閃光【怪警・ノエル】
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暫くして、ノエルから食事の誘いがやって来た。二つ返事で応じ、約束を取り付ける。
フランス料理か。ドレスコードはないようだが、あまりにもカジュアルな服では宜しくないだろう。クローゼットの中を開け、適当に服を漁ってみる。展覧会の時以外はいつも動きやすい服だった為、所謂オフィスカジュアル的な服を探すことは難航した。どれにするか悩んだ結果選ばれたのは、カジュアルなブラウスに少しタイトなスカート。ピンときた、というよりかは「ドツボにハマった為最初に選んだものに戻って来た」が正しい。
ハンガーに掛けて吊るしておく。いつかの展覧会で着た服だったが、まさかこうして着る機会が巡ってくるとは思わなかった。
*
「あ」
店の外観を撮っていると、いつの間にかノエルがやって来ていた。ボンジュール、とフランス流挨拶をしてまじまじと私の服装を見つめる。
「トレビアン!柚葉さんは何を着ていても素敵だね」
「あ、ありがとうございます」
「それじゃあ行こうか。僕のお気に入りのお店だから、気に入ってもらえると嬉しいな」
優雅に私をエスコートし、彼は店へと誘った。いらっしゃいませーと、ショートカットで笑顔の可愛い女の子が迎えてくれる。奥でスマホをいじっていた男の子が特に悪びれる様子もなくスマホを置き、「いらっしゃいませ~」とラフに言った。
「あ、ノエルさん。もしかしてこの人が…」
「うん、柚葉さんだよ」
「すご~い!イメージにぴったり!」
「…ノエルさん。何か話をしていたんですか?」
「君の活動の布教を少し」
少女はどこからかポストカードを出し、「ファンです!」と言ってくれた。眩しい。まるで真夏に咲き誇る向日葵のようだ。いや、むしろ向日葵畑の中でもとびきり輝く笑顔を持つモデルかもしれない。
「もう…」
「…余計なお世話だったかな?」
「…いえ、有難いですけども……」
「ふふ、なら良かった」
「あっ、こちらのお席へどうぞ!」
席に着き、メニュー表を渡される。これがおススメだよ、とノエルが言ってくれたものをじゃあそれでと頼めば、厨房にいる男性が手を動かし始めた。
「ねえお姉さん、コイツとどうやって出会ったの?」
「ちょっと魁利…」
「ギャングラ―に襲われたところを助けてもらって──あ、これって話していいんですか…?」
「ウィ。彼らもそれなりに事情は知っているんだ。僕が怪盗だってこととか、ね」
「あ、意外とオープンなんですねその辺…」
「ふーん。でも気を付けてね。うち、お巡りさんもよく来る店だから」
癖毛の青年──魁利は悪戯っ子のように笑った。やけにその笑顔が似合っている。お巡りさん?と首を傾げれば、「僕の仕事仲間だよ」とノエルが先に運ばれた紅茶を口につけて答えてくれた。
「もしかして、国際警察の…?」
「そ。顔がめっちゃ怖いお巡りさんと、ちょっとマヌケなお巡りさんと、真面目なお巡りさんの三人組」
「圭一郎君、そんなに顔怖いかなぁ?」
「怖いって。だから子供に嫌われるんだよあの人」
「オーララ。それは初耳だ」
「マヌケなお巡りさんは要注意ね。あの人、守備範囲広くてすぐ声掛けて来るから」
「は、はあ…」
「大丈夫だよ。今は初美花ちゃん一筋みたいだからね」
私が初美花の方を見ると、彼女はブンブンと首を横に振った。「そんなんじゃないです!」と否定的なコメントまで付けている。どうやら、そのマヌケな人の一人相撲らしい。
「でもデートだってしてんじゃん」
「あれは社交辞令!ほら、料理できたんだから運ぶの手伝って!」
「へいへい」
兄妹のようにきゃいきゃいとじゃれる二人は何だか微笑ましい。その目線に気付いたのか、ノエルが「可愛いだろう?」とにっこり微笑んだ。
「はい、とても」
「奥にいる彼も、凄く良い人なんだよ。透真君って言うんだ」
「三人の中では、一番年上みたいですね」
「正解。所謂二人のお兄さんさ」
初美花と魁利が料理を運んできた。見たこともないようなオシャレなプレートに少し戸惑い、恐る恐るといった感じで手を付ける。フレンチの作法くらい学んでくれば良かった。
「!美味しい…」
「ここのランチは絶品なんだ。僕も大好きなんだよ」
「ランチも、と言ってほしいところだな」
厨房から顔を覗かせた男性がそう口を挟んだ。パルドン、とノエルが謝りランチに手を付けていく。案外がっつり食べるタイプのようだ。見ていてこちらまでお腹が空いてくる良い食べっぷりである。
「デザートもありますから」
「え、凄く豪華ですね…!楽しみです」
フレンチのことはよく分からないが、彼の腕前が確かなのはよく分かった。あと、ノエルがこういうカジュアルな店を好むのは意外だった。彼はもっと派手で非日常的な世界を好むものだと勝手に決め付けてしまっていたようだ。反省しなければ。
フランス料理か。ドレスコードはないようだが、あまりにもカジュアルな服では宜しくないだろう。クローゼットの中を開け、適当に服を漁ってみる。展覧会の時以外はいつも動きやすい服だった為、所謂オフィスカジュアル的な服を探すことは難航した。どれにするか悩んだ結果選ばれたのは、カジュアルなブラウスに少しタイトなスカート。ピンときた、というよりかは「ドツボにハマった為最初に選んだものに戻って来た」が正しい。
ハンガーに掛けて吊るしておく。いつかの展覧会で着た服だったが、まさかこうして着る機会が巡ってくるとは思わなかった。
*
「あ」
店の外観を撮っていると、いつの間にかノエルがやって来ていた。ボンジュール、とフランス流挨拶をしてまじまじと私の服装を見つめる。
「トレビアン!柚葉さんは何を着ていても素敵だね」
「あ、ありがとうございます」
「それじゃあ行こうか。僕のお気に入りのお店だから、気に入ってもらえると嬉しいな」
優雅に私をエスコートし、彼は店へと誘った。いらっしゃいませーと、ショートカットで笑顔の可愛い女の子が迎えてくれる。奥でスマホをいじっていた男の子が特に悪びれる様子もなくスマホを置き、「いらっしゃいませ~」とラフに言った。
「あ、ノエルさん。もしかしてこの人が…」
「うん、柚葉さんだよ」
「すご~い!イメージにぴったり!」
「…ノエルさん。何か話をしていたんですか?」
「君の活動の布教を少し」
少女はどこからかポストカードを出し、「ファンです!」と言ってくれた。眩しい。まるで真夏に咲き誇る向日葵のようだ。いや、むしろ向日葵畑の中でもとびきり輝く笑顔を持つモデルかもしれない。
「もう…」
「…余計なお世話だったかな?」
「…いえ、有難いですけども……」
「ふふ、なら良かった」
「あっ、こちらのお席へどうぞ!」
席に着き、メニュー表を渡される。これがおススメだよ、とノエルが言ってくれたものをじゃあそれでと頼めば、厨房にいる男性が手を動かし始めた。
「ねえお姉さん、コイツとどうやって出会ったの?」
「ちょっと魁利…」
「ギャングラ―に襲われたところを助けてもらって──あ、これって話していいんですか…?」
「ウィ。彼らもそれなりに事情は知っているんだ。僕が怪盗だってこととか、ね」
「あ、意外とオープンなんですねその辺…」
「ふーん。でも気を付けてね。うち、お巡りさんもよく来る店だから」
癖毛の青年──魁利は悪戯っ子のように笑った。やけにその笑顔が似合っている。お巡りさん?と首を傾げれば、「僕の仕事仲間だよ」とノエルが先に運ばれた紅茶を口につけて答えてくれた。
「もしかして、国際警察の…?」
「そ。顔がめっちゃ怖いお巡りさんと、ちょっとマヌケなお巡りさんと、真面目なお巡りさんの三人組」
「圭一郎君、そんなに顔怖いかなぁ?」
「怖いって。だから子供に嫌われるんだよあの人」
「オーララ。それは初耳だ」
「マヌケなお巡りさんは要注意ね。あの人、守備範囲広くてすぐ声掛けて来るから」
「は、はあ…」
「大丈夫だよ。今は初美花ちゃん一筋みたいだからね」
私が初美花の方を見ると、彼女はブンブンと首を横に振った。「そんなんじゃないです!」と否定的なコメントまで付けている。どうやら、そのマヌケな人の一人相撲らしい。
「でもデートだってしてんじゃん」
「あれは社交辞令!ほら、料理できたんだから運ぶの手伝って!」
「へいへい」
兄妹のようにきゃいきゃいとじゃれる二人は何だか微笑ましい。その目線に気付いたのか、ノエルが「可愛いだろう?」とにっこり微笑んだ。
「はい、とても」
「奥にいる彼も、凄く良い人なんだよ。透真君って言うんだ」
「三人の中では、一番年上みたいですね」
「正解。所謂二人のお兄さんさ」
初美花と魁利が料理を運んできた。見たこともないようなオシャレなプレートに少し戸惑い、恐る恐るといった感じで手を付ける。フレンチの作法くらい学んでくれば良かった。
「!美味しい…」
「ここのランチは絶品なんだ。僕も大好きなんだよ」
「ランチも、と言ってほしいところだな」
厨房から顔を覗かせた男性がそう口を挟んだ。パルドン、とノエルが謝りランチに手を付けていく。案外がっつり食べるタイプのようだ。見ていてこちらまでお腹が空いてくる良い食べっぷりである。
「デザートもありますから」
「え、凄く豪華ですね…!楽しみです」
フレンチのことはよく分からないが、彼の腕前が確かなのはよく分かった。あと、ノエルがこういうカジュアルな店を好むのは意外だった。彼はもっと派手で非日常的な世界を好むものだと勝手に決め付けてしまっていたようだ。反省しなければ。