イニシャルはQ【爆上・範道大也】
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範道大也はキャノンボーグを倒し花火を見終えて一件落着、で終わる男ではなかった。
射士郎と玄蕃を中心に未来と錠、先斗へ声を掛けて柚葉の捜索を頼んでいたのだ。I.S.Aの人間である調には敢えて話をしていないあたり、彼の強かな部分が窺える。
そして見つけた。
「!柚葉!」
路地裏で建物に背を預け、座り込んでいる柚葉がいた。彼女は黒目だけを動かして大也を見つめ、顔を歪ませる。慌てて立ち上がり、その場から逃げ出そうとした。その腕を大也が掴み、引き留める。
「待ってくれ!」
「は、離して!」
振りほどこうとするが、同年代の男に敵う筈もなかった。暫くすると抵抗をやめ、拒絶の表情を見せた。嫌悪ではなかった。
「私…どうして……大也に、あんなこと…」
「…記憶が、戻ってるのか…?キャノンボーグが倒されたから…」
「キャノンボーグ……」
柚葉は心当たりがあるのか、その名前を呟いた。そして、「うっ」と口元を押さえる。
「!気分が悪いのか…!?」
「たい、や…ッ」
顔が真っ青になり、彼女は大也に背を向けた。そしてそのまま座り込み、「うぇ」「おご」と声を漏らし始める。記憶と感情を吐瀉物に変換してアスファルトにぶち撒けた。鼻をつくような悪臭が彼女の周囲を覆った。手が汚れることを嫌ったのか、両方の手のひらをアスファルトにくっ付け、屈むような姿勢で吐いた。
その間に大也はその場を離れ、自動販売機で水を買ってきた。戻ってくる頃には柚葉も吐き終わっており、はあはあと肩で息をしている。泣きそうな顔をしている彼女にそっと水を差し出し、「飲むのは駄目だぞ。口を濯ぐんだ」と言った。アスファルトに水をボトボト零しながら言われた通りに口を濯げば、零れた水が吐瀉物の上に落ちていった。
「はあ………ぁ…………」
「…大丈夫か?」
こくりと頷く。大也は錠に位置情報を送り、「知り合いが嘔吐してしまったが、すぐに対処できないから警察に任せたい」という旨を送った。丁度スマホを見ていたのかすぐに錠から「分かりました!」という元気な返信がきた。
「とりあえず、移動しよう。あっちに公園があるから、そこのベンチで話をしたい」
「………ぅん…」
大也に少し体を預けながら、ヨロヨロと歩き始める。大也はほんの少しでも彼女に頼られているという事実を受けとめ、それを愛おしく思った。野良猫に相手をしてもらっているような気分だった。
*
奇しくも児童館の子供達と遊んだ公園だった。ベンチに着く頃には柚葉も落ち着き、汚いものを見せたことに対し「ごめん」と素直に謝った。気にするな、と大也は軽く流しさりげなく彼女の背中をさする。
「…何を思い出したんだ?」
「……全部。…私が、どうしてクイーンなんて名乗っていたことも含めて」
「…聞いても…いいか?」
「……いいわよ」
彼女の口からは、恐るべき事実が語られた。
幼い頃、宇宙人に攫われたこと。攫ったのは、キャノンボーグだったこと。
キャノンボーグは地球人のサンプルを欲していた。そしてたまたま目に留まったのが柚葉だったのだ。
ハシリヤンの巣窟で幾つもの実験やテストをさせられ、その内心が折れた。ショックで実験の詳細な記憶を無くした柚葉はそのまま育ち、クイーンの武装を作った改造と共に記憶を本格的に消された。そして洗脳までされ、クイーンとして地球へ降り立った。
キャノンボーグはずっと柚葉を洗脳で操っていた。何度も洗脳と改造を繰り返し、その度に手駒として使役した。
「…そうか。ずっと、洗脳を…」
「……言い訳に聞こえるかもしれないけど……ごめん、なさい」
「何で柚葉が謝るんだ。悪いのはハシリヤンだろ。お前が謝る必要なんてないんだから、そんな顔するな」
「でも…」
柚葉はずっと表情を曇らせていた。大也の目を見ることが出来ず俯き、小さく震えていた。恐れられているのか、それとも恐ろしい記憶を思い出して怯えているのか判断がつかず、大也はどう言葉をかけようか迷った。そして少し思案し、むに、と柚葉の頬をつまむ。
「んぇ」
「笑ってくれ、柚葉」
「大也…」
「俺にとってのバクアゲは、お前の笑顔だ。お前が心から笑ってくれれば、俺は最高にバクアゲになれるんだ」
「…」
頬をむにむにとつまんで遊び、口角を無理矢理上げさせる。しかし彼が手を離してしまうと、また下がってしまった。
「……やだ…」
「…柚葉」
「…まだ、少し混乱していて…。でも、もう大也に迷惑をかけたくない……いつまた暴れ始めるかもわからないし…」
「大丈夫だ」
射士郎と玄蕃を中心に未来と錠、先斗へ声を掛けて柚葉の捜索を頼んでいたのだ。I.S.Aの人間である調には敢えて話をしていないあたり、彼の強かな部分が窺える。
そして見つけた。
「!柚葉!」
路地裏で建物に背を預け、座り込んでいる柚葉がいた。彼女は黒目だけを動かして大也を見つめ、顔を歪ませる。慌てて立ち上がり、その場から逃げ出そうとした。その腕を大也が掴み、引き留める。
「待ってくれ!」
「は、離して!」
振りほどこうとするが、同年代の男に敵う筈もなかった。暫くすると抵抗をやめ、拒絶の表情を見せた。嫌悪ではなかった。
「私…どうして……大也に、あんなこと…」
「…記憶が、戻ってるのか…?キャノンボーグが倒されたから…」
「キャノンボーグ……」
柚葉は心当たりがあるのか、その名前を呟いた。そして、「うっ」と口元を押さえる。
「!気分が悪いのか…!?」
「たい、や…ッ」
顔が真っ青になり、彼女は大也に背を向けた。そしてそのまま座り込み、「うぇ」「おご」と声を漏らし始める。記憶と感情を吐瀉物に変換してアスファルトにぶち撒けた。鼻をつくような悪臭が彼女の周囲を覆った。手が汚れることを嫌ったのか、両方の手のひらをアスファルトにくっ付け、屈むような姿勢で吐いた。
その間に大也はその場を離れ、自動販売機で水を買ってきた。戻ってくる頃には柚葉も吐き終わっており、はあはあと肩で息をしている。泣きそうな顔をしている彼女にそっと水を差し出し、「飲むのは駄目だぞ。口を濯ぐんだ」と言った。アスファルトに水をボトボト零しながら言われた通りに口を濯げば、零れた水が吐瀉物の上に落ちていった。
「はあ………ぁ…………」
「…大丈夫か?」
こくりと頷く。大也は錠に位置情報を送り、「知り合いが嘔吐してしまったが、すぐに対処できないから警察に任せたい」という旨を送った。丁度スマホを見ていたのかすぐに錠から「分かりました!」という元気な返信がきた。
「とりあえず、移動しよう。あっちに公園があるから、そこのベンチで話をしたい」
「………ぅん…」
大也に少し体を預けながら、ヨロヨロと歩き始める。大也はほんの少しでも彼女に頼られているという事実を受けとめ、それを愛おしく思った。野良猫に相手をしてもらっているような気分だった。
*
奇しくも児童館の子供達と遊んだ公園だった。ベンチに着く頃には柚葉も落ち着き、汚いものを見せたことに対し「ごめん」と素直に謝った。気にするな、と大也は軽く流しさりげなく彼女の背中をさする。
「…何を思い出したんだ?」
「……全部。…私が、どうしてクイーンなんて名乗っていたことも含めて」
「…聞いても…いいか?」
「……いいわよ」
彼女の口からは、恐るべき事実が語られた。
幼い頃、宇宙人に攫われたこと。攫ったのは、キャノンボーグだったこと。
キャノンボーグは地球人のサンプルを欲していた。そしてたまたま目に留まったのが柚葉だったのだ。
ハシリヤンの巣窟で幾つもの実験やテストをさせられ、その内心が折れた。ショックで実験の詳細な記憶を無くした柚葉はそのまま育ち、クイーンの武装を作った改造と共に記憶を本格的に消された。そして洗脳までされ、クイーンとして地球へ降り立った。
キャノンボーグはずっと柚葉を洗脳で操っていた。何度も洗脳と改造を繰り返し、その度に手駒として使役した。
「…そうか。ずっと、洗脳を…」
「……言い訳に聞こえるかもしれないけど……ごめん、なさい」
「何で柚葉が謝るんだ。悪いのはハシリヤンだろ。お前が謝る必要なんてないんだから、そんな顔するな」
「でも…」
柚葉はずっと表情を曇らせていた。大也の目を見ることが出来ず俯き、小さく震えていた。恐れられているのか、それとも恐ろしい記憶を思い出して怯えているのか判断がつかず、大也はどう言葉をかけようか迷った。そして少し思案し、むに、と柚葉の頬をつまむ。
「んぇ」
「笑ってくれ、柚葉」
「大也…」
「俺にとってのバクアゲは、お前の笑顔だ。お前が心から笑ってくれれば、俺は最高にバクアゲになれるんだ」
「…」
頬をむにむにとつまんで遊び、口角を無理矢理上げさせる。しかし彼が手を離してしまうと、また下がってしまった。
「……やだ…」
「…柚葉」
「…まだ、少し混乱していて…。でも、もう大也に迷惑をかけたくない……いつまた暴れ始めるかもわからないし…」
「大丈夫だ」