閃光【怪警・高尾ノエル】
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暖炉の火が、パチパチと音を立てていた。そこに一枚一枚、丁寧に写真を放り込んでいく。閉ざされた世界が、溶けていく。歪んで、粉々になって、灰になる。永遠に見ていられるような気がした。
「…こんなこと言うと不謹慎かもしれませんけど…ロマンチック、ですね」
「ロマンチック?」
「とても…美しい光景です。儚くて…人間の感情が、文字通り燃えていく……」
「…柚葉さん?」
「あ…」
すみません、と慌てて謝った。どうやら惚けているうちにうわ言のように思ったことを口にしていたらしい。
「疲れたなら休憩しようか?」
「いえ…大丈夫です、ありがとうございます」
マンションの外に、彼は列車を”連れて”来た。どうやら彼の仕事道具らしく、あっという間に海外まで行くことができる列車らしい。夢のような光景だった。空を、列車が走っていた。ああ、撮影の許可が下りていたらどんなに良かったことか。
「柚葉さんは…素敵な感性を持っているね」
「?そうですか?」
「うん。君はとっても情熱的で、少し前にも言った通り繊細だ。そんな君が撮る写真が、僕は好きだよ」
「あ、ありがとうございます…」
何だか恥ずかしくて、鼻の舌を人差し指の第二間接あたりで擦った。そんな私を見て、ノエルはふふふと微笑む。その顔が、直視できない。
暖炉の火にあてられたのか、体が火照ってきた。特に、顔が熱い。少し顔を近付け過ぎただろうか。綺麗な物は魅入ってしまうから困る。
「これ、断捨離って言ったら不謹慎ですかね…」
「…それは少し、良くないかも」
「…思い出整理、とかはどうでしょう」
「良いね。そういうことにしようか」
手が熱いだろう、と言って彼は写真を入れるのを手伝ってくれた。二人で入れていくと、あっという間に写真は減っていく。
最後の一枚。花畑で撮った元カレの笑顔を、燃やした。少しだけ恨みの感情が顔を見せたが、その感情すらも暖炉の中に放り込んでやった。どうせもう会わないのだから、そんな醜い感情をノエルに見せたって仕方がない。
「ふう」
「お疲れ様。美味しいお菓子があるから、一緒に食べよう」
「ありがとうございます、頂きます」
どこかで見たことのある包装だ。あれ?と思って観察していると、「この前のフレンチのお店で扱っているお菓子だよ」と彼は説明してくれる。
「あ、成る程」
「オーララ。マドレーヌだ」
「マドレーヌ。何か意味があるんでしょうか?」
「二枚貝を連想させるから、”仲良くなりたい”という意味があるんだよ。バレンタインのお菓子としても定番の一つだね」
「仲良くなりたい……」
マドレーヌをもぐもぐと食べながら、ノエルの顔を見る。太い眉。ふわふわの髪。奥二重。可愛い瞳。美味しそうにマドレーヌを頬張っている。今度は、ちゃんと直視できた。
「……私も、ノエルさんと…仲良くなりたい…です」
「!オーララァ…」
「…嫌ですか?」
「まさか。むしろ、僕としてはもう仲良くなっているつもりだったんだけどな」
「…じゃ、じゃあ。私のこと、呼び捨てで呼んでくださいよ」
「ううん、女の子を呼び捨てには出来ないな。柚葉ちゃん、で手を打てないかな?」
「じゃ、じゃあそれでお願いします」
「なら僕からも。敬語はやめようよ、フェアじゃない」
ふふ、と笑って私の口元についたマドレーヌの欠片を取る。──全くこの人は、人の懐に入るのがどれ程上手なのだろう。
「…う、うん…」
「出来ればさん付けも取ってくれると嬉しいなあ」
「…の、ノエル……」
「うん、僕だよ~」
呑気な声でそう言い、おどけてみせた。私はつい吹き出してしまい、「何それ」と親しい友人に話しかけるかのように笑いを堪えながらツッコミを入れる。
「これからもよろしくね、柚葉ちゃん」
「…うん。あと、ありがとうノエル」
「うん?」
「私、あなたがいなかったら…ずっと、あの家で写真を抱えてた。そんな私を、自由にしてくれて…本当にありがとう」
「…ウィ。こちらこそ、いつも素敵な写真をありがとう。そうだ、折角だから一緒に写真を撮りたいな」
「え!?」
やりたいやりたい、と珍しく子供のように強請るノエル。仕方ないというか、これも恩返しの一つだと思って…と自分に言い聞かせ、カメラを自分達に向ける。ノエルが見切れる。
「あ…私じゃ腕短いかも」
「じゃあ僕が代わろうか」
「ありがとう。シャッターボタン、これね」
「ウィ。それじゃあ笑って……ウィスティティ!」
え?と彼の方を向いた瞬間シャッターが切られた。──ウィ…何?
「おやごめん、ついフランス語が…。はいチーズ、っていう意味だよ」
「…随分オシャレな言い方なんだね。うわ、がっつり横向いてる。撮り直さない?」
「ええー僕はこれが良いなあ」
「……わかった…」
思い切りノエルを凝視している私と、可愛らしく微笑んでいる彼。何だか今の関係を表しているようで、少し気恥ずかしかった。
「…こんなこと言うと不謹慎かもしれませんけど…ロマンチック、ですね」
「ロマンチック?」
「とても…美しい光景です。儚くて…人間の感情が、文字通り燃えていく……」
「…柚葉さん?」
「あ…」
すみません、と慌てて謝った。どうやら惚けているうちにうわ言のように思ったことを口にしていたらしい。
「疲れたなら休憩しようか?」
「いえ…大丈夫です、ありがとうございます」
マンションの外に、彼は列車を”連れて”来た。どうやら彼の仕事道具らしく、あっという間に海外まで行くことができる列車らしい。夢のような光景だった。空を、列車が走っていた。ああ、撮影の許可が下りていたらどんなに良かったことか。
「柚葉さんは…素敵な感性を持っているね」
「?そうですか?」
「うん。君はとっても情熱的で、少し前にも言った通り繊細だ。そんな君が撮る写真が、僕は好きだよ」
「あ、ありがとうございます…」
何だか恥ずかしくて、鼻の舌を人差し指の第二間接あたりで擦った。そんな私を見て、ノエルはふふふと微笑む。その顔が、直視できない。
暖炉の火にあてられたのか、体が火照ってきた。特に、顔が熱い。少し顔を近付け過ぎただろうか。綺麗な物は魅入ってしまうから困る。
「これ、断捨離って言ったら不謹慎ですかね…」
「…それは少し、良くないかも」
「…思い出整理、とかはどうでしょう」
「良いね。そういうことにしようか」
手が熱いだろう、と言って彼は写真を入れるのを手伝ってくれた。二人で入れていくと、あっという間に写真は減っていく。
最後の一枚。花畑で撮った元カレの笑顔を、燃やした。少しだけ恨みの感情が顔を見せたが、その感情すらも暖炉の中に放り込んでやった。どうせもう会わないのだから、そんな醜い感情をノエルに見せたって仕方がない。
「ふう」
「お疲れ様。美味しいお菓子があるから、一緒に食べよう」
「ありがとうございます、頂きます」
どこかで見たことのある包装だ。あれ?と思って観察していると、「この前のフレンチのお店で扱っているお菓子だよ」と彼は説明してくれる。
「あ、成る程」
「オーララ。マドレーヌだ」
「マドレーヌ。何か意味があるんでしょうか?」
「二枚貝を連想させるから、”仲良くなりたい”という意味があるんだよ。バレンタインのお菓子としても定番の一つだね」
「仲良くなりたい……」
マドレーヌをもぐもぐと食べながら、ノエルの顔を見る。太い眉。ふわふわの髪。奥二重。可愛い瞳。美味しそうにマドレーヌを頬張っている。今度は、ちゃんと直視できた。
「……私も、ノエルさんと…仲良くなりたい…です」
「!オーララァ…」
「…嫌ですか?」
「まさか。むしろ、僕としてはもう仲良くなっているつもりだったんだけどな」
「…じゃ、じゃあ。私のこと、呼び捨てで呼んでくださいよ」
「ううん、女の子を呼び捨てには出来ないな。柚葉ちゃん、で手を打てないかな?」
「じゃ、じゃあそれでお願いします」
「なら僕からも。敬語はやめようよ、フェアじゃない」
ふふ、と笑って私の口元についたマドレーヌの欠片を取る。──全くこの人は、人の懐に入るのがどれ程上手なのだろう。
「…う、うん…」
「出来ればさん付けも取ってくれると嬉しいなあ」
「…の、ノエル……」
「うん、僕だよ~」
呑気な声でそう言い、おどけてみせた。私はつい吹き出してしまい、「何それ」と親しい友人に話しかけるかのように笑いを堪えながらツッコミを入れる。
「これからもよろしくね、柚葉ちゃん」
「…うん。あと、ありがとうノエル」
「うん?」
「私、あなたがいなかったら…ずっと、あの家で写真を抱えてた。そんな私を、自由にしてくれて…本当にありがとう」
「…ウィ。こちらこそ、いつも素敵な写真をありがとう。そうだ、折角だから一緒に写真を撮りたいな」
「え!?」
やりたいやりたい、と珍しく子供のように強請るノエル。仕方ないというか、これも恩返しの一つだと思って…と自分に言い聞かせ、カメラを自分達に向ける。ノエルが見切れる。
「あ…私じゃ腕短いかも」
「じゃあ僕が代わろうか」
「ありがとう。シャッターボタン、これね」
「ウィ。それじゃあ笑って……ウィスティティ!」
え?と彼の方を向いた瞬間シャッターが切られた。──ウィ…何?
「おやごめん、ついフランス語が…。はいチーズ、っていう意味だよ」
「…随分オシャレな言い方なんだね。うわ、がっつり横向いてる。撮り直さない?」
「ええー僕はこれが良いなあ」
「……わかった…」
思い切りノエルを凝視している私と、可愛らしく微笑んでいる彼。何だか今の関係を表しているようで、少し気恥ずかしかった。