イニシャルはQ【爆上・範道大也】
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未来と秋の一件が片付いた頃。いつものようにブンブンジャーの面子は大也のガレージで思い思いに過ごしていた。未来、錠、玄蕃、先斗、ビュンディーの四人は未来がバイト先のケーキ屋で貰って来たというケーキを囲み、ブンドリオは鼻歌を歌いながらカレーを混ぜている。柚葉は離れたところで数学ドリルを解いており、大也は微笑ましそうに皆を眺めながら車の雑誌を読んでいた。
そこへ、コーヒーを飲みながらスマホを操作していた射士郎がポツリと呟く。
「柚葉」
「ん?何?」
「俺はまだ認めてない」
「…またその話?」
うざったそうに柚葉はシャープペンシルを机に放る。射士郎はいつもの冷めた眼差しで彼女を見つめ…というかほぼ睨んでいるが、柚葉は気にも留めていない。
「ちょ…ちょっとシャーシロ!そんな言い方しなくても…」
「そうですよ!柚葉さんは立派な人です」
彼が、洗脳されてたとはいえハシリヤンだった彼女をまだ認めていないのかと思った未来と錠が柚葉を庇う発言をする。玄蕃はいつも通りニコニコと笑って静観しているだけで、先斗は「なんだ喧嘩かあ?」と野次馬になりかけていた。
「そういう問題じゃない。大也も大也だ。どうしてこんな奴を…」
「俺が惚れたものに間違いなんて無かっただろ?」
「今回の件はそれで済む話じゃない」
「あなたほんっと陰湿よね。別に私、あなたに認めてもらおうなんて思ったことないんだけど」
今日は苛立ちゲージが溜まるのが早いのか、柚葉は立ち上がって射士郎の方へ近付いた。まさに一触即発である。
「いいわ、この際ハッキリさせてあげる。私と決闘しなさい、鳴田射士郎」
「…フン。そう言うと思っていた。俺は構わないぞ」
「け…決闘!?何もそこまでしなくても…!」
「おーおー、喧嘩なら相撲がいいらしいぜ!」
「先斗。この二人で相撲が出来るとは流石に思えないよ」
射士郎も立ち上がり、二人は睨み合った。射士郎の方が背が高い為柚葉は自然と見上げる形になるが、上下を感じさせない程オーラが出ていた。
「私が勝ったら、今後このことについては一切口出ししないで」
「俺が勝ったら、大也とは別れてもらう」
いつの間にやらクイーン時代の傘を手に持った柚葉と、ガンモードのブンブンハンドルを握る射士郎。未来と錠はポカンとした様子で見ていたが、「ちょっと待って!!」と未来の大声がガレージに響いた。
「別れるって何!?縁切り的な意味!?」
「まあ、そういう意味合いでもあるな」
「未来。大丈夫よ、恋する女と愛の力は何者にも屈しないって小説で読んだことがあるもの」
「恋!?」
「あの…お二人はさっきから、何の話をしてるんですか…?」
「は?何って…」
「「大也と柚葉(私)が付き合っている話だ(けど)」」
*
最初は銃撃戦から始まった。ブンブルーは正確な射撃を行い、的確に柚葉の足元を狙う。その反面柚葉の射撃はでたらめで、全く狙いを定めていなかった。しかし次弾を装填し発射するまでの速度性能はブンブンハンドルに勝っている為、所謂「数撃ちゃ当たる」という状況を作っている。乱雑な射撃はむしろどこに弾がとんでくるか分からない為、ブンブンハンドルから放たれた銃撃を弾き返すこともあった。
「…シャーシロって……姑みたいだよね…」
大也が買ったゴミ処理場で戦闘もとい決闘を行う二人を見ながら、外野はほぼ観戦気分で飲み物すら持ち込まれていた。アイスティーを飲みながら未来が呆れたように呟き、溜め息を吐く。
「別に、誰が誰を好きになるのかなんて自由でしょ?シャーシロは柚葉のハンドルを握ろうとしているだけだよ」
「まあそう言わないであげておくれ。彼も彼なりにヤキモチを妬いているんだろう」
「ヤキモチ?」
「情報屋は随分大也を信頼しているからな。突然出て来た人間が大也と付き合ったから、友として不安になったんだろう」
「ビュンディー何でそんなに楽しそうなの…」
「修羅場というやつだ。私はあまりそういうものは書かないが──非常に参考になる」
お互いに戦闘状態に入り武器を交えているというのに、どこか抜けた空気だった。イマイチ理解できていない未来の口に飴を突っ込んで黙らせ、よっこいしょと玄蕃は座り込む。
「それで?大也はどうするつもりだい?」
「…好きにさせたら良いんじゃないか?」
「もしシャーシロが勝った場合、彼女とは別れることになるが…それでも良いのかい?」
「…柚葉は負けないさ」
さて、銃撃戦はキリがないと判断した為近接戦になだれ込む。ブルーはまず自分の武器の間合いに入ろうとするが、柚葉の傘が簡単には許さなかった。レイピアのように使って上手く攻撃を受け流す。しかし決定打に欠けていた。ブルーの攻撃は速く、正確で中々隙を見せない。
「私、本当は正直あなたのこと気に食わなかった!いつもいつも大也の隣で理解者面してるのが嫌でも目についた!」
「…ッそれはこっちも同じだ。一緒に生活すると聞いたとき、こんな奴信用できないと思った…!」
言葉は強いが、嫌味は感じられない。良い意味でお互いの感情を曝け出していた。間合いに入った二人は武器を振るう。金属音がゴミ処理場に何度も響き渡った。
「というか、どうして二人がお付き合いをしてることを言ってくれなかったんですか!?」
「いや、機を見て話そうとは思ってたんだが…」
「機を見すぎです、大也さん!」
「お、ブルー君今良いの入ったな」
「キャットファイトというやつだねえ」
のほほんと観戦するブンブンジャー達。その陰で、もぞもぞと三人の影が動く。
「ねえ……あれって、ブンブルーとクイーンよね?」
「ああ、間違いねえ。何やってんだあいつら…」
「仲間割れカー?」
サンシーターである。本当に偶然通りすがっただけだが、ブルーとクイーンが戦っているのを見て流石に素通りは出来ないと身を寄せ合っていた。
「なあ、今がチャンスなんじゃないか?」
「!苦魔獣を生み出して、ブルー諸共倒すってこと?」
「ああ!仲間割れしてるなら、まともに戦えねえ筈だろ?」
「カーは賛成カー!」
「良いわね、そうしましょ!ふふっ、じゃあ早速~…」
キョロキョロとあたりを見回すイターシャ。そして車体から外されたタイヤに目を付けると、イグニッションキーを挿した。
「ガッチャン、イグニッション!」
そこへ、コーヒーを飲みながらスマホを操作していた射士郎がポツリと呟く。
「柚葉」
「ん?何?」
「俺はまだ認めてない」
「…またその話?」
うざったそうに柚葉はシャープペンシルを机に放る。射士郎はいつもの冷めた眼差しで彼女を見つめ…というかほぼ睨んでいるが、柚葉は気にも留めていない。
「ちょ…ちょっとシャーシロ!そんな言い方しなくても…」
「そうですよ!柚葉さんは立派な人です」
彼が、洗脳されてたとはいえハシリヤンだった彼女をまだ認めていないのかと思った未来と錠が柚葉を庇う発言をする。玄蕃はいつも通りニコニコと笑って静観しているだけで、先斗は「なんだ喧嘩かあ?」と野次馬になりかけていた。
「そういう問題じゃない。大也も大也だ。どうしてこんな奴を…」
「俺が惚れたものに間違いなんて無かっただろ?」
「今回の件はそれで済む話じゃない」
「あなたほんっと陰湿よね。別に私、あなたに認めてもらおうなんて思ったことないんだけど」
今日は苛立ちゲージが溜まるのが早いのか、柚葉は立ち上がって射士郎の方へ近付いた。まさに一触即発である。
「いいわ、この際ハッキリさせてあげる。私と決闘しなさい、鳴田射士郎」
「…フン。そう言うと思っていた。俺は構わないぞ」
「け…決闘!?何もそこまでしなくても…!」
「おーおー、喧嘩なら相撲がいいらしいぜ!」
「先斗。この二人で相撲が出来るとは流石に思えないよ」
射士郎も立ち上がり、二人は睨み合った。射士郎の方が背が高い為柚葉は自然と見上げる形になるが、上下を感じさせない程オーラが出ていた。
「私が勝ったら、今後このことについては一切口出ししないで」
「俺が勝ったら、大也とは別れてもらう」
いつの間にやらクイーン時代の傘を手に持った柚葉と、ガンモードのブンブンハンドルを握る射士郎。未来と錠はポカンとした様子で見ていたが、「ちょっと待って!!」と未来の大声がガレージに響いた。
「別れるって何!?縁切り的な意味!?」
「まあ、そういう意味合いでもあるな」
「未来。大丈夫よ、恋する女と愛の力は何者にも屈しないって小説で読んだことがあるもの」
「恋!?」
「あの…お二人はさっきから、何の話をしてるんですか…?」
「は?何って…」
「「大也と柚葉(私)が付き合っている話だ(けど)」」
*
最初は銃撃戦から始まった。ブンブルーは正確な射撃を行い、的確に柚葉の足元を狙う。その反面柚葉の射撃はでたらめで、全く狙いを定めていなかった。しかし次弾を装填し発射するまでの速度性能はブンブンハンドルに勝っている為、所謂「数撃ちゃ当たる」という状況を作っている。乱雑な射撃はむしろどこに弾がとんでくるか分からない為、ブンブンハンドルから放たれた銃撃を弾き返すこともあった。
「…シャーシロって……姑みたいだよね…」
大也が買ったゴミ処理場で戦闘もとい決闘を行う二人を見ながら、外野はほぼ観戦気分で飲み物すら持ち込まれていた。アイスティーを飲みながら未来が呆れたように呟き、溜め息を吐く。
「別に、誰が誰を好きになるのかなんて自由でしょ?シャーシロは柚葉のハンドルを握ろうとしているだけだよ」
「まあそう言わないであげておくれ。彼も彼なりにヤキモチを妬いているんだろう」
「ヤキモチ?」
「情報屋は随分大也を信頼しているからな。突然出て来た人間が大也と付き合ったから、友として不安になったんだろう」
「ビュンディー何でそんなに楽しそうなの…」
「修羅場というやつだ。私はあまりそういうものは書かないが──非常に参考になる」
お互いに戦闘状態に入り武器を交えているというのに、どこか抜けた空気だった。イマイチ理解できていない未来の口に飴を突っ込んで黙らせ、よっこいしょと玄蕃は座り込む。
「それで?大也はどうするつもりだい?」
「…好きにさせたら良いんじゃないか?」
「もしシャーシロが勝った場合、彼女とは別れることになるが…それでも良いのかい?」
「…柚葉は負けないさ」
さて、銃撃戦はキリがないと判断した為近接戦になだれ込む。ブルーはまず自分の武器の間合いに入ろうとするが、柚葉の傘が簡単には許さなかった。レイピアのように使って上手く攻撃を受け流す。しかし決定打に欠けていた。ブルーの攻撃は速く、正確で中々隙を見せない。
「私、本当は正直あなたのこと気に食わなかった!いつもいつも大也の隣で理解者面してるのが嫌でも目についた!」
「…ッそれはこっちも同じだ。一緒に生活すると聞いたとき、こんな奴信用できないと思った…!」
言葉は強いが、嫌味は感じられない。良い意味でお互いの感情を曝け出していた。間合いに入った二人は武器を振るう。金属音がゴミ処理場に何度も響き渡った。
「というか、どうして二人がお付き合いをしてることを言ってくれなかったんですか!?」
「いや、機を見て話そうとは思ってたんだが…」
「機を見すぎです、大也さん!」
「お、ブルー君今良いの入ったな」
「キャットファイトというやつだねえ」
のほほんと観戦するブンブンジャー達。その陰で、もぞもぞと三人の影が動く。
「ねえ……あれって、ブンブルーとクイーンよね?」
「ああ、間違いねえ。何やってんだあいつら…」
「仲間割れカー?」
サンシーターである。本当に偶然通りすがっただけだが、ブルーとクイーンが戦っているのを見て流石に素通りは出来ないと身を寄せ合っていた。
「なあ、今がチャンスなんじゃないか?」
「!苦魔獣を生み出して、ブルー諸共倒すってこと?」
「ああ!仲間割れしてるなら、まともに戦えねえ筈だろ?」
「カーは賛成カー!」
「良いわね、そうしましょ!ふふっ、じゃあ早速~…」
キョロキョロとあたりを見回すイターシャ。そして車体から外されたタイヤに目を付けると、イグニッションキーを挿した。
「ガッチャン、イグニッション!」