イニシャルはQ【爆上・範道大也】
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柚葉が支度をしてガレージにやって来ると、先斗とビュンディーが来ていた。何やら大也と話し込んでいる様子である。
「何話してるの?」
「む。おはよう柚葉」
「おう。まあちょっと、仕事の話だな」
「おはよ。…仕事?」
彼女が首を傾げると「BBGの件についてな」と大也がフォローを入れた。どうやら、BBGが本当にハシリヤンの手に落ちたのか探ってほしいということを二人に頼んだらしい。
「ふーん…。他のみんなは?ブンドリオもいないけど…」
「べろーらーのイベントに行った」
「え、特別監視対象じゃなかったの?」
「錠の警備付きだ。大丈夫だろう」
「…」
柚葉は少し不安げな目をした。──確かに錠は腕が立つし、根性もある。しかし、前回の一件が未だに彼女の心に残っていた。苦魔獣に消され、グランツに蹂躙される大也。思い出しただけで身震いをした彼女は、「私も行ってくる!」とガレージを飛び出した。
*
メッセージのやり取りで場所を特定した柚葉がやって来ると、既に苦魔獣が暴れていた。錠は弟子入りしてきた少年、イツキを安全な場所に運んだところで、未来はメジャーのようなもので拘束されていた。頭の上には数字が浮かんでいる。
「6回…?」
「この数字は運転免許の試験に落ちた回数~!」
「イヤ~~~~ッ!!見ないで~~!!」
崩れ落ちる未来。運転屋の肩書きを貰った彼女が運転免許に6回も落ちているというのは本人にも恥ずかしいという自覚が相当あったらしい。
「未来…何で落ちたのよ…筆記?」
「いやあの…そんなに落ち込まなくても…」
「だって私ブンブンジャーの運転屋だよ!?この数字だけは知られたくなかったの~!」
未来は地面に項垂れ、満身創痍になった。しゃがんでメジャーを引きはがそうとしている柚葉に「お前もはからせろ~!」と苦魔獣が目を付け、眼鏡のようになっている目を文字通り光らせた。
「なッ!?」
メジャーに拘束され、尻餅をつく。柚葉の上には「1000回」という大きな数字が浮かんでいる。
「えっ、1000!?」
「多すぎない!?」
「この数字は…範道大也をカッコいいと思ってきた数字~!!」
「あッ、ぃッ……!」
錠と未来に激震が走った。──1000回も柚葉は大也のことを「カッコいい」と思ったという事実。ハシリヤンの洗脳から解放された後と、幼い頃の時間を足しても流石に多過ぎる数字である。
「あああああああああああッッッ!!!!!」
羞恥に耐えられず地面に倒れ込んだ柚葉は、とてつもない叫び声を上げた後釣り上げられた魚のように体を捩って悶えた。
「る、累積でも…多過ぎない!?」
「大也さんが出会ってから柚葉さんがハシリヤンに攫われるまでって、そんなに時間なかった筈ですよね!?」
「ッッ、うるさ~~~~い!!!!うるさいうるさいうるさい!!!」
ひとしきり喚いた柚葉は、暴れる体力と気力も無くなったのかぴたりと動きを止めて「もうイヤ………」と拘束されたまま膝を抱え込んで寝転がってしまった。
そう。何を隠そうこの女、範道大也のことを一日に一回以上はカッコいいと思ってきたのである。成人になり余裕を身に付けた姿の大也はともかくとして幼い頃、彼が未成熟な頃から所謂メロメロなのだ。
「大也ぁ…助けてえ………」
終いには羞恥心が限界点に達し、幼子のようにべそをかき始める始末である。自身の羞恥心で心がやられていた未来も柚葉を見ていると「まだ私の数字ってマシなのかも…」と思ってしまった。
「もっともっとはからせろ~!!」
苦魔獣は更に錠へと照準を定め、二人に駆け寄っていた錠をメジャーで拘束した。頭の上にはついさっきのとんでもない数をある意味凌駕する、「₋10点」というマイナス値までもが出て来た。
「お前の恥ずかしい数字はこれだ!一番低かったテストの点数~!」
「…ちょっと待って。マイナスってどういうこと?どういう点数?」
冷静にツッコミを入れる未来。彼女の問いかけを珍しくスルーし、錠は「だからどうしたー!!」と叫び、どういう原理なのかはさておき頭の上に出た数字と文字を弾き壊した。
「うわ!くう…やるな!」
それから苦魔獣の攻撃は続いた。最後におねしょした年齢13歳、社会の窓が開いていた回数108回、貯金残高2024円。次々と暴露されていく錠の黒歴史に未来は同情し、柚葉は未だに満身創痍のままピクピクと死にかけの魚のように身を捩っていた。
そしてトドメに、「9歳」という大きな数字が錠の上に出て来た。
「どうだー!この数字はお前が大きな間違いを犯した年齢だ!」
「大きな間違い…?」
首を傾げるイツキの言葉を錠は否定しなかった。そしてイツキという過去の自分と同じくらいの年齢の少年に、間違いを恐れてブレーキをかけるのは勿体ないことだと諭した。
「100点満点の正しいヒーローなんていない!自分の心が動いた方に100パーセントのアクセルを踏む!」
そして錠は、大きな間違いという恥ずかしい過去すらも跳ね飛ばした。メジャーが剥がれ、数字も砕ける。
「君は、君のなりたいヒーローになるんだ!」
「ななな…何故貴様は平気なんだ!?一番の間違いをはかってやったのに!」
「間違いから学べばそれは間違いじゃない!つまり…お前は何もはかれていない!!」
錠の言葉にショックを受けた苦魔獣は高く飛び上がり、そして落下してきた。そのダメージでメジャーによる拘束が解け、未来と柚葉も解放された。
「錠ナイス!あの時の間違いが今の私を作ってるってことだよね!」
未来は大輪の向日葵が咲いたような笑顔で言うが、柚葉は依然として寝転がったままだった。間違いを犯した訳ではない彼女が今欲しているのは、自らが入れる穴だけである。
「おのれ~!この俺を謀ったな!」
「先輩ヒーローとして、100パーセントのアクセル見せましょう!」
「オーライ!」
ブンブンチェンジャーとブンブンブースターを構え、二人が変身する。その様子を物陰から、イツキは見ていた。
「何話してるの?」
「む。おはよう柚葉」
「おう。まあちょっと、仕事の話だな」
「おはよ。…仕事?」
彼女が首を傾げると「BBGの件についてな」と大也がフォローを入れた。どうやら、BBGが本当にハシリヤンの手に落ちたのか探ってほしいということを二人に頼んだらしい。
「ふーん…。他のみんなは?ブンドリオもいないけど…」
「べろーらーのイベントに行った」
「え、特別監視対象じゃなかったの?」
「錠の警備付きだ。大丈夫だろう」
「…」
柚葉は少し不安げな目をした。──確かに錠は腕が立つし、根性もある。しかし、前回の一件が未だに彼女の心に残っていた。苦魔獣に消され、グランツに蹂躙される大也。思い出しただけで身震いをした彼女は、「私も行ってくる!」とガレージを飛び出した。
*
メッセージのやり取りで場所を特定した柚葉がやって来ると、既に苦魔獣が暴れていた。錠は弟子入りしてきた少年、イツキを安全な場所に運んだところで、未来はメジャーのようなもので拘束されていた。頭の上には数字が浮かんでいる。
「6回…?」
「この数字は運転免許の試験に落ちた回数~!」
「イヤ~~~~ッ!!見ないで~~!!」
崩れ落ちる未来。運転屋の肩書きを貰った彼女が運転免許に6回も落ちているというのは本人にも恥ずかしいという自覚が相当あったらしい。
「未来…何で落ちたのよ…筆記?」
「いやあの…そんなに落ち込まなくても…」
「だって私ブンブンジャーの運転屋だよ!?この数字だけは知られたくなかったの~!」
未来は地面に項垂れ、満身創痍になった。しゃがんでメジャーを引きはがそうとしている柚葉に「お前もはからせろ~!」と苦魔獣が目を付け、眼鏡のようになっている目を文字通り光らせた。
「なッ!?」
メジャーに拘束され、尻餅をつく。柚葉の上には「1000回」という大きな数字が浮かんでいる。
「えっ、1000!?」
「多すぎない!?」
「この数字は…範道大也をカッコいいと思ってきた数字~!!」
「あッ、ぃッ……!」
錠と未来に激震が走った。──1000回も柚葉は大也のことを「カッコいい」と思ったという事実。ハシリヤンの洗脳から解放された後と、幼い頃の時間を足しても流石に多過ぎる数字である。
「あああああああああああッッッ!!!!!」
羞恥に耐えられず地面に倒れ込んだ柚葉は、とてつもない叫び声を上げた後釣り上げられた魚のように体を捩って悶えた。
「る、累積でも…多過ぎない!?」
「大也さんが出会ってから柚葉さんがハシリヤンに攫われるまでって、そんなに時間なかった筈ですよね!?」
「ッッ、うるさ~~~~い!!!!うるさいうるさいうるさい!!!」
ひとしきり喚いた柚葉は、暴れる体力と気力も無くなったのかぴたりと動きを止めて「もうイヤ………」と拘束されたまま膝を抱え込んで寝転がってしまった。
そう。何を隠そうこの女、範道大也のことを一日に一回以上はカッコいいと思ってきたのである。成人になり余裕を身に付けた姿の大也はともかくとして幼い頃、彼が未成熟な頃から所謂メロメロなのだ。
「大也ぁ…助けてえ………」
終いには羞恥心が限界点に達し、幼子のようにべそをかき始める始末である。自身の羞恥心で心がやられていた未来も柚葉を見ていると「まだ私の数字ってマシなのかも…」と思ってしまった。
「もっともっとはからせろ~!!」
苦魔獣は更に錠へと照準を定め、二人に駆け寄っていた錠をメジャーで拘束した。頭の上にはついさっきのとんでもない数をある意味凌駕する、「₋10点」というマイナス値までもが出て来た。
「お前の恥ずかしい数字はこれだ!一番低かったテストの点数~!」
「…ちょっと待って。マイナスってどういうこと?どういう点数?」
冷静にツッコミを入れる未来。彼女の問いかけを珍しくスルーし、錠は「だからどうしたー!!」と叫び、どういう原理なのかはさておき頭の上に出た数字と文字を弾き壊した。
「うわ!くう…やるな!」
それから苦魔獣の攻撃は続いた。最後におねしょした年齢13歳、社会の窓が開いていた回数108回、貯金残高2024円。次々と暴露されていく錠の黒歴史に未来は同情し、柚葉は未だに満身創痍のままピクピクと死にかけの魚のように身を捩っていた。
そしてトドメに、「9歳」という大きな数字が錠の上に出て来た。
「どうだー!この数字はお前が大きな間違いを犯した年齢だ!」
「大きな間違い…?」
首を傾げるイツキの言葉を錠は否定しなかった。そしてイツキという過去の自分と同じくらいの年齢の少年に、間違いを恐れてブレーキをかけるのは勿体ないことだと諭した。
「100点満点の正しいヒーローなんていない!自分の心が動いた方に100パーセントのアクセルを踏む!」
そして錠は、大きな間違いという恥ずかしい過去すらも跳ね飛ばした。メジャーが剥がれ、数字も砕ける。
「君は、君のなりたいヒーローになるんだ!」
「ななな…何故貴様は平気なんだ!?一番の間違いをはかってやったのに!」
「間違いから学べばそれは間違いじゃない!つまり…お前は何もはかれていない!!」
錠の言葉にショックを受けた苦魔獣は高く飛び上がり、そして落下してきた。そのダメージでメジャーによる拘束が解け、未来と柚葉も解放された。
「錠ナイス!あの時の間違いが今の私を作ってるってことだよね!」
未来は大輪の向日葵が咲いたような笑顔で言うが、柚葉は依然として寝転がったままだった。間違いを犯した訳ではない彼女が今欲しているのは、自らが入れる穴だけである。
「おのれ~!この俺を謀ったな!」
「先輩ヒーローとして、100パーセントのアクセル見せましょう!」
「オーライ!」
ブンブンチェンジャーとブンブンブースターを構え、二人が変身する。その様子を物陰から、イツキは見ていた。