閃光【怪警・高尾ノエル】
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まさか彼女がここまで精神的に不安定な存在だとは思わなかった。叱られた子供のように震える彼女は思わず抱きしめたくなる程同情を誘ったが、それをするのは倫理観によって止められた。付き合ってもいない相手を抱きしめるのは、あまり宜しくないだろう。
「……良かったら、お礼に紅茶でも淹れるよ。キッチンと食器、使ってもいいかな?」
「…どうぞ……」
孤独に凍え死ぬのを待つ遭難者のような彼女にせめて湯冷めしないようにとブランケットを掛け、キッチンを拝借した。ポットに水を入れ、湯が沸くのを待っている間にティーバッグを二つ取り出す。湯を入れ、皿で蓋をし、頃合いになったら引き揚げ、牛乳を注いだ。スティックシュガーを二つとり、ティースプーンと共にトレイに載せてリビングのローテーブルへと運ぶ。
「はい、お待たせ」
「…ありがとうございます……」
「ごめんね、さっきのは…無神経だったね」
「いえ…当然だと思います。…いつかは、捨てないといけないって、分かってましたから……」
砂糖を入れ、ティースプーンでかき混ぜる。ふうふうと息を吹きかけ、口を付けた。
「……私、両親が幼い頃に亡くなっていて。遺影に使える写真が、まともになかったんです」
「…そう」
「だから…人の写真を撮ると、遺影の為に残したくなってしまって……元カレにも、頭可笑しいって言われて…」
「…柚葉さんは、凄く優しいんだね。とても繊細で壊れやすいから、無意識に自分を守っているんだ。それはとても良いことだと思うよ」
「…でも、気持ち悪い、じゃないですか…こんなの」
自嘲するように彼女は薄っすらと笑みを浮かべ、先程まで大事そうに持っていたアルバムを開いた。一人の人物につき何枚もの写真が収められており、正直異様な物ではある。彼女と現在コンタクトをとっていない人物も含まれているのなら、個人情報の面でも何かしら言われても可笑しくはない代物だ。
「……ごめんなさい…」
また小さく震え始めた。何となく、気持ちが分かる。彼女はアルセーヌを失ったばかりの僕に似ている。
信頼できる人物が殆どおらず、大切な物も失った。無意識の内に自分を守っているという点では彼女の方が──恐らく僕より賢く、生存本能が強いのだろう。
「謝らないで。君は何も悪くないよ」
「…何でノエルさんは…そんなに、優しいんですか…?」
「…僕は優しくなんてないよ。僕がそうしたいから、しているだけさ」
「……じゃあ、ノエルさんの優しさに理由はないんですね」
「君が僕を優しいと思っているのなら、そうかもしれないね」
「…私、ノエルさんのそういう…ちょっとドライなところ、好きですよ」
ふっと笑みをこぼした。良かった。ようやく笑ってくれた。
「…何だか、吹っ切れたような気がします。今なら…手離せる、かも」
「付き合うよ」
「えっ?」
「シュレッダーにかけるのと、暖炉の火、どちらがいいかな?」
「……なんか、物騒ですね?ぱぱっとアルバムごと捨てちゃってもいいんじゃ…」
「悪意ある人に拾われたら元も子も無いからね」
「じゃあ……折角なので、暖炉の火で。でも、暖炉なんてどこに…」
「ご心配なく」
僕はスマホを取り出すと、フランスにある家の内装を見せた。少し古いアパルトマンだが、珍しく暖炉がついている。そこで炎が起こすパチパチという音を聴きながらコレクションの手入れをするのが好きだった。
「わ…綺麗…」
「フランス本部にいた頃借りていた家なんだ。今も借りているけどね」
「え、じゃあこれフランスですか!?それは遠すぎじゃ…」
「そちらの方も、ご心配なく」
ニコリと笑い、彼女の手をとる。アルバムを抱いたままの彼女を外に連れ出した。
「……良かったら、お礼に紅茶でも淹れるよ。キッチンと食器、使ってもいいかな?」
「…どうぞ……」
孤独に凍え死ぬのを待つ遭難者のような彼女にせめて湯冷めしないようにとブランケットを掛け、キッチンを拝借した。ポットに水を入れ、湯が沸くのを待っている間にティーバッグを二つ取り出す。湯を入れ、皿で蓋をし、頃合いになったら引き揚げ、牛乳を注いだ。スティックシュガーを二つとり、ティースプーンと共にトレイに載せてリビングのローテーブルへと運ぶ。
「はい、お待たせ」
「…ありがとうございます……」
「ごめんね、さっきのは…無神経だったね」
「いえ…当然だと思います。…いつかは、捨てないといけないって、分かってましたから……」
砂糖を入れ、ティースプーンでかき混ぜる。ふうふうと息を吹きかけ、口を付けた。
「……私、両親が幼い頃に亡くなっていて。遺影に使える写真が、まともになかったんです」
「…そう」
「だから…人の写真を撮ると、遺影の為に残したくなってしまって……元カレにも、頭可笑しいって言われて…」
「…柚葉さんは、凄く優しいんだね。とても繊細で壊れやすいから、無意識に自分を守っているんだ。それはとても良いことだと思うよ」
「…でも、気持ち悪い、じゃないですか…こんなの」
自嘲するように彼女は薄っすらと笑みを浮かべ、先程まで大事そうに持っていたアルバムを開いた。一人の人物につき何枚もの写真が収められており、正直異様な物ではある。彼女と現在コンタクトをとっていない人物も含まれているのなら、個人情報の面でも何かしら言われても可笑しくはない代物だ。
「……ごめんなさい…」
また小さく震え始めた。何となく、気持ちが分かる。彼女はアルセーヌを失ったばかりの僕に似ている。
信頼できる人物が殆どおらず、大切な物も失った。無意識の内に自分を守っているという点では彼女の方が──恐らく僕より賢く、生存本能が強いのだろう。
「謝らないで。君は何も悪くないよ」
「…何でノエルさんは…そんなに、優しいんですか…?」
「…僕は優しくなんてないよ。僕がそうしたいから、しているだけさ」
「……じゃあ、ノエルさんの優しさに理由はないんですね」
「君が僕を優しいと思っているのなら、そうかもしれないね」
「…私、ノエルさんのそういう…ちょっとドライなところ、好きですよ」
ふっと笑みをこぼした。良かった。ようやく笑ってくれた。
「…何だか、吹っ切れたような気がします。今なら…手離せる、かも」
「付き合うよ」
「えっ?」
「シュレッダーにかけるのと、暖炉の火、どちらがいいかな?」
「……なんか、物騒ですね?ぱぱっとアルバムごと捨てちゃってもいいんじゃ…」
「悪意ある人に拾われたら元も子も無いからね」
「じゃあ……折角なので、暖炉の火で。でも、暖炉なんてどこに…」
「ご心配なく」
僕はスマホを取り出すと、フランスにある家の内装を見せた。少し古いアパルトマンだが、珍しく暖炉がついている。そこで炎が起こすパチパチという音を聴きながらコレクションの手入れをするのが好きだった。
「わ…綺麗…」
「フランス本部にいた頃借りていた家なんだ。今も借りているけどね」
「え、じゃあこれフランスですか!?それは遠すぎじゃ…」
「そちらの方も、ご心配なく」
ニコリと笑い、彼女の手をとる。アルバムを抱いたままの彼女を外に連れ出した。