イニシャルはQ【爆上・範道大也】
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大也の、届け屋の仕事に付いて行くと良いことがある。キッチンカーのアイスを買ってくれたり、カプセルトイをやらせてくれたり、コンビニのくじを引かせてくれたりと、まあ色々である。どうして毎度そんなことをするのかと言うと、依頼人と私がコミュニケーションをとっているところを見るのが好きらしい。社会に溶け込んでいる光景が安心する、とかで。
何だか若干失礼なことを言われているのではないかと思ったが、まあそれは彼の行いに免じてスルーしてやった。
「柚葉、昼ご飯何か食べたいものあるか?」
「んー…あ、久々にお寿司食べたい」
「オーライ」
回転寿司に行ったのは地球にいた頃だから、もう何年も前だ。食べ終えた皿の数でミニゲームをするのが好きだった。全然親しみのない謎のマスコットキャラクターのグッズでも、思い出の品になったものだ。この歳でやったら、流石に笑われてしまうだろうか…。
*
「……大也」
「ん?」
「こ、ここ、高いところじゃない…?」
「そうか?前はシャーシロを連れてきたんだが…」
所謂、回らない寿司というやつである。それなりに年季の入っていそうな板前と、高所得そうな客層。いつもの服装でやって来た私(達)は何だか明らかに場違いなのだが、大也が隣にいるからか手厚くもてなされている。
「い、いや、射士郎はそういうの慣れてるでしょ…。わ、私、こんなお店来るの初めてなんだけど…!」
「なんだ、そんなことか。大丈夫さ、ここは肩肘張らなくてもいい店だから」
「い、いやいや、絶対アウェーよ、私…!」
真っ青になって大也とコソコソ話していると、「何にしますか?」と声をかけられた。
──こういうのって、確か食べる順番とかあるんじゃないの…!?私マナーも知らないわよ!?助けて大也…!!
という視線を彼に送ると、大也がそれっぽく注文をしてくれた。幸い好き嫌いは少ない為、何でも食べられるのでそれでいいのだが。…恥ずかしい。
「最初は味の薄いものから食べるのが良いんだ。勿論、好きなものを好きな順番で食べるのもいいが、折角なら美味しく食べてもらいたいからな」
「…慣れてるのね」
「…代表に色々と連れて行ってもらったからな」
「…そう。なら、連れて行く相手は考えたら?」
「…嫌だったか?柚葉は美味しいものが好きだから、とびきり美味しいものを食べさせたかったんだ」
「……嫌じゃ、ないけど…。ドレスコードとかあるから、今度からは言ってほしいかも…」
「わかった。今度からは、店に連れて来る前に服と靴も買って揃えよう」
「そういう問題じゃないわよ…!」
*
初めての回らない寿司。めちゃくちゃ美味しかった。緊張で味が分からない、なんてことは起きなかったので良かった。
「ご馳走様でした」
「ああ。俺も、付き合ってくれてありがとう」
「大也って、私がご飯食べてるところ見るの好きよね」
そう言うと、少しだけ大也の運転が乱れた。法に違反しないし、危険運転という程でもないが。いつも大也の運転するこの車に乗っているから、彼の心が乱れたことがよく分かった。
隣を向くと、耳を赤らめた大也がいる。いつもあんなに余裕そうな彼が、少しだけ動揺している。
「…そうだな。いつも美味しそうに食事をとるから、美味しい物は沢山食べさせてあげたくなる」
「…ふ、大也も乙女心に関してはまだまだね」
「?」
「私がご飯を美味しく食べられるのは、あなたが一緒だからよ」
一人で食べるご飯は、凄く寂しい。みんなと食べるご飯が好き。大也と一緒に食べるご飯は、特別な意味で好き。高いものだから美味しいとか、そういうのはあんまりない。どんなものだって、誰かと一緒に食べるから美味しい。
「…なるほど。じゃあ、宇宙に行っても…沢山美味しい物、食べような」
「ええ、宇宙中の美味しいものを制覇してみせるわ」
「BBGは色んな惑星を巡るから、楽しみだ」
「そういえばBBGのコースを色々見ていたけど…何か、日本の土地名と同じところ多くない?北海道とか、新潟とか…」
「…まあ、そこはあんまり突っ込まないでくれ…」
「ご当地グルメも似たものがありそうね。よし、折角だし私はみんなが自由に動いている間ご当地グルメの買い出し係をしておくわ」
「応援もよろしく頼むよ、レースクイーンなんだから」
「もちろん!」
大也は運転中の為前を向いているが、楽しそうに笑っていた。そうだ、食事中の彼も笑顔で食べるから、私も同じように笑っていられるのだ。
改めて実感すると胸が熱くなり、腹の中で寿司のネタが躍っているような気がした。
もう少し、未来の話。BBGに参加して、ご当地グルメを買っているとき…”今川焼き”の名称をめぐって”おやき”、”大判焼き”、”回転焼き”、”御座候”、”ベイクドモチョチョ”…等でひと悶着起きることを、まだこの時の私は知らない。
何だか若干失礼なことを言われているのではないかと思ったが、まあそれは彼の行いに免じてスルーしてやった。
「柚葉、昼ご飯何か食べたいものあるか?」
「んー…あ、久々にお寿司食べたい」
「オーライ」
回転寿司に行ったのは地球にいた頃だから、もう何年も前だ。食べ終えた皿の数でミニゲームをするのが好きだった。全然親しみのない謎のマスコットキャラクターのグッズでも、思い出の品になったものだ。この歳でやったら、流石に笑われてしまうだろうか…。
*
「……大也」
「ん?」
「こ、ここ、高いところじゃない…?」
「そうか?前はシャーシロを連れてきたんだが…」
所謂、回らない寿司というやつである。それなりに年季の入っていそうな板前と、高所得そうな客層。いつもの服装でやって来た私(達)は何だか明らかに場違いなのだが、大也が隣にいるからか手厚くもてなされている。
「い、いや、射士郎はそういうの慣れてるでしょ…。わ、私、こんなお店来るの初めてなんだけど…!」
「なんだ、そんなことか。大丈夫さ、ここは肩肘張らなくてもいい店だから」
「い、いやいや、絶対アウェーよ、私…!」
真っ青になって大也とコソコソ話していると、「何にしますか?」と声をかけられた。
──こういうのって、確か食べる順番とかあるんじゃないの…!?私マナーも知らないわよ!?助けて大也…!!
という視線を彼に送ると、大也がそれっぽく注文をしてくれた。幸い好き嫌いは少ない為、何でも食べられるのでそれでいいのだが。…恥ずかしい。
「最初は味の薄いものから食べるのが良いんだ。勿論、好きなものを好きな順番で食べるのもいいが、折角なら美味しく食べてもらいたいからな」
「…慣れてるのね」
「…代表に色々と連れて行ってもらったからな」
「…そう。なら、連れて行く相手は考えたら?」
「…嫌だったか?柚葉は美味しいものが好きだから、とびきり美味しいものを食べさせたかったんだ」
「……嫌じゃ、ないけど…。ドレスコードとかあるから、今度からは言ってほしいかも…」
「わかった。今度からは、店に連れて来る前に服と靴も買って揃えよう」
「そういう問題じゃないわよ…!」
*
初めての回らない寿司。めちゃくちゃ美味しかった。緊張で味が分からない、なんてことは起きなかったので良かった。
「ご馳走様でした」
「ああ。俺も、付き合ってくれてありがとう」
「大也って、私がご飯食べてるところ見るの好きよね」
そう言うと、少しだけ大也の運転が乱れた。法に違反しないし、危険運転という程でもないが。いつも大也の運転するこの車に乗っているから、彼の心が乱れたことがよく分かった。
隣を向くと、耳を赤らめた大也がいる。いつもあんなに余裕そうな彼が、少しだけ動揺している。
「…そうだな。いつも美味しそうに食事をとるから、美味しい物は沢山食べさせてあげたくなる」
「…ふ、大也も乙女心に関してはまだまだね」
「?」
「私がご飯を美味しく食べられるのは、あなたが一緒だからよ」
一人で食べるご飯は、凄く寂しい。みんなと食べるご飯が好き。大也と一緒に食べるご飯は、特別な意味で好き。高いものだから美味しいとか、そういうのはあんまりない。どんなものだって、誰かと一緒に食べるから美味しい。
「…なるほど。じゃあ、宇宙に行っても…沢山美味しい物、食べような」
「ええ、宇宙中の美味しいものを制覇してみせるわ」
「BBGは色んな惑星を巡るから、楽しみだ」
「そういえばBBGのコースを色々見ていたけど…何か、日本の土地名と同じところ多くない?北海道とか、新潟とか…」
「…まあ、そこはあんまり突っ込まないでくれ…」
「ご当地グルメも似たものがありそうね。よし、折角だし私はみんなが自由に動いている間ご当地グルメの買い出し係をしておくわ」
「応援もよろしく頼むよ、レースクイーンなんだから」
「もちろん!」
大也は運転中の為前を向いているが、楽しそうに笑っていた。そうだ、食事中の彼も笑顔で食べるから、私も同じように笑っていられるのだ。
改めて実感すると胸が熱くなり、腹の中で寿司のネタが躍っているような気がした。
もう少し、未来の話。BBGに参加して、ご当地グルメを買っているとき…”今川焼き”の名称をめぐって”おやき”、”大判焼き”、”回転焼き”、”御座候”、”ベイクドモチョチョ”…等でひと悶着起きることを、まだこの時の私は知らない。