イニシャルはQ【爆上・範道大也】
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今日も今日とて苦魔獣との戦闘を行っているブンブンジャー達。私とブンドリオは、いつものようにモニターで彼らの戦いっぷりを見ていた。
「行けー!!頑張れー!!」
ブンドリオは白熱した様子で応援している。拳を上げたり突き出したりと大きな動きをとっていた。私はモニターを横目で見つつ、「あの」と声をかける。それに気付いた彼は動くのを止め、「どしたの?」と首を傾げた。
「私の…バトルスーツ、強化してくれる?」
「えっ…」
「…スピンドーが地球に来た今、私もみんなの役に立ちたいの。ブンドリオなら、出来るんじゃないかなって思って」
「でも…それは柚葉が戦うってこと…?」
「ええ。この際戦力になるものは何でも使うべきだわ。苦魔獣の相手なら出来るくらい、もっと私を強くしてほしいの」
キャノンボーグによって作られたバトルスーツ。レースクイーンのように肌を露出したデザインで、既に一度強化が行われている。しかしまだ足りない。先日はグランツに全く歯が立たなかった。こんなのでは、大也を守れない。
ブンドリオは答えを渋っていた。当然である。ここで頷けば、私が戦場に出る理由を作ってしまうことになるのだから。彼としては、安全な場所からの後方支援や応援だけをしておいてほしいのだろう。自らが作ったシステムによって苦魔獣が生み出され、被害を出していた過去を持つ彼なら当然の反応だ。
あと一押しだ。何か、彼が動かされるような一言が必要である。
「…キャノンボーグに作られたものを着るの、やっぱりちょっと嫌なの。デザインも変えてほしくて…だから……」
「……わかった」
「!」
「柚葉がそうしてほしいって思うなら、俺は協力するよ」
「ありがとう。…でも、大也とかみんなには黙っておいてくれる?」
「何で?」
「だって、大也が聞いたら絶対止めるもの。危ないからやめろって」
「まあ…それは、心配なんだから仕方ないよ」
モニターには苦魔獣の攻撃を凌ぐレッドが映った。
もう、二度とあんな思いはさせたくない。もう絶対、彼を泣かせる奴らを許さない。どんな手を使ってでも、彼を守ってみせる。
「お願い。約束して、内緒だって」
「…わかった。具体的には、どれくらいの強化をしてほしい?」
「ブンブンカーの負荷に耐えられる耐久力は欲しいわ。もしまた前のようなことが起きた時に、もう調さんを出したくない」
「それは…ほぼブンブンスーツと同じ性能になると思うけど」
「それがいいの。ブンブンスーツの耐久力と、キャノンボーグが作った武器の火力を両立させたい。あなたは優しいから、武器の開発なんてあまりさせたくないの」
「…ありがとう」
苦魔獣が爆発した。お約束通りならそろそろ巨大化する筈だ。
「ごめん柚葉、俺行ってくる!」
「ええ、頑張って!」
ブンドリオを見送り、モニターを眺める。チャンピオンジャケットを羽織ったブンブンジャー達は、眩しい。
彼らはヒーローだ。だが、私は違う。ヒーローになれないのなら、違う存在であることを活かすしかない。彼らとは違うやり方で、守ってみせる。
*
「あーお腹空いたー!」
「カレー作ってあるよ~!」
「ありがとうございます、ブンさん!」
戻って来た彼らは一斉に各々の定位置についた。未来と錠はブンドリオからカレーを受け取るとソファに座り、大きく口を開けて見ているこちらのお腹が減りそうな勢いで食べ始めた。
それをぼうっとした様子で見ていると、「疲れた」と珍しく大也が感情を口にして凭れ掛かってきた。
「重い」
「ガソリンを入れてるんだ」
「その言い方オジサン臭いわよ」
「えっ…」
「…甘えたいなら、もっと素直にきなさい」
ぽんと膝を手で示すと、おずおず…といった感じで大也はソファに横になり頭を預けてきた。この体勢だと、彼の顔がよく見える。少しパーマのかかった髪も、前髪の分け目も、首元のホクロも。
「おや、あちらは熱愛中だそうだ」
「…せめて人目のないところでしろ」
「仕方ないでしょ、甘えたがいるんだもの」
「大也が甘えるのって珍しいよね」
「大也さん、基本的に甘やかす…というか養う側ですからね」
そういえばそうだった。私の化粧品も服も、何もかもが大也の金でまかなわれているんだった。
そう考えると、膝枕程度では釣り合わないか…と少し考え込む。膝枕以上、となると腕枕だろうか。
「柚葉は、大也がいないと自立できないからな」
「はぁ!?そんなこと…」
「柚葉、料理できる?」
「…レンチンなら」
「掃除はどうですか?」
「……物持ちが良いから、捨てられなくて」
「お金の使い方はどうだい?」
「お金は…全部大也が出してる…」
「「…」」
やばいぞコイツ、と皆言いたいのが目線でわかる。俯くと、笑いを堪えている大也と目が合った。
「…何笑ってるの…」
「柚葉は別に、今のままでいいと思うぞ」
「大也、そういうところがお前は甘いんだ」
「……俺ナシじゃ生活できないくらい駄目になってほしい、は少し重いか?」
「ッ…!!」
とんでもない発言をさらりと言ってしまう大也。顔から火が出そうになり、私は膝から大也を突き飛ばして床に容赦なく落とした。勿論受け身をとっており、彼は笑っている。
「……バカ」
「…冗談だよ。少しは、な」
それではどこまでが本気なのか分からない。本当に、腹の読めない男だ。
「行けー!!頑張れー!!」
ブンドリオは白熱した様子で応援している。拳を上げたり突き出したりと大きな動きをとっていた。私はモニターを横目で見つつ、「あの」と声をかける。それに気付いた彼は動くのを止め、「どしたの?」と首を傾げた。
「私の…バトルスーツ、強化してくれる?」
「えっ…」
「…スピンドーが地球に来た今、私もみんなの役に立ちたいの。ブンドリオなら、出来るんじゃないかなって思って」
「でも…それは柚葉が戦うってこと…?」
「ええ。この際戦力になるものは何でも使うべきだわ。苦魔獣の相手なら出来るくらい、もっと私を強くしてほしいの」
キャノンボーグによって作られたバトルスーツ。レースクイーンのように肌を露出したデザインで、既に一度強化が行われている。しかしまだ足りない。先日はグランツに全く歯が立たなかった。こんなのでは、大也を守れない。
ブンドリオは答えを渋っていた。当然である。ここで頷けば、私が戦場に出る理由を作ってしまうことになるのだから。彼としては、安全な場所からの後方支援や応援だけをしておいてほしいのだろう。自らが作ったシステムによって苦魔獣が生み出され、被害を出していた過去を持つ彼なら当然の反応だ。
あと一押しだ。何か、彼が動かされるような一言が必要である。
「…キャノンボーグに作られたものを着るの、やっぱりちょっと嫌なの。デザインも変えてほしくて…だから……」
「……わかった」
「!」
「柚葉がそうしてほしいって思うなら、俺は協力するよ」
「ありがとう。…でも、大也とかみんなには黙っておいてくれる?」
「何で?」
「だって、大也が聞いたら絶対止めるもの。危ないからやめろって」
「まあ…それは、心配なんだから仕方ないよ」
モニターには苦魔獣の攻撃を凌ぐレッドが映った。
もう、二度とあんな思いはさせたくない。もう絶対、彼を泣かせる奴らを許さない。どんな手を使ってでも、彼を守ってみせる。
「お願い。約束して、内緒だって」
「…わかった。具体的には、どれくらいの強化をしてほしい?」
「ブンブンカーの負荷に耐えられる耐久力は欲しいわ。もしまた前のようなことが起きた時に、もう調さんを出したくない」
「それは…ほぼブンブンスーツと同じ性能になると思うけど」
「それがいいの。ブンブンスーツの耐久力と、キャノンボーグが作った武器の火力を両立させたい。あなたは優しいから、武器の開発なんてあまりさせたくないの」
「…ありがとう」
苦魔獣が爆発した。お約束通りならそろそろ巨大化する筈だ。
「ごめん柚葉、俺行ってくる!」
「ええ、頑張って!」
ブンドリオを見送り、モニターを眺める。チャンピオンジャケットを羽織ったブンブンジャー達は、眩しい。
彼らはヒーローだ。だが、私は違う。ヒーローになれないのなら、違う存在であることを活かすしかない。彼らとは違うやり方で、守ってみせる。
*
「あーお腹空いたー!」
「カレー作ってあるよ~!」
「ありがとうございます、ブンさん!」
戻って来た彼らは一斉に各々の定位置についた。未来と錠はブンドリオからカレーを受け取るとソファに座り、大きく口を開けて見ているこちらのお腹が減りそうな勢いで食べ始めた。
それをぼうっとした様子で見ていると、「疲れた」と珍しく大也が感情を口にして凭れ掛かってきた。
「重い」
「ガソリンを入れてるんだ」
「その言い方オジサン臭いわよ」
「えっ…」
「…甘えたいなら、もっと素直にきなさい」
ぽんと膝を手で示すと、おずおず…といった感じで大也はソファに横になり頭を預けてきた。この体勢だと、彼の顔がよく見える。少しパーマのかかった髪も、前髪の分け目も、首元のホクロも。
「おや、あちらは熱愛中だそうだ」
「…せめて人目のないところでしろ」
「仕方ないでしょ、甘えたがいるんだもの」
「大也が甘えるのって珍しいよね」
「大也さん、基本的に甘やかす…というか養う側ですからね」
そういえばそうだった。私の化粧品も服も、何もかもが大也の金でまかなわれているんだった。
そう考えると、膝枕程度では釣り合わないか…と少し考え込む。膝枕以上、となると腕枕だろうか。
「柚葉は、大也がいないと自立できないからな」
「はぁ!?そんなこと…」
「柚葉、料理できる?」
「…レンチンなら」
「掃除はどうですか?」
「……物持ちが良いから、捨てられなくて」
「お金の使い方はどうだい?」
「お金は…全部大也が出してる…」
「「…」」
やばいぞコイツ、と皆言いたいのが目線でわかる。俯くと、笑いを堪えている大也と目が合った。
「…何笑ってるの…」
「柚葉は別に、今のままでいいと思うぞ」
「大也、そういうところがお前は甘いんだ」
「……俺ナシじゃ生活できないくらい駄目になってほしい、は少し重いか?」
「ッ…!!」
とんでもない発言をさらりと言ってしまう大也。顔から火が出そうになり、私は膝から大也を突き飛ばして床に容赦なく落とした。勿論受け身をとっており、彼は笑っている。
「……バカ」
「…冗談だよ。少しは、な」
それではどこまでが本気なのか分からない。本当に、腹の読めない男だ。