イニシャルはQ【爆上・範道大也】
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新年早々、玄蕃と未来がガレージにやって来た。新年の挨拶をすると即刻玄蕃はこたつに直行し、潜り込む。未来は珍しく黒を基調とし、花と鳥があしらえられた絞の振袖を着ている。見てみて~!と子供のようにはしゃいでいた。
勿論、大也も未来が振袖を着て来ることは予想済みだった。用意周到な彼のことである。柚葉の分の振袖もばっちり用意していた。
「…バクアゲだな!」
「もっとちゃんと褒めて」
ぐに、と大也の頬をつねりあげる柚葉。流石に痛かったのかすぐに謝って解放してもらい、「似合っている。綺麗だ」と微笑を浮かべた。彼女は少し頬を赤らめると満足そうに微笑み「当たり前でしょ、大也が選んだんだもの」と嬉しさを隠すように背を向ける。
赤色の振袖。白い花の上に金糸で刺繍された蝶が舞っていた。帯も金色で合わせ、帯揚げは花と揃えた白だ。髪もアップにしており、うなじが見えている。大也が事前に買い、朝から着付けとヘアセットを予約していた。
「バカップル~…」
「新年早々お熱いねえ」
「未来の振袖姿もバクアゲだぞ」
「うん、ありがとう!」
未来は持参してきた書道の道具を広げ始めた。どうやら書道の心得があるらしく、ここで一筆書き上げるらしい。
「…柚葉は、初めての振袖だな」
「…ええ。成人式、出れなかったから」
「…本当に綺麗だな。長くは見れないのが凄く残念だ」
「長くは見れない?」
「振袖は着る場が限られているし、未婚が条件だからな。…結婚したら、もう着れないんだ」
ボンッ、と効果音が付きそうな勢いで顔が真っ赤になる柚葉。彼女の頭の中を、結婚という二文字が駆け抜けていく。妄想の中に見えるのは、タキシードを着てエスコートをする大也。その手をとろうとする、ウェディングドレス姿の自分。
「…そ、そう…」
彼女が妄想に浸っている間に大也は未来のもとへと移動し、彼女の書道を上から覗いていた。「できたー!」と未来は”新春爆上”と書かれた長半紙をブンドリオと大也に見せ、得意げに胸を張る。
「未来にこんな隠し芸があったとはねえ」
「特技って言ってよ、特技って!」
そこへ、「あけましておめでとうございます!」と元気な声で錠が入ってくる。手には発泡スチロールを抱えており、中には沢山の海産物が入っていた。どうやら祖父が北海道の魚市場で働いているようで、ブンブンジャー宛の荷物だったようだ。
「何作ろうか?大也」
「おせちもいいけど、次はやっぱ…カレーじゃない?」
「おお~カレーか!そうだな~…例えばこのホタテ…ホタテホタテホタテホタテホタテホタテ……ホッ!縦!横じゃなくて縦!」
*
いつものカレーに海の幸を添え、更に余ったホタテを帆に見立てたブンブン宝船カレー。宝船というより海賊船みたい、と突っ込む未来に「いやいや…海賊でもいいんだけどさ」とブンドリオは若干苦笑する。
やって来た調と共に皆はカレーを囲んでいるが、少し離れた場所で柚葉はスマホをいじっていた。カレーは後で食べると言った彼女はまだ振袖を脱いでいない。
「何してるんだ?柚葉」
「振袖着せてもらったし、ちょっとSNSの更新してるの」
「SNS?」
「射士郎に教えてもらったの。情報が欲しいなら、こういうのも便利だって。ソースが謎なところは信用するなって言ってたけど」
「…いつの間にか、仲良くなってますね」
微笑ましい目で見守っていると、扉を開けてビュンディーと先斗が入って来た。二人はブンドリオにホタテカレーを勧められたが、先斗は「後で食べる」ときっぱり断った。彼の只ならぬ雰囲気に一同はカレーを食べる手を止める。
「…BBGのことだな」
「始末屋仲間のおかげで、スピンドーの話の裏がとれた。BBGのレースの勝敗はハシリヤンに巧妙にコントロールされ、莫大なギャーソリン源になっている」
「もちろん、表には出てないがな」
「そんな…」
肩を落とすブンドリオ。先斗はそれに構わず、「もう一つある」と言葉を続けた。
「今も獄中の銀河通販王にいきなり罪が増えたことがわかった」
目を見開く玄蕃。抗議する錠に「ディスレースを倒した我々への報復だろう」とビュンディーが冷静な意見を言った。玄蕃は立ち上がるが、手すりに手をついておぼつかない足取りだ。
「玄蕃…」
「…大丈夫。私は大丈夫だ」
どう言葉をかけていいのか分からず沈黙していると、それまで黙っていた調が口を開いた。
「銀河の法も、ハシリヤンの思うがままですか…」
「……相変わらず、ヤな連中」
「うむ。今のままでは、若旦那の親父の無実を証明しようにも、握りつぶされるのがオチだ」
「スピンドーを倒すしかない。アイツが作り上げたハシリヤンだ。あいつを倒して、組織を分解するしかない!」
「…で、姐さん。ISAの方は何か分かったか?」
同僚に調べてもらっていると言っていた調だが、先斗の問いには答えず射士郎の方に質問を投げかけた。この場にいない彼に代わって大也が「シャーシロからの連絡はもう何日も来ていない」と答え、首を振る。
その瞬間、ブンブンチェンジャーの着信音が鳴った。
「ハシリヤン出現だ」
射士郎の声だった。
勿論、大也も未来が振袖を着て来ることは予想済みだった。用意周到な彼のことである。柚葉の分の振袖もばっちり用意していた。
「…バクアゲだな!」
「もっとちゃんと褒めて」
ぐに、と大也の頬をつねりあげる柚葉。流石に痛かったのかすぐに謝って解放してもらい、「似合っている。綺麗だ」と微笑を浮かべた。彼女は少し頬を赤らめると満足そうに微笑み「当たり前でしょ、大也が選んだんだもの」と嬉しさを隠すように背を向ける。
赤色の振袖。白い花の上に金糸で刺繍された蝶が舞っていた。帯も金色で合わせ、帯揚げは花と揃えた白だ。髪もアップにしており、うなじが見えている。大也が事前に買い、朝から着付けとヘアセットを予約していた。
「バカップル~…」
「新年早々お熱いねえ」
「未来の振袖姿もバクアゲだぞ」
「うん、ありがとう!」
未来は持参してきた書道の道具を広げ始めた。どうやら書道の心得があるらしく、ここで一筆書き上げるらしい。
「…柚葉は、初めての振袖だな」
「…ええ。成人式、出れなかったから」
「…本当に綺麗だな。長くは見れないのが凄く残念だ」
「長くは見れない?」
「振袖は着る場が限られているし、未婚が条件だからな。…結婚したら、もう着れないんだ」
ボンッ、と効果音が付きそうな勢いで顔が真っ赤になる柚葉。彼女の頭の中を、結婚という二文字が駆け抜けていく。妄想の中に見えるのは、タキシードを着てエスコートをする大也。その手をとろうとする、ウェディングドレス姿の自分。
「…そ、そう…」
彼女が妄想に浸っている間に大也は未来のもとへと移動し、彼女の書道を上から覗いていた。「できたー!」と未来は”新春爆上”と書かれた長半紙をブンドリオと大也に見せ、得意げに胸を張る。
「未来にこんな隠し芸があったとはねえ」
「特技って言ってよ、特技って!」
そこへ、「あけましておめでとうございます!」と元気な声で錠が入ってくる。手には発泡スチロールを抱えており、中には沢山の海産物が入っていた。どうやら祖父が北海道の魚市場で働いているようで、ブンブンジャー宛の荷物だったようだ。
「何作ろうか?大也」
「おせちもいいけど、次はやっぱ…カレーじゃない?」
「おお~カレーか!そうだな~…例えばこのホタテ…ホタテホタテホタテホタテホタテホタテ……ホッ!縦!横じゃなくて縦!」
*
いつものカレーに海の幸を添え、更に余ったホタテを帆に見立てたブンブン宝船カレー。宝船というより海賊船みたい、と突っ込む未来に「いやいや…海賊でもいいんだけどさ」とブンドリオは若干苦笑する。
やって来た調と共に皆はカレーを囲んでいるが、少し離れた場所で柚葉はスマホをいじっていた。カレーは後で食べると言った彼女はまだ振袖を脱いでいない。
「何してるんだ?柚葉」
「振袖着せてもらったし、ちょっとSNSの更新してるの」
「SNS?」
「射士郎に教えてもらったの。情報が欲しいなら、こういうのも便利だって。ソースが謎なところは信用するなって言ってたけど」
「…いつの間にか、仲良くなってますね」
微笑ましい目で見守っていると、扉を開けてビュンディーと先斗が入って来た。二人はブンドリオにホタテカレーを勧められたが、先斗は「後で食べる」ときっぱり断った。彼の只ならぬ雰囲気に一同はカレーを食べる手を止める。
「…BBGのことだな」
「始末屋仲間のおかげで、スピンドーの話の裏がとれた。BBGのレースの勝敗はハシリヤンに巧妙にコントロールされ、莫大なギャーソリン源になっている」
「もちろん、表には出てないがな」
「そんな…」
肩を落とすブンドリオ。先斗はそれに構わず、「もう一つある」と言葉を続けた。
「今も獄中の銀河通販王にいきなり罪が増えたことがわかった」
目を見開く玄蕃。抗議する錠に「ディスレースを倒した我々への報復だろう」とビュンディーが冷静な意見を言った。玄蕃は立ち上がるが、手すりに手をついておぼつかない足取りだ。
「玄蕃…」
「…大丈夫。私は大丈夫だ」
どう言葉をかけていいのか分からず沈黙していると、それまで黙っていた調が口を開いた。
「銀河の法も、ハシリヤンの思うがままですか…」
「……相変わらず、ヤな連中」
「うむ。今のままでは、若旦那の親父の無実を証明しようにも、握りつぶされるのがオチだ」
「スピンドーを倒すしかない。アイツが作り上げたハシリヤンだ。あいつを倒して、組織を分解するしかない!」
「…で、姐さん。ISAの方は何か分かったか?」
同僚に調べてもらっていると言っていた調だが、先斗の問いには答えず射士郎の方に質問を投げかけた。この場にいない彼に代わって大也が「シャーシロからの連絡はもう何日も来ていない」と答え、首を振る。
その瞬間、ブンブンチェンジャーの着信音が鳴った。
「ハシリヤン出現だ」
射士郎の声だった。