イニシャルはQ【爆上・範道大也】
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Lightning Techの本社の中へとはすんなり入れた。所謂顔パスだ。大也が「こんにちは」と顔を見せるだけで、警備員や受付嬢が頭を下げた。大企業の代表に挨拶する、ということなので買ってもらった服の中からそれなりに小奇麗な服を選んだが、「そんなに緊張しなくてもいいぞ」と大也に笑われてしまった。勿論、その後に「似合っているよ」とは言われたが。
ノックをすると、「どうぞ」と返事が返ってくる。扉を開ければ、部屋の奥で椅子に座った中年の男がいた。
「おお、よく来てくれたな少年」
「代表…彼女の前でその呼び方はよしてくれ」
「もしかして、噂に聞いていたハシリヤンのクイーンは…少年のガールフレンドか?」
「ただの幼馴染だよ」
男のジョークを軽くかわし、大也は私の背中にそっと手を回した。来い、ということらしい。
「は…初めまして。巴柚葉です」
「成る程、君が巴君か。さて、何と呼べばいいかな」
「な、何でも、大丈夫です…」
「はは。じゃあ、お嬢さん…もしくはそのまま巴君と呼ばせてもらうよ」
「は、はい。よろしくお願いします、内藤さん」
流石代表なだけある。元ハシリヤンの女を前にしても風格がある。
いや、風格というよりも…何かの”におい”だ。彼からは、何か違うにおいがする。そしてそれは、ハシリヤンと似たにおいだ。
「少年が決死の覚悟で助け出したと聞いてね。本当に安心したよ」
「…その節は、市民に多大なるご迷惑をおかけしてしまい…」
「気にしないでくれ。君の事情も少しだけ聞かせてもらったからね、深入りはするまいよ」
「…感謝します」
恭しく頭を下げると、大也が「今日は随分大人しいな」とからかうように笑った。
「は、はあ?」
「こう見えて、普段はもっと強気で大胆な子なんだ」
「ほほう」
「ちょっと大也、どういう意味?それ」
「そのままの意味だよ」
にひひ、と笑う彼に一発どついてやろうかと拳を握ると「君達は良いコンビだな」と内藤は笑みを浮かべた。
「少年に同世代の友人がいるようで安心したよ。こんな老いぼれの所に来るのも良いが、そうやって歳の近い友人がいることは本当に素晴らしい。大事にするんだよ、少年」
「…ああ。分かっているさ」
「お嬢さんも、少年を頼む。彼は少々無茶をするところがあるからな…もし、彼が道を間違えようとした際はガツンと言ってあげてくれ」
「はい、勿論です」
そこだけはきっぱりと返事をした。大也がもし間違いを犯しそうになった場合は、殴ってでも止めてみせる。幼馴染として、助けてもらった者として。絶対に、彼の悲鳴を取りこぼしたりなんてしない。
「心配性だな、代表は」
「そりゃあ、可愛い教え子だからな」
「子供扱いは…やめてくれ」
「はは、そうだったな」
彼の前にいると、大也は少し子供っぽくなるようだ。自分が思ったことはよく言うし、表情も心なしか緩んでいる。ブンブンジャーのみんなの前で見せる表情は頼りがいのあるお兄さんといった感じだが、今はまだ未成熟な青年といった印象だ。
いや、それとも…内藤が、大也に「そうさせて」いるのだろうか。彼が大也を少年と呼び続ける限り、大也は彼の前では無力な子供になってしまうのか。
少し眉をひそめて二人のやり取りを見ていたが、二人が視線に気づいた瞬間目を逸らした。腹を見せてはいけない。少なくとも、この男には。
「私としては、是非お嬢さんに少年のことを引き取ってもらいたいんだが…」
「え」
「なっ、だ、代表…!」
「お嬢さんも知っての通り、少年には莫大な資産がある。いずれ、それを狙って来る者達も出て来ることだろう。そういう輩を牽制する為の存在が、巴君さ」
「…何が言いたいんです?」
「今度は君が、少年を守るんだ。君の出来る範囲で、少年の障害になるものを取り除く。その為には、少年と人生を歩むことを決めるのが一番分かりやすいだろう?」
内藤の真意は読めない。だが、ただのお節介で言っているようには見えなかった。──何か、ある。
私が大也と一緒になることで、彼に与えられるメリット。思い付くことは何もない。政略結婚に発展するような資産も権力も私には無いのだから。
「代表、柚葉はもう普通の女の子だ。彼女のハンドルは、彼女自身が握るべきなんじゃないか?」
「…おっと、それもそうだったな。失礼、少年にあまり浮ついた話が無いからついお節介をやいてしまったよ」
「全く、しっかりしてくれよ」
「……」
大也はただの冗談だと思っているようだが、私には先程の話がどうも引っ掛かって仕方なかった。まるで喉に刺さった魚の骨のように、気になって、気持ち悪くて仕方ない。
ノックをすると、「どうぞ」と返事が返ってくる。扉を開ければ、部屋の奥で椅子に座った中年の男がいた。
「おお、よく来てくれたな少年」
「代表…彼女の前でその呼び方はよしてくれ」
「もしかして、噂に聞いていたハシリヤンのクイーンは…少年のガールフレンドか?」
「ただの幼馴染だよ」
男のジョークを軽くかわし、大也は私の背中にそっと手を回した。来い、ということらしい。
「は…初めまして。巴柚葉です」
「成る程、君が巴君か。さて、何と呼べばいいかな」
「な、何でも、大丈夫です…」
「はは。じゃあ、お嬢さん…もしくはそのまま巴君と呼ばせてもらうよ」
「は、はい。よろしくお願いします、内藤さん」
流石代表なだけある。元ハシリヤンの女を前にしても風格がある。
いや、風格というよりも…何かの”におい”だ。彼からは、何か違うにおいがする。そしてそれは、ハシリヤンと似たにおいだ。
「少年が決死の覚悟で助け出したと聞いてね。本当に安心したよ」
「…その節は、市民に多大なるご迷惑をおかけしてしまい…」
「気にしないでくれ。君の事情も少しだけ聞かせてもらったからね、深入りはするまいよ」
「…感謝します」
恭しく頭を下げると、大也が「今日は随分大人しいな」とからかうように笑った。
「は、はあ?」
「こう見えて、普段はもっと強気で大胆な子なんだ」
「ほほう」
「ちょっと大也、どういう意味?それ」
「そのままの意味だよ」
にひひ、と笑う彼に一発どついてやろうかと拳を握ると「君達は良いコンビだな」と内藤は笑みを浮かべた。
「少年に同世代の友人がいるようで安心したよ。こんな老いぼれの所に来るのも良いが、そうやって歳の近い友人がいることは本当に素晴らしい。大事にするんだよ、少年」
「…ああ。分かっているさ」
「お嬢さんも、少年を頼む。彼は少々無茶をするところがあるからな…もし、彼が道を間違えようとした際はガツンと言ってあげてくれ」
「はい、勿論です」
そこだけはきっぱりと返事をした。大也がもし間違いを犯しそうになった場合は、殴ってでも止めてみせる。幼馴染として、助けてもらった者として。絶対に、彼の悲鳴を取りこぼしたりなんてしない。
「心配性だな、代表は」
「そりゃあ、可愛い教え子だからな」
「子供扱いは…やめてくれ」
「はは、そうだったな」
彼の前にいると、大也は少し子供っぽくなるようだ。自分が思ったことはよく言うし、表情も心なしか緩んでいる。ブンブンジャーのみんなの前で見せる表情は頼りがいのあるお兄さんといった感じだが、今はまだ未成熟な青年といった印象だ。
いや、それとも…内藤が、大也に「そうさせて」いるのだろうか。彼が大也を少年と呼び続ける限り、大也は彼の前では無力な子供になってしまうのか。
少し眉をひそめて二人のやり取りを見ていたが、二人が視線に気づいた瞬間目を逸らした。腹を見せてはいけない。少なくとも、この男には。
「私としては、是非お嬢さんに少年のことを引き取ってもらいたいんだが…」
「え」
「なっ、だ、代表…!」
「お嬢さんも知っての通り、少年には莫大な資産がある。いずれ、それを狙って来る者達も出て来ることだろう。そういう輩を牽制する為の存在が、巴君さ」
「…何が言いたいんです?」
「今度は君が、少年を守るんだ。君の出来る範囲で、少年の障害になるものを取り除く。その為には、少年と人生を歩むことを決めるのが一番分かりやすいだろう?」
内藤の真意は読めない。だが、ただのお節介で言っているようには見えなかった。──何か、ある。
私が大也と一緒になることで、彼に与えられるメリット。思い付くことは何もない。政略結婚に発展するような資産も権力も私には無いのだから。
「代表、柚葉はもう普通の女の子だ。彼女のハンドルは、彼女自身が握るべきなんじゃないか?」
「…おっと、それもそうだったな。失礼、少年にあまり浮ついた話が無いからついお節介をやいてしまったよ」
「全く、しっかりしてくれよ」
「……」
大也はただの冗談だと思っているようだが、私には先程の話がどうも引っ掛かって仕方なかった。まるで喉に刺さった魚の骨のように、気になって、気持ち悪くて仕方ない。