イニシャルはQ【爆上・大也】
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数日後。未来、錠、玄蕃がまだやって来ていない地下のガレージで大也は射士郎とコーヒーを飲んでいた。
「調べはついたか?シャーシロ」
「ああ、間違いない。クイーンは巴柚葉だ」
「…やっぱり、か」
大也はクイーンの顔を見た時から検討がついていた。彼女は、自分の幼馴染である柚葉なのではないかと。大分時間は経っていたが、顔立ちや声から何となくそんな予感がしていたのだ。そして射士郎に調べてもらい、柚葉とクイーンの顔を照らし合わせた。
「彼女は現在も行方不明のままだ。両親は海外に移住している」
「…俺がまだ小学校の頃だ。同じ児童館に通っていた柚葉は、突然行方不明になった」
「……そこからの経緯は不明だ。何かしらのことがあって、彼女はハシリヤンを自分の居場所にすることにしたんだろう」
「…アイツが望んでいる自分の居場所は、ハシリヤンなのか?」
「憶測だ。経緯が不明なままでは何も言えない」
「…そうだな」
「記憶がないようだが…もしかしたら、ショックで記憶を失ったのかもしれない」
「ああ。俺のことも覚えていなかった」
大也はどうも、柚葉があんなことをするような人物には思えなかった。遠い記憶の彼女は確かに他者を突き放すような物言いをする少女だったが、暴力を平気で振るうような人間ではなかった。
「…どうするつもりだ、大也。彼女に戦う気があるのなら、俺達は応戦するしかないぞ」
「…ああ」
「……大也ができないなら、俺がやる」
「……待ってくれ、シャーシロ。まだ情報が出揃っていない。無暗にアイツを傷付けるのは…したくない」
珍しく弱気な大也に射士郎は溜め息を吐く。
「そう言えば、俺が反対できないと分かっているんだろ?」
悪戯っ子のように大也は笑った。射士郎は諦めたように肩をすくめた。どうやら、この男には何もかもお見通しらしい。そして、射士郎も範道大也が「そういう男」であることを十分理解していた。
「柚葉は昔の俺なんだ」
「…どういうことだ?」
「……似た者同士ってことさ。俺は、昔からアイツに惚れている」
その「惚れた」がどういう意味なのかは聞こうとしなかった。ただのいつもの「惚れた」かもしれないし、もしかしたら特別な意味を孕んだ「惚れた」かもしれない。しかし、その真意を聞くと戻れないような気がして射士郎は躊躇った。
「生憎、惚れたものは手元に置いておきたいタチなんだ」
「…難儀なタチだな」
「ああ。だから手離せないんだ」
そう言ってガレージを見渡す。どれも大也が「惚れた」ものばかりだった。道具も、家具も、車も、仲間も。
大也だって分かっている。手離すことも、手元から離れていくことも決して悪いことではないということくらい。
それでも、彼にとって巴柚葉は手離し難い存在のままだった。
「調べはついたか?シャーシロ」
「ああ、間違いない。クイーンは巴柚葉だ」
「…やっぱり、か」
大也はクイーンの顔を見た時から検討がついていた。彼女は、自分の幼馴染である柚葉なのではないかと。大分時間は経っていたが、顔立ちや声から何となくそんな予感がしていたのだ。そして射士郎に調べてもらい、柚葉とクイーンの顔を照らし合わせた。
「彼女は現在も行方不明のままだ。両親は海外に移住している」
「…俺がまだ小学校の頃だ。同じ児童館に通っていた柚葉は、突然行方不明になった」
「……そこからの経緯は不明だ。何かしらのことがあって、彼女はハシリヤンを自分の居場所にすることにしたんだろう」
「…アイツが望んでいる自分の居場所は、ハシリヤンなのか?」
「憶測だ。経緯が不明なままでは何も言えない」
「…そうだな」
「記憶がないようだが…もしかしたら、ショックで記憶を失ったのかもしれない」
「ああ。俺のことも覚えていなかった」
大也はどうも、柚葉があんなことをするような人物には思えなかった。遠い記憶の彼女は確かに他者を突き放すような物言いをする少女だったが、暴力を平気で振るうような人間ではなかった。
「…どうするつもりだ、大也。彼女に戦う気があるのなら、俺達は応戦するしかないぞ」
「…ああ」
「……大也ができないなら、俺がやる」
「……待ってくれ、シャーシロ。まだ情報が出揃っていない。無暗にアイツを傷付けるのは…したくない」
珍しく弱気な大也に射士郎は溜め息を吐く。
「そう言えば、俺が反対できないと分かっているんだろ?」
悪戯っ子のように大也は笑った。射士郎は諦めたように肩をすくめた。どうやら、この男には何もかもお見通しらしい。そして、射士郎も範道大也が「そういう男」であることを十分理解していた。
「柚葉は昔の俺なんだ」
「…どういうことだ?」
「……似た者同士ってことさ。俺は、昔からアイツに惚れている」
その「惚れた」がどういう意味なのかは聞こうとしなかった。ただのいつもの「惚れた」かもしれないし、もしかしたら特別な意味を孕んだ「惚れた」かもしれない。しかし、その真意を聞くと戻れないような気がして射士郎は躊躇った。
「生憎、惚れたものは手元に置いておきたいタチなんだ」
「…難儀なタチだな」
「ああ。だから手離せないんだ」
そう言ってガレージを見渡す。どれも大也が「惚れた」ものばかりだった。道具も、家具も、車も、仲間も。
大也だって分かっている。手離すことも、手元から離れていくことも決して悪いことではないということくらい。
それでも、彼にとって巴柚葉は手離し難い存在のままだった。