イニシャルはQ【爆上・範道大也】
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ブンブンジャーが出動した後、モニターから戦闘を見ていた。ブンブンチェンジを解除させたタカラバコグルマ―は、ブンブンジャー達に「お前らのお宝はなんだ?寄越せ」と手を差し出す。煙で視界が遮られている中、靴音が響いた。
「……射士郎?」
射士郎だった。ブンブンジャーの前に立ち、彼はいつの間に外していたブンブンチェンジャーを見せる。
「お宝は…これだ」
「ん?お宝発見!」
「シャーシロ!?」
「何する気だ!?」
ブンブンチェンジャーを一瞥した後、彼はブンブンチェンジャーをいともたやすく放り投げた。そのままそれはタカラバコグルマ―に吸い取られ、消滅する。大也が目を見開いた。
私はモニターに掴みかかる勢いで「はぁ!?」と大声を上げた。
「何してんのよ!?」
「どういうことだよ、シャーシロ!」
彼は、大也とブンドリオが作ったブンブンチェンジャーを宝だと認めた上で、簡単に敵に差し出したのだ。
あんなに。あんなに、私と大也の仲について厳しく言及してきた彼が。
──悪い予感がした。
「何してるんですかシロ先輩!」
「血迷ったか?」
「…いや、これでいい」
射士郎は振り返ると、拳銃を抜いて銃口をブンブンチェンジャーに向けた。
「ISAとハシリヤンは繋がっている。地球は彼らに支配され、どんなに逆らっても無駄だ。ブンブンジャーは……夢を追うのは、終わりだ」
冷たい言葉。いつも彼はクールだったが、内心は誰よりも熱い男だった。それなのに、こんなにも無慈悲なことを口にする。
「まさか…自分達を裏切るっていうんですか!」
「嘘…だよね?何か考えがあるんでしょ!そうでしょ!?」
「これからブンブンジャーは世界の敵になる。ブンブンジャーを解散しろ、大也。…お前を世界の敵にしたくない」
「見損なったぞ…情報屋!」
動き出そうとした先斗の足元に弾丸が一発放たれた。薬莢が地面に落ち、今度はその銃口を大也に向ける。
「ッ、やめて……やめなさい!やめろ!射士郎!!」
画面の向こう側に声は届かない。
大也はゆっくりと立ち上がり、「世界の敵か…」と呟いた。空を見上げ、射士郎に視線を移し、にやりと笑みを浮かべる。
「最高のバクアゲだ!」
射士郎の銃口が揺らいだ。
「たとえ世界を敵に回しても、俺は俺のハンドルを握る。それがブンブンジャーだ!信じた道を走り続ける!」
大也はそう宣言し、不敵に笑った。銃口を向けられても、世界の敵になると言われても、彼は範道大也で在り続けた。
緊迫した状況の中にネジレッタが投入され、射士郎は混乱と共にその場を去って行った。
「何よこれ…こんなの……こんなの……!これが、射士郎のハンドルだって言うの…!?」
私はフラフラとソファの方に行き、着物が乱れることも気にせず雑に腰掛けた。
モニターでは戦闘が続けられている。射士郎の代わりに別の青い戦士がやって来ていた。どうやら加勢してくれているらしい。しかし、今それを見ている余裕は少なくとも私にはなかった。
スマホを取り出し、射士郎宛に所謂鬼電を仕掛けようとする。しかし、「この電話は現在、使われておりません」という機械的な声だけが返って来た。
それならば、とメッセージを送りまくる。「何あれ」「どういうこと」「裏切ったの?」「馬鹿じゃないの」「大馬鹿」「頑固ジジイ」以下、小学生のような罵倒を勢いのまま送り続ける。既読はつかなかった。
「……馬鹿……!!」
──どうして気付けなかったんだろう。ISAがきな臭いことなんて、調さんの情報から分かっていた筈なのに。彼が情報屋としてISAと裏で繋がっていることも、可能性の一つとして考えられなくはなかった筈なのに。
考えたくなかったのかもしれない。射士郎は、ブンブンジャーはもう大丈夫だと、思いたかったのかもしれない。大也に信頼を寄せている彼なら、大丈夫だと信じていたのかもしれない。
馬鹿なのは私も同じだ。
*
振袖を脱ぎ終わった頃、大也は二コーラのペンダントを持って帰って来た。しかしこちらもそれどころではなく、純粋無垢な錠は困惑と何かに対しての怒りを机にぶつけている。
「彼が言った”世界が敵”…気になります」
大也は何も言わなかった。ただ、ブンブンカーを見ている。しかし、慌てた様子でブンドリオが大也にタブレットを持って行った。
「これ見て!大也の資産なんだけど、人のものになってる。名義が全部変わってる。…Lightning Techに」
「代表が…?」
きな臭いところが、きな臭いところと繋がった。Lightning Tech──内藤は、確実に黒だ。グレーどころではない。やはり、勘は当たっていた。あの時点で彼についてもっと調べておけば良かった。
調がパソコンで何かについて調べ始め、エンターキーを押す。
「大也君の資産、並びに世界中で取得された特許ですがLightning Techへの名義変更は法的に有効です。ただ、理由はわかりませんが最終承認の処理がなされていないのは謎ですね…」
「ハンドルを敢えて大也自身に預けた…ともとれるねえ」
「…代表と話してくる」
出て行こうとする大也に未来が声をかけようとし、先斗が「行こうか?」と声をかけた。恐らく、大也を案じた彼なりの気遣いなのだろう。
「いや、一人で行かせてくれ」
「……大也」
私は彼の手を掴もうとした。私だけでも、無理にでも、付いて行こうと思った。
「…柚葉。俺は大丈夫だから、安全なところにいてくれ」
「……」
手が、届かなかった。
「……射士郎?」
射士郎だった。ブンブンジャーの前に立ち、彼はいつの間に外していたブンブンチェンジャーを見せる。
「お宝は…これだ」
「ん?お宝発見!」
「シャーシロ!?」
「何する気だ!?」
ブンブンチェンジャーを一瞥した後、彼はブンブンチェンジャーをいともたやすく放り投げた。そのままそれはタカラバコグルマ―に吸い取られ、消滅する。大也が目を見開いた。
私はモニターに掴みかかる勢いで「はぁ!?」と大声を上げた。
「何してんのよ!?」
「どういうことだよ、シャーシロ!」
彼は、大也とブンドリオが作ったブンブンチェンジャーを宝だと認めた上で、簡単に敵に差し出したのだ。
あんなに。あんなに、私と大也の仲について厳しく言及してきた彼が。
──悪い予感がした。
「何してるんですかシロ先輩!」
「血迷ったか?」
「…いや、これでいい」
射士郎は振り返ると、拳銃を抜いて銃口をブンブンチェンジャーに向けた。
「ISAとハシリヤンは繋がっている。地球は彼らに支配され、どんなに逆らっても無駄だ。ブンブンジャーは……夢を追うのは、終わりだ」
冷たい言葉。いつも彼はクールだったが、内心は誰よりも熱い男だった。それなのに、こんなにも無慈悲なことを口にする。
「まさか…自分達を裏切るっていうんですか!」
「嘘…だよね?何か考えがあるんでしょ!そうでしょ!?」
「これからブンブンジャーは世界の敵になる。ブンブンジャーを解散しろ、大也。…お前を世界の敵にしたくない」
「見損なったぞ…情報屋!」
動き出そうとした先斗の足元に弾丸が一発放たれた。薬莢が地面に落ち、今度はその銃口を大也に向ける。
「ッ、やめて……やめなさい!やめろ!射士郎!!」
画面の向こう側に声は届かない。
大也はゆっくりと立ち上がり、「世界の敵か…」と呟いた。空を見上げ、射士郎に視線を移し、にやりと笑みを浮かべる。
「最高のバクアゲだ!」
射士郎の銃口が揺らいだ。
「たとえ世界を敵に回しても、俺は俺のハンドルを握る。それがブンブンジャーだ!信じた道を走り続ける!」
大也はそう宣言し、不敵に笑った。銃口を向けられても、世界の敵になると言われても、彼は範道大也で在り続けた。
緊迫した状況の中にネジレッタが投入され、射士郎は混乱と共にその場を去って行った。
「何よこれ…こんなの……こんなの……!これが、射士郎のハンドルだって言うの…!?」
私はフラフラとソファの方に行き、着物が乱れることも気にせず雑に腰掛けた。
モニターでは戦闘が続けられている。射士郎の代わりに別の青い戦士がやって来ていた。どうやら加勢してくれているらしい。しかし、今それを見ている余裕は少なくとも私にはなかった。
スマホを取り出し、射士郎宛に所謂鬼電を仕掛けようとする。しかし、「この電話は現在、使われておりません」という機械的な声だけが返って来た。
それならば、とメッセージを送りまくる。「何あれ」「どういうこと」「裏切ったの?」「馬鹿じゃないの」「大馬鹿」「頑固ジジイ」以下、小学生のような罵倒を勢いのまま送り続ける。既読はつかなかった。
「……馬鹿……!!」
──どうして気付けなかったんだろう。ISAがきな臭いことなんて、調さんの情報から分かっていた筈なのに。彼が情報屋としてISAと裏で繋がっていることも、可能性の一つとして考えられなくはなかった筈なのに。
考えたくなかったのかもしれない。射士郎は、ブンブンジャーはもう大丈夫だと、思いたかったのかもしれない。大也に信頼を寄せている彼なら、大丈夫だと信じていたのかもしれない。
馬鹿なのは私も同じだ。
*
振袖を脱ぎ終わった頃、大也は二コーラのペンダントを持って帰って来た。しかしこちらもそれどころではなく、純粋無垢な錠は困惑と何かに対しての怒りを机にぶつけている。
「彼が言った”世界が敵”…気になります」
大也は何も言わなかった。ただ、ブンブンカーを見ている。しかし、慌てた様子でブンドリオが大也にタブレットを持って行った。
「これ見て!大也の資産なんだけど、人のものになってる。名義が全部変わってる。…Lightning Techに」
「代表が…?」
きな臭いところが、きな臭いところと繋がった。Lightning Tech──内藤は、確実に黒だ。グレーどころではない。やはり、勘は当たっていた。あの時点で彼についてもっと調べておけば良かった。
調がパソコンで何かについて調べ始め、エンターキーを押す。
「大也君の資産、並びに世界中で取得された特許ですがLightning Techへの名義変更は法的に有効です。ただ、理由はわかりませんが最終承認の処理がなされていないのは謎ですね…」
「ハンドルを敢えて大也自身に預けた…ともとれるねえ」
「…代表と話してくる」
出て行こうとする大也に未来が声をかけようとし、先斗が「行こうか?」と声をかけた。恐らく、大也を案じた彼なりの気遣いなのだろう。
「いや、一人で行かせてくれ」
「……大也」
私は彼の手を掴もうとした。私だけでも、無理にでも、付いて行こうと思った。
「…柚葉。俺は大丈夫だから、安全なところにいてくれ」
「……」
手が、届かなかった。