イニシャルはQ【爆上・範道大也】
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「ねえ聞いてよ!たった今、バイト全部クビになった…」
「えっ!?」
「今更可笑しくない?急に本社の指示とか絶対変!」
怒った様子でソファに座った未来だったが、すぐに立ち上がって「みんな見て!」とスマホの画面を私達に見せてくれた。そこにはいつものニュース番組が映し出されている。
「私達は騙されていたのでしょうか?宇宙人ハシリヤンと戦うブンブンジャーですが、彼らもまた地球を支配しようとする悪の組織…。多くの市民からは現在、ブンブンジャーを捕らえて真実を明らかにせよとの声が上がっています。こうした声を受け…」
「おいおいどこのどいつだよ?こんなデマ流しやがって」
「先斗。情報屋が言っていた”世界が敵になる”とは、このことではないのか?」
「もしかして、未来さんのバイト全滅も関係あるんじゃ…」
「大いにあるねえ。錠、君も職場にはいかない方がいい。惑星ブレキの時と同じだ…。乗っ取りはゆっくり…見えにくいところから始まる」
「………最低……」
拳を握り締めた。怒りのあまり手が震えていた。今までブンブンジャーは何度も地球の危機を救ってきたのに、突然手のひらを返し始めるなんて不人情だ。救ってきたことを「救ってあげた」と押し付けることは良くないが、それにしたって酷すぎる。
モニターでは丘からの景色を見ながら大也が内藤と話をし始めた。
「君は中学生だったな。ここで二人、星空を見上げて夢を語り合った。あの頃君はまだ子供ながらに、大きな余裕を持ちたくて何度も失敗していたな。君が助けを求めて書き込んだ言葉、覚えてるかい?」
「…”早く大人になりたい”…。受け止めてくれたのは、あんただけだった」
「あの言葉に私は惹かれ、君は良き生徒になった。君は素晴らしかったよ。私の教えを瞬く間に吸収し、余裕を持つには社会とどうコンタクトするか学んでくれた」
…内藤は、狡猾な人間だ。例えその時は本当に大也の力になっていたとしても、彼はISAと何かしらの関係を結んだのだろう。
言葉の節々から、大也を「子供」と認識していることが読み取れる。彼は、大也を何の力も持たない子供に変える。内藤が大也を少年と呼び続ける限り、少なくとも内藤の中で大也は大人にならない。
「君がヒーローになったことには驚き納得もした。だがその結果、君は世の中の本質から目を逸らしてしまった」
「本質?」
「悲鳴の意味。人は誰かが苦しんでいる姿を見て、あれに比べたら自分は幸せだと安心する。悲鳴が人の幸せを作るんだ」
内藤はそう語り、そして大也に告げた。ブンブンキラーロボを作ったのは自分だと。
ブンブンジャーと何度も戦ってきたブンブンキラーロボ。それを作っていたことの意味。
醜い。汚い。気持ち悪い。この男は、大也の心を穢した。大也の優しい心を、土足で踏みにじった。
「こんなヤツ……こんなヤツに…!」
爪が手に食い込む。何も出来ない自分と、内藤への怒りだった。また、何も出来なかった。支えられなかった。大也は、私の手をすり抜けていく。
黒煙が大也を覆った。黒煙が晴れた頃には、大也は──スピンドーに胸ぐらを掴まれていた。
「よう」
「スピンドー!」
「アタシと踊れや、範道大也」
大也を地面に放り投げる。即座にブンレッドに変身し、攻撃を仕掛けていった。しかし全て避けられ、簡単に武器を握られる。
「キレが足りねえ。アタシが見たい踊りじゃねえわ」
「大也!!」
スピンドーはレッドを蹴り上げた。地面に転がるレッドをバックに、モニターの方を向いて話しかけて来る。
「ブンの字!これ見てんだろ?」
「やっぱり俺、大也と一緒に行くべきだった!」
飛び出して行こうとするブンドリオ。しかしそれを、玄蕃が止めた。
「お前さん一人では苦しいぞ」
「大也は…俺の為に…」
「それではあの時の私と同じだ。仲間を頼れ」
玄蕃はブンドリオの肩に手を置く。微笑んでいた。
「スピンドーの狙いはブンさんです。今動けば奴らの思うつぼです」
「ブンちゃんはここで待ってて」
「大也のことなら俺達に任せとけ」
「うん、その思い私達が届けよう、ブンドリオ!」
そんな空気を遮るように、レッドの叫び声が響く。チャンピオンジャケットを着ても尚、スピンドーに有効打を与えられていなかった。
「…わかった。大也を…大也を頼む!」
「「オーライ!」」
ブンブンジャーが出動して行った。その間にもスピンドーとの戦いは続いており、レッドの攻撃は避けるか受け流されている。スピンドーは不敵に笑った。余裕があった。
蹴り技を容赦なく何発も入れていき、変身を解除させる。大也は地面に転がり、傷口を押さえた。
「君は勝てないよ」
「たまんないねえ…暴力はいい!」
「代表…俺はあんたに憧れてた。なりたい大人の姿があんただったからだ!!あんたの本質がどうであれ、俺は…あんた達の言いなりになんてならない!!」
ボロボロの状態で大也は立ち上がろうとする。顔やジャケットから見える腕には生々しい傷が幾つも付いていた。
「聞こえた悲鳴には必ず駆け付ける。それが…俺のハンドルだ!!」
「範道大也…。どのハンドルを握るかはアタシが決めるんだよ」
大也ににじり寄るスピンドー。その背後からブンブンジャーが一斉に攻撃を仕掛けたが、返り討ちに遭った。その間にビュンディーが大也のもとへ駆け寄って状況を説明し、戦闘に加わる。
蹂躙だった。歩くように、踊るように、スピンドーはブンブンジャーを嬲る。全員ボロボロの状態で、それでも大也を守ろうと前に立った。しかしスピンドーの攻撃で全員が変身を解除させられてしまう。
「みんな!!」
「聞け、ブンの字!アタシゃお前の仲間は誰一人殺さねえ。苦しめて泣かせて、ぐっちゃぐちゃのササラモサラにしてやるわ。これがお前の望んだ未来だ」
「ッ…スピンドー…!!」
「ブン様!」
怒りに任せてブンドリオが飛び出して行く。
私も、ガレージを後にして自室へ戻った。
「えっ!?」
「今更可笑しくない?急に本社の指示とか絶対変!」
怒った様子でソファに座った未来だったが、すぐに立ち上がって「みんな見て!」とスマホの画面を私達に見せてくれた。そこにはいつものニュース番組が映し出されている。
「私達は騙されていたのでしょうか?宇宙人ハシリヤンと戦うブンブンジャーですが、彼らもまた地球を支配しようとする悪の組織…。多くの市民からは現在、ブンブンジャーを捕らえて真実を明らかにせよとの声が上がっています。こうした声を受け…」
「おいおいどこのどいつだよ?こんなデマ流しやがって」
「先斗。情報屋が言っていた”世界が敵になる”とは、このことではないのか?」
「もしかして、未来さんのバイト全滅も関係あるんじゃ…」
「大いにあるねえ。錠、君も職場にはいかない方がいい。惑星ブレキの時と同じだ…。乗っ取りはゆっくり…見えにくいところから始まる」
「………最低……」
拳を握り締めた。怒りのあまり手が震えていた。今までブンブンジャーは何度も地球の危機を救ってきたのに、突然手のひらを返し始めるなんて不人情だ。救ってきたことを「救ってあげた」と押し付けることは良くないが、それにしたって酷すぎる。
モニターでは丘からの景色を見ながら大也が内藤と話をし始めた。
「君は中学生だったな。ここで二人、星空を見上げて夢を語り合った。あの頃君はまだ子供ながらに、大きな余裕を持ちたくて何度も失敗していたな。君が助けを求めて書き込んだ言葉、覚えてるかい?」
「…”早く大人になりたい”…。受け止めてくれたのは、あんただけだった」
「あの言葉に私は惹かれ、君は良き生徒になった。君は素晴らしかったよ。私の教えを瞬く間に吸収し、余裕を持つには社会とどうコンタクトするか学んでくれた」
…内藤は、狡猾な人間だ。例えその時は本当に大也の力になっていたとしても、彼はISAと何かしらの関係を結んだのだろう。
言葉の節々から、大也を「子供」と認識していることが読み取れる。彼は、大也を何の力も持たない子供に変える。内藤が大也を少年と呼び続ける限り、少なくとも内藤の中で大也は大人にならない。
「君がヒーローになったことには驚き納得もした。だがその結果、君は世の中の本質から目を逸らしてしまった」
「本質?」
「悲鳴の意味。人は誰かが苦しんでいる姿を見て、あれに比べたら自分は幸せだと安心する。悲鳴が人の幸せを作るんだ」
内藤はそう語り、そして大也に告げた。ブンブンキラーロボを作ったのは自分だと。
ブンブンジャーと何度も戦ってきたブンブンキラーロボ。それを作っていたことの意味。
醜い。汚い。気持ち悪い。この男は、大也の心を穢した。大也の優しい心を、土足で踏みにじった。
「こんなヤツ……こんなヤツに…!」
爪が手に食い込む。何も出来ない自分と、内藤への怒りだった。また、何も出来なかった。支えられなかった。大也は、私の手をすり抜けていく。
黒煙が大也を覆った。黒煙が晴れた頃には、大也は──スピンドーに胸ぐらを掴まれていた。
「よう」
「スピンドー!」
「アタシと踊れや、範道大也」
大也を地面に放り投げる。即座にブンレッドに変身し、攻撃を仕掛けていった。しかし全て避けられ、簡単に武器を握られる。
「キレが足りねえ。アタシが見たい踊りじゃねえわ」
「大也!!」
スピンドーはレッドを蹴り上げた。地面に転がるレッドをバックに、モニターの方を向いて話しかけて来る。
「ブンの字!これ見てんだろ?」
「やっぱり俺、大也と一緒に行くべきだった!」
飛び出して行こうとするブンドリオ。しかしそれを、玄蕃が止めた。
「お前さん一人では苦しいぞ」
「大也は…俺の為に…」
「それではあの時の私と同じだ。仲間を頼れ」
玄蕃はブンドリオの肩に手を置く。微笑んでいた。
「スピンドーの狙いはブンさんです。今動けば奴らの思うつぼです」
「ブンちゃんはここで待ってて」
「大也のことなら俺達に任せとけ」
「うん、その思い私達が届けよう、ブンドリオ!」
そんな空気を遮るように、レッドの叫び声が響く。チャンピオンジャケットを着ても尚、スピンドーに有効打を与えられていなかった。
「…わかった。大也を…大也を頼む!」
「「オーライ!」」
ブンブンジャーが出動して行った。その間にもスピンドーとの戦いは続いており、レッドの攻撃は避けるか受け流されている。スピンドーは不敵に笑った。余裕があった。
蹴り技を容赦なく何発も入れていき、変身を解除させる。大也は地面に転がり、傷口を押さえた。
「君は勝てないよ」
「たまんないねえ…暴力はいい!」
「代表…俺はあんたに憧れてた。なりたい大人の姿があんただったからだ!!あんたの本質がどうであれ、俺は…あんた達の言いなりになんてならない!!」
ボロボロの状態で大也は立ち上がろうとする。顔やジャケットから見える腕には生々しい傷が幾つも付いていた。
「聞こえた悲鳴には必ず駆け付ける。それが…俺のハンドルだ!!」
「範道大也…。どのハンドルを握るかはアタシが決めるんだよ」
大也ににじり寄るスピンドー。その背後からブンブンジャーが一斉に攻撃を仕掛けたが、返り討ちに遭った。その間にビュンディーが大也のもとへ駆け寄って状況を説明し、戦闘に加わる。
蹂躙だった。歩くように、踊るように、スピンドーはブンブンジャーを嬲る。全員ボロボロの状態で、それでも大也を守ろうと前に立った。しかしスピンドーの攻撃で全員が変身を解除させられてしまう。
「みんな!!」
「聞け、ブンの字!アタシゃお前の仲間は誰一人殺さねえ。苦しめて泣かせて、ぐっちゃぐちゃのササラモサラにしてやるわ。これがお前の望んだ未来だ」
「ッ…スピンドー…!!」
「ブン様!」
怒りに任せてブンドリオが飛び出して行く。
私も、ガレージを後にして自室へ戻った。