イニシャルはQ【爆上・大也】
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アコギグルマ―が倒された後、クイーンはまだ児童館の外で身を隠していた。膝を抱えて木の陰に隠れ、呆然と庭を眺めている。そこへギターを持ってきた大也がやって来た為慌てて更に体を木の陰に隠した。
彼は慣れた手つきでギターを弾き始め、先程自分を起こす為に歌っていた「にじ」を一人で歌い始めた。暫くするとそこへ未来や錠、玄蕃と射士郎がやって来て歌に混ざる。五人の歌声とギターの音色が重なり、一つになった。
「きっと明日は いい天気」
「……きっと明日は、いい天気………」
一番最後の部分だけ、クイーンも思わず口ずさんでしまった。歌を至近距離、しかも大勢での歌声を耳にすることにより強くかけられた洗脳が解けてしまっていたのだ。勿論それでも記憶は戻っていないが、歌を騒音と認識する機能は無くなっていた。
四人は気付かなかったが、一人増えた歌声に大也だけが気付き顔を上げて周囲を見渡す。勿論見える範囲にクイーンの姿はない。
「……柚葉、そこにいるのか?」
大也が問いかける。どこどこ、と探そうとする未来の腕を射士郎が黙って掴んで止める。普段は素直な錠も何かを察していたのか、黙っていた。
「…もう一度、一緒に歌おうな」
「………うん………」
小さな声で返事をし、そっとその場を立ち去る。今この瞬間だけ、彼女はハシリヤンのクイーンから幼馴染である柚葉へと戻っていた。
*
戻って来たクイーンの様子が可笑しいのは明らかだった。すぐにキャノンボーグは彼女を捕まえて改造を施し、解けた洗脳を元に戻す。一通り改造が終わって目覚めたとき、そこにもう先程の柚葉はいなかった。
「今度はどこを改造したのかしら」
「諸々のアップデートです」
「ふうん…」
「クイーン、あなたは少し喋りすぎです。ああそれと、ブンレッドには近付かないように」
「はあ?何で?アイツをコースアウトさせるのはこの私よ」
「あれはあなたに悪影響です。あなただって、汚いものを触るのは嫌でしょう?」
「……」
「せめて、他のブンブンジャーを倒してからにしなさい。ブンレッド一人になればまだ勝機はあります」
「……はあ、わかったわよ。他の奴らから倒せばいいんでしょ」
傘をくるくると回し、クイーンはいつもの調子に戻った。一つ前の調整の時よりも落ち着いている。攻撃的な部分を削った反面、冷静さの割合を増やしたようだ。
「それより、このままじゃ本家から最後通告来るわよ。どうするつもり?」
「…奥の手があります。それを使うのは本当に最終手段ですが…」
「へえ、準備が良いじゃない。どんな手段なのよ、それ」
「奥の手と言ったでしょう。あなたにもまだ言えません」
「あら、信頼が無いのね。あなたが改造してる実験体なのに」
「実験体程度に話すことはありません」
「冷たいわね。そんなこと言ってると、いつか痛い目に遭うわよ」
キャノンボーグはジャッキーを見せつけるように持ち、「ほう」と答えた。威嚇であり、牽制だった。しかしクイーンは余裕を見せており、傘すら構えていない。
「寝首を搔くつもりで?」
「まさか。いずれそうなるかもしれないって話よ」
「その時はその時です。まあ、私を嵌めるなんて芸当は余程の人材でない限り不可能でしょうが」
「……そう、ね」
クイーンはサンシーターのことが気がかりだったが、キャノンボーグには言わなかった。彼に待ち受ける運命がそれなら、黙って見届けるのも実験体の役目かもしれないと考えたからだ。
一匹だったとしても、毒を持つ蜂なら人を殺せる。それが三匹になれば確率は上がる。そして三匹から更に増えれば、いずれそれは女王蜂を持った巣になり、人を殺す確率はぐんと上がる。
蜂に刺されるか、刺される前に駆除するか。キャノンボーグがどちらを歩むのかは彼女の知るところではないが、そもそも彼は蜂を認識しているかどうかすら怪しかった。
彼は慣れた手つきでギターを弾き始め、先程自分を起こす為に歌っていた「にじ」を一人で歌い始めた。暫くするとそこへ未来や錠、玄蕃と射士郎がやって来て歌に混ざる。五人の歌声とギターの音色が重なり、一つになった。
「きっと明日は いい天気」
「……きっと明日は、いい天気………」
一番最後の部分だけ、クイーンも思わず口ずさんでしまった。歌を至近距離、しかも大勢での歌声を耳にすることにより強くかけられた洗脳が解けてしまっていたのだ。勿論それでも記憶は戻っていないが、歌を騒音と認識する機能は無くなっていた。
四人は気付かなかったが、一人増えた歌声に大也だけが気付き顔を上げて周囲を見渡す。勿論見える範囲にクイーンの姿はない。
「……柚葉、そこにいるのか?」
大也が問いかける。どこどこ、と探そうとする未来の腕を射士郎が黙って掴んで止める。普段は素直な錠も何かを察していたのか、黙っていた。
「…もう一度、一緒に歌おうな」
「………うん………」
小さな声で返事をし、そっとその場を立ち去る。今この瞬間だけ、彼女はハシリヤンのクイーンから幼馴染である柚葉へと戻っていた。
*
戻って来たクイーンの様子が可笑しいのは明らかだった。すぐにキャノンボーグは彼女を捕まえて改造を施し、解けた洗脳を元に戻す。一通り改造が終わって目覚めたとき、そこにもう先程の柚葉はいなかった。
「今度はどこを改造したのかしら」
「諸々のアップデートです」
「ふうん…」
「クイーン、あなたは少し喋りすぎです。ああそれと、ブンレッドには近付かないように」
「はあ?何で?アイツをコースアウトさせるのはこの私よ」
「あれはあなたに悪影響です。あなただって、汚いものを触るのは嫌でしょう?」
「……」
「せめて、他のブンブンジャーを倒してからにしなさい。ブンレッド一人になればまだ勝機はあります」
「……はあ、わかったわよ。他の奴らから倒せばいいんでしょ」
傘をくるくると回し、クイーンはいつもの調子に戻った。一つ前の調整の時よりも落ち着いている。攻撃的な部分を削った反面、冷静さの割合を増やしたようだ。
「それより、このままじゃ本家から最後通告来るわよ。どうするつもり?」
「…奥の手があります。それを使うのは本当に最終手段ですが…」
「へえ、準備が良いじゃない。どんな手段なのよ、それ」
「奥の手と言ったでしょう。あなたにもまだ言えません」
「あら、信頼が無いのね。あなたが改造してる実験体なのに」
「実験体程度に話すことはありません」
「冷たいわね。そんなこと言ってると、いつか痛い目に遭うわよ」
キャノンボーグはジャッキーを見せつけるように持ち、「ほう」と答えた。威嚇であり、牽制だった。しかしクイーンは余裕を見せており、傘すら構えていない。
「寝首を搔くつもりで?」
「まさか。いずれそうなるかもしれないって話よ」
「その時はその時です。まあ、私を嵌めるなんて芸当は余程の人材でない限り不可能でしょうが」
「……そう、ね」
クイーンはサンシーターのことが気がかりだったが、キャノンボーグには言わなかった。彼に待ち受ける運命がそれなら、黙って見届けるのも実験体の役目かもしれないと考えたからだ。
一匹だったとしても、毒を持つ蜂なら人を殺せる。それが三匹になれば確率は上がる。そして三匹から更に増えれば、いずれそれは女王蜂を持った巣になり、人を殺す確率はぐんと上がる。
蜂に刺されるか、刺される前に駆除するか。キャノンボーグがどちらを歩むのかは彼女の知るところではないが、そもそも彼は蜂を認識しているかどうかすら怪しかった。
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