イニシャルはQ【爆上・大也】
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クイーンが柚葉であることを知っている大也と射士郎の二人は、戦闘の際に彼女の相手を買って出た。射士郎は大也のサポートをしたいだけで、大也は出来る限り彼女を傷付けたくないからだが。
「どこ狙ってるの?無駄弾ね!」
余裕そうにクイーンは嘲笑ったが、大也と射士郎はそもそも彼女を狙っていなかった。ギリギリ避けれるであろう部分ばかりを攻撃し、じりじりと彼女を追い詰めていく。攻撃を当てていいのは武器である傘だけと暗黙の了解を作り、決してその肌や服に傷はつけなかった。
そんなことは知りもしないクイーンは自分が強いのだと自信過剰になり、攻撃の手を止めない。そうなれば流石に外野も黙っておられず、玄蕃や錠が飛び出してくる事故が多発した。
錠が身を挺して二人を庇い、玄蕃がその隙をついて攻撃する。持久戦に持ち込まれて疲労が蓄積していたクイーンの肩にブンブンチェンジアックスが直撃し、肌を切り裂いた。
「うっ…!!」
肩を押さえてフラフラと後ずさるクイーン。いつも通り苦魔獣に後の戦闘を押し付け、戦場から撤退した。その姿を大也は心配そうに見送り、あからさまな態度をとる彼に射士郎が若干不安を覚える。──大也はブンブンジャーなのに、友人とはいえ平和を脅かすハシリヤンの身を案じている。
「…大也、アイツはもういなくなった。苦魔獣の方を片付けるぞ」
「…ああ。そうだな」
*
「もう、大也さんもシロ先輩もどうしたんですか?二人とも最近変ですよ」
「そうだよ!何で二人してクイーンの相手してるの?あたし達のことも頼ってよ!」
錠と未来が手を腰に当てて問い詰める。玄蕃は何となく察しているのか、一人離れた場所で飴を舐めていた。詰められている本人である二人は気まずそうに目を合わせ、「すまない」とだけ大也が謝った。
「…あたし達じゃ頼りないの?」
「!違う!そんなことない!ただ…」
「…こっちも事情があるんだ」
「?事情って何?」
黙り込む二人。錠は遠慮してこれ以上はやめておこうと口を閉じたが、走り出した運転屋は止まらない。唇を尖らせて明らかに不機嫌そうな顔になった。
「あたし達だけ仲間外れなんだ。あたしそういうの大っ嫌い」
「…はあ」
「大也、素直に話したらどうだ。こうなった未来は面倒だぞ」
「はぁ~!?面倒って、」
「みんな聞いてくれ」
覚悟を決めた大也は立ち上がり、ガレージの仲間を見渡した。ブンドリオもこの場におり、以前の話を聞いていなかった彼もなんだなんだとカレーを作る手を止める。
「……クイーンは、俺の幼馴染なんだ。もう何年も前に行方不明になった…巴柚葉って子なんだ」
「お、幼馴染!?」
「行方不明!?」
この時点でブンドリオは何となく納得がいっていた。元ハシリヤンだった自分が知らないハシリヤンの構成員。地球にやって来るのならば、それなりの地位にいる筈だ。だが彼は彼女の存在を知らなかった。地球人だったのなら、その存在自体も秘匿されていたのだろう、と己の中で素早く理解した。
未来と錠は「幼馴染」と「行方不明」という部分に引っ掛かっており、特に未来はどういうことなの、と大也の袖を引っ張っている。錠は黙ったままだが動揺を隠しきれておらず、玄蕃に「まあまあ落ち着いて」とどこからか用意した茶を渡されていた。
「……つまり、幼馴染だから攻撃できなかったってこと?」
「…黙っていて、悪かった。みんなを混乱させたくなかったんだ」
「玄蕃も知らなかったの?」
「ああ、私もそれは初耳だよ。何かしら、大也に関係があるんだろうとは思っていたけどね」
「…目敏いな」
「鋭いと言ってほしいな」
この男、やはり要注意だな──と射士郎は改めて思わされる。玄蕃の観察眼や頭の回転の速さは明らかにブンブンジャーの中でも頭一つ抜け出しているのだ。不自然なくらいに。
大也は未来と錠、玄蕃にもう一度誤り、「俺はアイツにハシリヤンをやめてもらいたい」と告げた。
「きっと何か事情がある筈だ。アイツが望んでこんなことをする筈がない」
「……そうだよね。だってあの子、普通の女の子にしか見えないもん」
「…未来先輩は、柚葉さんのことがわかるんですか?」
「うーん…どれくらい当たってるかは分からないけど…何か、いつも本気じゃないっていうか…こう、ブンブンジャーを倒すぞ!って気持ちが無い気がするだよね」
「…あれだけ攻撃的な発言をしているのに、かい?」
「うん…。苦魔獣は明確にあたし達を倒すって気持ちがあるけど、あの子からは感じられない」
初めてクイーンの事情に踏み込もうとしたのも未来が最初だった。だからこそ、何か感じたのかもしれない。
「……もしかしたら、柚葉は自分のハンドルを握れていないのかもしれないな」
「!ハンドル…!確かに、一番それがしっくりくるかも…!」
「なら、俺達にできることは決まったな」
射士郎がネクタイを締め直す。未来がポーテールの結び目を引き締め、錠が帽子を被り直した。玄蕃が飴を齧り、大也がシャツの腕をまくる。倣ってブンドリオもエプロンのリボンを結び直した。
「俺はアイツにハンドルを届ける。そして自分で掴んで、握ってもらうんだ。アイツ自身のハンドルを…!」
届け屋としての使命を見つけ、大也は力強く頷いた。未来と錠が頷き、玄蕃が「これだから特等席は降りれない」と呟く。射士郎は黙っていたが、大也がどんな覚悟を決めるのか分かり切っていたようだ。そして呆れたように、しかし満足気に大也を見て若干笑みを浮かべた。
「どこ狙ってるの?無駄弾ね!」
余裕そうにクイーンは嘲笑ったが、大也と射士郎はそもそも彼女を狙っていなかった。ギリギリ避けれるであろう部分ばかりを攻撃し、じりじりと彼女を追い詰めていく。攻撃を当てていいのは武器である傘だけと暗黙の了解を作り、決してその肌や服に傷はつけなかった。
そんなことは知りもしないクイーンは自分が強いのだと自信過剰になり、攻撃の手を止めない。そうなれば流石に外野も黙っておられず、玄蕃や錠が飛び出してくる事故が多発した。
錠が身を挺して二人を庇い、玄蕃がその隙をついて攻撃する。持久戦に持ち込まれて疲労が蓄積していたクイーンの肩にブンブンチェンジアックスが直撃し、肌を切り裂いた。
「うっ…!!」
肩を押さえてフラフラと後ずさるクイーン。いつも通り苦魔獣に後の戦闘を押し付け、戦場から撤退した。その姿を大也は心配そうに見送り、あからさまな態度をとる彼に射士郎が若干不安を覚える。──大也はブンブンジャーなのに、友人とはいえ平和を脅かすハシリヤンの身を案じている。
「…大也、アイツはもういなくなった。苦魔獣の方を片付けるぞ」
「…ああ。そうだな」
*
「もう、大也さんもシロ先輩もどうしたんですか?二人とも最近変ですよ」
「そうだよ!何で二人してクイーンの相手してるの?あたし達のことも頼ってよ!」
錠と未来が手を腰に当てて問い詰める。玄蕃は何となく察しているのか、一人離れた場所で飴を舐めていた。詰められている本人である二人は気まずそうに目を合わせ、「すまない」とだけ大也が謝った。
「…あたし達じゃ頼りないの?」
「!違う!そんなことない!ただ…」
「…こっちも事情があるんだ」
「?事情って何?」
黙り込む二人。錠は遠慮してこれ以上はやめておこうと口を閉じたが、走り出した運転屋は止まらない。唇を尖らせて明らかに不機嫌そうな顔になった。
「あたし達だけ仲間外れなんだ。あたしそういうの大っ嫌い」
「…はあ」
「大也、素直に話したらどうだ。こうなった未来は面倒だぞ」
「はぁ~!?面倒って、」
「みんな聞いてくれ」
覚悟を決めた大也は立ち上がり、ガレージの仲間を見渡した。ブンドリオもこの場におり、以前の話を聞いていなかった彼もなんだなんだとカレーを作る手を止める。
「……クイーンは、俺の幼馴染なんだ。もう何年も前に行方不明になった…巴柚葉って子なんだ」
「お、幼馴染!?」
「行方不明!?」
この時点でブンドリオは何となく納得がいっていた。元ハシリヤンだった自分が知らないハシリヤンの構成員。地球にやって来るのならば、それなりの地位にいる筈だ。だが彼は彼女の存在を知らなかった。地球人だったのなら、その存在自体も秘匿されていたのだろう、と己の中で素早く理解した。
未来と錠は「幼馴染」と「行方不明」という部分に引っ掛かっており、特に未来はどういうことなの、と大也の袖を引っ張っている。錠は黙ったままだが動揺を隠しきれておらず、玄蕃に「まあまあ落ち着いて」とどこからか用意した茶を渡されていた。
「……つまり、幼馴染だから攻撃できなかったってこと?」
「…黙っていて、悪かった。みんなを混乱させたくなかったんだ」
「玄蕃も知らなかったの?」
「ああ、私もそれは初耳だよ。何かしら、大也に関係があるんだろうとは思っていたけどね」
「…目敏いな」
「鋭いと言ってほしいな」
この男、やはり要注意だな──と射士郎は改めて思わされる。玄蕃の観察眼や頭の回転の速さは明らかにブンブンジャーの中でも頭一つ抜け出しているのだ。不自然なくらいに。
大也は未来と錠、玄蕃にもう一度誤り、「俺はアイツにハシリヤンをやめてもらいたい」と告げた。
「きっと何か事情がある筈だ。アイツが望んでこんなことをする筈がない」
「……そうだよね。だってあの子、普通の女の子にしか見えないもん」
「…未来先輩は、柚葉さんのことがわかるんですか?」
「うーん…どれくらい当たってるかは分からないけど…何か、いつも本気じゃないっていうか…こう、ブンブンジャーを倒すぞ!って気持ちが無い気がするだよね」
「…あれだけ攻撃的な発言をしているのに、かい?」
「うん…。苦魔獣は明確にあたし達を倒すって気持ちがあるけど、あの子からは感じられない」
初めてクイーンの事情に踏み込もうとしたのも未来が最初だった。だからこそ、何か感じたのかもしれない。
「……もしかしたら、柚葉は自分のハンドルを握れていないのかもしれないな」
「!ハンドル…!確かに、一番それがしっくりくるかも…!」
「なら、俺達にできることは決まったな」
射士郎がネクタイを締め直す。未来がポーテールの結び目を引き締め、錠が帽子を被り直した。玄蕃が飴を齧り、大也がシャツの腕をまくる。倣ってブンドリオもエプロンのリボンを結び直した。
「俺はアイツにハンドルを届ける。そして自分で掴んで、握ってもらうんだ。アイツ自身のハンドルを…!」
届け屋としての使命を見つけ、大也は力強く頷いた。未来と錠が頷き、玄蕃が「これだから特等席は降りれない」と呟く。射士郎は黙っていたが、大也がどんな覚悟を決めるのか分かり切っていたようだ。そして呆れたように、しかし満足気に大也を見て若干笑みを浮かべた。