イニシャルはQ【爆上・範道大也】
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ブンブンジャーとブンドリオ、調、柚葉が集まったガレージ。殆どが着席せずに立って誰かを待っていると、扉が開いてその「誰か」がやって来た。
「先斗!」
「ビュンディーは来ねえよ」
「えっ…俺、ビュンディーに今までのことを話したくて…」
「会いたくねえとさ。…以上!ビュンとUターン!」
「待てよ」
足早に帰ろうとする先斗を「待てよ」と大也が引き留めた。素直に足を止めるが、先斗は振り向かない。
「君だけでも、聞いていったらどうだ?」
「…話せよ。ハシリヤンにどうして堕ちたのか」
「そんな言い方…酷いよ」
「ビュンディーはずっと荒れてんだ。なんで自分を頼ってくれなかったのかってな」
「…結局、俺が弱かったんだ」
先斗は隠れた手でブンブンコントローラーを操作した。勿論、遠く離れた場所にいるビュンディーに今からの話を聞かせるためだ。
「俺、ビュンディーにちゃんと話してればって何度も思ったよ。でも、手遅れだった…」
ブンドリオはポツポツと語り始めた。
BBGでずっと勝てずに自信を喪失していたこと。そんな時、ファンから強化パーツをもらったこと。しかし、その強化パーツをつけたレースで事故が起きたこと。ライセンスを取り上げられたが、その理由は事故ではなく強化パーツが違法改造だったということ。ビュンディーは何も知らない、関係ないから彼の前から姿を消したということ。
その後、疑心暗鬼に陥り孤独だったブンドリオに近付いてきたのはワルイド・スピンドー。彼は自らをブンドリオのファンだと名乗り、違法パーツを渡したというファンを締め上げた。そしてブンドリオに一緒に走らないかとハシリヤンに誘い、全てが始まる。ブンドリオは走れない者が走れるようになるシステム──苦魔獣のシステムを設計した。
その後、ブンドリオは全てを知った。違法パーツはスピンドーの仕業。自分の技術が悪用されていること。
「怖くなって俺…大銀河警察と一緒にスピンドーを罠にかけて捕まえさせた」
「スピンドーは今どうなってるんですか?」
「奴は監獄惑星に囚われの身だ。だが裏じゃ、スピンドーと大銀河警察はズブズブに繋がってる。ハシリヤンの力はまるで衰えちゃいねえぞ」
「それは私が一番よく知っているからね」
先斗と玄蕃の宇宙に詳しい二人がそう呟くと、空気が一気に重たくなった。しかしそれを吹き飛ばすかのように未来が動き、ずっと俯いていたブンドリオの手を握る。
「未来…」
「ずっと…苦しかったんだね、ブンちゃん。ありがとう、話してくれて。昔は昔だよ」
錠も一緒になってブンドリオに駆け寄り、もう片方の手を握った。
「俺達にとってブンさんは仲間です!」
「…!俺、戦う!今度こそハシリヤンを叩き潰す!もう逃げないよ!」
その言葉を聞き、調がハンカチを目に当ててそっと顔を隠した。それを見た射士郎が「お前は逃げちゃいない」とフォローする。
「今までもずっと戦ってきた」
「ありがとう…本当に、ありがとう…」
「今の話、ビュンディーは聞くべきだったねえ」
「そうだな」
先斗の行動を知っているのか、大也、射士郎、玄蕃の三人は先斗の方を見て微笑を浮かべた。先斗も嬉しそうに笑い、コントローラーをちらりと見る。コントローラーの通信の先で、ビュンディーもその想いに応えていた。
「ISAが大人しいな」
「…清聴していただけです。ブン様。…じゃなかった。ブンドリオ・ブンデラス。事情はわかりました。いずれISAの聴聞会に招聘されるでしょう」
「ブンちゃん、捕まっちゃうの!?」
「いいえ、話を聞くだけです。これは貴重な一次情報。今後のハシリヤン対策に役立ちますから」
「そうね、私なんかよりそっちの情報の方が余程良い話持ってると思うわよ」
柚葉が自虐を言ったところで、アラームが鳴り響いた。モニターに砂嵐が走ったかと思うと、突然鎖で拘束されたビュンディーが映し出される。
「ああ…ブンドリオ…!」
「ビュンディー!」
その瞬間、全てを察したブンブンジャー達とブンドリオが超高速でガレージを出て行った。調と柚葉は残される形になり、少しだけ気まずい空気が流れる。調は未だにブンドリオの話で涙を流していた。
「……ねえ、調さん。一つ聞いてもいいかしら」
「……何でしょうか」
「どうして、ブンドリオにそんなに肩入れするの?」
「…」
調は答えない。ただ黙って、ハンカチで目元を拭っていた。
「……いや、やっぱり答えなくていいわ。そんなの聞くの、野暮ってものよね」
柚葉も分かっていた。彼女が、ただブンドリオ個人に肩入れしている訳ではないということを。今の彼女は、地球にとっての正義の味方の一人であるということを。
自分には無い力でブンブンジャーをサポートできる調を、柚葉は少しだけ羨ましく思っていた。
「先斗!」
「ビュンディーは来ねえよ」
「えっ…俺、ビュンディーに今までのことを話したくて…」
「会いたくねえとさ。…以上!ビュンとUターン!」
「待てよ」
足早に帰ろうとする先斗を「待てよ」と大也が引き留めた。素直に足を止めるが、先斗は振り向かない。
「君だけでも、聞いていったらどうだ?」
「…話せよ。ハシリヤンにどうして堕ちたのか」
「そんな言い方…酷いよ」
「ビュンディーはずっと荒れてんだ。なんで自分を頼ってくれなかったのかってな」
「…結局、俺が弱かったんだ」
先斗は隠れた手でブンブンコントローラーを操作した。勿論、遠く離れた場所にいるビュンディーに今からの話を聞かせるためだ。
「俺、ビュンディーにちゃんと話してればって何度も思ったよ。でも、手遅れだった…」
ブンドリオはポツポツと語り始めた。
BBGでずっと勝てずに自信を喪失していたこと。そんな時、ファンから強化パーツをもらったこと。しかし、その強化パーツをつけたレースで事故が起きたこと。ライセンスを取り上げられたが、その理由は事故ではなく強化パーツが違法改造だったということ。ビュンディーは何も知らない、関係ないから彼の前から姿を消したということ。
その後、疑心暗鬼に陥り孤独だったブンドリオに近付いてきたのはワルイド・スピンドー。彼は自らをブンドリオのファンだと名乗り、違法パーツを渡したというファンを締め上げた。そしてブンドリオに一緒に走らないかとハシリヤンに誘い、全てが始まる。ブンドリオは走れない者が走れるようになるシステム──苦魔獣のシステムを設計した。
その後、ブンドリオは全てを知った。違法パーツはスピンドーの仕業。自分の技術が悪用されていること。
「怖くなって俺…大銀河警察と一緒にスピンドーを罠にかけて捕まえさせた」
「スピンドーは今どうなってるんですか?」
「奴は監獄惑星に囚われの身だ。だが裏じゃ、スピンドーと大銀河警察はズブズブに繋がってる。ハシリヤンの力はまるで衰えちゃいねえぞ」
「それは私が一番よく知っているからね」
先斗と玄蕃の宇宙に詳しい二人がそう呟くと、空気が一気に重たくなった。しかしそれを吹き飛ばすかのように未来が動き、ずっと俯いていたブンドリオの手を握る。
「未来…」
「ずっと…苦しかったんだね、ブンちゃん。ありがとう、話してくれて。昔は昔だよ」
錠も一緒になってブンドリオに駆け寄り、もう片方の手を握った。
「俺達にとってブンさんは仲間です!」
「…!俺、戦う!今度こそハシリヤンを叩き潰す!もう逃げないよ!」
その言葉を聞き、調がハンカチを目に当ててそっと顔を隠した。それを見た射士郎が「お前は逃げちゃいない」とフォローする。
「今までもずっと戦ってきた」
「ありがとう…本当に、ありがとう…」
「今の話、ビュンディーは聞くべきだったねえ」
「そうだな」
先斗の行動を知っているのか、大也、射士郎、玄蕃の三人は先斗の方を見て微笑を浮かべた。先斗も嬉しそうに笑い、コントローラーをちらりと見る。コントローラーの通信の先で、ビュンディーもその想いに応えていた。
「ISAが大人しいな」
「…清聴していただけです。ブン様。…じゃなかった。ブンドリオ・ブンデラス。事情はわかりました。いずれISAの聴聞会に招聘されるでしょう」
「ブンちゃん、捕まっちゃうの!?」
「いいえ、話を聞くだけです。これは貴重な一次情報。今後のハシリヤン対策に役立ちますから」
「そうね、私なんかよりそっちの情報の方が余程良い話持ってると思うわよ」
柚葉が自虐を言ったところで、アラームが鳴り響いた。モニターに砂嵐が走ったかと思うと、突然鎖で拘束されたビュンディーが映し出される。
「ああ…ブンドリオ…!」
「ビュンディー!」
その瞬間、全てを察したブンブンジャー達とブンドリオが超高速でガレージを出て行った。調と柚葉は残される形になり、少しだけ気まずい空気が流れる。調は未だにブンドリオの話で涙を流していた。
「……ねえ、調さん。一つ聞いてもいいかしら」
「……何でしょうか」
「どうして、ブンドリオにそんなに肩入れするの?」
「…」
調は答えない。ただ黙って、ハンカチで目元を拭っていた。
「……いや、やっぱり答えなくていいわ。そんなの聞くの、野暮ってものよね」
柚葉も分かっていた。彼女が、ただブンドリオ個人に肩入れしている訳ではないということを。今の彼女は、地球にとっての正義の味方の一人であるということを。
自分には無い力でブンブンジャーをサポートできる調を、柚葉は少しだけ羨ましく思っていた。