健全な短編【船体】
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※仄暗い。大也が若干病んでる。
*
土曜日にだけ、大也君はうちに来てくれる。いつも何かしらの手土産を持っていて、申し訳なくなる。最初は大きな花束が続いたのだが、「置く場所に困る」と素直にお断りすると、今度はお菓子や茶葉等に移り変わった。いつも通り手土産を受け取り、彼をソファへ案内する。
「一週間お疲れ様、大也君」
「柚葉も、お疲れ様」
「ふふ、ありがとう。大也君はいつも頑張ってて偉いねぇ」
両手を広げると、彼は少し恥ずかしそうにしながらも胸の中に来てくれた。よしよしと頭を撫でると、「いつまで続くんだ?これ…」と言葉の割に満更でもなさそうな口調で彼はモジモジする。
「ううん、大也君が大きくなるまでかな…?」
「俺はもう25歳なんだが…」
「私からすればずっと年下だもん。よーしよし…」
「…幾つになっても子供扱いか…」
大也君は同年代、いや年上の人から見ても「カッコいい人間」に当てはまるとは思っている。優しくて、容姿も綺麗で、運動も出来て、ギターも上手で、なんてったってブンレッド。文字通りヒーローなのだ。そんな彼をいつまでも子供扱いしているのも、良くないのだとは思う。
それでも、可愛くて堪らないのだ。年齢の割に幼さをまだ残していて、頑張って背伸びをしている姿が。ヒーローとして活躍している時とのギャップもあって、凄く良い。世間からヒーローと持て囃されている彼をこんな風に扱えることに、優越感だって感じている。
犬や小さい子を手玉にとるかのように撫でくり回していると、「柚葉」と大也君は顔を上げた。もうそろそろ離してほしい、ということらしい。名残惜しくはあるものの手を離すと、彼は乱れた髪をササッと直した。そうして視線を落とし、「俺は」と小さな声で呟く。
「……余裕のある大人に、なれているのか…?」
「…」
「…不安なんだ。まだ自分が…何もできない子供と変わらないんじゃないかって……」
「…そんなことないよ。大也君は十分頑張っているよ」
「頑張ってるだけじゃ駄目なんだ…!ちゃんと、結果を残さないと……」
「残してるよ。だって、大也君は届け屋だったり…ブンレッドとして、十分沢山の人を救ってる。真剣に向き合ってる。だから、ブンブンジャーのみんなも一緒に走ってくれているんでしょ?」
……彼は、弱々しい姿を時折見せる。指先で弾けば崩れてしまいそうなくらい不安定な姿だ。ひどく暗い目で、どこか遠くを見つめている。記憶の海に、一人で溺れに行こうとしている。
「…ああ…」
「じゃあ、自信持って良いと思うよ?大也君は、強くて優しくて…立派な男の子だよ」
「……」
「…もちろん、君も人間だから不安に思ってしまう時があるのはわかる。だから、そういう時は私を頼ってほしいな。私はブンブンジャーじゃないから…大也君の弱いところを見ても、幻滅したり、嫌いになったりなんてしない」
頭下げて、と言うと彼は素直にそうしてくれた。無防備な額に軽いキスをして、そのままソファへ押し倒す。背の高い彼を見下ろすことができるのは、こういう時だけの特権。
「君が君自身の在り方を貫く限り、その不安からは逃げられないのかもしれない。でもいいんだよ、そんな時があっても。世界中の人が後ろ指を指そうとも、私だけは君の味方だよ」
「…どうして、柚葉はそこまで俺を慰めてくれるんだ……?」
「…好きだから、だよ」
ちょっとだけ、ウソ。本当は……本当は、弱っている君がどうしようもなく可愛いから。君を庇護することは気持ちが良いから。だから私は、大也君の全てを肯定している。もちろん好意に嘘偽りは無いが。
「私は大也君の全てが好き。大也君は、私の全てを好きじゃなくてもいい。…こういう時じゃないと、大也君にとって特別な存在にはなれないからね」
「…柚葉は、十分俺にとって特別な存在だ。俺は…こうやって自分の不安を打ち明けることだって、簡単には出来ない…」
「ヒーローだもん、仕方ないよ」
容赦なく上にのしかかってやると、「うぐ」と彼は唸った。しかし、重いとは一言も言わなかった。ピタリとくっ付く柔らかな双丘と、自分の胸板を凝視している。ほんの少しだけ、耳が赤い。
「いい子いい子…君はもっと、弱いところを見せていいんだよ」
「…敵わないな」
「ふふん、大也君が私に勝とうだなんて10年早いね」
「…じゃあ。10年経ったら、勝ちに行ってもいいか?」
「やれるものならどうぞ」
「10年分は…重いぞ」
「10年も君を甘やかせられるのなら、喜んで受け入れるよ」
大也君は、まだ知らない。それって、10年も君に呪いをかけるということ。私に甘やかされて、弱さを見せる限り、君は私の中で子供であり続けるのに。
それに気付いていないのか、それとも分かっていて言っているのか。真偽は分からないが、気付いていないのなら…とんでもなく可愛いなあ。
あーあ、10年経ったら子供扱い出来ないのか。でもそりゃそうか。彼が宇宙に行って戻って来る頃には、きっと浦島太郎になっているだろうから。
*
土曜日にだけ、大也君はうちに来てくれる。いつも何かしらの手土産を持っていて、申し訳なくなる。最初は大きな花束が続いたのだが、「置く場所に困る」と素直にお断りすると、今度はお菓子や茶葉等に移り変わった。いつも通り手土産を受け取り、彼をソファへ案内する。
「一週間お疲れ様、大也君」
「柚葉も、お疲れ様」
「ふふ、ありがとう。大也君はいつも頑張ってて偉いねぇ」
両手を広げると、彼は少し恥ずかしそうにしながらも胸の中に来てくれた。よしよしと頭を撫でると、「いつまで続くんだ?これ…」と言葉の割に満更でもなさそうな口調で彼はモジモジする。
「ううん、大也君が大きくなるまでかな…?」
「俺はもう25歳なんだが…」
「私からすればずっと年下だもん。よーしよし…」
「…幾つになっても子供扱いか…」
大也君は同年代、いや年上の人から見ても「カッコいい人間」に当てはまるとは思っている。優しくて、容姿も綺麗で、運動も出来て、ギターも上手で、なんてったってブンレッド。文字通りヒーローなのだ。そんな彼をいつまでも子供扱いしているのも、良くないのだとは思う。
それでも、可愛くて堪らないのだ。年齢の割に幼さをまだ残していて、頑張って背伸びをしている姿が。ヒーローとして活躍している時とのギャップもあって、凄く良い。世間からヒーローと持て囃されている彼をこんな風に扱えることに、優越感だって感じている。
犬や小さい子を手玉にとるかのように撫でくり回していると、「柚葉」と大也君は顔を上げた。もうそろそろ離してほしい、ということらしい。名残惜しくはあるものの手を離すと、彼は乱れた髪をササッと直した。そうして視線を落とし、「俺は」と小さな声で呟く。
「……余裕のある大人に、なれているのか…?」
「…」
「…不安なんだ。まだ自分が…何もできない子供と変わらないんじゃないかって……」
「…そんなことないよ。大也君は十分頑張っているよ」
「頑張ってるだけじゃ駄目なんだ…!ちゃんと、結果を残さないと……」
「残してるよ。だって、大也君は届け屋だったり…ブンレッドとして、十分沢山の人を救ってる。真剣に向き合ってる。だから、ブンブンジャーのみんなも一緒に走ってくれているんでしょ?」
……彼は、弱々しい姿を時折見せる。指先で弾けば崩れてしまいそうなくらい不安定な姿だ。ひどく暗い目で、どこか遠くを見つめている。記憶の海に、一人で溺れに行こうとしている。
「…ああ…」
「じゃあ、自信持って良いと思うよ?大也君は、強くて優しくて…立派な男の子だよ」
「……」
「…もちろん、君も人間だから不安に思ってしまう時があるのはわかる。だから、そういう時は私を頼ってほしいな。私はブンブンジャーじゃないから…大也君の弱いところを見ても、幻滅したり、嫌いになったりなんてしない」
頭下げて、と言うと彼は素直にそうしてくれた。無防備な額に軽いキスをして、そのままソファへ押し倒す。背の高い彼を見下ろすことができるのは、こういう時だけの特権。
「君が君自身の在り方を貫く限り、その不安からは逃げられないのかもしれない。でもいいんだよ、そんな時があっても。世界中の人が後ろ指を指そうとも、私だけは君の味方だよ」
「…どうして、柚葉はそこまで俺を慰めてくれるんだ……?」
「…好きだから、だよ」
ちょっとだけ、ウソ。本当は……本当は、弱っている君がどうしようもなく可愛いから。君を庇護することは気持ちが良いから。だから私は、大也君の全てを肯定している。もちろん好意に嘘偽りは無いが。
「私は大也君の全てが好き。大也君は、私の全てを好きじゃなくてもいい。…こういう時じゃないと、大也君にとって特別な存在にはなれないからね」
「…柚葉は、十分俺にとって特別な存在だ。俺は…こうやって自分の不安を打ち明けることだって、簡単には出来ない…」
「ヒーローだもん、仕方ないよ」
容赦なく上にのしかかってやると、「うぐ」と彼は唸った。しかし、重いとは一言も言わなかった。ピタリとくっ付く柔らかな双丘と、自分の胸板を凝視している。ほんの少しだけ、耳が赤い。
「いい子いい子…君はもっと、弱いところを見せていいんだよ」
「…敵わないな」
「ふふん、大也君が私に勝とうだなんて10年早いね」
「…じゃあ。10年経ったら、勝ちに行ってもいいか?」
「やれるものならどうぞ」
「10年分は…重いぞ」
「10年も君を甘やかせられるのなら、喜んで受け入れるよ」
大也君は、まだ知らない。それって、10年も君に呪いをかけるということ。私に甘やかされて、弱さを見せる限り、君は私の中で子供であり続けるのに。
それに気付いていないのか、それとも分かっていて言っているのか。真偽は分からないが、気付いていないのなら…とんでもなく可愛いなあ。
あーあ、10年経ったら子供扱い出来ないのか。でもそりゃそうか。彼が宇宙に行って戻って来る頃には、きっと浦島太郎になっているだろうから。