの地球はどうですか?」
「久しぶり?私、地球に来たことあるの?」
「ああ、覚えていませんでしたか。なら結構です。また現地で落ち合いましょう」
「分かったわ。そろそろ馬鹿共の相手も疲れてきたから出来るだけ早く来て頂戴、キャノンボーグ」