イニシャルはQ【爆上・範道大也】
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低気圧というものがとんでもないということは地球でバトルスーツを脱いでからようやくわかった。今日はやばい。本当にやばい。
「錠。そろそろ交代!」
「待ってくださいよ!もうちょっとでコツ掴めるんで!」
「はっ!?5分経ったら交代ってさっき言ったじゃん!」
「あとちょっとだけ!」
モニターの前では錠と未来がガレージにある重機の操作権をめぐって戯れている。ソファでぐったりとうなだれながら「うるさいなあ」と思いつつそれを見ていると、「随分賑やかだな」と射士郎が入ってくる。
「あっ、お帰りなさい!」
「…柚葉はどうしたんだ?」
「話しかけないで……」
「気圧でやられてるんだ。今日は低気圧が酷いらしくてな」
「大也~助けて~…」
「こればっかりは俺でもどうにもできないな…」
よしよし、と私の元にやって来て大也は頭を撫でてくれる。だが、撫でて満足したのかまた先程の位置に戻ってしまった。私としては、もう少し恋人として優しく接してほしいのだが。
「ブンドリオはどうした?」
「ブンちゃん、始末屋と一緒にミッション中なんだって」
「と、いう訳だ」
すると、大也が手に付けているブンブンチェンジャーが映像を投影した。苦魔獣が街中で暴れており、「皆さん行きましょう!」と錠、未来、玄蕃、大也が駆け出していく。しかし、射士郎が飛び出した大也に声を掛けて足を止めさせた。
「大也。ブンドリオがいないが、バックアップはどうする?」
「…頼めるか、シャーシロ」
「オーライ。…任せてくれ」
やけに素直な返事をする射士郎。相手が大也だからだろうかとぼんやり考えていると、大也が私の方にやって来て軽々と横抱きにした。所謂お姫様抱っこである。
「た、大也!?えっ、なっ、」
「柚葉。出動する前に部屋に運んでおくよ、もう今日はベッドで横になっていた方がいい」
「えっ…でも…」
「……頼む、お願いだ」
大也は少し困ったような笑みを浮かべた。反射的に「わかった」と頷くと、大也はガレージを出てすぐに私を自室まで運んでくれた。それじゃあ、と言って走り出していく彼に「気を付けてね!」と声を掛ける。
「……どうしたのかしら、大也…」
*
ベッドで布団を被りうんうんと唸っていると、派手な銃撃の音が微かに聞こえた。
「敵!?」
鈍く響くような頭痛も吹っ飛び、最低限バトルスーツに着替えて音の方へ向かう。発生源はガレージだ。外から中を覗くと──大也と射士郎が、ブンブンハンドルを片手に戦っていた。ロッドモードで打ち合い、金属音が響く。
「本物はもう消されたかもしれないな」
「それはどうかな。俺は…」
大也が射士郎らしき男の武器に力で圧を掛け、傾けさせた。
「信じてる」
そのまま武器が押さえ込まれるのかと思いきや射士郎が武器を一旦退き、再度攻撃に出た。それらを受け流し、あるいはハンドル部分で先端を挟み込んで押さえ、大也は射士郎から武器を奪い取る。
「ハアッ!!」
二刀流で射士郎を容赦なく切り裂いた。声を上げそうになったが何とか手で口を覆い、そっと見守る。
斬られた射士郎の姿は、まるで煙のように消えていった。ブンブンチェンジャーとスーツが落ちる。
「……何…?どういうこと…?」
「柚葉」
「ひっ」
「怖がらせてごめんな。あのシャーシロは偽物だ。うちのシステムに悪さをするだろうと思っていたから、柚葉を部屋に避難させたかったんだ」
中から大也が出て来る。尻餅をついて怯えていた私の目線に合わせるようにしゃがみ込んだ。手には先程床に落ちたブンブンチェンジャーを持っている。
「…今私の目の前にいる大也が、偽物じゃないって保証は?」
「…”俺と一緒に、バクアゲになってほしい”」
「!」
告白の時に言われた言葉だ。随分とキザな言い回しをしたという自覚があるのか、少し照れ臭そうに彼は苦笑している。──きっと、大丈夫だ。
「…わかった。あなたを信じる」
「ありがとう」
「時間とらせてごめんなさい。早くみんなの所に行ってあげて」
「ああ。ブンブンがいないからうちの守りは任せた、柚葉」
「オーライ」
大也が少し驚いたような顔をした。なんせ、私が了承の返事としてこの言葉を使ったのは今が初めてだ。嬉しそうに口角を緩め、くしゃくしゃと私の頭を撫でる。
「言ってみたかったの、これ」
「…これからは、いつでも言ってくれ」
「行ってらっしゃい、大也」
「ああ。行ってくる」
大也は立ち上がって走り出した。彼を止められる者はいない。
「錠。そろそろ交代!」
「待ってくださいよ!もうちょっとでコツ掴めるんで!」
「はっ!?5分経ったら交代ってさっき言ったじゃん!」
「あとちょっとだけ!」
モニターの前では錠と未来がガレージにある重機の操作権をめぐって戯れている。ソファでぐったりとうなだれながら「うるさいなあ」と思いつつそれを見ていると、「随分賑やかだな」と射士郎が入ってくる。
「あっ、お帰りなさい!」
「…柚葉はどうしたんだ?」
「話しかけないで……」
「気圧でやられてるんだ。今日は低気圧が酷いらしくてな」
「大也~助けて~…」
「こればっかりは俺でもどうにもできないな…」
よしよし、と私の元にやって来て大也は頭を撫でてくれる。だが、撫でて満足したのかまた先程の位置に戻ってしまった。私としては、もう少し恋人として優しく接してほしいのだが。
「ブンドリオはどうした?」
「ブンちゃん、始末屋と一緒にミッション中なんだって」
「と、いう訳だ」
すると、大也が手に付けているブンブンチェンジャーが映像を投影した。苦魔獣が街中で暴れており、「皆さん行きましょう!」と錠、未来、玄蕃、大也が駆け出していく。しかし、射士郎が飛び出した大也に声を掛けて足を止めさせた。
「大也。ブンドリオがいないが、バックアップはどうする?」
「…頼めるか、シャーシロ」
「オーライ。…任せてくれ」
やけに素直な返事をする射士郎。相手が大也だからだろうかとぼんやり考えていると、大也が私の方にやって来て軽々と横抱きにした。所謂お姫様抱っこである。
「た、大也!?えっ、なっ、」
「柚葉。出動する前に部屋に運んでおくよ、もう今日はベッドで横になっていた方がいい」
「えっ…でも…」
「……頼む、お願いだ」
大也は少し困ったような笑みを浮かべた。反射的に「わかった」と頷くと、大也はガレージを出てすぐに私を自室まで運んでくれた。それじゃあ、と言って走り出していく彼に「気を付けてね!」と声を掛ける。
「……どうしたのかしら、大也…」
*
ベッドで布団を被りうんうんと唸っていると、派手な銃撃の音が微かに聞こえた。
「敵!?」
鈍く響くような頭痛も吹っ飛び、最低限バトルスーツに着替えて音の方へ向かう。発生源はガレージだ。外から中を覗くと──大也と射士郎が、ブンブンハンドルを片手に戦っていた。ロッドモードで打ち合い、金属音が響く。
「本物はもう消されたかもしれないな」
「それはどうかな。俺は…」
大也が射士郎らしき男の武器に力で圧を掛け、傾けさせた。
「信じてる」
そのまま武器が押さえ込まれるのかと思いきや射士郎が武器を一旦退き、再度攻撃に出た。それらを受け流し、あるいはハンドル部分で先端を挟み込んで押さえ、大也は射士郎から武器を奪い取る。
「ハアッ!!」
二刀流で射士郎を容赦なく切り裂いた。声を上げそうになったが何とか手で口を覆い、そっと見守る。
斬られた射士郎の姿は、まるで煙のように消えていった。ブンブンチェンジャーとスーツが落ちる。
「……何…?どういうこと…?」
「柚葉」
「ひっ」
「怖がらせてごめんな。あのシャーシロは偽物だ。うちのシステムに悪さをするだろうと思っていたから、柚葉を部屋に避難させたかったんだ」
中から大也が出て来る。尻餅をついて怯えていた私の目線に合わせるようにしゃがみ込んだ。手には先程床に落ちたブンブンチェンジャーを持っている。
「…今私の目の前にいる大也が、偽物じゃないって保証は?」
「…”俺と一緒に、バクアゲになってほしい”」
「!」
告白の時に言われた言葉だ。随分とキザな言い回しをしたという自覚があるのか、少し照れ臭そうに彼は苦笑している。──きっと、大丈夫だ。
「…わかった。あなたを信じる」
「ありがとう」
「時間とらせてごめんなさい。早くみんなの所に行ってあげて」
「ああ。ブンブンがいないからうちの守りは任せた、柚葉」
「オーライ」
大也が少し驚いたような顔をした。なんせ、私が了承の返事としてこの言葉を使ったのは今が初めてだ。嬉しそうに口角を緩め、くしゃくしゃと私の頭を撫でる。
「言ってみたかったの、これ」
「…これからは、いつでも言ってくれ」
「行ってらっしゃい、大也」
「ああ。行ってくる」
大也は立ち上がって走り出した。彼を止められる者はいない。