イニシャルはQ【爆上・大也】
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※バクアゲ17時空
クイーンは夢を見ていた。
どこかの施設。小学校低学年くらいの幼い少女は一人で人形遊びをしている。時折周りの子供が遊びに来るが、彼女はそれを突っぱねて黙々と人形を動かしていた。
「一緒に遊ぼうよ」
また一人子供がやって来た。黒髪の少年は手に車のオモチャを持っている。少女がぷいとそっぽを向くと、少年は「遊ぼう」ともう一度声をかける。
「何で」
「友達になりたいから」
「友達なんていらない」
「一緒に遊ぶと楽しいよ」
「…何でそんなに、私に拘るの?」
大人びた口調で少女は少年を見つめた。手の中にある小さな人形をぎゅっと握り、何かを思い出しているのか不安げにしている。しかし少年は彼女の杞憂を吹き飛ばすように手を伸ばし、にっこりと笑った。
「自分と違う色を持った人が一緒だと、世界はカラフルでもっともっと面白くなるんだよ」
「…」
「まひろ先生が言ってたんだ」
「…あっそ。でも、私の答えにはなってない。それなら、違う子に声をかければいいじゃない」
「うーん…」
少年は悩ましげに首を傾げる。少女は「こいつももう諦めただろう」と視線を逸らし、一人遊びに戻ろうとした。しかしその手を優しく掴み、少年は真っ直ぐな目を向ける。
「君が、寂しそうにしてたからかな」
*
目を覚まし、上体を起こす。きょろきょろと辺りを見渡すと、「起きましたか」とキャノンボーグがハンカチで手を拭いていた。クイーンは腰掛に寝かされており、周りにはトレーニング用の機械が沢山ある。
「……私は、どのくらい寝てた?」
「数日です。その間に宇宙一の始末屋がやって来ました」
「始末屋?」
「ええ。これがまあ、一癖も二癖もありまして。中々手綱を握れないのです」
「ふうん。じゃあ、殺せばいいのかしら?」
「…少々攻撃的に設定し過ぎましたね。まあ良いでしょう、そのくらい強気な方が役に立ちます」
「殺すの?殺さないの?」
「今はまだ観察中です。それに、取引の切り札もありますから」
彼はそう言い、壁に立てかけていた傘をクイーンに手渡した。壊れた傘と比べて特に大きな変化はない。中に仕掛けがあるのだろうかと傘を開いたクイーンはあることに気が付き、「あら」と呟く。
「良いじゃない」
「当然です。私が開発したものですから」
「これでブンブンジャーを倒すことができるのね。そうすれば、地球のギャーソリンは全てボスに届けられる…」
「そういうことです。今早速苦魔獣がギャーソリンを集めているので、試運転といきましょうか」
「わかったわ。全部ぶっ飛ばしてあげる」
傘を肩にかつぎ、彼女は不敵に笑った。その首元には、ハシリヤンのマークが刻まれたチョーカーのようなものが付けられている。マークが赤く煌めくと、「キャノンボーグ様の仰せのままに」と言い、踊るような足取りでその場を後にした。
*
クイーンが現場に着くと、丁度バイオレットがネジレッタ達を一掃したところだった。まだクイーンの存在に気が付いていない彼に傘を向け、石突にエネルギーをチャージしていく。それに気が付いたレッドが「危ない!」と叫んだ瞬間、それは放たれた。
今までの銃弾とは明らかに桁違いのパワーを秘めた一撃が、バイオレットが立っていた地面を抉っている。その俊敏さをもって間一髪で避けた彼は「何だ…?」と後ろを振り返る。硝煙の中から、ゆっくりとクイーンが現れてきた。
「流石は宇宙一の始末屋。これくらいは避けるか…」
「…誰だ?」
「私はクイーン。キャノンボーグ様直属の部下よ。まあ、もう話すこともないだろうけれど」
「随分とデカい口叩くんだな。おいお前ら、コイツのこと知ってるか?」
バイオレットがブンブンジャーに話を振ると、全員気まずそうにレッドの顔を見つめた。暫しの沈黙の後、レッドは「…ああ」と声を絞り出す。
「…俺の、幼馴染だ」
「幼馴染がハシリヤンか。そいつはカオスだな!」
「もう今までの私とは違う。キャノンボーグ様に改造されて、私は生まれ変わった」
再び石突にエネルギーをチャージしていく。段階ごとに先端の色が変わり、ミントグリーンに発光したところで彼女は引き金を引いた。とても弾丸とは言い難いエネルギー弾はブンブンジャーを吹っ飛ばし、満足気に彼女は微笑んだ。
「良い気味!情けなくて涙が出ちゃう!」
「威力が高いだけじゃ、俺は倒せねえぞ?」
高速で移動したバイオレットがクイーンの後ろをとった。トリガーを引いて放った一撃を開いた傘で防御し、そのまま以前と同じような銃弾を放って牽制する。いとも容易くそれは避けられたが、バイオレットが移動した場所に先回りし傘で殴りつけた。
「ッてぇな…!!」
「バックマーカーはお呼びじゃないの」
「ッ…彼女は俺が相手をする!そっちは苦魔獣を!」
二人の間にレッドが割り込み、クイーンと近接戦を始めた。指示に従ったのかただの気まぐれなのかは不明だが、バイオレットは即座に動き苦魔獣へと向かっていく。
レッドの剣先が石突とぶつかるが、傘本体の強度も変化したのかびくともしない。むしろ押し負けており、彼女の腕力でもレッドを圧倒することができた。
「やめろ、柚葉!」
「私はそんな名前じゃない!キャノンボーグ様から頂いた名前を侮辱するな!」
どれだけ暴れようとも傷付けることはできないのか、レッドは反撃をすることができなかった。それを見ていたブルーが流石に加勢に入り、銃弾で援護射撃をする。オレンジもレッドの代わりに近接戦を請け負い、強化された筈の傘による一撃を食らっても姿勢が崩れることはなかった。
「無駄だ、大也!もう手に負えない!」
「大也、気持ちはわかるが…優先順位をつけることは重要だ。今の彼女を救うことと、平和を守ることは両立できない」
「ッ…わかってる、でも…!」
そうこうしている間にバイオレットが苦魔獣を倒してしまった。ヤルカーがハイウェイ光線を発射し、苦魔獣が暴走体へと進化する。それを一瞥し、クイーンは攻撃の手を止めた。
「今日はこのくらいにしといてあげるわ。試運転のやり過ぎは良くないもの」
「待て、柚葉!」
「精々足掻きなさいよ。私に殺されないように、ね」
レッドは尚も彼女を追いかけようとしたが、巨大化した苦魔獣が暴れ始めた為近付くことを許されなかった。苦魔獣を盾にクイーンは向こう側へと消えていく。
ブルーとオレンジに諭されたことも効いたのか、レッドはすぐに気持ちを切り替えてブンブンカー達を発進させた。
クイーンは夢を見ていた。
どこかの施設。小学校低学年くらいの幼い少女は一人で人形遊びをしている。時折周りの子供が遊びに来るが、彼女はそれを突っぱねて黙々と人形を動かしていた。
「一緒に遊ぼうよ」
また一人子供がやって来た。黒髪の少年は手に車のオモチャを持っている。少女がぷいとそっぽを向くと、少年は「遊ぼう」ともう一度声をかける。
「何で」
「友達になりたいから」
「友達なんていらない」
「一緒に遊ぶと楽しいよ」
「…何でそんなに、私に拘るの?」
大人びた口調で少女は少年を見つめた。手の中にある小さな人形をぎゅっと握り、何かを思い出しているのか不安げにしている。しかし少年は彼女の杞憂を吹き飛ばすように手を伸ばし、にっこりと笑った。
「自分と違う色を持った人が一緒だと、世界はカラフルでもっともっと面白くなるんだよ」
「…」
「まひろ先生が言ってたんだ」
「…あっそ。でも、私の答えにはなってない。それなら、違う子に声をかければいいじゃない」
「うーん…」
少年は悩ましげに首を傾げる。少女は「こいつももう諦めただろう」と視線を逸らし、一人遊びに戻ろうとした。しかしその手を優しく掴み、少年は真っ直ぐな目を向ける。
「君が、寂しそうにしてたからかな」
*
目を覚まし、上体を起こす。きょろきょろと辺りを見渡すと、「起きましたか」とキャノンボーグがハンカチで手を拭いていた。クイーンは腰掛に寝かされており、周りにはトレーニング用の機械が沢山ある。
「……私は、どのくらい寝てた?」
「数日です。その間に宇宙一の始末屋がやって来ました」
「始末屋?」
「ええ。これがまあ、一癖も二癖もありまして。中々手綱を握れないのです」
「ふうん。じゃあ、殺せばいいのかしら?」
「…少々攻撃的に設定し過ぎましたね。まあ良いでしょう、そのくらい強気な方が役に立ちます」
「殺すの?殺さないの?」
「今はまだ観察中です。それに、取引の切り札もありますから」
彼はそう言い、壁に立てかけていた傘をクイーンに手渡した。壊れた傘と比べて特に大きな変化はない。中に仕掛けがあるのだろうかと傘を開いたクイーンはあることに気が付き、「あら」と呟く。
「良いじゃない」
「当然です。私が開発したものですから」
「これでブンブンジャーを倒すことができるのね。そうすれば、地球のギャーソリンは全てボスに届けられる…」
「そういうことです。今早速苦魔獣がギャーソリンを集めているので、試運転といきましょうか」
「わかったわ。全部ぶっ飛ばしてあげる」
傘を肩にかつぎ、彼女は不敵に笑った。その首元には、ハシリヤンのマークが刻まれたチョーカーのようなものが付けられている。マークが赤く煌めくと、「キャノンボーグ様の仰せのままに」と言い、踊るような足取りでその場を後にした。
*
クイーンが現場に着くと、丁度バイオレットがネジレッタ達を一掃したところだった。まだクイーンの存在に気が付いていない彼に傘を向け、石突にエネルギーをチャージしていく。それに気が付いたレッドが「危ない!」と叫んだ瞬間、それは放たれた。
今までの銃弾とは明らかに桁違いのパワーを秘めた一撃が、バイオレットが立っていた地面を抉っている。その俊敏さをもって間一髪で避けた彼は「何だ…?」と後ろを振り返る。硝煙の中から、ゆっくりとクイーンが現れてきた。
「流石は宇宙一の始末屋。これくらいは避けるか…」
「…誰だ?」
「私はクイーン。キャノンボーグ様直属の部下よ。まあ、もう話すこともないだろうけれど」
「随分とデカい口叩くんだな。おいお前ら、コイツのこと知ってるか?」
バイオレットがブンブンジャーに話を振ると、全員気まずそうにレッドの顔を見つめた。暫しの沈黙の後、レッドは「…ああ」と声を絞り出す。
「…俺の、幼馴染だ」
「幼馴染がハシリヤンか。そいつはカオスだな!」
「もう今までの私とは違う。キャノンボーグ様に改造されて、私は生まれ変わった」
再び石突にエネルギーをチャージしていく。段階ごとに先端の色が変わり、ミントグリーンに発光したところで彼女は引き金を引いた。とても弾丸とは言い難いエネルギー弾はブンブンジャーを吹っ飛ばし、満足気に彼女は微笑んだ。
「良い気味!情けなくて涙が出ちゃう!」
「威力が高いだけじゃ、俺は倒せねえぞ?」
高速で移動したバイオレットがクイーンの後ろをとった。トリガーを引いて放った一撃を開いた傘で防御し、そのまま以前と同じような銃弾を放って牽制する。いとも容易くそれは避けられたが、バイオレットが移動した場所に先回りし傘で殴りつけた。
「ッてぇな…!!」
「バックマーカーはお呼びじゃないの」
「ッ…彼女は俺が相手をする!そっちは苦魔獣を!」
二人の間にレッドが割り込み、クイーンと近接戦を始めた。指示に従ったのかただの気まぐれなのかは不明だが、バイオレットは即座に動き苦魔獣へと向かっていく。
レッドの剣先が石突とぶつかるが、傘本体の強度も変化したのかびくともしない。むしろ押し負けており、彼女の腕力でもレッドを圧倒することができた。
「やめろ、柚葉!」
「私はそんな名前じゃない!キャノンボーグ様から頂いた名前を侮辱するな!」
どれだけ暴れようとも傷付けることはできないのか、レッドは反撃をすることができなかった。それを見ていたブルーが流石に加勢に入り、銃弾で援護射撃をする。オレンジもレッドの代わりに近接戦を請け負い、強化された筈の傘による一撃を食らっても姿勢が崩れることはなかった。
「無駄だ、大也!もう手に負えない!」
「大也、気持ちはわかるが…優先順位をつけることは重要だ。今の彼女を救うことと、平和を守ることは両立できない」
「ッ…わかってる、でも…!」
そうこうしている間にバイオレットが苦魔獣を倒してしまった。ヤルカーがハイウェイ光線を発射し、苦魔獣が暴走体へと進化する。それを一瞥し、クイーンは攻撃の手を止めた。
「今日はこのくらいにしといてあげるわ。試運転のやり過ぎは良くないもの」
「待て、柚葉!」
「精々足掻きなさいよ。私に殺されないように、ね」
レッドは尚も彼女を追いかけようとしたが、巨大化した苦魔獣が暴れ始めた為近付くことを許されなかった。苦魔獣を盾にクイーンは向こう側へと消えていく。
ブルーとオレンジに諭されたことも効いたのか、レッドはすぐに気持ちを切り替えてブンブンカー達を発進させた。