閃光【怪警・ノエル】
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”コグレさん、聞きたいことがあるのですが宜しいですか?”
”何でしょうか、ノエル君”
”ルパンコレクションの中にカメラの形をしたものはありますか?”
”はい、二つございますよ。一つは「想い出~La mémoire~」というコレクションで、もう一つは「永遠の世界~Dans l'éternité~」というルパンコレクションです。後述のコレクションは普通のカメラとして使用することも可能ですが、撮影した対象の過去を読み取ることができます。二つともモチーフと能力が似ている為、つい混同しがちですが…”
コグレから二つのルパンコレクションの写真が送られてきた。一つは初めて見るものだったが、もう片方は見覚えがある。巴柚葉が普段から肌身離さず持っているものだった。
彼女の持っているカメラからルパンコレクションの気配を感じていたが、確信に変わった。彼女はその価値を知らないだけで、ルパンコレクションを所持している。
マンションの一室に入って行く柚葉を見送った。さてどうしたものかと考えあぐねる。
彼女には僕が怪盗であることが知られている。怪盗として奪うことはできないし、そもそもやりたくない。どうにかして、彼女を傷付けずにルパンコレクションを渡してもらえないものだろうか。
「オーララ…どうしようかなあ」
*
「あれ、何ですか?それ」
ジュレで柚葉のグッズである花畑を映したポストカードを眺めていると、客も減って余裕のできた初美花が声を掛けてきた。彼女にポストカードを見せると「わ~!」と目を輝かせる。
「すっごく綺麗!これどうしたんですか!?」
「グッズだよ。僕が大ファンのカメラマンが出しているんだ」
「素敵~!展覧会とかもやってるんですか?私も見てみたいなあ…」
「ああ、まだギャラリーで展覧会をやっているよ。ほら、この間ギャングラーが出ただろう?」
「あ、ノエルさんが対応してくれた時のことですよね…!そっか、あそこでやってたんだ…」
良かったらどうぞ、と一枚彼女にプレゼントする。美しい物は分け合うべきだ。
「こんな写真を撮れるなんて、どんな人なんだろ~」
「案外、気難しい芸術家なんじゃね?」
「ええ~そんなことないよ!きっとすっごく優しい人だよ!」
彼女の言葉に笑みをこぼしつつ、黙って紅茶に口を付ける。確かに優しい子だ、と心の中で呟いて。
しかし同時に──強かな子でもあると思う。SNSでの数字を気にしているのはそれが素直に表れている。それに執着し、長時間も待つ根気があるのはプロとしても芸術家としても評価できるが。
「そうだ。今度、彼女をジュレに連れてくるよ」
「え、知り合いなの?」
「ウィ。柚葉さんと言ってね、とても素敵な人なんだ」
「是非連れてきてください!すっごく楽しみ!」
「どうやって知り合ったワケ?もしかしてナンパ?」
魁利は椅子の背もたれに手をかけ、ニヤニヤと笑った。どうやら、彼の中で僕は相当軽薄なイメージらしい。実際そういう一面もある為否定できないのが悔しい。
「失礼だなぁ。ギャングラ―に襲われていたところを助けて、そこから仲良くなっただけだよ」
「なんだ、つまんねーの」
「でもでも、確かあの時コレクションってノエルさんが回収したんだよね?」
「……もしかして、目の前でルパンエックスになった?」
沈黙。
透真によるキッチンからの射殺さんばかりの視線。不安げな初美花。蛇が這うようなじとりとした視線を向ける魁利。
「…大丈夫、彼女は誰にも言わないよ」
「そんなの信用できる訳ないだろ…」
「もし言いふらしたらどうするつもりだ?」
「その時は…僕が何とかするさ。責任を持ってね」
「…もう。心配で仕方ないよぉ~…」
彼らやコグレに、彼女がルパンコレクションを持っていることを伝えるのは危険だ。特に、魁利や透真は逸って荒事に出るかもしれない。
僕がルパンレンジャーとパトレンジャーが仲良くできるような未来を望むように、彼女とも平和的に解決できる未来を見出したい。
「…ノエル、お前何か隠してるだろ」
僕の心中を察したのか、魁利が腕を組んで肩をすくめた。相変わらず、鋭い子だ。怪盗のままで終わらせるには惜しいくらいである。
「…そうだね」
「守秘義務とか言うなよ」
「……彼女、ギャングラ―に狙われているみたいなんだ。理由までは僕も掴めていない」
「…ふうん」
「だから、今後も僕が出来得る限り守ってあげようと思ってね」
あくまでも個人的範疇だと強調する為に「僕が」と言ったが、その必要はなかったようだ。初美花が「あのっ」と一歩踏み出し、魁利と透真を一瞥したあと「うちも…」と遠慮がちに口を開く。
「うちも、その柚葉さんのこと守ってあげたい…」
「…初美花ちゃん…」
「…初美花…」
「だ、だってだって、こんなに素敵な写真を撮る人なんだし…ギャングラ―の被害に遭うことの辛さは、うちらもよく知ってるでしょ…?」
魁利と透真は呆れていたようだが、彼女の性格を知っているからか決して責めたりはしなかった。むしろ、「そう言うと思った」という感じで構えている。
「…そうだな。ま、手の届く範囲にいたら守ってやるよ」
「…ありがとう、みんな」
「…ちゃんと連れて来るんだぞ。顔を知っておかないと、守りようがないからな」
「ウィ。じゃあ、早速彼女を誘っておこうかな。トレビアンな料理を期待しているよ、透真君」
透真にそう言うと、彼は何も言わなかった。しかし口角を上げているあたり、新しく常連となるであろう客の彼女を楽しみにしているのだろう。
彼らが仲間で良かった。改めてそう感じ、紅茶に口をつける。今日の紅茶はダージリンだった。
”何でしょうか、ノエル君”
”ルパンコレクションの中にカメラの形をしたものはありますか?”
”はい、二つございますよ。一つは「想い出~La mémoire~」というコレクションで、もう一つは「永遠の世界~Dans l'éternité~」というルパンコレクションです。後述のコレクションは普通のカメラとして使用することも可能ですが、撮影した対象の過去を読み取ることができます。二つともモチーフと能力が似ている為、つい混同しがちですが…”
コグレから二つのルパンコレクションの写真が送られてきた。一つは初めて見るものだったが、もう片方は見覚えがある。巴柚葉が普段から肌身離さず持っているものだった。
彼女の持っているカメラからルパンコレクションの気配を感じていたが、確信に変わった。彼女はその価値を知らないだけで、ルパンコレクションを所持している。
マンションの一室に入って行く柚葉を見送った。さてどうしたものかと考えあぐねる。
彼女には僕が怪盗であることが知られている。怪盗として奪うことはできないし、そもそもやりたくない。どうにかして、彼女を傷付けずにルパンコレクションを渡してもらえないものだろうか。
「オーララ…どうしようかなあ」
*
「あれ、何ですか?それ」
ジュレで柚葉のグッズである花畑を映したポストカードを眺めていると、客も減って余裕のできた初美花が声を掛けてきた。彼女にポストカードを見せると「わ~!」と目を輝かせる。
「すっごく綺麗!これどうしたんですか!?」
「グッズだよ。僕が大ファンのカメラマンが出しているんだ」
「素敵~!展覧会とかもやってるんですか?私も見てみたいなあ…」
「ああ、まだギャラリーで展覧会をやっているよ。ほら、この間ギャングラーが出ただろう?」
「あ、ノエルさんが対応してくれた時のことですよね…!そっか、あそこでやってたんだ…」
良かったらどうぞ、と一枚彼女にプレゼントする。美しい物は分け合うべきだ。
「こんな写真を撮れるなんて、どんな人なんだろ~」
「案外、気難しい芸術家なんじゃね?」
「ええ~そんなことないよ!きっとすっごく優しい人だよ!」
彼女の言葉に笑みをこぼしつつ、黙って紅茶に口を付ける。確かに優しい子だ、と心の中で呟いて。
しかし同時に──強かな子でもあると思う。SNSでの数字を気にしているのはそれが素直に表れている。それに執着し、長時間も待つ根気があるのはプロとしても芸術家としても評価できるが。
「そうだ。今度、彼女をジュレに連れてくるよ」
「え、知り合いなの?」
「ウィ。柚葉さんと言ってね、とても素敵な人なんだ」
「是非連れてきてください!すっごく楽しみ!」
「どうやって知り合ったワケ?もしかしてナンパ?」
魁利は椅子の背もたれに手をかけ、ニヤニヤと笑った。どうやら、彼の中で僕は相当軽薄なイメージらしい。実際そういう一面もある為否定できないのが悔しい。
「失礼だなぁ。ギャングラ―に襲われていたところを助けて、そこから仲良くなっただけだよ」
「なんだ、つまんねーの」
「でもでも、確かあの時コレクションってノエルさんが回収したんだよね?」
「……もしかして、目の前でルパンエックスになった?」
沈黙。
透真によるキッチンからの射殺さんばかりの視線。不安げな初美花。蛇が這うようなじとりとした視線を向ける魁利。
「…大丈夫、彼女は誰にも言わないよ」
「そんなの信用できる訳ないだろ…」
「もし言いふらしたらどうするつもりだ?」
「その時は…僕が何とかするさ。責任を持ってね」
「…もう。心配で仕方ないよぉ~…」
彼らやコグレに、彼女がルパンコレクションを持っていることを伝えるのは危険だ。特に、魁利や透真は逸って荒事に出るかもしれない。
僕がルパンレンジャーとパトレンジャーが仲良くできるような未来を望むように、彼女とも平和的に解決できる未来を見出したい。
「…ノエル、お前何か隠してるだろ」
僕の心中を察したのか、魁利が腕を組んで肩をすくめた。相変わらず、鋭い子だ。怪盗のままで終わらせるには惜しいくらいである。
「…そうだね」
「守秘義務とか言うなよ」
「……彼女、ギャングラ―に狙われているみたいなんだ。理由までは僕も掴めていない」
「…ふうん」
「だから、今後も僕が出来得る限り守ってあげようと思ってね」
あくまでも個人的範疇だと強調する為に「僕が」と言ったが、その必要はなかったようだ。初美花が「あのっ」と一歩踏み出し、魁利と透真を一瞥したあと「うちも…」と遠慮がちに口を開く。
「うちも、その柚葉さんのこと守ってあげたい…」
「…初美花ちゃん…」
「…初美花…」
「だ、だってだって、こんなに素敵な写真を撮る人なんだし…ギャングラ―の被害に遭うことの辛さは、うちらもよく知ってるでしょ…?」
魁利と透真は呆れていたようだが、彼女の性格を知っているからか決して責めたりはしなかった。むしろ、「そう言うと思った」という感じで構えている。
「…そうだな。ま、手の届く範囲にいたら守ってやるよ」
「…ありがとう、みんな」
「…ちゃんと連れて来るんだぞ。顔を知っておかないと、守りようがないからな」
「ウィ。じゃあ、早速彼女を誘っておこうかな。トレビアンな料理を期待しているよ、透真君」
透真にそう言うと、彼は何も言わなかった。しかし口角を上げているあたり、新しく常連となるであろう客の彼女を楽しみにしているのだろう。
彼らが仲間で良かった。改めてそう感じ、紅茶に口をつける。今日の紅茶はダージリンだった。