イニシャルはQ【爆上・大也】
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※バクアゲ24
路地裏で本家と通信を行いながら、頭をぺこぺこと下げるキャノンボーグ。室外機の上に座って虚ろな目でそれを見つめるクイーンと、楽しげに談笑するサンシーター。それをぶち壊すように、キャノンボーグの苛立った声が響いた。
「何故こうもギャーソリンが集まらないのです!?」
「えっ!?」
「いやあ、何故って言われても…なあ?」
「ねえ~…。私、よくわかんな~い!」
自分達に責任は無いとでも言いたげなサンシーター。現場監督の指揮が悪いと遠回しに言われたと捉えたのか、キャノンボーグは怒りのボルテージを更に上げた。
「全部あなた達の働きが悪いからです!」
雷撃が走り、サンシーターに直撃する。クイーンは腑抜けた様子だったが傘を差して防御した為無傷だった。感電してあわあわと震えるサンシーターを一瞥し、「もう後がない…」とキャノンボーグは呟く。そして路地裏に置いてあったアコースティックギターにイグニッションキーを差し、アコギグルマ―を生んだ。
「…大也……」
クイーンは明らかに様子が変だった。ぼうっとした様子で宙を見つめ、時折大也の名前を口にする。それがまた彼の琴線に触れたのか、キャノンボーグはクイーンにも当たり始める。
「あなたもです、クイーン!折角改造してあげたというのに、何故成果が挙げられないのです!?」
「……キャノンボーグ」
「聞いているのですか!?」
「…教えて、私のこと。私は一体何者なの?あなたは知っているんでしょう?全部知りたいの…自分のことを」
「それを知ってどうするつもりです!どうせあなたにはここしか居場所がないでしょう!」
「知った上で決めたいの!私が走る場所…走り続けるコースを!」
「あなたにそんな権限はありません!」
キャノンボーグがジャッキーを掲げると、赤い光が周囲を照らした。サンシーターは目が眩み咄嗟に視界を塞いだが、クイーンはその光を見た瞬間先程と同じようにぼうっとした表情になった。
「暫く大人しくしていなさい。現場に付いて行くのは構いませんが、戦闘に加わることは許しません」
「はい…テール・トゥ・ノーズ…」
*
「眠らせてもギャーソリンって集まるんだな」
「そうよね。やるじゃない、アコギグルマ―!」
遊具の陰から、アコギグルマ―の攻撃を食らって眠ってしまい、ベンチに寝かされた大也と先斗を観察する。
相変わらずクイーンはぼうっとした表情だったが、ぐるりと公園を見渡していた。キョロキョロと身を隠している遊具を観察し、「ここ…」と呟く。
そうこうしている間にアコギグルマ―が見せる偽物の夢を振り切った先斗が目を覚ました。幼馴染が絶対に見せないであろう姿を見せられて頭にきている彼はバイオレットに変身し、アコギグルマ―と戦闘をしているブルーの元へ駆け付ける。
「遅いぞ!」
「レッドを連れてここから離れろ!過去の呪縛を解くためのヒントを探せ!」
「…わかった」
過去、という言葉を聞いた柚葉は視線を大也に移した。「過去を知りたい」という強い気持ちが、一時的にキャノンボーグの強い洗脳を薄めたのだ。──大也の過去なら、私に関するヒントがあるかもしれない。
その思いに突き動かされ、クイーンは動いた。
「え!?ちょっとどこ行くの!?」
「放っとけ。どうせアイツ、今戦えないんだから」
引き戻そうとするイターシャをデコトラ―デが止めた。彼は何か思うところがあったのか、大也を連れて児童館の中へ入って行くブンブンジャーにこっそり付いて行くクイーンの背中を眺めていた。
*
床に寝かされた大也からギャーソリンが排出されていく。相当魘されているのか、時折「先生…」と呟いていた。児童館の開けたスペースと庭を繋ぐ掃き出し窓をカラカラとこっそり少しだけ開き、その様子をクイーンは見守る。この児童館も、彼女にとっては記憶を刺激する場所の筈だった。しかしキャノンボーグの洗脳が強いのか、児童館の内装を見ただけでは何も思い出さない。
どうすれば大也が起きるのか頭を悩ませていたとき、壁に貼ってある「にじ」の歌詞が射士郎の目に留まった。そして「歌だ」と呟き、「恐らく大也は夢の中で偽物の過去に囚われている」と素早く分析する。
「!思い出の歌を聴けば、夢が偽物だって気付くかも!」
「よし!みんな、手伝ってくれ!」
怯えていた子供達にブンドリオが声をかけ、子供達や児童館のスタッフを並ばせた。射士郎、未来、錠、玄蕃も一緒になって横に並び、タイミングを合わせて口を開ける。
「にわのシャベルが 一日ぬれて」
ギターの演奏者なんていないアカペラの筈だったが、確かにメロディーを刻むギターの音が聞こえてきた。何よりも、歌の入りを聴いた瞬間クイーンの目の色が変わった。
「!?この歌…何…!?」
歌声が刺激するのは大也だけではなかった。彼女の深く閉ざされた記憶にも歌声は届き、それはやがて頭痛となって表れる。頭を押さえ、バレない程度に呻き始めた。
「きみのきみの 気分もはれて」
「嫌…やめて……!」
彼女にとって歌声は、頭痛を悪化させる騒音でしかない。このままでは頭が可笑しくなる、と判断し児童館に乗り込もうとするが、それすらも体が許さなかった。その場で蹲り、必死に耳を塞いで歌声を排除しようとする。
「きっと明日は いい天気」
優しい歌声が響き、今苦魔獣が暴れているなんて考えられない程の穏やかな時間を作り出す。そしてようやく歌が止み、大也がゆっくりと目を開けた。騒音が収まったクイーンは息を切らして手を耳から離し、起き上がった彼を見る。
「ありがとう。君達の歌、届いたよ!…最高のバクアゲだ」
晴れやかな顔で彼は微笑を浮かべた。
路地裏で本家と通信を行いながら、頭をぺこぺこと下げるキャノンボーグ。室外機の上に座って虚ろな目でそれを見つめるクイーンと、楽しげに談笑するサンシーター。それをぶち壊すように、キャノンボーグの苛立った声が響いた。
「何故こうもギャーソリンが集まらないのです!?」
「えっ!?」
「いやあ、何故って言われても…なあ?」
「ねえ~…。私、よくわかんな~い!」
自分達に責任は無いとでも言いたげなサンシーター。現場監督の指揮が悪いと遠回しに言われたと捉えたのか、キャノンボーグは怒りのボルテージを更に上げた。
「全部あなた達の働きが悪いからです!」
雷撃が走り、サンシーターに直撃する。クイーンは腑抜けた様子だったが傘を差して防御した為無傷だった。感電してあわあわと震えるサンシーターを一瞥し、「もう後がない…」とキャノンボーグは呟く。そして路地裏に置いてあったアコースティックギターにイグニッションキーを差し、アコギグルマ―を生んだ。
「…大也……」
クイーンは明らかに様子が変だった。ぼうっとした様子で宙を見つめ、時折大也の名前を口にする。それがまた彼の琴線に触れたのか、キャノンボーグはクイーンにも当たり始める。
「あなたもです、クイーン!折角改造してあげたというのに、何故成果が挙げられないのです!?」
「……キャノンボーグ」
「聞いているのですか!?」
「…教えて、私のこと。私は一体何者なの?あなたは知っているんでしょう?全部知りたいの…自分のことを」
「それを知ってどうするつもりです!どうせあなたにはここしか居場所がないでしょう!」
「知った上で決めたいの!私が走る場所…走り続けるコースを!」
「あなたにそんな権限はありません!」
キャノンボーグがジャッキーを掲げると、赤い光が周囲を照らした。サンシーターは目が眩み咄嗟に視界を塞いだが、クイーンはその光を見た瞬間先程と同じようにぼうっとした表情になった。
「暫く大人しくしていなさい。現場に付いて行くのは構いませんが、戦闘に加わることは許しません」
「はい…テール・トゥ・ノーズ…」
*
「眠らせてもギャーソリンって集まるんだな」
「そうよね。やるじゃない、アコギグルマ―!」
遊具の陰から、アコギグルマ―の攻撃を食らって眠ってしまい、ベンチに寝かされた大也と先斗を観察する。
相変わらずクイーンはぼうっとした表情だったが、ぐるりと公園を見渡していた。キョロキョロと身を隠している遊具を観察し、「ここ…」と呟く。
そうこうしている間にアコギグルマ―が見せる偽物の夢を振り切った先斗が目を覚ました。幼馴染が絶対に見せないであろう姿を見せられて頭にきている彼はバイオレットに変身し、アコギグルマ―と戦闘をしているブルーの元へ駆け付ける。
「遅いぞ!」
「レッドを連れてここから離れろ!過去の呪縛を解くためのヒントを探せ!」
「…わかった」
過去、という言葉を聞いた柚葉は視線を大也に移した。「過去を知りたい」という強い気持ちが、一時的にキャノンボーグの強い洗脳を薄めたのだ。──大也の過去なら、私に関するヒントがあるかもしれない。
その思いに突き動かされ、クイーンは動いた。
「え!?ちょっとどこ行くの!?」
「放っとけ。どうせアイツ、今戦えないんだから」
引き戻そうとするイターシャをデコトラ―デが止めた。彼は何か思うところがあったのか、大也を連れて児童館の中へ入って行くブンブンジャーにこっそり付いて行くクイーンの背中を眺めていた。
*
床に寝かされた大也からギャーソリンが排出されていく。相当魘されているのか、時折「先生…」と呟いていた。児童館の開けたスペースと庭を繋ぐ掃き出し窓をカラカラとこっそり少しだけ開き、その様子をクイーンは見守る。この児童館も、彼女にとっては記憶を刺激する場所の筈だった。しかしキャノンボーグの洗脳が強いのか、児童館の内装を見ただけでは何も思い出さない。
どうすれば大也が起きるのか頭を悩ませていたとき、壁に貼ってある「にじ」の歌詞が射士郎の目に留まった。そして「歌だ」と呟き、「恐らく大也は夢の中で偽物の過去に囚われている」と素早く分析する。
「!思い出の歌を聴けば、夢が偽物だって気付くかも!」
「よし!みんな、手伝ってくれ!」
怯えていた子供達にブンドリオが声をかけ、子供達や児童館のスタッフを並ばせた。射士郎、未来、錠、玄蕃も一緒になって横に並び、タイミングを合わせて口を開ける。
「にわのシャベルが 一日ぬれて」
ギターの演奏者なんていないアカペラの筈だったが、確かにメロディーを刻むギターの音が聞こえてきた。何よりも、歌の入りを聴いた瞬間クイーンの目の色が変わった。
「!?この歌…何…!?」
歌声が刺激するのは大也だけではなかった。彼女の深く閉ざされた記憶にも歌声は届き、それはやがて頭痛となって表れる。頭を押さえ、バレない程度に呻き始めた。
「きみのきみの 気分もはれて」
「嫌…やめて……!」
彼女にとって歌声は、頭痛を悪化させる騒音でしかない。このままでは頭が可笑しくなる、と判断し児童館に乗り込もうとするが、それすらも体が許さなかった。その場で蹲り、必死に耳を塞いで歌声を排除しようとする。
「きっと明日は いい天気」
優しい歌声が響き、今苦魔獣が暴れているなんて考えられない程の穏やかな時間を作り出す。そしてようやく歌が止み、大也がゆっくりと目を開けた。騒音が収まったクイーンは息を切らして手を耳から離し、起き上がった彼を見る。
「ありがとう。君達の歌、届いたよ!…最高のバクアゲだ」
晴れやかな顔で彼は微笑を浮かべた。