健全な短編【船体】
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「…柚葉さん、何か怒ってます…?」
「怒ってないし」
「怒ってますよね!?眉間にシワが…」
そう言って彼は自分の眉間を指差した。怒っている、と指摘している割には物怖じしない態度だ。
「…報告書読んだ。女装したら宇宙人に好かれたって」
「読んだんですか!?」
「しかも複数の事例がある。アモーレ星人バーチョ、アルゴル星人バボン…」
「いや、前者は俺が被害者なんです!後者は作戦ですから!」
「わかってるよ…。だから怒ってないって言ってるんでしょ……」
がっくしとうなだれてソファに寄りかかる。別に、彼を非難したい訳じゃない。ただ、自分の預かり知らぬところで他の人に絡まれているのが気に食わない。要するに嫉妬だ。
自己嫌悪で悶々としながら抱えたクッションを捏ねていると、隣に座ったテツがクッションをソッと奪った。
「柚葉さんって、大人ですね」
「…嘘はやめてよ。テツに非は無いのに、態度で八つ当たりしてるだけなんだから」
「でもそういうの、子供だと分かんないじゃないですか。柚葉さんが一番分かってるってこと、俺も一番分かってます」
クッションを置き、ピタリとくっ付く。歳下とはいえ、成長期を経た立派な大人だ。私よりも背が高いし、体は厚いし、手が大きい。普段は犬が尻尾を振っているような雰囲気なのに、こんなに近付くと彼も子犬ではないのだと分からせられる。
「ぐ、ぬ……歳下のくせに…」
「…生意気でした?」
「…生意気なのは…元からというか…」
「えっ」
「…何でそんなに、可愛くてカッコいいの……」
「カッコいいのは当然です。俺はデカレンジャーの一員なので、カッコよくないと駄目なんです。地球署に来たばかりの俺なんて、全然カッコよくないですから」
「…そうだね。確かに、来たばかりのテツはお世辞にもカッコいい子じゃなかった」
「…もう少し優しく言ってくださいよ…」
実力も経験もあるのに、生意気でプライドが高くて。でも、本当は素直で明るくて…困っている時に彼が来てくれると、夜の闇が晴れていく。
「…だから今は、凄くカッコいいよ」
そう言って見上げると、驚いたように目を丸くしていた。段々と頬が赤く染まっていき、顔に汗が浮かぶ。恥ずかしそうに顔を背けられた。
「そ…そう、ですか…?ありがとう、ございます…」
「…何で照れるの。今凄く良い感じだったのに」
「す、すみません…。こういうの慣れていなくて…」
「仕事なら宇宙人にもベタベタできるのに?」
「相手が柚葉さんだから、じゃないですか…!」
振り返り、ムッとした表情で言い返してきたテツの両頬を手で包んだ。勿論私より彼の方が動体視力が良い為、反応できたと思うが。
そのままじぃっと見つめていると、観念したように顔を近付けてきた。やがて一瞬だけの柔らかい感触を味わう。唇を離した彼はそこれで限界だったのか、反対側にゆっくりと倒れていく。
「3秒もしてないよ!しっかりして!」
「…3秒もしたら、息が止まります…」
「それでも特キョウか〜男見せろ〜」
「……男を見せたら、長くなりますよ」
投げやりな言い方だったが、妙に色気を感じてしまった。…まだテツには、表向きは可愛い後輩でいてほしいな。そういうカッコいいところを知っているのは、私だけでいい。
「じゃあやっぱりナシで」
「ええ〜っ…」
「暫くはウブでいてね」
「どっちなんですかぁ…。柚葉さんが望むなら、そういうのも頑張るのに…」
「そういうのは努力しなくていい!」
クッションを押し付けて有耶無耶にした。澄んだ水のように清らかで染まりやすい彼が、変なことなんて覚えませんように!
「怒ってないし」
「怒ってますよね!?眉間にシワが…」
そう言って彼は自分の眉間を指差した。怒っている、と指摘している割には物怖じしない態度だ。
「…報告書読んだ。女装したら宇宙人に好かれたって」
「読んだんですか!?」
「しかも複数の事例がある。アモーレ星人バーチョ、アルゴル星人バボン…」
「いや、前者は俺が被害者なんです!後者は作戦ですから!」
「わかってるよ…。だから怒ってないって言ってるんでしょ……」
がっくしとうなだれてソファに寄りかかる。別に、彼を非難したい訳じゃない。ただ、自分の預かり知らぬところで他の人に絡まれているのが気に食わない。要するに嫉妬だ。
自己嫌悪で悶々としながら抱えたクッションを捏ねていると、隣に座ったテツがクッションをソッと奪った。
「柚葉さんって、大人ですね」
「…嘘はやめてよ。テツに非は無いのに、態度で八つ当たりしてるだけなんだから」
「でもそういうの、子供だと分かんないじゃないですか。柚葉さんが一番分かってるってこと、俺も一番分かってます」
クッションを置き、ピタリとくっ付く。歳下とはいえ、成長期を経た立派な大人だ。私よりも背が高いし、体は厚いし、手が大きい。普段は犬が尻尾を振っているような雰囲気なのに、こんなに近付くと彼も子犬ではないのだと分からせられる。
「ぐ、ぬ……歳下のくせに…」
「…生意気でした?」
「…生意気なのは…元からというか…」
「えっ」
「…何でそんなに、可愛くてカッコいいの……」
「カッコいいのは当然です。俺はデカレンジャーの一員なので、カッコよくないと駄目なんです。地球署に来たばかりの俺なんて、全然カッコよくないですから」
「…そうだね。確かに、来たばかりのテツはお世辞にもカッコいい子じゃなかった」
「…もう少し優しく言ってくださいよ…」
実力も経験もあるのに、生意気でプライドが高くて。でも、本当は素直で明るくて…困っている時に彼が来てくれると、夜の闇が晴れていく。
「…だから今は、凄くカッコいいよ」
そう言って見上げると、驚いたように目を丸くしていた。段々と頬が赤く染まっていき、顔に汗が浮かぶ。恥ずかしそうに顔を背けられた。
「そ…そう、ですか…?ありがとう、ございます…」
「…何で照れるの。今凄く良い感じだったのに」
「す、すみません…。こういうの慣れていなくて…」
「仕事なら宇宙人にもベタベタできるのに?」
「相手が柚葉さんだから、じゃないですか…!」
振り返り、ムッとした表情で言い返してきたテツの両頬を手で包んだ。勿論私より彼の方が動体視力が良い為、反応できたと思うが。
そのままじぃっと見つめていると、観念したように顔を近付けてきた。やがて一瞬だけの柔らかい感触を味わう。唇を離した彼はそこれで限界だったのか、反対側にゆっくりと倒れていく。
「3秒もしてないよ!しっかりして!」
「…3秒もしたら、息が止まります…」
「それでも特キョウか〜男見せろ〜」
「……男を見せたら、長くなりますよ」
投げやりな言い方だったが、妙に色気を感じてしまった。…まだテツには、表向きは可愛い後輩でいてほしいな。そういうカッコいいところを知っているのは、私だけでいい。
「じゃあやっぱりナシで」
「ええ〜っ…」
「暫くはウブでいてね」
「どっちなんですかぁ…。柚葉さんが望むなら、そういうのも頑張るのに…」
「そういうのは努力しなくていい!」
クッションを押し付けて有耶無耶にした。澄んだ水のように清らかで染まりやすい彼が、変なことなんて覚えませんように!
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